著者
井上 修一
出版者
佛教大学教育学部
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-18, 2010-03

フランスが歴史的な基本的人権の確立への大転回をもたらしたのはフランス革命であり、その成果として憲法制定会議で裁決された人権宣言は高く評価されるものである。この人権宣言17カ条は現行の第5共和国憲法において憲法的価値が認められている。この人権宣言10条はライシテの原則を定めていたが、政教関係は、フランスは伝統的にカトリックの国であり、ガリカ二スムの伝統と相俟って複雑な様相を呈していた。フランスは他の国に見られない政教関係のモデルいわれるほど国家と教会の権力抗争の歴史を持っており、その関係はめまぐるしい変動の過程を通していわゆる厳格な政教分離の制度を持つにいたった。今やヨーロッパの国々の多くが国教制度または公認宗教制度をとっている中で、フランスは「ライシテの国」と言われ、特殊な政教関係を持つ国であると言われている。本論文において、フランスにおける歴史的なコンコルダ制度からライシテと政教分離法・憲法との関係、さらに、政教分離関係法とヨーロッパ人権条約との法律関係を展開する。コンコルダライシテ政教分離法ヨーロッパ人権条約
著者
藤田 儒聖 庄 ゆかり 井上 修
出版者
学術文献普及会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.81-93, 2005

<p>本会合への参加は,わが国の大学図書館界として,北米会合の第12回(ナッシュビル大会),14回(ラホーヤ大会),15回(ニューオリンズ大会),欧州会合の第6回(バルセロナ大会)に続くものである。今回は,文献情報データベース,電子コンテンツの保存や管理,各館のコレクション分析,紙媒体資料の共同保存あるいは保存書庫問題,利用者の満足度調査の意義など,幅広いテーマが取り上げられ,また,電子ジャーナルを中核とする学術文献を取り巻く環境の変化,特にオープンアクセス化の動向などについての議論が行われた。ここに,その概略を報告する。</p>
著者
浜田 百合 井上 修斗 庄司 裕子
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.55-63, 2019 (Released:2020-02-28)
参考文献数
33
被引用文献数
1

This paper describes the trends in the phonemes used in naming by using the attributes of objects. The study used the names of characters in video games and automobiles as the targets of analysis. Through categorizing the objects based on their attributes, the study sought to verify if there existed a difference in the used phonemes between the categories. Resultantly, the study has clarified the phonemes used to illustrate the smallness, lightness, and weakness in addition to the phonemes used to depict the largeness, heaviness, and strength between two objects. In addition, the study had also employed evaluation experiments to verify the trends in the phonemes used in naming, which was derived from the analyses of the objects’ attributes, and to verify whether the phonemes used in the naming process matched with the people’s impressions. Throughout this process, the study has found the objects’ specific naming trends and the characteristics of the phonemes. By conducting the same analysis process for many objects, the study hopes to propose a supporting method for the naming process of specific objects.
著者
花岡 淳 井上 修平 大内 政嗣 五十嵐 知之 手塚 則明 北村 将司
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.606-612, 2009-05-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
8

症例1は85歳男性.20歳時に胸囲結核に対して手術療法を施行された既往があった.症例2は49歳男性.8ヵ月前まで肺結核に対して抗結核化学療法を施行されていた.両症例とも膿瘍内に腐骨を伴っており,抗結核化学療法開始1ヵ月後でも増大傾向を示した.そのため,注入したインジゴカルミン液をガイドに膿瘍郭清術および肋骨切除術を施行した.術後も抗結核化学療法を継続して行い,現在も再発を認めていない.胸囲結核症例に遭遇する機会は減少したが,胸壁腫瘤の鑑別診断にあげられることに留意しておく必要がある.治療には充分な抗結核薬の投与と適切な時期に徹底した膿瘍郭清を行うことが重要である.
著者
讃井 和子 世利 謙二 井上 修二
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.133-137, 1997-04-10
参考文献数
10
被引用文献数
6 14

小腸スクラーゼ活性を選択的に阻害するL-アラビノースを<SUP>14</SUP>C-スクロースとともにラットに投与し, 6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および消化管内<SUP>14</SUP>C-残存量を測定した。その結果,<BR>1) <SUP>14</SUP>C-スクロース摂取後6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量は, 同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。L-アラビノースの作用は用量依存的であり, 50mg/kgおよび250mg/kg投与群の抑制率はそれぞれ31.7%, 45.6%であった。<BR>2) ラットにおけるスクロース負荷後の血糖上昇も同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。<BR>3) 呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および血糖上昇に対して, L-アラビノース50mg/kgは作用比較物質アカルボース1.5mg/kgと同等の抑制作用を示した。<BR>4) L-アラビノース投与群では<SUP>14</SUP>C-スクロース摂取から6時間後において盲腸および結腸部に多量の残存<SUP>14</SUP>Cが認められた。<BR>以上の結果から, L-アラビノースはスクロースとともに摂取した場合, スクロースの消化吸収を抑制し, そのエネルギー利用を低下させると結論された。
著者
金野 亮太 井上 修平 山本 正嘉
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.357-365, 2010

暑熱環境(気温35 ℃,湿度80%)に設定した人工気象室において,8名の自転車競技選手が長時間の自転車ペダリング運動を行い,その運動の途中で全身に冷水をかけて身体冷却を行った場合に,体温をはじめとする生理応答や,主観的な指標にどのような効果があるかを検討した.<br> 被験者は,レースで使用するロードレーサーを用いて,走行速度を40km/h に固定し,90 分間の運動を行った.この運動強度は乳酸閾値を超えないものであり,実際のレースにおける運動強度からみると,比較的弱い部類に属するものであった.被験者は,運動開始から60 分を経過したところで,全身に5 ℃の水をかぶる条件(以下,水かぶり)と,それを行わない対照条件の 2 通りを,ランダムな順序で行った.<br> その結果,水かぶりを行うことによって体温(直腸温度,平均皮膚温度)の上昇は抑制され,その効果は運動終了までの30 分間持続した.また水かぶり後には心拍数や酸素摂取量も低値を示し,運動効率の改善が窺えた.以上の結果から,暑熱環境下で行う水かぶりは,熱中症を予防したり,運動パフォーマンスを維持する上で,実用的で効果の高い手段であることが示唆された.
著者
滝井 健二 石丸 克也 吉田 幸功 井上 修一 日高 久美 眞岡 孝至 谷本 文男 伏木 省三
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学水産研究所報告 (ISSN:09117628)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.11-18, 2006-03-25

飼料への自己消化酵母Hansenula anomala(Ha)の添加が,アユの飼育成績やレンサ球菌症の自然発症率に及ぼす効果について調べた。チリ魚粉をタンパク質源とした飼料に,Haを18,9および3%配合した飼料(Ha-18,-9および-3)を,体重35.7gのアユに1日4回,1週間に6日飽食給与して12週間飼育したところ,Ha-9およびHa-3区の成長および飼育成績は,対照のHa無配合飼料区(Ha-0)やHa-18区より優れていた。また,終了時におけるレンサ球菌症の発症率は,Ha配合区がHa-0区より僅かに低かった。ついで,レンサ球菌症の発症を抑えるための,Ha-3飼料の効果的な給餌法を検討するため,平均体重33.0gのアユにHa-0およびHa-3をそれぞれ連続給与する区,Ha-3とHa-0を毎日交互に給与する(Ha-3, 0)区などを設けて10週間飼育したところ,増重率はHa-3給与によって向上し,発症率はHa-3, 0区で28.6%で低く,Ha-0区の45%,Ha-3区の50%の順に増加した。以上の結果から,飼料のHa添加は成長促進だけでなく,レンサ球菌の感染防御にも効果のあることが示唆された。
著者
千葉 満郎 大高 道郎 太田 弘昌 吉田 司 五十嵐 潔 長崎 明男 荒川 弘道 正宗 研 井上 修一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1656-1662_1, 1985

オリンパス光学K.Kにおいて開発されたOES内視鏡写真撮影システムはOESファイバースコープ,光源装置CLV-10,データ写し込み装置DS,内視鏡カメラSC16-10よりなるが,これらを臨床の場で試用する機会を得た.CLV-10は光量の増加,露光精度の向上とともに非常灯も装備されている.DSは患者データを入力・記憶・表示しフィルムに写し込むことができ,またSC16-10のファインダー内に日時,経過時間,撮影部位等の英数字データを表示し内視鏡写真に写し込むこともできる.SC16-10は軽量化が計られ,拡大率の異なる3種類のマウントアダプターが用意され大画面で撮影することが可能である.OESシステムを用いることにより検査中の操作が容易になり,観察ならびに読影上見やすい画像が得られる上,内視鏡写真にデータ記録としての客観性を導入することが可能となり,特に部位同定の指標に乏しい食道や下部消化管検査における有用性を確認した.
著者
松本 浩幸 三ヶ田 均 大町 達夫 井上 修作
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.281-285, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では, 津波地震の発生原因が「断層面上のゆっくりとした断層破壊」と仮定して, それに伴う「ゆっくりとした海底面変動」が津波を引き起こす過程および伝播の特性を数値計算によって検討した.ライズタイムが100s程度であれば断層破壊の影響は無視でき, 静的変位から予想される津波と同程度の津波が発生する. また, ライズタイムが500sのゆっくりとした海底面変動でも水塊移動を引き起こし津波が発生することを示した. ただし, 津波の波高が小さくなり, 周期が長くなる点は従来の予測とは大きく異なる.本研究は, ゆっくりとした断層破壊による地震津波に対しても, 沖合観測によって早期に津波を検知できることを示唆している.
著者
長友 和彦 井上 修一 平瀬 清
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本・韓国・中国・台湾の教育研究機関・関係者と連携して研究を進めた結果、(1)三言語(日本語・韓国語・中国語)同時学習支援を支える三言語習得論・多言語多文化同時学習支援論・多文化共生論等の理論、(2)それぞれの国・地域における三言語及び多言語多文化同時学習支援に関わるさまざまな実践例、(3)三言語同時学習や多言語多文化同時学習支援のシラバスのあり方やその支援者・推進者の役割のあり方、等についての知見が得られた。
著者
井上 修平 藤野 昇三 手塚 則明 紺谷 桂一 小西 孝明 澤井 聡 花岡 淳 一瀬 増太郎 寺本 晃治 森 渥視
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.545-550, 1999-05-15
被引用文献数
4

症例は60歳女性で, 膠原病, 膜性腎症等のため長期間ステロイドを投与されていた.1997年12月中旬から咳嗽, 喀痰が出現し, 翌年1月2日に39.3℃の発熱がみられた.1月4日に突然の右胸痛, 呼吸困難が出現し, 翌5日に緊急入院となった.入院時には発熱, 心肺不全を伴い起座呼吸, チアノーゼが認められた.胸部X線, CT写真では右胸腔の2/3を占める下葉中心の巨大肺嚢胞が認められ, 上中葉の無気肺, 胸水も存在した.血液検査ではCRPの高値及び低酸素血症が認められた.感染のコントロールのために抗生剤の投与をすると共に, 胸腔ドレナージ及び肺嚢胞内吸引療法を施行した.肺嚢胞吸引療法で嚢胞の増大進行を防止し, 胸腔ドレナージで呼吸不全から離脱できたため, 1月13日に安全に肺嚢胞切除術を施行できた.術後経過は順調であり術後3週間目に退院となった.
著者
井上 修平 藤野 昇三 紺谷 桂一 澤井 聡 手塚 則明 花岡 淳 尾崎 良智 鹿島 祥隆 元石 充 古川 幸穂
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-64, 2002-01-15
被引用文献数
10 7

従来,胸膜中皮由来とされ限局性胸膜中皮腫(localized mesothelioma)と呼ばれた腫瘍は,近年,胸膜中皮下の間葉系細胞由来と考えられるようになり,solitary fibrous tumorまたはlocalized fibrous tumor of the pleuraという呼び名が一般化しつつある.胸腔鏡下に摘出し得た有茎性の3症例を報告する.3例中2例は臓側胸膜から発生し,1例は壁側胸膜から発生していた.本症は肺腫瘍,胸壁腫瘍,縦隔腫瘍等との鑑別が困難であるが,3例中2例は体位変換によって腫瘤陰影の移動が認められ,術前に有茎性腫瘍の診断が可能であった.3例各々の最大径は6.3cm,4.9cm,3.5cmであったが,全例胸腔鏡下摘出は容易であり,再発等認めていない.