著者
上城 憲司 井上 忠俊 村田 伸 小浦 誠吾 納戸 美佐子 中村 貴志
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.376-381, 2018-04-15

Abstract:本研究では地域在住高齢者を対象に,認知課題ゲーム(以下,Pゲーム)の実施方法の違いと認知機能別の特徴について検討した.Pゲームは25マスの図案の上に数字をランダムに記し,1〜25の番号が書かれたペットボトルのキャップをできるだけ早く,対応する図案の番号の上に置いたり取り出したりするゲームである.Pゲームの実施方法の違いについて比較した結果,「取り出す」パターンは,「置く」パターンよりも遂行時間が有意に短かった.また,Trail Making Test(TMT),Pゲームを認知機能別に比較した結果,「置く」パターンはすべての群間に有意差が認められた.一方,「取り出す」パターンは,TMTが健常群と認知機能低下群,認知症疑い群,Pゲームが健常群と認知症疑い群との間に有意差が認められ,認知機能低下に伴い遂行時間が長くなる傾向が示された.本研究の結果から,Pゲームは心理的ストレスが低く,簡易に認知機能の程度を判定する評価ツールとして有用性が高いと推察する.
著者
中村 貴弘 早川 正士
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.1012-1020, 2004-08-01
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

Mesospheric optical phenomena(including sprites) are becoming an interesting subject from the standpoint of atmosphere-ionosphere coupling. This paper deals with our observation of sprites associated with winter thunderstorms in the Hokuriku area and we show the characteristics of those sprites and their parent lightning discharges. Although the scale of Japanese lightning in winter is very small as compared with the MCS (Mesoscale Convective System) for the summer continental lightning, the essential quantities (polarity, charge transfer etc.) are found to be nearly the same as those for those MCS. However, there might be required an additional factor, such as the self-organization of the lightning.
著者
中村 貴史
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.599-607, 2009 (Released:2010-02-16)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

現在世界中において,生きたウイルスを利用してがんを治療するウイルス治療(Oncolytic Virotherapy)に関する前臨床研究,および臨床治験が積極的に行われている.弱毒化麻疹ウイルスは,世界中でワクチンとして利用され,その効果と高い安全性が確立されている.その一方,このウイルスは種々のがんに選択的に感染し,増殖することによって強力な腫瘍溶解性を発揮する.本稿では,分子生物学的な手法を広汎に用いた麻疹ウイルスと宿主の相互作用の解明と,その感染制御を利用しがんへ特異的に感染する腫瘍溶解性麻疹ウイルスの開発を中心に紹介する.
著者
伊藤 壱記 桃谷 尚嗣 景山 隆弘 中村 貴久 川中島 寛幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00265, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
18

整備新幹線におけるスラブ軌道用の土構造物は,列車速度 260km/h を前提とした設計が行われているが,将来的には整備新幹線の区間においても営業速度を向上させる可能性がある.スラブ軌道は列車荷重により沈下が生じると補修するのが容易ではないため,スラブ軌道を支持する土構造物の設計においては大きな沈下を生じさせないことが重要である.そこで,本研究では累積損傷度理論により,列車速度の影響を考慮して盛土の塑性沈下量を求める手法を提案することとした.はじめに,列車速度による盛土の動的応答の違いを有限要素解析で求め,その結果を考慮した載荷条件で実物大繰返し載荷試験を実施し,累積損傷度理論で求めた塑性沈下量の推定手法の妥当性を検証した.その上で累積損傷度理論を用いて列車速度を考慮した盛土の塑性沈下量を試算した.
著者
太田 啓介 冨田 佳孝 高木 翔太 中村 貴久 中島 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00236, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
13

流動化処理土は,従来より土木材料として幅広く使用されているが,鉄道盛土としては列車荷重の繰返し作用に対する累積変形特性や乾燥に対する長期的な安定性が明確になっておらず,限られた箇所での適用となっている.本研究では,列車荷重作用下での流動化処理土について,保護層を設けた盛土の提案構造における変形特性,施工時の転圧荷重の影響,保護層の乾燥対策効果について検討を行った.その結果,細粒分質砂を母材とした流動化処理土について,本提案構造において,流動化処理土への作用応力を応力比で 0.15 以下,かつ処理土密度を 1.60 kg/cm3以上とすることで,列車荷重の繰返し作用に耐えうる盛土となること,若材齢時であっても転圧荷重が強度発現を阻害することはないこと,粒調砕石による保護層を施すことで乾燥を防止できることを把握した.
著者
中村 貴子
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

【目的】ANKK1はSerine, threonine kinase domainを持ちDRD2遺伝子に作用し特にANKK1-rs4938012はアルコール他の依存症と関連する有力なSNPであるとの報告がある。日本においてもアルコールや薬物耐性および依存症(麻薬およびCaffeine)は大きな社会問題になっているがまだその研究は多くない。ANKK1周辺遺伝子は多くの塩基置換部位を持ち総合的ハプロタイプ解析を行う必要がある。今回は各疾患群とのCase control研究を行うとともに人種による遺伝子頻度の差異についてSSCP法とTaqMan法を用い分析を行った。【試料】日本、中国、モンゴル、ミャンマー、南米コロンビア、アメリカ、フランス、アイボリーコースト、カメルーンの一般集団DNAおよび国立久里浜アルコール研究所より提供のアルコール依存症患者DNA、筑波大学麻酔科より提供されたDNA(サンプルは筑波大学倫理委員会承認済み)【方法】ALFexpressを使用したSSCP法およびABI-7500 RT-PCR機を使用したSNP解析法【結果】1.ANKK1, Exon1, Exon2を中心とした領域:rs4938012,含む6箇所の塩基置換部位をSSCP法で分析しハプロタイプ解析を行ったこれらの領域においてそれぞれの人種に特徴的なハプロタイプを検出した。アメリカの論文にてアルコール依存症をはじめとする各種依存体質と強い相関を持つとされる塩基置換箇所はこの研究においてアフリカ黒人のサンプルに多くみられることがわかった。日本人コントロールとアルコール症患者との間には有意差は認められなかったことからアメリカにおける依存症患者の人種の問題を含んでいるかまたは別の領域による差異の可能性も示された。2.ANKK1, Exon5~Exon8 : rs1800497はこれまで多くの精神疾患との関連遺伝子と指摘されてきたがまた反証の見解も多い。今回は今までのSSCP解析とともに初めてABI社のTaqMan Probeを使ったSNP解析を行いその精度を比較検証した。両者はそのSNP領域近傍の別のSNPの有無により使い分ける必要がある。今回アルコール依存症群と一般群との間に5%以下の有意差が認められた。Exon6のrs4938016の一般とアルコール症群において遺伝子頻度では有意差は認められないがアルコール症はヘテロが多く遺伝子タイプでは1%以下の有意差があった。ANKK1の5'末端のPromoter領域にはCpGアイランドが存在する。このことと今までの結果からPromoter領域の発現抑制が関与することも考えられ、現在その領域のメチル化Primerをこの研究費により作製しDNAのバイサルファイト処理を行いメチル化解析を進めている。
著者
大久保 正人 増田 和司 小林 由佳 中村 貴子 鈴木 貴明 石井 伊都子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.5, pp.731-742, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
18

In 2010, the in-hospital practical training period for pharmacy students was extended from 4 to 11 weeks. We have conducted questionnaire surveys of these students every year with the aim of reviewing the quality of training by conduction of surveys and evaluations. However, it was not clear whether reviewing based on the questionnaire results improved student satisfaction with the in-hospital practical training. Therefore, the aim of this study was to verify the validity of reviewing based on the questionnaire results by analyzing the data accumulated during the long-term practical training. A questionnaire survey was conducted of 333 5th-year students upon completion of practical training at Chiba University Hospital from 2010 to 2017. Students self-evaluated their attitude toward practical training on a 6-point scale and their satisfaction level for each component of the practical training on a 5-point scale. The students were also allowed to share their feelings about hospital pharmacy work. Repeated review of the training content can facilitate communication with patients, which was lacking at the beginning of the training period. Improved communication led to higher-quality pharmacy practice and increased student satisfaction. Meanwhile, changes to work procedures may reduce student satisfaction unless the training strategy is reviewed accordingly. Because the work of hospital pharmacists is constantly changing, it is considered that the content of the practical training should be revised accordingly through continuous conduction of surveys and evaluations, thereby enabling optimal practical training.
著者
田中 基雄 安本 昌彦 渋谷 勲 川端 康治郎 中村 貴義 橘 浩昭 萬田 栄一郎 関口 辰夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.11, pp.1937-1941, 1989-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高圧下において中間物とSquaricacidの縮合によりN-オクタデシルスクアリリウム(SQ)色素を合成する方法について検討した。中間物〔1〕または〔3〕とSquaricacidの反応による色素〔2〕または〔4〕の生成反応は,400~800MPaの加圧処理により促進され,常圧下における合成を大きく上回る収率をもたらした。また中間物〔3〕から色素〔4〕を生成する反応はクロロ酢酸,トリクロロ酢酸触媒の存在下でさらに収率向上を示すことが認められた。常圧下において従来得られなかったキノリン構造を有する色素〔6〕および〔8〕を本高圧法により合成することができ,新たに4種のスクアリリウム色素を得た。これら新色素のVIS,IR,iH-NMRスペクトルを測定した結果,〔6〕が〔2〕,〔4〕と同様に1,3-型スクアリリウム環構造に合致するのに対して,〔8〕は1,2-型スクアリリウム環構造の形をとるものと推定された。
著者
鈴木 仁美 中村 貴代美 丸山 和博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.955-958, 1966-05-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
35

t-ブチル基を保護基に用い,m-キシレン→5-t-ブチル-m-キシレン→2-クロル-5-t-ブチル-m-キシレン→2-クロル-m-キシレンの経路で-m-キシレンから2-クロル-m-キシレンを合成した。最終段階でt-ブチル基の受容体にm-キシレンを用いれば5-t-ブチル-m- キシレンが再生し, 循環操作が可能となる。この反応につき各種のルイス( Lewis ) 酸触媒を用いてこのt-ブチル基の転移の容易さを検討した。その結果塩化アルミニウムが触媒として最も有効で,塩化鉄(III),塩化アンチモン(V)は脱t-ブチル化反応の触媒と同時に,それによって再生された5-t-ブチル-m-キシレンのクロル化剤としての作用も示し,2-クロル-m-キシレンの見かけ上の収率は高くなる。
著者
矢浦 一磨 渡辺 源也 中村 貴彬 突田 健一 鈴木 博義 鈴木 靖士
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001373, (Released:2020-02-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は53歳女性,左上肢の間代性痙攣を認め入院した.頭部MRIで大脳に複数のFLAIR高信号,磁化率強調画像(susceptibility-weighted imaging; SWI)で多発する微小な低信号病変が見られ,抗痙攣薬の内服を開始した.しかし痙攣発作が再発し,頭部MRIで大脳にさらにSWI低信号の病変が新規に出現したため,脳生検し,出血を伴った血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma; IVLBCL)と診断した.IVLBCLは典型的な多発梗塞性病変だけでなく出血性病変でもIVLBCLを鑑別疾患の一つとして列挙する必要がある.
著者
中村 貴司
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
パーソナルファイナンス研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.53-65, 2015

本研究は、独創性のあるストーリーを通じた株式投資のケースメソッドを用いることで、投資家の行動や相場変動の特徴・特性など、心理的アプローチを用いた行動ファイナンスの視点をパーソナルファイナンスの資産運用の分野へ効率的・効果的に取り込むことに加え、実務への応用可能性の高い投資のエッセンスをケースメソッドに含有することで、個人投資家の金融リテラシーの向上に寄与することを目的としている。本研究ではパーソナルファイナンスと行動ファイナンスの概要に加え、ストーリーを用いたケースメソッドのメリットを述べた後、顧客である個人投資家と関わりながらITバブルとITバブル崩壊を証券の営業現場で経験した一営業担当者としての視点で書かれている「A君の株式投資物語」というケースメソッドの実例を示した。このケースでは、マーケットの狂喜乱舞、楽観と悲観、幸福感と絶望感など群集心理の激しい移り変わりを経験し、マーケットに揺さぶられ続けてきた個人投資家や営業担当者のイメージが湧くような具体例やマーケットの局面ごとの反応例を示した。また、このケースメソッドを通じ、代表的な株式投資の分析手法であるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のメリット、デメリットや投資を行う上での適切なポジション管理の必要性に加え、マーケットの変化やマーケットに伴う困難、逆境に対し、しなやかに対応できる柔軟な思考力と行動力を持つことの大事さを投資におけるエッセンスとして学べる機会を提供することで、パーソナルファイナンス教育の分野への貢献を行った。
著者
中村 貴弘 早川 正士
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.1012-1020, 2004 (Released:2004-11-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

Mesospheric optical phenomena(including sprites) are becoming an interesting subject from the standpoint of atmosphere-ionosphere coupling. This paper deals with our observation of sprites associated with winter thunderstorms in the Hokuriku area and we show the characteristics of those sprites and their parent lightning discharges. Although the scale of Japanese lightning in winter is very small as compared with the MCS (Mesoscale Convective System) for the summer continental lightning, the essential quantities (polarity, charge transfer etc.) are found to be nearly the same as those for those MCS. However, there might be required an additional factor, such as the self-organization of the lightning.
著者
石川 雅之 横山 威一郎 山口 洪樹 中村 貴子 鈴木 貴明 石井 伊都子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.143-149, 2019-03-10 (Released:2020-03-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1

PreAVOID (“Prevent and avoid an adverse drug reaction”) is a pharmaceutical intervention that contributes to the improvement of drug safety and efficacy. It is considered important for pharmacists to spend time in the ward and carry out numerous PreAVOID interventions. At present, however, there have been no reports on the relationship between working hours of pharmacists in the ward and the number of PreAVOID interventions performed. Therefore, we investigated this relationship in Chiba University Hospital.The working hours of pharmacists in each ward gradually increased and were 13.5-38.3 h per week from April 2015 to March 2017. The number of PreAVOID interventions also increased from 630 in fiscal year 2015 to 1116 in fiscal year 2016. The number of interventions that prevented adverse drug reactions increased from 402 in fiscal year 2015 to 550 in fiscal year 2016. The number of interventions that improved drug efficacy increased from 188 in fiscal year 2015 to 508 in fiscal year 2016. The working hours of pharmacists in the ward showed a positive and statistically significant correlation with the number of PreAVOID interventions (r = 0.688, P < 0.001). Therefore, our findings indicate that longer working hours of pharmacists in the ward probably result in an improvement in the efficacy as well as safety of drug therapy in association with increased PreAVOID interventions. Thus, it is important to ensure that pharmacists spend sufficient time in the ward in order to contribute to the improvement of drug safety and efficacy through PreAVOID interventions.
著者
佐藤 修一 大森 みさき 村山 恵子 中村 貴文 斎藤 光博 今井 理江 堀 玲子 長谷川 明
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.195-200, 1999-06-28
被引用文献数
13 6 8

日本歯科大学新潟歯学部の学生および職員から無作為に抽出した101名に対し,口腔内の揮発性硫黄化合物の濃度を測定する口臭測定器Model RH l7 Eハリメーター^<[O!R]> (Interscan社,米国)を用いて口臭測定を行い,口臭の官能試験と比較することにより,その有用性について検討した。また,同意の得られた者13名に対し口腔内診査を行い,口臭と臨床的パラメータの関連についても検討を行った。その結果,1) 官能評価値に対するハリメーター値の範囲に重複が認められるため,ハリメーターのみで口臭の程度を判別することは困難であると思われたが,官能評価値とハリメーター値は対応する傾向があり,本日臭測定器はチェアーサイドにおいて便用しうると考えられた。2)臨床的パラメータとハリメーター値はすべての指標において相関関係は有意ではなかった。
著者
中村 貴英 河野 貴久 小林 亮 尾形 修司
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of computer chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.59-68, 2011-12-31

対象系全体を必要な物理精度に応じて部分系に分け,各部分系に必要精度を持つ計算手法を適用する同時並列型ハイブリッドシミュレーション法が最近注目されている.我々は,原子(粒子)描像であったり連続体描像であったりするなどのハイブリッドシミュレーションコードが出力する多様かつ多数な物理変数の数値を統一的に扱い,さらにそれらの時間変化をアニメーションとして可視化するソフトウェアAkiraを開発した.Akiraを用いると,原子描像と連続体描像を混在させたり,多彩に表示した原子群のダイナミクスを原子毎の軌跡として表示させたりするなど様々な形式で,シミュレーションの結果を物理的な解釈がしやすくなるように表現することが出来る.簡易な操作で時間変化を,静止画のシークエンスとしても出力出来る.ソースコードはJava言語でOpenGLを用いて作成しているため,プラットホームの違いを気にしないで利用出来る.ユーザーが独自に改変することも,ソースコードと共に開発資料を公開しているため容易である.本論文ではAkiraの特徴的な機能を,いくつかの応用例を通じて概説する.