著者
桑山 健次 辻川 健治 宮口 一 金森 達之 岩田 祐子 井上 博之 岸 徹 角田 紀子
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.127-133, 2005 (Released:2007-07-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The effects of the various preparation procedures of the Dragendorff reagent on sensitivity for thin layer chromatography (TLC) were examined. The sensitivity to various compounds was different depending on the preparation procedures of the Dragendorff reagent.   The reagent with the highest sensitivity to most of the compounds tested was the one prepared with bismuth subnitrate and concentrated hydrochloric acid. However, color spots were disappeared relatively in a short time after the reagent was sprayed on the compounds. The reagent with the second highest sensitivity was the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, although the procedure was complicated and time-consuming.   Consequently, to simplify the preparation procedure of the reagent, we modified it to the procedure without precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate. The reagent was also prepared from commercially-manufactured Bi(OH)3 or BiI3. The modified Dragendorff reagents showed almost the same sensitivity to most of the compounds tested as the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, and would be useful for practical TLC analysis.
著者
田原 英一 後藤 雄輔 牧 俊允 吉永 亮 井上 博喜 矢野 博美
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.148-152, 2021 (Released:2022-07-29)
参考文献数
23

著明な栄養障害に対して五苓散と補血剤が奏効した1例を報告する。17歳の女性が著明なるいそうに対して諸検査を受けたが,原因は不明であった。五苓散を投与後,浮腫が軽減して体重が増加に転じ,その後四物湯または疎経活血湯を併用して貧血の改善,筋肉量の増加を認めた。五苓散と補血剤は消化管を含む全身の水分バランスを改善し,消化吸収機能を回復させた可能性がある。
著者
山室 匡史 宮本 重彦 立入 直紀 石井 歩 松田 駿太朗 岩田 祐子 瀬川 尋貴 桑山 健次 辻川 健治 金森 達之 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.29-48, 2021 (Released:2021-01-31)
参考文献数
31
被引用文献数
3 1

The forensic identification of cannabis is performed by a combination of chemical analysis and morphological examination. Recently, molecular biological analysis using cannabis DNA information has been noticed as a new approach. In this study, the cannabis DNA detection kit using a DNA chromatography chip was developed, and the demonstration evaluation in the forensic chemical laboratory was carried out. The DNA detection kit of a “four-line version” which had the function to distinguish fiber-type from drug-type cannabis showed as high accuracy (98.3%) as the current identification method on cannabis identification. However, there was a tendency to mistake a part of the drug-type samples as “fiber-type cannabis”. In the kit of a “three-line version” which was specialized for the cannabis DNA detection, the accuracy of 99.0% was confirmed on the cannabis identification. There were no false positives throughout all evaluations. In addition, some of the combustion residues that could not be identified as cannabis by the current identification method were classified to be “cannabis positive” by the DNA detection kit, indicating the effectiveness of a new approach. As a result of this study, it was shown that the quick and accurate cannabis DNA analysis could be carried out by the DNA detection kit even by analytical chemists who didn't have expertise in molecular biology.
著者
吉永 亮 前田 ひろみ 土倉 潤一郎 井上 博喜 矢野 博美 犬塚 央 木村 豪雄 山方 勇次 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.383-389, 2016 (Released:2017-03-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

蜂刺症とムカデ咬症に対して,受傷直後から黄連解毒湯エキスと茵蔯五苓散エキスを中心とした漢方治療を併用し,翌日には著明に改善した5例を報告する。症例1は70歳男性,30分前に左手背をスズメバチに刺されて受診した。症例2は43歳男性,20分前に左顔面をスズメバチに刺され受診した。症例3は55歳男性,10分前に左下腿をスズメバチに刺され受診した。症例4は39歳男性,60分前に右大腿をスズメバチに刺され受診した。症例5は35歳男性,20分前に右第1趾をムカデに咬まれて受診した。5例とも受診後直ちに漢方治療を開始し,以後,数時間おきに間隔を詰めて治療を継続したところ,翌日には疼痛と皮膚の紅斑と腫脹が改善した。蜂刺症,ムカデ咬症に対して漢方治療を行うことで速やかな治癒に貢献できる。
著者
井上 博之 山川 宏二 近藤 哲也 正木 征史
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1178-1180, 1990-11-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

Silver deposits formed on copper substrates by replacement reactions show poor adhesion, and a silver film plated on such a deposit dose not adhere. Silver ion makes a highly stable complex with cyanide ion, so that in a silvercyanide solution, the activity of silver ion is very small. This is one of the reasons for the universal use of cyanide baths in the industrial silver plating.However, consideration of the difference between the values of the stability constants for the silver-iodide complex and for the copper-iodide complex suggest that the rate of replacement deposition of silver on the copper substrate in silver-potassium iodide solutions, might be comparatively low. To confirm this, the rate of replacement deposition of silver in a silver-potassium iodide solution (AgNO3 0.10mol/L, KI 2.00mol/L) and in a strike silver plating bath (AgCN 0.028mol/L, KCN 1.15mol/L) was estimated from the current density corresponding to the point of intersection of the anodic and the cathodic polarization curves. These estimated values were almost the same, and it is suggested that the silver-potassium iodide solution is not only a cyanide free silver plating bath capable of employing a copper substrate but a silver plating bath which requires no strike plating.
著者
井上 博成 KEELEY Alexander 竜太
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.97, no.8, pp.245-251, 2018-08-20 (Released:2018-08-31)
参考文献数
16

本研究は,日本における小水力発電の普及に係る障壁と課題について,事業主体の視点から明らかとすることを目的とする。筆者らが小水力発電事業実施地域に入り込み行ってきた参与観察及び小水力発電事業者への聞き取り調査とアンケート,そして先行研究を基に,小水力発電の普及に係る障壁と課題を事業主体の視点から8つ特定し,大きく次の3つのカテゴリーに整理を行った:政治的要因カテゴリー,技術・インフラ的要因カテゴリー,事業主体形成・計画・資金調達要因カテゴリー。 小水力発電事業者へのアンケートを基に,特定された各要因の重要度を,階層化意思決定法を用いて分析し,各要因の重み付けを行った。再生可能エネルギー全般において障壁となっている系統連系の問題に加えて,小水力発電には多くの許認可手続きの課題,地域住民との関わり方を含めた事業主体の形成の重要性,長期を要する開発期間の短縮のための事業計画の重要性等が確認された。これらの課題を踏まえた事業主体の形成,資金調達,そして地域住民や各種ステークホルダーとの調整を行っていくことがこれからの小水力発電の普及において重要であると考察される。本研究は,事業主体の視点に焦点をあてることによって,小水力発電の普及に係る障壁と課題を詳細に明らかにしている。
著者
奥山 正明 烏谷 竜哉 竹内 潤子 井上 博雄
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.17-24, 2004 (Released:2017-03-30)
参考文献数
22

愛媛県に住む228組680人のHLA家系調査により, HLA-A, -B, -DRB1, -DQB1の4座位の抗原, アリル頻度を分析した. 血清学的検査法によりA座の8抗原, B座の23抗原を, 遺伝子検査法によりDRB1座の26アリル, DQB1座の13アリルを特定し, 合計757例の4座位のハプロタイプを得た. B-DRB1の2座位間においてB13-DRB1*1202, B37-DRB1*1001, B44-DRB1*1302, B46-DRB1*0803, B51-DRB1*1403, B52-DRB1*1502, B59-DRB1*0405, B62-DRB1*1406, B7-DRB1*0101などは強い相関を示した. DRB1-DQB1の2座位間はほぼ1対1の対応であったが, DRB1*0802, *1201, *1401は2つの異なるDQB1アリルと強い相関を示した. 稀なアリルとされるDRB1*0809は3家系から検出され, そのハプロタイプはA24-B60-DRB1*0809-DQB1*0402が2例, A24-B-54-DRB1*0809-DQB1*0402が1例であった. 1例検出されたDRB1*1402のハプロタイプは, A26-B62-DRB1*1402-DQB1*0301であった. HLA-A-B-DRB1-DQB1のハプロタイプで頻度2%以上を示した6タイプは, A24-B52-DRB1*1502-DQB1*0601(7.7%), A24-B7-DRBl*0101-DQB1*0501(3.3%), A24-B54-DRB1*0405-DQB1*0401(3.2%), A2-B46-DRB1*0803-DQB1*0601(3.0%), A33-B44-DRB1*1302-DQB1*0604/09(2.6%), A2-B61-DRB1*0901-DQB1*0303(2.5%)であった. 愛媛でのHLA頻度を関東地方都市部と比較すると, A33, B44, B48, DRB1*0803, DRB1*1405, DRB1*1501, DQB1*0601, DQB1*0602などに地域差があることが示された.
著者
井上 博道 梅宮 善章 中村 ゆり
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.875-880, 2005-12-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
21
被引用文献数
5

ウメ干しの仁中微量元素濃度を分析し,多変量解析手法を用いて日本産と中国産の判別を行った。1)塩蔵ウメ仁中のSr濃度の中央値は,中国産では日本産の10倍以上の値を示し,8.0mgkg^<-1>を簡易基準とすることで93.2%のウメ干しサンプルが日本産と中国産に正しく判別できた。2)ウメ干し仁中の9元素濃度を用いた3成分からなる主成分分析で日本産と中国産は分離した。3)線形判別分析によって93.2%の判別的中率が得られた。KNN法による解析では,判別的中率は94.3%と向上した。
著者
井上 博允
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1970

博士論文
著者
坂本 彬 井上 博之 中川 致之
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.326-330, 2012 (Released:2013-10-08)

(1)日本国内で市販されている世界各地で生産された紅茶12銘柄を購入し,その化学成分などを分析,測定した。12銘柄はスリランカ4,インド3,中国2,日本1である。(2)タンニン,カテキン類8項目,没食子酸,テアフラビン類4項目,L-グルタミン酸,L-テアニン,γ-アミノ酪酸,遊離糖類3項目の含有量は変動が極めて大きかった。グルタミン酸,テアニン,また総アミノ酸については並級煎茶に匹敵する量を含む銘柄もあった。またγ-アミノ酪酸を60mg%以上含む銘柄もあったが発酵過程で増加したものであるかは判別できなかった。(3)4種のテアフラビンを個別に定量した結果,テアフラビン-3,3'-di-0-ガレートが最も多く,ついでテアフラビン-3-0-ガレート,次ぎに遊離のテアフラビンでテアフラビン-3'-0-ガレートが最も少なかった。また,テアフラビン合計値と赤色彩度を示す表色値aの間に相関が認められた。(4)遊離の糖類のうち,蔗糖,ブドウ糖,果糖,麦芽糖を分析したが麦芽糖は含まれず,検出された3種のうち蔗糖,ブドウ糖が多く,糖類合計として平均1.6%であった。(5)紅茶に含まれる有機酸のうち,シュウ酸を分析した。12銘柄平均含有量は0.54%であったが,シュウ酸特有のエグ味として影響する量ではないように思われた。(6)pHは緑茶同様にほぼ一定範囲に収まり,ほぼ5.00~5.4の範囲であった。
著者
小金澤 碩城 井上 博喜 笹谷 孝英
出版者
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
雑誌
近畿中国四国農業研究センター研究報告 (ISSN:13471244)
巻号頁・発行日
no.4, pp.39-59, 2005-03
被引用文献数
1

海砂で栽培した10科36種の供試植物にOlpidium brassicae sensu latoおよびその類似菌の単遊走子嚢分離8株を接種し,一定期間後に放出される遊走子数を計測し,かつ根内の遊走子嚢と休眠胞子を観察することにより,寄生性を調査した。O. virulentusの分離株WOms-3は最も広い寄主範囲を示した。ついでLE-4,WT-1,TAK-1,F-1分離株の順であった。また,それぞれの分離株は異なる宿主特異性を有していた。これに対し,O. brassicaeの分離株CBG-3,YR-2とOlpidium sp.の分離株DKN-1の寄生範囲は比較的狭く,かつ類似していた。いずれの分離株も多くの植物の根に侵入可能で,感染が認められなかったのは4例のみであった。いずれの分離株もマクワウリ,スイカ,ササゲ,ダイズ,ナスとオクラでは増殖可能であった。いずれの分離株もセルリーと線虫抑止作物のクロタラリア,マリーゴールド,エンバクでは増殖しないかあるいは増殖量は少なかった。
著者
井上 博司
出版者
岡山大学環境理工学部
雑誌
岡山大学環境理工学部研究報告 (ISSN:13419099)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.59-78, 1997-01-10

The landscape in England is analyzed with regard to its climate, natural features, industry and history. First, the landscape of towns and villages in Cortswald, which is now called the heart of England, is introduced and its special features are analyzed with respect to the layout of facilities and houses. Second, the remains of prehistoric and ancient times, which are important components of landscape in England, are analyzed concerning to the features of their existing space. Finally, the characters of landscape of some cities in middle ages are considered in connection with circumstances in those days.
著者
田原 英一 後藤 雄輔 吉永 亮 井上 博喜 矢野 博美
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.94-101, 2020

<p>四物湯を含む処方が奏功した6例を経験した。症例1は13歳男性で起床困難であったが,集中力低下を目標に治療したところ,通学も可能になった。症例2は18歳女性で,起床困難だったが,同じく通学が可能になった。症例3は10歳女性で,治療により部分的に通学可能となった。症例4は42歳男性で,社交不安に対して四物湯を追加したところ改善した。症例5は多愁訴であったが,四物湯を含む処方で症状が軽減した。症例6は56歳女性で同じく多愁訴であったが,四物湯を含む処方で症状が軽減した。いずれの症例もうつ,不安が明らかであり,4例でコルチゾールの低下を認め治療により回復した。四物湯は血虚を治療することで集中力,判断力を回復し精神症状を改善すると考えられる。</p>
著者
井上 博紀 谷 万喜子 西村 栄津子 高田 あや 鈴木 俊明 吉田 宗平
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-104, 2007 (Released:2008-01-18)
参考文献数
8

We report the effect of acupuncture based on the meridian concept by the writing evaluation test and writing pressure in a patient with writer's cramp. The case was a 32-year-old male, who was right-handed. The patient reported feeling a sense of incongruity while playing slot machine, and also in handwriting in X+6 years. When the department of nerve internal medicine at a local hospital was consulted, the problem was diagnosed as dystonic writer's cramp. We started acupuncture treatment in our clinic from X year. Acupuncture was performed once a week. Multiple epidermis penetrating needles were used to treat skin and muscle shortening on the palm and forearm. Retaining needles were used for scalp acupuncture in the upper limb zone, LI4 and ST11. Consequently, although some involuntary movement persisted 10 weeks after the start of treatment, control of handwriting became possible. Moreover, agitation during the application of writing pressure before acupuncture therapy was improved after acupuncture therapy. The results suggest that acupuncture therapy with the retaining needles and multiple epidermis penetrating needles is beneficial for dystonic writer's cramp.