著者
高倉 祐樹 中川 良尚 橋本 竜作
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.316-320, 2022-09-30 (Released:2022-11-24)
参考文献数
13

臨床現場に出て数年の初学者にむけ, 失語症状に対する分析的な視点と, 失語症状の長期的な回復を考慮した視点から, 失語症者本人とその家族への対応について述べた。第 1 章では, 失語症状のメカニズムを推定し, 治療的介入の手がかりを得るためには, 数量的な評価 (正答数) だけでなく, 質的な評価 (誤りの特徴) が重要であることを解説した。第 2 章では, 病棟で受ける失語症者と家族からの質問に, どのように答えるのか, 専門家として寄り添いつつ, 納得を得るための対応について解説した。
著者
野口 喜三雄 中川 良三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.127-131, 1970-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4

1966年および1967年,著者らは青森県恐山温泉の温泉水16個,温泉沈殿物12個を採取し,そのヒ繋,鉛,その他の化学成分の含量を調査し,つぎの結果を得た。水のC1-含量は温度の上昇とともに増加し,SO42-の増加にしたがってPHが減少する。ヒ素およびホウ酸はCl-との蘭に正の相関が認められた。 恐山温泉を形成する始めの熱水はほぼ中性で塩化物,ヒ素,ホウ酸に富んでいる。また黄色の温泉沈殿物は雄黄(As2S3)の化学組成ならびにX線回折像を示したが,赤榿色沈殿物は鉛を含むヒ素の硫化物で,X線回折像は無定形であり,元来考えられていた鶏冠石とはまったく異なることを明らかにした。
著者
中川 良二 能登 裕子 八十川 大輔 釜谷 豊和
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.26-32, 2007-01-15 (Released:2007-10-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

細菌数の最も多い八分乾ミガキニシンにおける製造工程中の細菌数および主要細菌種の変化,さらにアミノ酸や有機酸量の変化について調べ,ミガキニシン製造における細菌の関与について検討した.製造工程中の細菌数は乾燥工程で増加し,最終日の4日乾燥後には1.3×108cfu/gに達した.各工程における主要細菌を調べたところ,乾燥工程ではこれまでの工程では殆ど検出されなかったStaphylococcusが急速に増加し,乾燥の最終日である4日乾燥後では70%(21/30)の割合で検出された.それらは全てがS. saprophticusの近縁種であろうと推定され,これらの細菌がミガキニシンの腐敗抑制に関与している可能性が推察された.また,ミガキニシン乾燥工程中のアミノ酸および有機酸の生成量を調べたところ,際だった変化はみられなかった.
著者
河村 善也 吉川 周作 阿部 祥人 古瀬 清秀 樽野 博幸 金 昌柱 高 星 張 穎奇 張 鈞翔 松浦 秀治 中川 良平 河村 愛
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

東アジアのうち,北海道を除く日本本土では後期更新世~完新世に多くの種類の哺乳類が絶滅しているが,その絶滅期はMIS 3 からMIS 2 にかけてで,大型種だけでなく小型種も絶滅している.絶滅は短期間に急激に起こったのではなく,比較的長い期間に徐々に進行したようである.この地域ではずっと森林が維持され,環境変化が穏やかで,人類の影響もさほど強くなかったことが,そのようなパターンをもたらしたと考えられる.琉球列島では島ごとに絶滅のパターンが異なり,ここでは人類が絶滅に深くかかわっていると推定される.中国東北部では,ヨーロッパでのパターンに似た絶滅が起こったが,中国中・南部では絶滅はそれより限定されたものであったようである.台湾や韓国では,まだ研究が十分ではない.
著者
岡田 凌太 坂本 光重 井保 武寿 中川 良隆
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.31-42, 1992-12-01 (Released:2013-04-26)

明石海峡大橋は中央支間長1990mの3径間2ヒンジ補剛トラス橋として建設される世界最大の吊橋である。約300mの主塔をささえる2基の主塔基礎 (2P, 3P) は設置ケーソン工法により施工され, ケーソン内には全体で約50万m3の水中コンクリート (水中不分離性コンクリート) が打設された。この水中不分離性コンクリートには, 打設面積が広く, かつ1回のコンクリート打設量が約1万m3に及ぶため, 厳しい品質規定が定められた。本稿は, 2P, 3Pで打設した水中不分離性コンクリートの施工概要について報告する。
著者
中川 良尚 小嶋 知幸
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.257-268, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

失語症状の長期経過を明らかにする研究の一環として, 右手利き左大脳半球一側損傷後に失語症を呈した 270 例の病巣別回復経過を検討した。また言語機能に低下を示した 37 症例の SLTA 総合評価法得点各因子の機能変遷を検討した。その結果, 1) 失語症状の回復は損傷部位や発症年齢によって経過は大きく異なるが, 少なくとも 6 ヵ月以上の長期にわたって回復を認める症例が多いこと, 2) SLTA 総合評価法得点上回復しやすい機能は, 比較的簡単な言語情報処理である理解項目および漢字・仮名単語文字からの音韻想起能力であること, 3) 回復後維持されやすい機能は, 理解項目および漢字・仮名単語文字からの音韻想起能力であること, 4) 構文の処理や書字能力などより複雑な言語情報処理を必要とする機能は低下しやすいこと, 5) 言語訓練後に回復を示した機能は脆弱である可能性が高いこと, 6) 各症例に応じてメンテナンスが必要な言語症状に対しては長期的な言語訓練の継続が必要であること, などが考えられた。以上の結果に基づき, 失語症にとっての慢性期について再考した。
著者
中村 昌人 清野 宗一郎 藤本 健太郎 小暮 禎祥 弓田 冴 小川 慶太 岩永 光巨 中川 美由貴 藤原 希彩子 神崎 洋彰 興梠 慧輔 井上 将法 小林 和史 叶川 直哉 近藤 孝行 小笠原 定久 中川 良 中本 晋吾 室山 良介 加藤 順 加藤 直也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.517-520, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
5

A questionnaire survey of medical institutions Chiba Prefecture, Japan, specializing in liver diseases was conducted. This study aimed to provide an overview of the current hepatitis virus tests situations and measures taken to link test-positive individuals to specialists. The positivity rate in these institutions was high, with 2.2% for hepatitis C antibody (HCVAb) and 0.9% for hepatitis B surface antigen (HBsAg). Although many institutions (70%) had been employing linking measures, the consultation rate with hepatologists was low, with 7.6% and 14.3% for HCVAb- and for HBsAg-positive cases, respectively. Only half of the institutions disclosed that their measures were working well. These data suggested the importance of improving the system for determining test-positive individuals and promoting hepatologist consultation.
著者
中川 良尚
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.251-261, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
57

言語機能(失語症)の改善は損傷部位や発症年齢によって経過は大きく異なるが,少なくとも6カ月以上の長期にわたって改善を認める症例が多いことや,言語訓練後に改善を示した機能は脆弱である可能性が高いことが明らかとなっている.しかし,どのような訓練が,どのような言語機能の改善に適しているのかという点については,まだ結論は出ていない.近年,rTMSやCI療法が失語症の治療にも応用されるようになった.一方,言語訓練では直接的言語刺激の付与が重要なことは普遍的であると思われる.今後,言語刺激の質や量の充実を考慮した上で,さらにrTMSやCI療法などとの併用が可能となれば,言語機能の改善がより期待できるのではないかと考える.
著者
中川 良尚 佐野 洋子 北條 具仁 木嶋 幸子 加藤 正弘
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.373-383, 2011-12-31 (Released:2013-01-04)
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

失語症状の長期経過を明らかにする研究の一環として, 失語症例の超長期的言語機能回復後の経過, および言語機能に低下を示した症例の特徴について検討した。対象は, 右利きの左大脳半球一側損傷後に失語症を呈した 270 例中, 2 年以上経過を追跡することができ, かつフォローアップの最終評価時年齢が 70 歳以下であった 151 例。言語機能回復訓練実施中あるいは訓練終了後に, SLTA 総合評価法合計得点が低下した症例が 151 例中 37 例 (24.5%) 存在した。内訳は, 最高到達点から 1 点低下した症例が 19 例, 2 点以上低下した症例が 18 例であった。     SLTA 総合評価法得点を合成項目別に検討すると, 約 90% の症例で訓練によって回復した合成項目に低下を認めたことから, 訓練により回復した機能は必ずしも保持されるのではなく, 脆弱であるとことが示唆された。
著者
中川 良和
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.15, pp.113-123, 1982

Upon his arrival in Japan in early 1895, Dr. B. C. Northrop (1817-1898) received an unforeseen warm welcome. The Japanese had not forgotten the old man who had never stopped working for newly-opened Japan as an introducer of Dr. David Murray and Dr. William Clark, a proposer for the return of the Shimonoseki indemnity fund and a friend of Japanese youths in the U. S.<BR>Thanks to the late Mr. Shunichi Kuga's pursuits made with worldwide collaborators, we can now look on Northrop as a man with another title of the founder of School Arbor Day here. Believing that about Northrop, like other'unemployed' foreigners, there are still more stories to tell, I tried to reassess him through newly-found materials, chiefly local papers and magazines in both languages, and was lucky enough to pick up some data, which, I hope, will cast a little more light on Northrop studies.<BR>This paper chiefly concerns : <BR>1. The content and background of his lectures both in Tokyo and in Kyoto<BR>2. His concerns over our new educational system<BR>3. His life on both sides of the Pacific and especially his friends (American and Japanese) who helped him introduce the true pictures of School Arbor Day Movement.
著者
中川 良二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.283-289, 2018-06-15 (Released:2018-06-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

We have isolated a new strain of Lactobacillus plantarum from Japanese pickles produced by a farmer in Hokkaido, and have named the strain HOKKAIDO. Our investigation of HOKKAIDO strain revealed several characteristics. The strain exhibits digestive juice tolerance and can survive in the intestine. The strain strongly adheres to human enterocyte-like Caco-2 cells, and cells of HOKKAIDO strain competed with E. coli O-157 cells for adhesion to Caco-2 cells. From several examinations with human dendritic cells, this strain may act to improve immune function. It was found that HOKKAIDO strain is superior in the fermentation of vegetables, fruits, and cereals. These characteristics were exploited to produce foods such as fermented soybean milk, alcoholic beverages using sake lees, and fermented carrot drink. In addition, HOKKAIDO strain as a probiotic was contained in commercial products such as yogurt and a milk substitute for calves.
著者
中川 良尚
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.19-28, 2020-03-15

失語症状の長期経過を明らかにする研究の一環として,右手利き左大脳半球一側損傷後に失語症を呈した270例の病巣別回復経過と,その中で言語機能に低下を示した37症例のSLTA総合評価法得点各因子の機能変遷の既報告を俯瞰した.次に,2年以上適切な言語訓練を行った失語症121例について,SLTA総合評価法得点に影響を及ぼす要因を調査した.その結果,1)失語症状の回復は損傷部位や発症年齢によって経過は大きく異なるが,少なくとも6か月以上の長期にわたって回復を認める症例が多いこと,2)言語訓練後に回復を示した機能は脆弱である可能性が高いこと,3)発症年齢,Wernicke領野を含む上側頭回の病変の有無,発症3か月時SLTA総合評価法得点などが予後に重要な因子であること,が示唆された. 以上のことから,失語症の訓練においては,1)長期にわたって変化しうる失語症状そのものに着目する必要があること,2)病院外来における訓練実施が望ましいこと,が考えられた.
著者
境 昭二 高田 穣 中川 良二 川田 芳雄
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.26-30, 1985-02-05 (Released:2017-06-28)

1)オキサミドは,pH10以上のアルカリ域で加水分解され,オキサミン酸を経てシュウ酸を生成する.酸性域ではpH1以下でなければ加水分解されない.2)オキサミド分解菌富化土壌の水抽出によって調製したオキサミド分解活性を有する溶液(以下,オキサミド活性溶液と略す)は,フッ化アンモニウムによる滅菌処理,あるいはメンブレンフィルターによる除菌処理によってその活性を失う.3)1)および2)から,土壌中におけるオキサミドの分解は,微生物作用によるものと考えられる.4)^<14>Cで標識したオキサミドをオキサミド活性溶液中で分解させると,オキサミド態炭素はすべて二酸化炭素として回収される.また,分解途中にオキサミン酸とシュウ酸が一時的に検出され,ギ酸は検出されない.5)オキサミド活性溶液中でシュウ酸はオキサミドより分解が速いが,オキサミン酸はオキサミドとあまり変わらない.したがって,オキサミン酸およびシュウ酸の集積がわずかにしか認められないのは,オキサミン酸とシュウ酸が少なくともオキサミドよりも遅くない分解速度を示すためであると考えられる.6)4)および5)から,オキサミン酸およびシュウ酸を通らないオキサミドの分解経路の存否については不明であるが,大部分は次の反応式のように,まず加水分解によって脱アミド化され,順次オキサミン酸とシュウ酸を生成し,シュウ酸はさらに酸化されて二酸化炭素になる経路をたどるものと考えられる.[chemical formula]
著者
中川 良三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.4, pp.703-708, 1985-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
8

人為的水銀汚染の実態を解明するためには,まず,自然環境から供給される水銀量を明らかにしなければならない。火山ガスは環境大気中に水銀を供給する発生源の一つである。火山ガスの水銀に関連する基礎資料を得るために,北海道地方の地熱地帯 10 箇所(知床半島羅臼,屈斜路湖畔和琴オワツコツ地獄,川湯アトサヌプリ硫黄山,阿寒湖畔ボッケ,大雪山系高原温泉,旭岳地獄谷,十勝岳安政および新々噴火口,登別温泉地獄谷,昭和新山,恵山)の噴気孔ガス中の水銀含量を調べた。 34 試料の噴気孔ガス中の水銀量は乾きガスあたりで 3.2~1828μg/m3,相乗平均値 54μg/m3 であった。これらの値は,本州および九州地方の噴気孔ガス中の水銀含量の約 6 倍であった。同時に採集した凝縮水中の水銀含量は 0.01~32μg/l の範囲であり,火山性温泉水の水銀含量と同程度か,やや高値であったが,平均して気体として揮散した水銀量の 5 % 以下であった。温泉ガス中の水銀含量は 1.2μg/m3 以下であり,噴気孔ガスにくらべて 1/100 以下の低値であつた。火山活動によつて大気中に放出される水銀量を噴気孔ガス中の水銀含量から試算した結果,北海道地方では大気に関連する水銀の約 4 % が火山ガスの寄与によると推定された。この値は本州および九州地方の噴気孔ガス中の水銀量から試算した値の約 6 倍であった。
著者
中川 良三 加藤 龍夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.99-108, 1991-04-15 (Released:2017-08-31)

新潟水俣病事件は,昭和39年8月ごろから新潟県阿賀野川流域住民の問に発生した有機水銀中毒事件である,「農夫症」という説があったように,原因については昭和電工鹿瀬工場の排水説と地震で流失した水銀農薬説が論争された、現在,阿賀野川流域の環境試料の水銀調査を行っても,四半世紀前の事件の痕跡は皆無であった.しかし,当時の資料を化学的に検討した結果,水銀中毒事件の発生原因は,工場排水が直接の基盤をなしたとはいえず,新潟地震とその直後の集中豪雨によって流失した水銀農薬が 関与していたと推察された。 本研究の議論はあくまでも,公表された記録の数値と,永年,水銀の研究をしてきた著者らの経験を基に,推論したものであり,決して工場排水説を否定するものではない.いずれにしても,この事件を契機に,人々が水銀の毒性,環境汚染というものを理解したことは意義のあることであった.
著者
北條 具仁 船山 道隆 中川 良尚 佐野 洋子 加藤 正弘
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.434-444, 2009-12-31 (Released:2011-01-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

脳損傷後に距離判断が困難となった症例の報告は非常に少ない。今回われわれは,脳損傷後に距離判断が困難となった 2 症例 (1 例目は右頭頂-後頭葉の脳出血,2 例目は両側頭頂-後頭葉の脳梗塞 )を報告する。本 2 症例は,Holmes の提唱したvisual disorientation (1 例目は不全型)を呈し,その1 症状として距離判断の障害が出現していた。過去の報告例における距離判断の障害の根拠は主に主観的な訴えであったが,われわれはより客観的な距離判断の障害を検出する目的で,1 例目の症例に対して,大型車や 2 種免許を取得・更新する際に用いられる距離判断の検査機種 (KowaAS-7JS1) を用いて距離判断の検査を行った。その結果,健常者群および左半側空間無視群と比較して有意な成績の低下を認めた。本 2 症例および過去の報告例から,距離判断の神経基盤は,右側を中心とした頭頂-後頭葉の後方,すなわち,上頭頂小葉,下頭頂小葉後部,楔部にある可能性が考えられた。