著者
中原 淳
出版者
南山大学人間関係研究センター
雑誌
人間関係研究 = Human Relations (ISSN:13464620)
巻号頁・発行日
no.16, pp.211-273, 2017-03-31

南山大学人間関係研究センター公開講演会日時:2017年1月7日(土)13:30~17:00場所:南山大学名古屋キャンパス D棟DB1教室講演者:中原淳(東京大学大学総合教育研究センター)対談者:中村和彦(南山大学人間関係研究センター)
著者
中村 晃 神藤 貴昭 田口 真奈 西森 年寿 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.491-500, 2007-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究では, 大学教員初任者がもつ教育に対する不安について検討し, さらにこのような不安と同時に周囲からのサポートについても考慮し, これらがどのように仕事に対する満足感と関係するかを検討することを目的とした。そのため, まず教育不安尺度を作成し, 次に教育不安が周囲からのサポート, および職務満足感とどのような関係にあるかを質問紙により検討した。その結果, 教育不安尺度では因子分析により「教育方法に関する不安」「学生に関する不安」「教育システムに関する不安」の3因子が見出された。また教育不安と職場におけるサポート, および職務内容満足感との関係を検討した結果, 教育に関する不安が高い場合, 先輩教員のサポートが満足感を上げる要因になること, および教育システムに関する不安が高い場合, 同世代教員によるサポートが少ないと満足感が低くなることが示唆された。これらのことから, 特に不安の高い教員に対しては, 職場のサポートが仕事の満足感を上げるうえで重要であると考えられる。
著者
舘野 泰一 中原 淳 木村 充 保田 江美 吉村 春美 田中 聡 浜屋 祐子 高崎 美佐 溝上 慎一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-11, 2016

本研究では,大学での学び・生活が就職後のプロアクティブ行動にどのような影響を与えているかを検証するために質問紙調査を行った.本研究の特徴は2点ある.1点目は縦断調査という点である.近年,大学教育において「学校から仕事への移行」に関する調査研究は増えてきているが,その多くは振り返り調査という限界があった.2点目は,就職後のプロアクティブ行動に着目した点である.プロアクティブ行動とは,個人の主体的な行動のことであり,近年大学教育で議論されてきた「主体的な学び」の成果に関連が深い.しかし,これまでその影響について検証されてこなかった. 共分散構造分析を行った結果,1.授業外のコミュニティを持っている学生,2.大学生活が充実している学生ほど,就職後にプロアクティブ行動を行っていることが明らかになった.
著者
吉村 春美 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.277-289, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
32

本研究の目的は,学校の様々な課題に共通する学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスを明らかにすることである.本研究では,小・中学校に勤務するミドルリーダー15名に対して半構造化インタビューを行い,M-GTA(木下 2003)を用いて分析を行った.分析の結果,学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスとして,17の概念,6つのカテゴリーが生成され,概念間及びカテゴリー間の関係が図にまとめられた.また,ミドルリーダーから教員に対する「関係性の醸成」,校長に対する「実践のビジョンへの結合」という働きかけの重要性が示唆された.今後は,本研究知見をミドルリーダー育成の内容や方法に反映することが求められる.

2 0 0 0 OA 実用力学

著者
中原淳蔵 著
出版者
工業雑誌社
巻号頁・発行日
1904
著者
荒木 淳子 中原 淳 坂本 篤郎
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.319-329, 2011-03-30 (Released:2016-08-07)
参考文献数
43

日本では,企業で働く個人にも,自ら学びながら主体的にキャリア構築をすることが求められつつある.しかし,キャリア構築に向けた社会人の学習に関する研究は少ない(濱中2007).そこで本研究では,社会人の学習にとって重要な場である職場(松尾2006)に着目し,個人の仕事に対する態度(挑戦性・柔軟性),職場環境がキャリア確立(荒木2007,2009)に及ぼす影響について,階層線形モデル(hierarchical linear model)による分析をおこなった.17社,1214名の質問紙調査の回答を分析した結果,キャリア確立には個人の挑戦性,柔軟性が重要であること,職場における仕事内容の明示化は個人の挑戦性がキャリア確立に与える効果に正の影響を,知識やノウハウを教え合うといった支援的環境は負の影響を与えることが示された.個人の挑戦性をキャリア確立につなげるためには,職場において,仕事の目的や内容を明示化することが求められる.また,挑戦性が低い人には職場の支援的環境を整えることも必要であると言える.
著者
脇本 健弘 苅宿 俊文 八重樫 文 望月 俊男 酒井 俊典 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.209-218, 2010-01-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
24
被引用文献数
5

本研究では,初任教師の育成として授業に関するメンタリングに注目をした.メンタリングとは,経験を積んだ専門家(熟達教師)が新参の専門家(初任教師)の自立を見守り,援助することである.初任教師を対象に授業に関するメンタリングを行う際は,初任教師が授業を行い,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行うことが有効である.しかし,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行う際に,(1)対話内容が授業技術や理論的なもの中心で,具体的な子どもの話がでてこない,(2)熟達教師の子どもの話が初任教師に伝わらない,(3)振り返る子どもに偏りが出るという問題がある.上記問題を解決するために,メンタリング支援システムFRICA(読み方:フリカ)を開発した.その結果,FRICAを利用することにより,子どもの話が引き出され,初任教師に伝わるように熟達教師が子どもの話ができるようになった.また,子どもの偏りに関しても効果がみられた.
著者
辻 和洋 中原 淳
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-16, 2021-09-30 (Released:2021-11-10)
参考文献数
31

本研究は,調査報道の困難さを乗り越え,推進していくための新聞社のデスクの役割について,ニュース制作過程を通じて検証する。その分析対象には,調査報道の決定的な事例として2004年度に新聞協会賞を受賞した北海道新聞社「北海道警裏金問題」報道を取り上げた。調査報道は一般的な報道に比べて記事化の不確実性が高く,リスクもコストも高いと言われる報道形態である。その中で調査報道の成立には,デスクが重要な役割を果たすとの指摘がある。しかし,ニュース制作過程研究において,調査報道におけるデスクの役割はほとんど実証的に明らかにされていない。そのため,デスクによる記者や上司らへの働きかけなどについて,本事例を担当したデスクと記者に半構造化インタビューを行った。調査の結果,デスクは調査報道のニュース制作過程において,取材のビジョンと目標を熟考し,明確化した上で取材班を結成するといった取材に向けての戦略を入念に立てていた。記者らに対しては取材活動の自律性を確保したり,鼓舞したりする取材に対する支援行動が見られた。また上司らに対しては社内で議論の場を積極的に設け,説明責任を果たしていた。これらの行動は先行研究において描かれていない行動であり,調査報道においてニュース制作を推進していく上で重要なデスクの役割である可能性が示唆された。
著者
田中 聡 中原 淳
出版者
日本労務学会
雑誌
日本労務学会誌 (ISSN:18813828)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.4-17, 2018-12-01 (Released:2019-08-07)
参考文献数
33

The purpose of this study is to examine the factors that promote learning in middle managers through their experiences of developing new business. A questionnaire survey was undertaken on 371 subjects who had experience of being part of new-business departments as middle managers in private enterprises with over 300 employees. The analysis results revealed the following. First, an individual factor that promotes learning through new business development experience is learning goal orientation. Second, the organizational factors that promote learning through new business development experience are management support and work discretion. Third, a workplace factor that promotes learning through new business development experience is introspective support from one's superiors. Fourth, it was found that the factors management support, work discretion, and introspective support would act as intermediaries for the individual factor learning goal orientation, triggering the effect of promoting learning through new business development experience.
著者
大山 正 中原 淳一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.35-48, 1960 (Released:2010-07-16)
参考文献数
26
被引用文献数
15 19

If a cross figure consists of upper and lower black arms, right and left white arms, and a central gray square, we do not perceive the mosaic sum of these five parts. We see, instead, a black vertical bar and a white horizontal bar. In the central part of this figure, we can see simultaneously two colors, white and black, one behind the other. One of these two colors appears transparent and the other appears to be seen through the former (See Fig. 1A). The following investigation is concerned with this apparent transparency.Method: Experimental procedures were nearly the same with those of our previous studies on figure-ground reversal (This journal, 1955, 26, 178-188). Observers were instructed to fixate their eyes upon the center of the figure 60 to 120 seconds, and push the first one of the three electric buttons when the black bar appeared in front of the white bar, push the second button when the white bar appeared nearer, and push the third button during ambiguous appearances. As the measure of relative dominancy of black and white, the formula, Rb=100Tb/(Tb+Tw), was adopted, in which Tb indicates the total pushing time of the first button, and Tw, that of the second.Results: 1) In general, the white bar has a stronger tendency to appear in front of the black bar when the central square is light gray, and the black bar is dominant when the central square is dark gray. It was discovered that the relative dominancy was approximately proportional to the difference between the square root of reflectance of the central part and that of the arms (Table 1, Fig. 2, 3, 4).2) The lightness of the surrounding field has little effect on the relative dominancy of two bars (Table 2).3) When the arms are of two of the four chromatic colors, red, yellow, green and blue, instead of white and black, and the central part is the mixture of these two colors produced by the rotating disk, yellow is the most dominant color, red is the second, green the third and blue the last. However, red may be more dominant than yellow if the above mentioned effect of lightness is eliminated (Table 3).4) When the vertical arms are red, the horizontal arms are green, and the central square is the mixture of red and green in various ratios, the relative dominancy is represented in a S-shaped curve as a function of the mixture ratio, i.e., the angle ratio in color disk (Table 4, Fig. 5, 6).5) The effect of area of the arms is equivocal. There are large individual differences, and the difference of instructions easily affects the results (Fig. 8, 9, 10, Table 5). The similar results were obtained in the stimulus figures of another type (Fig. 1B, 11).
著者
中原淳
出版者
労働政策研究・研修機構
雑誌
日本労働研究雑誌
巻号頁・発行日
vol.2013年(10月), no.639, 2013-10
著者
西森 年寿 望月 俊男 椿本 弥生 山内 祐平 久松 慎一 中原 淳 大浦 弘樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.309-316, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

筆者らは,大学教育での学生によるレポート課題などにおける問題設定の支援を目的として,映像資料閲覧を支援するための視聴プレイヤーMEET Video Explorerを開発した.教育現場での映像アーカイブ利用が普及し,一人一台環境が実現されるなかで,こうしたツールの利用可能性が高まっている.本研究では実験授業においてこのツールを用い,問題設定に対して映像アーカイブの個別視聴が与える効果と,ナレッジマップ機能の持つ効果について検討を行った.個別視聴活動と講師が説明を行う一斉視聴活動を行った群の比較から,個別視聴群では一部の問題に凝集しない問題設定が行えていることが分かった.また,ナレッジマップの作成により,複数の情報を統合しようとする独創性の高い問題設定が支援できる可能性が示唆された.
著者
福山 佑樹 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.309-319, 2012-03-30 (Released:2016-08-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

現代社会における深刻な問題の一つである社会的ジレンマを体験し,協力行動を促進する心理的要因の向上を目指すゲーム教材である「Connect the World II」を開発した.「Connect the World II」はこれまで広く社会的ジレンマのゲームとして用いられてきた個人レベルを対象とした社会的ジレンマゲームに「集団」の役割を追加し,個人と集団の2つの役割を参加者に担わせるという構造が特徴である.その評価のため,「Connect the World II」と「Connect the World II」から「集団」の役割を除外した個人レベルのみのゲームとの比較実験を行った.結果,本研究で開発したゲームでは,個人レベルのみを扱ったゲームと比較して,社会的ジレンマ状況において他者も協力するという「信頼」の向上が確認され,道徳意識の獲得に繋がるとされる「責任感」の向上の可能性が示唆された.
著者
中原 淳一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第II部, 人文・社会科学篇 (ISSN:03857735)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.217-225, 1976-02-25

Taxonomy of 2×2 games has been shown by Rapoport & Guyer. Later, Hamburger introduced a metric classification system of 2×2 games restricting his examination on separability of payoffs. If the classification system is a metrical one, then not only comparability of game behavior of strategicaly different games, but also quantitative analysis of game behavior is supposed to be possible by using the parameters of the system. Moreover, dynamic game methods should become a powerful experimental method for the study of interpersonal interaction processes, if the system contains metricaly related, psychologicaly meaningful games such as prisoner's dilemma game, chicken game and so on. Following the above preliminary considerations the author presented a new way of construction of the 2×2 game system. Itemized discussions are as follows : 1. A state vector is attributed for each player. The element of this vector is a potential payoff. A rectangular arrangement of these vectors makes a state matrix. The state matrix of a two-person game is shown as follow : [numerical formula] 2. Somewhat ad hoc payoff rules are applied to the state matrix, and the 2×2 payoff matrix is constructed as follow : [numerical formula] 3. Characteristics of games which are deducible from this parametric payoff matrix are discussed. 4. A symmetric case (α=β, x=y) is examined at first, and α is hypothesized to be a fixed parameter. In this case, game are quasi-chicken games if x>α, prisoner's dilemma game if α>x>α/2, quasi-coordination games if α/2>x>o, and pure coordination game if x=0. 5. An asymmetric case (a=β, x≠y) is considered next. In this case, if y>α>x, then column player's payoffs are always secured as positive, and also he can determine row player's payoff as positive or negative only by his own strategic choice. This game is called the absolute positive-negative control game. 6. Finally, several further extensions of the method are discussed.