著者
吉田 秀夫 藤井 勝実 中村 和弘 深澤 順子 新海 佳苗 新井 祥子 園部 洋巳 田村 由美子 花岡 和明
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.61-65, 2004-06-25 (Released:2012-08-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

長時間労働を行っている勤労者に対して,人間ドック受診時に記入される問診票を分析することによって,問診票の持つ意義とその活用について検討した。平成14年度に当健康管理センターを受診した男性勤労者4,275名(平均年齢48.5±9.0歳)を対象とした。残業を含めた一日の労働時間から,対象者を12時間以上,8~12時間,8時間以内の3群に分類した。問診票のなかから労働態様,生活形態,嗜好習慣,身体的及び精神的愁訴について18項目を選び,長時間労働者の特徴を解析した。一日12時間以上の勤労者は500名あり,他の2群に比べて,年齢が若く,対人業務が多く,最近の仕事内容の変化でつらくなったと感じている者が多く,一ヶ月あたりの休日数は少なかった(P<0.001)。生活形態では睡眠時間が少なく,定期的運動習慣が少なく,3度の食事がきちんと取れない,寝る前に食事をとる,今も喫煙しているなどの特徴が見られた(p<0.001)。また,自覚的愁訴では体全体がだるい,朝の出勤がつらい,職場での対人関係が悪い,困った時の相談相手がいない,日常生活が楽しく過ごせていないなどの問題を抱える者が多かった(p<0.007)。長時間勤労は脳・心血管疾患の危険因子であることが示されているが,長時間労働者では多くの問題点を抱えており,労働状態や日常生活の把握に,問診表がもつ意義の重要性が改めて示された。
著者
泉 吉紀 酒井 英男 中村 和之 斉藤 大朋
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.68-73, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
7

We conducted ground penetrating radar survey on the Chashi Sites of Shibecharigawa basin of Shinhidaka in Hokkaido, with the purpose of investigating the internal structure of the Chashi. The surveyed sites were Shibechari-Chashi and Hoinashiri-Chashi. Shibechari-Chashi was thought to be the fort of Shakushain, leader of Hidaka Ainu. There was the anomaly likely to be a ditch around Chashi. In the case that it was a buried ditch, Shibechari-Chashi would come to have the largest area in Hokkaido. In Hoinashiri-Chashi, the reflection related to the chashi was gained at the main/center part of the site. Also, the anomaly detected on the west side was thought to be the reaction of the buried ditch. These results showed the Chashi was surrounded with the ditch and strengthened its protection.
著者
中村 和哉 奈良 一寛 野口 智紀 大城 哲也 古賀 秀徳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.514-517, 2006-09-15 (Released:2007-09-29)
参考文献数
15
被引用文献数
6 12

ジャガイモおよびその加工食品(製品)に含まれるγ-アミノ酪酸(GABA)含量について検討した.(1)ジャガイモ22品種を用いて,総遊離アミノ酸含量およびGABA含量について比較したところ,総遊離アミノ酸含量には品種間差(239~819mg/100gFW)が認められた.また,GABA含量も品種間差が認められ,“インカレッド”で最も多かった(61mg/100gFW).(2)加工用品種である“トヨシロ”におけるアミノ酸組成について検討したところ,総遊離アミノ酸含量は,100g当たり416±100mgであり,GABAは総遊離アミノ酸含量の約7~8%を占めていた.さらに,全総遊離アミノ酸含量とGABA含量との間に正の相関(r=0.8048)が認められた.(3)ジャガイモを原料とした製品におけるGABA含量を分析したところ,ジャガイモを主原料とする製品では100g当たり約61mg認められた.一方で,ジャガイモを主体とし,小麦粉を配合した製品では約20mg, ジャガイモを含まない製品では数mgであり,製品に用いる原料の割合としてジャガイモが多いほどGABA含量が多くなると考えられた.
著者
中村 和恵
出版者
明治大学大学院教養デザイン研究科
雑誌
いすみあ
巻号頁・発行日
vol.1, pp.83-87, 2009-03

ゾンカ(Dzongkha)という耳慣れない単語がブータソの国語を指すことばであると知ったのは、ある匂いがきっかけだった。最初に気づくお香のような、やや湿り気と苦味のあるたたずまいはたしかに東洋風だが、ふと横を向くと甘い花の蜜のようなこじんまりした植物の空間がひろがり、記憶をたどると香菜(コリアンダー)にいきあたる、そんな癖のある匂い。匂いというものは不思議で、連想されるのは草花や果物、スパイス、動物、樹木や土といった具体的なものだけではない、空間の広さ、親密さ、風と雨の気配、見たことのない国の印象、時間や速度や精神状態といった抽象的な概念まで、空気中の微量な物質が一瞬にしてこれだけの感覚につながっていく。
著者
中村 和之 三宅 俊彦 GORSHKOV Maxim Valerievich 小林 淳哉 村串 まどか
出版者
National Institute of Technology, Hakodate College
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-47, 2018 (Released:2018-01-31)
参考文献数
12

This paper reports the result of the chemical analysis of the Chinese coin Yongle Tongbao owned by Khabarovsk Regional Museum named after N.I. Grodekov. It was found that this Yongle Tongbao is the officially minted coin. This coin was excavated in Krasnokurovka burial ground in the Khabarovsk Territory. The burial ground was made under the Pokrovka culture (from the 9 th to the 13 th centuries). However the Yongle Tongbao, which was first minted in 1408, was discovered in the mound No. 30 of Krasnokurovka burial ground. So, it is necessary to reconsider the end period of the Pokrovka culture.
著者
加藤 邦夫 上原 孝雄 中村 和男 吉岡 松太郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.289, pp.119-129, 1980-03-30
被引用文献数
12

以上の解析結果よりえられた知見を述べ, まとめとする。(1) 群集対向流動のすれ違い性状 対向流動の特徴は, 対向する群集のすれ違いに伴い, 各歩行者が対向者との接触を避けるように同方向者同士寄り合い, 帯状のグループとなって交互に層を形づくる現象である。このような群集の層化現象が円滑な流動を可能にするとみられる。グループの形成状況は, はじめ先頭者に同方向者が追従する形で楔状を呈することが多いが, 次第に引き伸ばされ層状に近づく。すれ違いのはげしい部分, および小さいグループ程層化の傾向が強い。(2) 群集中における歩行者間の相対位置 異方向者との間の相対位置の分布は, 半径が約2mの円状となる。密度が高くなると側方は接近して楕円状となるが, 進行方向には衝突を回避するよう常に2m位の間隔を保つ。同方向間では, 密度が上ると前者に追従しやすいように前方を縮め, またその密度条件下で自己の領域をなるべく確保しうるように同方向者が互い違いに並ぶ形になり, 相対位置の分布は円形に近づく。(3) 層化グループ占有領域 密度状態, および両方向流の構成比によって, グループの大きさに差ができるが, すれ違いのはげしい部分において方向別に層化された各グループの占有領域の幅員は, 一般に1〜1.5m程度のものが多く, これは同方向者が寄り合って1人ないし数人幅の層となり, すれ違い歩行するのに都合のよい幅員と考えられる。(4) 流動密度と流速, および流率の関係 今回観測された流動密度は, すれ違い時に一時的, 局所的に3.5人/m^2に達することもあったが, 全領域にわたって高い密度状態はえられず, 両方向含めて平均0.9人/m^2以下で自由歩行程度のものであった。この状況では構成比, およびその混り具合にかかわらず, 全域についての流動密度と流速, および流率との対応関係は, 一方向流動の場合と大きな相異は見られず, 両方向流動はかなり円滑に流れており, 層化現象が能率のよいすれ違いを可能にしていると考えることもできる。(5) 層化現象の指標 層化の現象を客観的に示す指標として, 異方向者混入度(エントロピ), および同方向者の位置と方向の分散度(エントロピ)は, 低密度状態, および両方向群集の勢力差が大きい場合を除けば, 層化をある程度表現しうるものと思われるが, さらにより高い密度状態で確かめる必要がある。(6) 群集間の干渉による進路決定特性 群集対向流動状況においては, 2次元空間上でその各部分における歩行者の進路方向は, その群集の本来の目的地方向を基本として, 前方の対向者の高密度部分, および対向者の領域とみられる部分と衝突することのないように回避し, 直前に同方向者がいればそれに追従する方向へ修正されることが明かになった。これらの性質によって, 層の形成や同方向者の層の結合現象などの解釈が可能となる。また, 進路決定にとって直前の対向者の影響が大きいことも明かとなったが, その作用形態に対する一定の傾向を把握するには至らなかった。
著者
澤井 秀次郎 福田 盛介 坂井 真一郎 櫛木 賢一 荒川 哲人 佐藤 英一 冨木 淳史 道上 啓亮 河野 太郎 岡崎 峻 久木田 明夫 宮澤 優 植田 聡史 戸部 裕史 丸 祐介 下地 治彦 清水 康弘 芝崎 裕介 島田 貞則 横井 貴弘 藪下 剛 佐藤 賢一郎 中村 和行 久原 隆博 高見 剛史 田中 伸彦 古川 克己
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
pp.JSASS-D-16-00050, (Released:2017-08-03)
被引用文献数
8 7

SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) is the Lunar Landing Demonstrator which is under development at ISAS/JAXA. SLIM demonstrates not only so-called Pin-Point Landing Technique to the lunar surface, but also demonstrates the design to make the explorer small and lightweight. Realizing the compact explorer is one of the key points to achieve the frequent lunar and planetary explorations. This paper summarizes the preliminary system design of SLIM, especially the way to reduce the size.
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 恒川 幸司 今福 輪太郎 中村 和彦
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.337-346, 2019-08-25 (Released:2020-03-20)
参考文献数
57

障害者差別解消法により, 医療者養成機関においても発達障害およびその特性がある学生への合理的配慮の提供が求められている. 合理的配慮とは, できる権利を保障するための配慮であり, 教育機関には提供の義務がある. 本稿では, 医療者養成機関における発達障害およびその特性がある学生の「入学」, 「在学中」, 「就職」の面から合理的配慮の考え方と, 具体的な支援について概説した. 発達障害およびその特性がある学生の支援においては, 明確な基準の提示, 教職員同士の連携・協働, さらに特性のある学生との関わり方の基本の理解が必要である.
著者
中村 和弘
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.149-153, 2016 (Released:2016-05-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Temperature strongly affects mobility and structure of all molecules in any organisms. Therefore, optimal conditioning of the internal thermal environments, i.e., body temperature regulation, is essential to life particularly in homeothermic animals. Here, I summarize the central circuitry mechanism of body temperature regulation in homeothermic animals in relation to the regulation of metabolism, which is underlain by the conditions of energy supply. Progress in “thermal biology”, which aims to integrate all biological fields by focusing on functions of temperature, will solve important questions in the functional relationship between body temperature and energy metabolism—essential for understanding homeostasis and life.
著者
新井 沙季 馬場 慎介 中井 泉 中村 和之 塚田 直哉
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.20-38, 2018 (Released:2018-01-31)
参考文献数
17

Production of lead silicate glass declined by 9th AD in Japan. Instead lead potash silicate glass (K2O-PbO-SiO2), a new compositional type of glass, flowed into Japan from China. Then lead potash silicate glass become a major glass type in the medieval period of Japan. Especially in Hokkaido, glass beads were favored by Ainu culture. So we focus on the circulation of glass in Hokkaido at the Ainu cultural period to understand the glass trade in relation with glass in Honshu. In this study, we analyzed glass beads excavated from sites in southern Hokkaido, which were important bases located between Honshu and central Hokkaido. The samples are excavated from archaeological sites at the periods from the 15th~19th century AD. The analytical results showed that these glass beads can be classified into two types – lead potash silicate glass (K2O-PbO-SiO2) and potash lime silicate glass (K2O-CaO-SiO2). These types of glass are also major types distributed in Hokkaido at the period of Ainu culture. In addition, we have found the presence of a large number of purple glass beads made of lead potash silicate glass utilizing antimony oxide as emulsifier. Interestingly, they are only characteristic to southern part of Hokkaido.
著者
中村 和生 浦野 茂 水川 喜文
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.65-75, 2018-01-31 (Released:2019-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本稿は、当事者研究、すなわち日常生活を送っていくにあたり何らかの苦労や困難を持つ人々による自分たち自身を対象とした共同研究(我々のデータでは、精神障害を持つ人々のグループセッション)という実践を主題とする。そして、このグループセッションという相互行為において、ある者が当事者をする中でファシリテーターを担っていることに注目し、このことの意義ならびに、そのような担い手によるいくつかのやり方を解明することを目的とする。ときに、この担い手はファシリテーターから離れた参加者としてもふるまうが、これがいかにして可能であり、また、その可能性の下でどのように首尾よく成し遂げられているのかを検討し、プレセッションにおいてすべての参加者が行う、自己病名の語りを通した自己紹介によって当事者としての共成員性が確立することを見いだす。また、このファシリテーターはどのように発言の順番をデザインしているのかを分析し、ファシリテーターはほぼすべての順番を自己選択で取り、またしばしば次話者選択をする一方で、次話者選択しない場合にも、状況に応じた適切な指し手を繰り出していることを見いだす。
著者
伊藤 剛 中村 和也 日野原 達哉 栗原 敏之
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.345-358, 2021-10-13 (Released:2021-10-20)
参考文献数
46
被引用文献数
5

本論では,足尾山地鳴神山東方に分布する足尾帯ジュラ紀付加体の大間々コンプレックス及び黒保根–桐生コンプレックスから産出した放散虫を報告する.三畳紀放散虫及びコノドント片が大間々コンプレックスのチャートから産出した.中期ジュラ紀のバッジョシアン期及びバトニアン前期の放散虫が大間々コンプレックスと黒保根–桐生コンプレックスの泥岩から得られた.先行研究で両コンプレックスから報告された中では,泥岩に含まれるバッジョシアン期の放散虫が最も若い記録であった.従って,本研究で報告したバトニアン階下部の泥岩は,より若い記録となる.
著者
中村 和彦 井星 陽一郎 伊原 栄吉
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.1889-1899, 2013 (Released:2013-11-05)
参考文献数
71

炎症性腸疾患(IBD)の発症に腸管での過度のT helper(Th)反応が関与している.Th反応はTh1,Th2,Th17からなり,正常の腸管では免疫反応を制御するregulatory T cellとの間でバランスが保たれている.IBD腸管ではその調節機構が破綻しており,クローン病ではTh1,Th17反応の亢進が,潰瘍性大腸炎ではTh17反応の亢進とIL-13発現上昇がみられる.IBD腸管のTh制御機構破綻のメカニズムを明確にすることは,治療のターゲットを明らかにし,新規治療法開発に重要である.IBDにおけるTh反応制御異常に関して最新の知見を含めて解説する.
著者
中村 和彦 秋穂 裕唯 牟田 浩実
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

炎症性腸疾患は腸に慢性の炎症を起こす難病で、腸での免疫応答の制御に異常があるとされる。制御性T細胞は免疫応答を抑制する細胞で炎症性腸疾患治療への応用が期待されている。近年、炎症性腸疾患ではT細胞を介した免疫応答の中でTh1型とTh17型反応の関与が示唆されている。制御性T細胞はTh1型大腸炎は抑制するが、Th17型大腸炎を抑制できるかどうか不明であった。本研究では、制御性T細胞がTh1型に加えてTh17型大腸炎を抑制できる事を示し、炎症性腸疾患にTh17型反応が関与していたとしても制御性T細胞が治療に応用できる事を示した。