著者
井上 智 兼子 千穂 好井 健太朗 堀田 明豊 費 昌勇
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.8-14, 2018-07-20 (Released:2019-01-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Rabies is a typical zoonosis directly transmitted to neural tissues by bites and shows acute progressive encephalomyelitis due to lyssaviruses. “One Health” is a key word for the control and prevention of rabies. Bats are the principal reservoir hosts for most lyssaviruses, but rabies lyssavirus (RABV) was successfully distributed among the meso-carnivores in the world represented by canids, raccoons, skunks, mongooses, ferret badgers and as much as only bats of the New World. In Japan rabies has not been reported from 1958, except three human imported cases of 1970 and 2006. The imported animal rabies from endemic countries was often reported in Europe and the United States, even after the eradication of the indigenous dog rabies. In Taiwan wildlife rabies of ferret badgers was suddenly reported in 2013 after canine rabies free for 52 years, and also a new lyssavirus was found from Japanese house bats in 2016 and 2017. These facts were a strong impact and urged reconsidering of a rabies free status in Japan. “The National Guideline for Rabies Control, 2001” was established in 2001 for the administrative measures and report system of rabies in the local government, and the action plan was also come out in 2013 as “The National Guideline on Rabies Countermeasures, 2013” for the risk management after found rabid animals in Japan. In reaction to the wildlife rabies in Taiwan “The Guideline for Animal Rabies Survey” was developed in 2014. In this article recent rabies in the world was overviewed focused on the etiological agents and the disease burden to the public health. The avail of rabies management with indispensable animal surveillance in Japan was also discussed on a view of veterinary epidemiology as well as a value of the medical and veterinary cooperation.
著者
井上 智勇
出版者
日本美術教育学会
雑誌
美術教育 (ISSN:13434918)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.50, pp.4-15, 1959-03-30 (Released:2011-08-10)
著者
井上 智勝
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.269-288, 2008-12

本稿は、近世における神社の歴史的展開に関する通史的叙述の試みである。それは、兵農分離・検地・村切り・農業生産力の向上と商品経済の進展など中世的在り方の断絶面、領主による「神事」遂行の責務認識・神仏習合など中世からの継承面の総和として展開する。一七世紀前半期には、近世統一権力による社領の没収と再付与、東照宮の創設による新たな宗教秩序の構築などが進められ、神社・神職の統制機構が設置され始めた。兵農分離による在地領主の離脱は、在地の氏子・宗教者による神社運営を余儀なくさせ、山伏など巡国の宗教者の定着傾向は神職の職分を明確化し、神職としての自意識を涵養する起点となった。一七世紀後半期には、旧社復興・「淫祠」破却を伴う神社および神職の整理・序列化が進行し、神祇管領長上を名乗る公家吉田家が本所として江戸幕府から公認された。また、平和で安定した時代の自己正当化を図る江戸幕府は、国家祭祀対象社や源氏祖先神の崇敬を誇示した。一八世紀前半期には、商品経済が全国を巻き込んで展開し、神社境内や附属の山林の価値が上昇、神社支配権の争奪が激化し始める。村切りによって、荘郷を解体して析出された村ではそれぞれ氏神社が成長した。また、財政難を顕在化させた江戸幕府は、御免勧化によって「神事」遂行の責務を形骸化させた。一八世紀後半期には、百姓身分でありながら神社の管理に当たる百姓神主が顕在化した。彼らを配下に取り込むことで神職本所として勢力を伸ばした神祇官長官白川家が、吉田家と対抗しながら配下獲得競争を展開し、復古反正の動向が高まる中、各地の神社は朝廷権威と結節されていった。また、神社は様々な行動文化や在村文化の拠点となっていた。明治維新に至るまでの一九世紀、これらの動向は質的・量的・空間的に深化・増大・拡大してゆく。近代国家は、近世までの神社の在り方を否定してゆくが、それは近世が準備した前提の上に展開したものであった。
著者
井上 智夫
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.4-10, 1993

21世紀を目前に控えて,石油価格の推移は,世界のエコノミストの注目の的である。中東情勢を含む世界の政治・経済体制の変化のシンボルとして石油価格の推移を眺めると,冷戦後の新世界秩序の構築に,石油の需給と石油価格はどのような役割を果たすであろうか。地球環境問題の重大化,先進国と途上国の省エネのスピードのギャップ,産油国側の政治意識の変化など,多角的な側部から21世紀への石油需給について興味ある石油価格の予測を試みよう。
著者
岩井 詠美 辻本 朋美 井上 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.111-117, 2015-07-28 (Released:2015-08-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:病院に勤務する看護師による組織市民行動の実態を調査し,看護師に特徴的な組織市民行動を明らかにする.方法:2013年2月,近隣に位置する4つの公的病院の看護師1,003名を対象に自記式質問調査を行った.結果:有効回答数は763名(76.1%)であった.『スタッフ支援』について,4項目中2項目において「時々した」「よくした」を合わせて90%を超えた.一方,『ロイヤリティへの貢献』の全3項目において「全くしなかった」「あまりしなかった」を合わせて50%以上を占めた.組織市民行動の実施の程度の因子分析(n=409)では,質向上に関する行動,環境整備,指導,協力,ケアの提供に関する行動の5因子が抽出された.抽出された因子の実施状況の差をみたところ,5因子で有意差が見られ,質向上に関する行動が最も低く,協力が最も高かった.結論:看護師は,スタッフなど個人に向けた組織市民行動をよく行い,組織に向けた組織市民行動をあまり行っていない.看護師の組織市民行動において,協力など,一般的に組織市民行動とみなされている行動のほか,質向上に関する行動や指導など,看護師に特徴的な組織市民行動がみられた.
著者
宮本 紫織 石井 卓也 白石 泰郎 望月 美菜子 井上 智 四宮 博人
出版者
公益社団法人 日本水道協会
雑誌
水道協会雑誌 (ISSN:03710785)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.2-12, 2020

水道水中ハロ酢酸類9種(水道水質基準項目:3物質、要検討項目:6物質)について、前処理を必要としない直接注入- LC/MS/MS による一斉分析法を検討した。ハロ酢酸類2μg/L に高濃度マトリックス(塩化物イオン:177mg/L、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、硫酸イオン、炭酸イオン:100mg/L、硝酸イオン:100mgN/L)をそれぞれ添加し回収率を求めた結果、9種すべてのハロ酢酸類で71~118%の回収率が得られた。また、標準液の溶媒としてtert -ブチルメチルエーテル、メタノール、エタノール及び精製水を用いて長期保存試験を実施した結果、メタノールはメチル化、エタノールはエチル化が進み、ハロ酢酸類原体の濃度が減少した。この濃度低下は、保存温度が高く、さらには混合標準液とすることで顕著であった。ハロ酢酸類は、メタノール溶液(-20℃)保存においてもメチル化反応が進むため、標準溶液に用いる溶媒はtert -ブチルメチルエーテルが最適であることを確認した。
著者
井上 智宏 林 英治
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.521-522, 2012

自動演奏ピアノで用いるデータは楽譜上の音符全てを表現したものであり、編集に多くの時間を必要とする。そこで、「同一演奏者では、音符の並びが類似するフレーズではその演奏表現も類似する」という研究結果を用いて、効率的な編集支援システムの開発を行った。本システムでは編集済みの楽曲上で未編集のフレーズと類似したフレーズを探索し、発見されたフレーズの表現をもとに未編集のフレーズを推論する。
著者
井上 智正 伊藤 義人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報システム論文集 (ISSN:13423894)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.165-172, 1997-10-28 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4

複雑で規模の大きい計画設計支援システムを従来の構造化システム開発手法でモデル化することは非常に困難である。本論文では、橋梁計画設計支援システムの開発にオブジェクト指向アプローチを適用し、プロトタイプシステムを作成した。また、この場合のシステム作成における問題点を挙げ、その解決方法を示した。
著者
井上 智皓 戀津 魁 柿本 正憲
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.113-114, 2020-02-20

自然現象のシミュレーションはコンピュータグラフィックスにおける重要な分野である.このうち,水の色に着目した研究は多くされているが,氷の色に着目した研究は少ない.本研究では氷の色に着目する.氷は,水分子の特性から赤い波長の光を吸収する.氷河や氷山が青みがかって見えるのはこの性質に由来する.また,氷の結晶構造に由来する光学現象も観察されている.本研究は,氷に関する様々な光学現象を包括的に扱うことで,より現実らしい氷のレンダリングを目指すものである.本稿では氷のスペクトル吸収特性に着目し,スペクトラルレンダリングによって氷の色の再現を行った.
著者
長南 浩人 井上 智義
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.413-421, 1998-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

本研究は, ろう学校高等部の生徒の文章記憶に関して実験を行い, 特にリハーサルに利用する方略の効果について検討したものである。そして, その結果の分析を通して, 聴覚障害者の日本語指導を行う上での基礎的資料を提供することを目的とした。予備調査では, 自発的なリハーサル場面を設定して, どのような方略がリハーサルに利用されるのかを観察した。その結果,(1) 手話口形方略 (2) 口形方略 (3) 暗唱方略 (4) 音声方略の4種類の方略がリハーサルに利用されていることが分かった。このことから調査対象者は, 口話法による指導を受けてきたが, 自発的に手という方略も利用することが分かった。また, 予備調査の記憶成績に基づいて対象者を上位群と下位群に分け, 利用した方略について検討したところ, 両者が主として用いている方略に違いがある可能性を否定できなかった。つまり, 上位群は手話口形方略を利用するものが多い傾向にあった。そこで, 下位群に上位群が用いていた方略を使用させた場合, 記憶成績に向上が見られるのではないか, また, 両群とも予備調査で観察された他の方略を利用させた場合, 方略問の記憶成績に違いが見られるのかどうか検討する必要があると思われた。そこで, 予備調査で観察された4つのリハーサル方略を指示した記憶課題の実験を行った。その結果, 上位群は, どの方略を用いても再生成績に差は見られなかった。また, 下位群は, 手話口形方略を利用したリハーサルを行った場合のみ, 上位群と差がなくなることが分かった。
著者
木下 佳子 井上 智子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.35-44, 2006 (Released:2015-05-19)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

[研究目的] ICU から退院した人々の生活に,ICU 入室中の体験がどのような影響をもたらしているのかを明らかにし,社会生活へ適応するための看護支援を検討する.[研究方法] 対象:ICU に 4 日以上滞在し,退院後 1 年以上経過した 25 名.データ収集方法:「ICU 入室中の体験」と「ICU 入室中の体験がもたらす現在の影響」について半構成的面接を行った.分析方法:ナラティブ・アナリシスの手法を用いる.[結果] ICU 入室中の体験を現実的な体験ととらえた記憶が鮮明な対象者と記憶が不鮮明な対象者に分類された.前者は,ICU 体験の影響はなかった.後者の非現実的な体験や記憶消失をした対象者は,真実を確認する作業やその体験に対する理由づけという努力を行い,その成否により,非現実的な体験によるとらわれや混乱,記憶消失によるとまどいを起こしていた.また,非現実的な映像や音が残存し再現している人もいた.[考察] ICU での非現実的な体験の予防,体験の語りを促す,記憶の再構築のための情報提供など,その体験を乗り越える努力とそれを支える家族の支援,さらに,退院後の支援体制確立の必要性が示唆された.
著者
堀内 陽介 竹内 達史 西濱 大貴 井上 智雄 岡田 謙一
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2010-GN-75, no.13, pp.1-8, 2010-03-11

演劇創作は,音響や照明,舞台美術,空間デザインなど様々な芸術表現の組み合わせで協調的に作られる総合芸術であるが,実際の演劇で用いる舞台演出などを考える場合,演出を総合的に頭に思い描きながら作業を行うのは容易ではない.そこで本稿では,演劇創作活動の中でも音響や照明の演出プランニングに着目し,実際の舞台をイメージしやすい環境である,演劇における演出プランニングを支援するマルチユーザテーブルトップインタフェースを提案する.このシステムでは,テーブル型のタッチパネル上に役者を模した人形や舞台装置の模型を配置して小型の舞台を構築し,ユーザに対して舞台のイメージ支援を行う.各ユーザはこの小さな舞台空間上で演出を詳細に再現出来る.また,使用しているテーブルトップインタフェースの特性である操作者識別を活かし各ユーザの役割ごとにシステムからのフィードバックを変えることで,テーブルトップ上での複数人による同時な操作を効率的に支援する.さらに,考案した演出をシステムに保存して CUE シートの自動生成を行うことが出来る.評価実験から,提案システムの演出プランニングにおける有用性を確認した.
著者
井上 智洋
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.12, pp.659-662, 2016-12-25 (Released:2017-02-25)

近い将来、人工知能 (AI) が普及し、社会や人間に大きな影響を及ぼすとの見方が出てきている。現在普及し始めている「特化型人工知能」から今後現れる「汎用人工知能」への移行にともなって、第1 次産業革命に匹敵するような経済成長の大分岐が形成され、雇用や働き方に大きな変化が生じるだろう。本稿では、この汎用人工知能が社会に与える影響について、主に経済的な側面から論じていく。
著者
市川 有二郎 井上 智博 大橋 英明 渡邉 剛久 石井 克巳 内藤 季和
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.152-165, 2015-05-10 (Released:2015-09-04)
参考文献数
52

2013年11月4日に千葉県市原市内の一般環境大気測定局で、PM2.5質量濃度の日平均値が「注意喚起のための暫定的な指針」で定める70 μg/m3を超過する可能性があったため、全県を対象に千葉県として初めて注意喚起を行った。なお当該注意喚起は、東日本でも初めての注意喚起となったことから、全国的に注目を集めた。本報では常時監視項目の観測結果、PM2.5成分分析の測定結果および気象状況の解析結果から高濃度となった要因について解析を行った。11月3日から大気環境は酸化雰囲気であったことから、NH4NO3の高濃度化に繋がったと考えられる。さらにレボグルコサン、水溶性有機炭素、Char-ECの測定結果から、バイオマス燃焼も大きく影響していたことがわかった。また、無機元素の測定結果からは、注意喚起日のV、Niの濃度が相対的に高い結果であったことから、重油燃焼による寄与も示唆された。気象状況については11月3日夜に確認された気温逆転層によって、大気汚染質が拡散されにくかったことおよび湿度の影響によるPM2.5質量濃度の上昇に加え、風の収束域により濃縮された汚染気塊が市原市内に移流したと推測された。以上のように、バイオマス燃焼、重油燃焼の人為起源による影響に加えてNH4NO3の高濃度化がPM2.5質量濃度の上昇に寄与したと考えられた。これらの影響を含んだ汚染気塊が拡散されず局所的に収束する気象条件も相重なったことが、11月4日の注意喚起に至った要因であると推定された。