著者
伊藤 嘉余子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.82-95, 2010-02-28 (Released:2018-07-20)

本研究の目的は,児童養護施設入所児童を対象に行った,施設生活に関するインタビューの結果から,子どもたちが児童養護施設や職員に求めている生活の質,支援,役割について明らかにすることである.C児童養護施設(A県B市)の入所児童10人を対象に1対1の半構造化面接によってインタビューを行い,データを分析した.その結果,多くの子どもが,実家庭とは異質な施設生活に満足や喜びを感じており,物的環境の充実が子どもに与える影響の大きさが明らかになった.しかし,その一方で,施設生活の質の高さに満足すると同時に,多くの子どもが「できれば実家に帰りたい」という葛藤を持ち続けている実態も明らかとなった.また,子どもの感じる施設生活への満足度の高低には,子ども自身が施設内の人間関係をどうとらえているかが影響していることが明らかとなり,人間関係構築やコミュニケーションにおける職員の資質や力量が重要となることが分かった.さらに,多くの子どもが施設入所前/入所時の不安について語っており,アドミッション・ケアの充実の必要性が示唆された.
著者
伊藤 海 村山 洋史 田口 敦子 大森 純子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.860-870, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
33

目的 高齢化の進展に伴い,心身機能の低下により日常生活に支援を必要とする高齢者が増加していることから,近年,生活支援の担い手となる地域住民の拡充が求められている。中でも,生活支援の担い手となり得る地域住民として,高齢者が携わることに期待が寄せられている。本研究では,生活支援の担い手への意向を持つ高齢者の特性を,細分類した生活支援内容ごとに明らかにすることを目的とした。方法 対象者は吉島地区に在住し,要介護1~5の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者全数である801人とした。自治会長および隣組長による全戸訪問にて,調査票を配布・回収した。データの収集期間は2018年6~7月であった。調査項目は,基本属性,健康状態,近隣との社会関係,8種類の生活支援内容であった。分析は,実施意向の有無を従属変数,基本属性,健康状態,近隣付き合いの程度の各変数を独立変数とするロジスティック回帰分析を支援内容ごとに行った。結果 分析対象者は586人であった(有効回答率73.2%)。実施意向に関連していた特性は,性別では,女性であるほど「話し相手・困った時の相談相手」,「食事の準備や掃除・洗濯の手伝い」,「気軽に参加できる集まりやイベントに誘う」への意向が強く,「庭仕事や畑作業などの外回り作業」,「雪かき・雪下ろし」への意向が弱かった。暮らし向きでは,よいと回答した人ほど「通院の送迎や付き添い」への意向が弱く,最終学歴が高いほど「話し相手・困った時の相談相手」,「見守り・安否確認」への意向が強かった。手段的自立評価が高いほど「話し相手・困った時の相談相手」,「見守り・安否確認」,「気軽に参加できる集まりやイベントに誘う」,「買い物の同行・代行」への意向が強かった。また,「食事の準備や掃除・洗濯の手伝い」「庭仕事や畑作業などの外回り作業」以外の6種類の支援内容では,近隣との付き合いの程度が密である者ほど実施意向が有意に強かった。結論 支援内容によって意向する高齢者の特性が異なることが明らかになった。これらを考慮した上で,担い手の募集や仲介を行うことにより,生活支援への担い手の拡充が期待できる。
著者
中田 耕太郎 新谷 篤彦 伊藤 智博 中川 智皓
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>This paper deals with response behavior and rollover resistance of heavy duty truck in cornering. We focus on the connection type vehicle that consists of one tractor and one trailer. The vehicle is expressed by 7 nonlinear equations of motion and 2 constraint conditions of connecting point. The equations include the nonlinear property of the tire lateral force. We use the rate of decrease of wheel load as the index for judging rollover. We perform parameter study about the eccentric distance of center of gravity, the running speed and so on, and investigate the degree of the risk of rollover.</p>
著者
伊藤 河聞 畠山 祥 藤賀 樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.F14, 2020 (Released:2020-09-12)

本発表の目的は、タイ北部に暮らすムラブリを事例に、個人の自律性と他者との協同性をめぐる理念と実践を明らかにすることである。さらに、定住化を契機とする社会関係の質的変化を念頭に、ある程度の経済力や政治力を持つことで、図らずも従来の平等主義的な社会関係を崩しうる者の苦悩を明らかにすることである。
著者
酒井 健夫 伊藤 琢也 鈴木 由紀
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

南米では吸血コウモリが狂犬病ウイルス(RABV)を家畜やヒトに伝播している。しかし、分子進化学的な解析から、吸血コウモリは、食虫コウモリであるTadarida brasiliensisからRABVが伝播され、その後、南米に生息する吸血コウモリの集団間で感染が拡大した可能性が示唆されている。本研究は吸血コウモリ由来RABVの詳細な疫学に用いるRABVゲノムの全長塩基配列の決定を、次世代シーケンサー(NGS)を用いて進めている。しかし、NGSによる解析の過程で全長の塩基配列を決定することができない検体も存在したため、サンガー法によりシークエンスを行い、今年度は新たに4検体の全長配列を決定した。さらに、吸血コウモリ由来RABVと遺伝的に近縁な食果コウモリ由来RABVゲノムの全長配列の決定も行った。また、これまで9組のプライマーペアを用いたマルチプレックスPCRのアンプリコンシークエンスを行っていたが、より簡易に塩基配列を決定する為にプレイマーペアの再検討を行い、4組のプライマーペアを用いたアンプリコンシークエンスに切り替えて、ブラジルの広範囲の地域で採取された吸血コウモリ由来RABVのライブラリ調整を進めた。さらに、吸血コウモリおよびTadarida brasiliensisから分離されたRABVのN遺伝子領域を用いて分子系統樹解析を行った。その結果、Tadarida brasiliensisは北米から南米にかけて広範に分布しているが、吸血コウモリは、北米と中南米に分布する2つのT. brasiliensisの集団からRABVが伝播され、その後、RABVは中米から南米にかけて南下しながら吸血コウモリに拡散し、その過程で食果コウモリ(Artibeus属)にもRABVが伝播したことが明らかになった。
著者
伊藤 寛祥
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

本研究ではソーシャルネットワークの変化を長期的に予測できる数理モデルの確立を目指す.基本的なアイデアとして,興味関心が類似する人の間には友人関係が生まれ,友人関係から興味関心が伝搬するという,人々の興味関心と人間関係の相互作用に着目し,これらを確率的な生成モデルとして捉えることでソーシャルネットワークを長期的に予測する手法を構築する.本研究の確立により,情報推薦によるSNSの使用感の向上や,ものごとに対する社会的な反応および市場規模を予測できるようになる.
著者
伊藤 豊太[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1942-02
著者
曲 寧 伊藤 正裕 善本 隆之
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

化学療法や放射線療法などの抗癌治療の副作用として精子形成障害が起こることがある。近年、抗癌治療副作用の軽減に漢方薬が注目されているが、抗癌治療後の精子形成障害の改善効果に関する報告は未だ少ない。申請者らは、抗癌剤投与或いは放射線照射後のマウス精子形成障害に対する牛車腎気丸の治療効果を調べた。抗癌剤投与や放射線照射後のマウス精子形成障害に牛車腎気丸が共に有効な治療効果をもつことが明らかとなった。また液性因子や細胞因子への影響について明らかにし、牛車腎気丸による精子形成障害の改善作用機序を明らかにした。補中益気湯および八味地黄丸による精子形成障害の改善効果も比較検討した。
著者
木田 知宏 伊藤 陸 藤本 将志 大沼 俊博 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.34-41, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
11

In patients with musculoskeletal and central nervous system diseases, even if the sitting and standing postures can be maintained to some extent, the instability of the hip joint and pelvic area may limit the muscle activity when the lower limbs are raised. By presenting electromyographic studies and images of the hip joint and pelvis during the above-mentioned movements, this study introduces points of clinical evaluation and treatment.
著者
船山 さおり 伊藤 加代子 濃野 要 井上 誠
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.41-47, 2019

近年,味覚障害患者が増加している.味覚外来における治療効果を検討することを目的として臨床統計を実施し,亜鉛補充療法の効果について調査した.対象は2012年12月より2017年12月までの5年間に当院味覚外来を受診した患者172名(男性56名,女性116名)とした.患者の既往歴,服用薬剤,診断について単純統計を行った.さらに亜鉛製剤投与による自覚症状の改善に関わる因子を多変量解析により探索した.患者の平均年齢61.1歳であった.亜鉛欠乏性および特発性と診断された99名に亜鉛製剤を処方した.自覚症状の改善があった者は82.8%であった.ロジスティック回帰分析の結果,自覚症状改善に関わる因子は,病悩期間や亜鉛/銅(Zn/Cu)比であることが示された.
著者
伊藤 健一 野村 龍太郎 小林 一隆
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.43-52, 1973-01-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9

X線テレビあるいは電子顕微鏡といった, 本来白黒の情報しかない映像にその濃淡に応じて着色するカラーディスプレイのひとつとしてスライス方式のものを完成した.本又ではその着色原理および使用したスライス回路, カラーマトリックス, ビデオフィルター, マグニファイア回路シェーディング補正回路などにつき説明し, 最後に本方式の誤差に言及した.