著者
中村 哲也
出版者
一橋大学
巻号頁・発行日
2009

博士論文
著者
中村 哲之
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学紀要 = Bulletin of Toyo Gakuen University (ISSN:09196110)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-8, 2021-02-15

ヒトを含めた多くの動物は、その脳機能の制約上、ありのままの世界を認識することはしない。それを端的に示す心理現象の1つとして、Goodale, & Milner(1992)は、ヒトの眼はエビングハウス錯視図によって騙されるが、指先の運動機能は騙されないことを示した。また、価値観といった比較的高次な認知機能が知覚の歪みを生じさせる研究も行われている(Bruner & Goodman, 1947 ; 川名・齋藤,2008 など)。本研究では、これらの先行研究を参考に、価値観が知覚・動作に与える影響について検討した。動作条件では、実験協力者に1円硬貨や500 円硬貨などを想像してもらった後で、利き手/非利き手でそれらを想像上で掴んでもらい、その際の親指と人差し指の開き具合を測定した。描写条件では、それらの硬貨の大きさを描いてもらった。実験の結果、動作条件の利き手と描写条件では価値の違いによる硬貨サイズに対する過大・過小知覚が確認されたのに対し、動作条件の非利き手では、それらの効果が消失した。この結果が生じた可能性について、日常生活における動作の特徴の観点から議論を展開した。
著者
熊崎 祐介 多木 俊裕 小谷 淳二 尾崎 史朗 新井田 佳孝 美濃浦 優一 西森 理人 岡本 直哉 佐藤 優 中村 哲一 渡部 慶二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.12, pp.352-359, 2021-12-01

本論文では,高効率なGaN基板上GaN HEMTのデバイス開発と動作実証を行った.GaN基板の利用により結晶欠陥を大幅に低減し,電流コラプス現象が抑制できることを確認した.また,結晶成長前にウェットケミカル処理を施すことで,基板表面のコンタミを除去し,結晶成長後の基板/エピ界面のSi不純物を低減することに成功した.Si不純物の低減により寄生損失を抑制し,2.45 GHzにおいて効率82.8%と極めて高い値を達成した.これは,同周波数帯にて報告されている異種基板上GaN HEMTの効率と比較して高い値であり,GaN基板上GaN HEMTの優れたポテンシャルを示す結果であるといえる.
著者
山本 博徳 緒方 晴彦 松本 主之 大宮 直木 大塚 和朗 渡辺 憲治 矢野 智則 松井 敏幸 樋口 和秀 中村 哲也 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2685-2720, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
282
被引用文献数
13

カプセル内視鏡・バルーン内視鏡の開発・普及により,小腸領域においても内視鏡が疾患の診断・治療に重要な役割を果たすようになった.小腸内視鏡の適応として最も頻度が高いのは,いわゆる原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)である.その他には小腸狭窄,腫瘍,炎症性腸疾患などにおいて小腸内視鏡の有用性が確認されている.小腸内視鏡の有用性が認識された今,臨床現場で安全かつ効率的に使用し,最大限の効果を得るためには一定の指針が必要となる.そこで,日本消化器内視鏡学会では,日本消化器病学会,日本消化管学会,日本カプセル内視鏡学会の協力を得て,現時点で得られるだけのエビデンスに基づく「小腸内視鏡診療ガイドライン」を作成した.しかし,まだ比較的新しい内視鏡手技であり,エビデンスが不十分な部分に関しては専門家のコンセンサスに基づき推奨度を決定した.本ガイドラインは小腸疾患診療のガイドラインとしての疾患中心のまとめではなく,小腸内視鏡というモダリティを中心としたガイドラインとして作成し,小腸内視鏡としては臨床現場の実情に即して小腸カプセル内視鏡とバルーン内視鏡に絞り,指針を作成した.
著者
西田 幸平 小林 正佳 足立 光朗 中村 哲 大石 真綾 坂井田 寛 今西 義宜 間島 雄一
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.665-668, 2004-07-20 (Released:2008-12-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

我々の経験した先天性嗅覚障害の2症例を報告する.症例1:13歳女児.症例2:10歳男児.ともに生来においを感じられたことがなく,近医耳鼻咽喉科より当科へ紹介された.嗅裂部を含む鼻副鼻腔所見は両側とも正常であった.基準嗅力検査.静脈性嗅覚検査の結果は共にスケールアウトであった.頭部MRI所見で嗅球,嗅索,嗅溝の低形成が認められた.性腺機能をはじめ,内分泌機能は正常であった.症倒2は先天性小眼球症で全盲状態であった.この例で嗅裂部粘膜生検を施行したが,嗅細胞は認められなかった.今回の2例は性腺機能異常を認めないタイプの先天性嗅覚障害であった.先天性嗅覚障害の診断にはMRIが最も有用であった.
著者
中村 哲 高嶋 康晴
出版者
農林水産消費安全技術センター
巻号頁・発行日
no.33, pp.8-14, 2009 (Released:2011-07-22)

国内で流通している国産豚肉51件及び外国産豚肉160件について、炭素・窒素安定同位体比の測定を行った。その結果、国産豚肉とデンマーク産豚肉については判別できる可能性が高いと認められたが、国産豚肉と米国産豚肉及びカナダ産豚肉については、炭素・窒素安定同位体比だけでは十分に判別することができなかった。
著者
中村 哲 高嶋 康晴
出版者
農林水産消費安全技術センター
雑誌
農林水産消費安全技術センター食品関係等調査研究報告 (ISSN:18837824)
巻号頁・発行日
no.33, pp.8-14, 2009-10

国内で流通している国産豚肉51件及び外国産豚肉160件について、炭素・窒素安定同位体比の測定を行った。その結果、国産豚肉とデンマーク産豚肉については判別できる可能性が高いと認められたが、国産豚肉と米国産豚肉及びカナダ産豚肉については、炭素・窒素安定同位体比だけでは十分に判別することができなかった。
著者
安岡 昭男 王 耀華 梅木 哲人 東 喜望 小川 徹 中俣 均 安江 孝司 櫻井 徳太郎 中村 哲 武者 英二 比嘉 実 中本 正智
出版者
法政大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

中国と琉球諸島の交流は,公的には1373年,明国皇帝の使者が沖繩に来て,中国皇帝への朝貢を勧められて,中山王が王弟を中国に派遣したことにはじまる。しかし,沖繩の先史時代の遺跡からは中国の戦国時代の貨幣などが数多く出土している。私的な交流は遥か昔から漂着などのような偶然的な事件をとうして中国の優れた文化が絶えることなく沖繩の島々に流れついていたことを想定させてくれる。私たちの今回の調査は琉球列島と中国との交流が公的に開始された時期から近代にいたるまでのことが中心であるが,両地域の言語研究や民俗研究はその時代だけに制約されない要素をもつ。換言すれば歴史的な文献や歴史遺跡の調査による歴史時代以後の研究と文献によらない研究のふたつの側面からなるものである。歴史文献や歴史遺跡にもとずく研究成果としては,琉球王国と宗主国中国との関係を規定する冊封体制の法的体系を,特に琉球王国に下賜されたものを対象に明らかにしたことが上げられる。中国を中心にした国際関係であるとする従来の冊封制度についての学説を批判して,それが皇帝を中心にした中国の国内における君臣関係の延長であることを体系的に明らかにした。また,中国の冊封秩序に組み込まれることで保証された中国貿易における琉球王国に対する免税などの特恵措置,貿易にともなう渡航,出入管理に関する官僚制度,沖繩の人々の福州で活動拠点であった琉球館,福州で死んだ沖繩の人々を葬った琉球人墓地などの調査はきわめて貴重な成果である。その外に福州から北京にいたる琉球使節のルートを実際に踏査することで二千キロにおよぶ道々に存在する琉球関係の諸施設,使節の人々が詠んだ漢詩の風景に接することができた。暖かい沖繩から真冬の北京に向かう進貢使路の途中多くの人が病に倒れたが,その旅の困難さを実感することができた。それに,今回の調査において宿泊施設や修学の地であった国子監を確認することができた。それに,今回の調査において鎖国体制にあった日本において対外関係の窓として機能していた琉球王国の役割を,医学,天文学,地理学,儒学に即して実証的に把握できたことも大きな成果のひとつであろう。建築では沖繩に現存する歴史的建造物,伝統的民居ならびに都市にみられる,中国の影響とみられる建築的要素を中心に福建省・泉州,福州市のそれらとの比較研究を実施した。その結果,沖繩民居の特徴とみられるヒンプンは中国渡来の建築要素のひとつであり,屋敷配置にみられる門-ヒンプン-中庭-仏壇といった家の中心軸線上の配置は,伝統的な中国建築の空間構成の手法であることがはっきりした。しかし,個別的な中国的建築要素については明らかな共通性と差異を発見することができた。最も大きな成果は現地研究者との連携で調査が実施できたことで,今後の研究に益すること大なるものがある。民俗,宗教では琉球諸島のそれに中国的習俗,特に道教的なヒヌカン,天妃(マソ)信仰,土帝君の影響が大きいことが今回の調査でいよいよはっきりした。言語では福建省の方言を調査した結果,琉球方言のタリー(父),ヘレー(追いはぎ),テーフア(冗談),マヤー(猫)などが福建語の流入であることを確認した。そのほか日本語の古層語彙と考えられるものが少なからず発見された。各専攻分野ごとに現地研究者と緊密な連携のもとに調査を実施することができた。今後とも両地域の比較研究を推進してゆくことが重要と考える。
著者
中村 哲也 丸山 敦史 陳 志鑫
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The Journal of Kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.18, pp.65-81, 2020-03-31

本稿では,香港の食とエネルギーの選択行動を事例として,統計的に分析した。香港では中国の原発建設反対運動が起こり,食の安全性が問題視されていた。香港は深圳市にある大亜湾原発から電力を依存しているが,8 割の市民が原発から電力を依存することに不安を感じていた。他方,香港に輸入される農産物は中国産が圧倒的に多いが,9 割に市民が不安を感じていた。大亜湾原発反対の署名運動については,若い市民が関心を持っていた。そして,女性は原発依存率の高さや,大亜湾原発と香港との距離,そして大亜湾原発の放射性物質漏れ事故を不安視していた。大亜湾原発の放射性物質漏れについては香港の全地域住民が不安視していた。また,女性や世帯員数が少ない者,子供がいない者,最終学歴が高い者は食の安全性に興味があり,日本産や自然農法米,植物工場レタスを購入した。電力構成別に価格を提示した場合,経済負担が大きい者は,CO2 の排出量が少ない第2 案より原発による依存が増える第3 案を選択した。他方,コメの価格を提示した場合,日本産と新界産のコメの購買選択行動は似ていた。また,日本産の結球レタスと香港産の植物工場レタスの購買選択行動も似ていた。香港産植物工場レタスを購入する者は高学歴者であり,香港の高学歴者は,植物工場レタスの栽培方法やその用途を正しく理解し,植物工場レタスを購入することが明らかにされた。
著者
設樂 一碩 田中 宏季 足立 浩祥 金山 大祐 阪上 由香子 工藤 喬 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b05, 2020 (Released:2020-06-19)

認知行動療法(CBT)は,非適応的な思考や行動を修正し,抱えている問題の解決に取り組むトレーニングである.我々は音声対話エージェント(ECA)との音声対話による低コストかつ高い効力を有したCBTの自動化を目指しており,これにはセッションごとの詳細な影響分析が重要であると考える.本研究では初期段階として,CBTの技法の一つである認知再構成法に基づく7つの質問による基本対話システムを作成した.テキスト対話で提示した場合と,ECAを用いて提示した場合の2種類の対話形式を用意し,初期の抑うつ尺度,セッション前後の否定的感情の変化(トレーニングの効果),CBTの達成度,ラポール尺度を28名の大学生と大学院生から測定した.結果として,研究協力者の否定的感情において,事前事後での有意な変化を確認した(25名で改善).また,対話中の表情の特徴量抽出も行った.分析の結果,否定的感情の強度,抑うつ尺度の評点に対し,特定の表情の特徴との有意な相関関係が見られた.
著者
川本 真一 足立 吉広 大谷 大和 四倉 達夫 森島 繁生 中村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.250-264, 2010-02-15
被引用文献数
2

視聴者の顔をCGで再現し,CGキャラクタとして映画に登場させるFuture Cast System(FCS)を改良し,視聴者から収録した少量の音声サンプルを用いて,視聴者に似た台詞音声を生成するため複数手法を統合し,生成された台詞音声をシーンに合わせて同期再生することで,視聴者の声の特徴をキャラクタに反映させるシステムを提案する.話者データベースから視聴者と声が似た話者を選択する手法(類似話者選択技術)と,複数話者音声を混合することで視聴者の声に似た音声を生成する手法(音声モーフィング技術)を組み合わせたシステムを構築し,複数処理を並列化することで,上映準備時間の要求条件を満たした.実環境を想定してBGM/SEを重畳した音声によって,従来手法である類似話者選択技術より得られる音声と,提案法で導入した音声モーフィング技術より得られる音声を主観評価実験により評価した結果,Preference Scoreで56.5%のモーフィング音声が目標話者の音声に似ていると判断され,音声モーフィングを組み合わせることでシステムが出力する台詞音声の話者類似性を改善できることを示した.In this paper, we propose an improved Future Cast System (FCS) that enables anyone to be a movie star while retaining their individuality in terms of how they look and how they sound. The proposed system produces voices that are significantly matched to their targets by integrating the results of multiple methods: similar speaker selection and voice morphing. After assigning one CG character to the audience, the system produces voices in synchronization with the CG character's movement. We constructed the speech synchronization system using a voice actor database with 60 different kinds of voices. Our system achieved higher voice similarity than conventional systems; the preference score of our system was 56.5% over other conventional systems.