著者
伊藤 崇志
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.6-8, 2016

サルコペニアは老化とともに起こる筋力や筋肉量の低下を指し、超高齢化社会においてその予防や治療の開発のニーズが高まっている。我々は以前報告したようにタウリントランスポーター欠損マウスにおいて、骨格筋中のタウリンの欠乏とともに骨格筋老化が促進されることを見出しており、タウリンがサルコペニアに対して有効な物質であることが示唆される。タウリン欠乏と骨格筋老化促進との関連性を明らかにするために、トランスクリプトーム解析を行った。本稿では、トランスクリプトーム解析およびそのデータに基づくパスウェイ解析の結果から明らかになったタウリンの骨格筋における役割について紹介する。
著者
伊藤 大河 山本 利一
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.107-116, 2016

When killing notice videos of Japanese hostage by ISIL has been published in the January 20, 2015, a photomontage of Japanese Twitter user has processed the part of the video, relentlessly to Twitter account you think that the ISIL persons concerned was sending. Had been highly regarded abroad despite in Japan is a critical evaluation of this case. It was carried out re-examination of educational content related to information ethics in response to this case. And it is proposed to be added to educational content on SNS for convenience of anonymous communication. Specifically, the use of a SNS normally, some degree of anonymity is ensured. However, it is no longer anonymous to the moment the post content is may the manners violations and criminal acts, it is a learning content that could be personally identifiable.
著者
伊藤 千尋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

1 はじめに<br> ザンビアージンバブウェ国境に位置するカリバ湖は、1950年代にダム建設にともない誕生した人造湖である。カリバ湖では、カペンタ (<i>Limnothrissa miodon</i>)と呼ばれるニシン科の淡水魚を捕る漁が行われている。アフリカの内水面漁業が概して小規模で、労働集約的であるという認識とは異なり、カリバ湖のカペンタ漁は企業的・産業的で、資本集約的に営まれてきたことに特徴がある。これには、入植型植民地支配を経験した南部アフリカの地域性が関わっている。<br> 近年、ザンビアにおけるカペンタ漁については、漁船数の大幅な増加、漁獲量の減少といった問題が指摘されている。本発表では、カペンタ漁に関わるアクターの特徴や彼らを取り巻く社会・経済環境を明らかにし、漁船数の増加を引き起こしている背景を考察する。<br><br>2 方法<br> 発表者はザンビア南部州シアボンガ、シナゾングウェを対象として、2010年から断続的に現地調査を行なってきた。シアボンガおよびシナゾングウェは、カペンタ漁の拠点となっている地方都市である。シアボンガは南部州シアボンガ県の中心であり、首都ルサカから約200キロ南に位置している。南部州シナゾングウェ県シナゾングウェは、ルサカから約330キロ南西に位置している。<br> カペンタ漁が開始された初期の動向について明らかにするため、文献調査にくわえてシアボンガおよびシナゾングウェにて1980年代から漁を行っている事業者や造船業者に対する聞き取り調査を行なった。また、現在のカペンタ漁の特徴を明らかにするために、カペンタ漁に携わる事業者、漁師、造船業者に対する聞き取り調査を行なった。<br><br>3 結果と考察<br> ザンビアにおけるカぺンタ漁は、1980年代に白人移住者によって開始された。カペンタ漁はエンジン付きの双胴船、集魚灯を用いた敷網漁により行われる。そのため、初期費用が高く、黒人住民にとっては参入が難しく、漁師や溶接工として雇われるという関わりが主であった。しかしながら、2000年以降は、黒人によるカペンタ漁への参入が増加し、特に2000年代の後半以降、爆発的に事業者・漁船数が増加していることが明らかになった。<br> この背景には、様々なレベルの社会・経済的状況が絡み合っていた。まず、都市・農村住民による副業の展開、生計多様化といった個人レベルの生計戦略が挙げられる。事業者らの多くは、その他の経済活動にも携わっており、カペンタ漁のみに従事している者は稀であった。<br> また、彼らの参入を促進しているのは、造船費用が低下したことである。白人の造船業者のもとで雇用されていた黒人たちが、近年では次々と独立している。さらには、中国との貿易が増加するなか、ザンビアには安価な中国製のエンジンや部品が流入しており、造船はこれまでより低価格で行えるようになった。また、ローンが比較的容易に組めるようになったことも関係していた。<br> 爆発的に事業者数や漁船数が増加するなか、「盗み」や「許可証の不保持」が重大な問題として表出している。このような状況は、政府による管理・モニタリングの不十分さが主要因として働いていることは明らかである。それに加えて、本発表では、アフリカ農村・都市の生存戦略として肯定的に評価されてきたブリコラージュ性や多就業性といった個々の主体の流動的な経済活動の選択、その背景にある政治・経済環境の変化が、資源の過剰な利用に結びついている点について議論したい。
著者
金銅 誠之 江口 徹 伊藤 由佳理 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 長尾 健太郎 向井 茂 島田 伊知朗 小木曽 啓示 吉川 謙一 宮本 雅彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

いくつかの方程式の共通零点の集まりとして定まる図形(代数多様体)の構造や対称性および図形のある種の分類(モジュライ空間)を行うことが代数幾何の大きな問題である。楕円曲線の2次元版としてK3曲面と呼ばれる代数多様体が19世紀に発見され、現在、数学および数理物理でも興味を持たれている。本研究において、K3曲面のモジュライ空間の構造の解明や、K3曲面の対称性を表す自己同型群の記述などの成果を得た。またK3曲面の対称性とマシュー群と呼ばれる有限単純群との間の不思議な関係を示唆するマシュームーンシャイン現象と呼ばれるものが関心を集めているが、この方面での研究においても成果をあげた。
著者
長見 祐暉 長見 祐暉 牛山 あやか 伊藤 優也 平敷 友亮 山口 祐也 書と茶を介した談話空間のデザイングループ
出版者
京都大学デザイン学大学院連携プログラム
雑誌
デザイン学論考 = Discussions on studies of design
巻号頁・発行日
no.2, pp.20-31, 2014-11

本論考は2014年前期に開講されたFBL/PBL「書と茶を介した談話空間のデザイン」のプロジェクトについての報告を行い、そのプロセスや結果について論 じたものである。このプロジェクトは、喫茶・談話の場としてのセミオープンな 空間であるカフェの内装やゾーニング・書(電子書籍を含む)と茶に関する情報 の共有を行う情報サービスデザイン、ICTを用いたインタフェースデザインを 考慮し、新たな談話空間をデザインすることを目的として行われた。 6月29日に行われた中間発表を境に、最初の2ヶ月でアイデア出しを行い、8月17・18日にうめきたのグランフロント大阪にあるCafé Labで提案システムの実 装に至った。一つの完結したプロジェクトの成果として、本論考で成果報告さ せていただく。
著者
山名 正夫 伊藤 光
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.23, no.255, pp.251-257, 1975-04-05 (Released:2009-05-25)
参考文献数
2

The generation of a kind of circulatory flow in the separated-flow region of a stalled sweptback wing was noticed. Observation on the circulatory flow was made for a model airplane by using evaported-gas-oil smoke. The presence of a strong lateral outward flow was observed in the considerable range behind the trailing edge of wing-root portions. The effect of the angle of sweep back and taper ratio of a wing on the intensity and direction of the circulatory flow were also investigated.
著者
宮本 英揮 長 裕幸 伊藤 祐二 筑紫 二郎 江口 壽彦
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.86-91, 2009-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
14
被引用文献数
5 2

本研究では,静電容量式水分センサー・EC-5 (Decagon Devices 社)の出力電圧(V ) に及ぼす間隙水の電気伝導度(σw)の影響を実験的に評価し,任意のσw に対応し得るセンサーの校正方法を検討した.EC-5 は,従来の5 MHz 型静電容量式水分センサーに比べ,σwの影響を受けにくいセンサーである.とりわけ,θ ≤ 0.15 m3 m-3の低水分域では,σwの大小によらず,メーカーが推奨する校正式に基づき,V 値から体積含水率(θ) を決定可能である.しかし,0.15 m3 m-3を超える水分域では,同一のθを持つ土壌であっても,測定されるV 値はσwによって大きく異なるため,V 値からθを適切に評価するためには,σwに関する校正式の修正が必要であることが明らかになった.本研究では,σwの影響を考慮したセンサーの校正方法として3点校正法を提案した.同法を適用するには,σwが既知であることが前提となる.そのため,σwが大きく動的に変化する環境下では,EC-5の単独利用で高精度の水分計測を実施できないものの,σwの変化量が小さい場合に限れば,同法で算出した校正式に基づき適切に水分計測を実施可能である.飽和水分条件におけるV 値のみから,様々なσwの土壌の校正式を即座に得られる3点校正法は,θの異なる土壌に対して実施する従来の校正に比べ,はるかに簡便であると考える.本研究では,数ある土壌および静電容量式水分センサーの中の一条件における検討である.よって,今後は,他の土壌やセンサーについても3点校正法の有効性を検討するとともに,σwの動的環境下における高精度水分計測法の確立を試みる予定である.
著者
伊藤 江利子 吉永 秀一郎 大貫 靖浩 志知 幸治 松本 陽介 垰田 宏
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.37-43, 2002-12-25 (Released:2017-04-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

関東平野におけるスギ林衰退の原因を解明するため,34地点の固定調査地でスギ林衰退度と土壌条件(母材,堆積様式,土性,表層0-8cm・次表層8-16cmの容積重,表層土壌孔隙率,有効土層深)との関係を検討した。衰退度は砂土が卓越する低地で高く,火山灰や堆積岩を母材とする埴壌土が卓越する台地および丘陵地で低い。容積重および孔隙率は衰退度と相関が認められ,表層土壌の物理的特性がスギ林衰退に影響を与えていた。また,表層土壌の堅密化の影響が有効土層深の深さによって緩和されることが示唆された。これらの検討の結果,強度のスギ林衰退は,土層厚が浅く,堅密な土壌で発生していることが明らかにされた。また,寺社境内では踏圧のため,表層が局所的に堅密化しており,そのような場所では極度の衰退が単木的に認められた。人為による土壌の物理性の悪化が,スギ衰退を助長していると考えられた。
著者
相澤 州平 伊藤 江利子 酒井 佳美 小野 賢二
出版者
国立研究開発法人 森林総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

窒素飽和下の高密度人工林における炭素蓄積の実態解明と間伐の影響予測のため、長期間の施肥により高窒素負荷の環境下にある高密度の壮齢トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツ人工林において炭素窒素の蓄積量と循環量を調査し、間伐を行って成長量の変化を調べた。トドマツとアカエゾマツでは施肥により初期成長が促進されて蓄積が増大した。壮齢林段階では施肥による成長促進は認められなかった。また間伐は残存木の成長を増加させたが、高窒素負荷による成長促進効果は認められなかった。土壌pHとリターフォール量を変数とするモデルを開発し、高窒素負荷環境下の土壌炭素蓄積量増加速度は、間伐後は対照区と同等の水準に低下すると予測した。
著者
赤塚 真依子 高山 百合子 Edwin MUCHEVBE 伊藤 一教 渡辺 謙太 桑江 朝比呂 源 利文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_943-I_948, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
10

海草場の変化を捉えるモニタリング方法として環境DNAの活用を目指し,海草量の季節変化に伴うeDNA量の変化を把握することを目的に,水槽に生育するアマモを対象に15ヵ月の生育観察と環境DNA分析を実施した.また,実海域でのモニタリングに向けて,潮汐による流れの変化がある環境下で,季節変化の差に対して採水地点や同時刻に採水した差がどの程度であるのか調査した.15ヵ月のモニタリングでは,環境DNA量が夏に高い値を示し秋に低下する周期性を確認でき,海草が流出する時期に高くなる可能性が明らかになった.実海域調査では,同時刻に採水した1Lの分析で検出の有無が混在する結果となったが,採水量や分析量を増量し,阻害影響を低減することで定量下限を超えた値の検出が可能となり,実海域調査への適応が期待できる結果を得られた.
著者
伊藤 敬雄 大久保 善朗
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.268-276, 2011-07-15 (Released:2015-05-20)
参考文献数
21

日本医科大学付属病院高度救命救急センターに自殺未遂もしくは自傷行為で入院した患者を対象に,その特徴,特に未遂手段・自傷手段を調査した。地域特性を考慮しなくてはならないが,当センターに入院した自殺未遂者・自傷者では,向精神薬の処方例がその85%を超えていた。未遂者の53%,自傷者の76%が向精神薬を未遂・自傷手段として過量服薬し,その割合は女性に多かった。さらに未遂者の45%,自傷者の48%がアルコール乱用もしくは依存症の診断に該当し,その割合は男性に多かった。この結果から,われわれは救命救急医療の場に搬送される未遂者,自傷者に対して,再自殺予防の見地から性別を考慮した向精神薬とアルコールによる精神疾患への早期介入の必要性を提案した。これらの疾患は,それ自体が自殺のハイリスク因子であり,また,自殺企図のハイリスク因子である気分障害,統合失調症そしてその近縁疾患に共存することに注意を払う必要がある。
著者
伊藤 修一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.585-598, 2001-10-01
参考文献数
33
被引用文献数
9

本稿では,千葉ニュータウンの戸建住宅に転入した世帯の,夫婦の居住地選択への関わり方の解明を試みた.対象世帯の多くは,「夫が外で働き,妻が家庭で家事や育児」を行う,典型的な郊外居住の核家族世帯である.これらの世帯は,住宅取得が困難な1990年代前後に転居を決定し,住宅の質や価格の面で公的分譲主を信頼していた.用いた住宅情報は,公的物件の情報が得やすい媒体に偏り,公的物件供給の地域的な偏りも住宅探索範囲を限定している.また,夫婦それぞれの居住地選択の基準は性別役割分業に影響を受けており,転居後も継続就業する妻のいる世帯では,妻の就業地の近くに候補地を設定するなど,住宅探索範囲が就業状況によって異なる.ただし,現住地の選択には抽選が制約となっており,選択結果に対する不満は予算の都合により生じている場合が多い.
著者
出口 剛司 赤堀 三郎 飯島 祐介 伊藤 賢一 渡會 知子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、社会学の公共性を実現する条件を理論及び学説史の研究によって明らかにすることにある。上記課題を実現するために五つの論点の考察した。1.ヴェーバー「価値自由」テーゼの批判的継承、2.批判的社会理論とN.ルーマンの社会システム論の再検討、3.ドイツにおける国法学、公共性研究とフランスの中間集団論との比較、4.ドイツにおける社会理論と法学の関係についての考察、5.ネット時代の個人化と社会的連帯の変容の解明である。その結果、理論が自己の正当化実践を行うことを通して、また社会的現実を別様に記述することにより、政策課題を設定=再設定することで通して、社会学の公共性が実現しうるという結論を得た。
著者
三田 俊夫 酒井 明夫 上田 均 藤村 剛男 中村 正彦 伊藤 欣司 坂本 文明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-989, 1993-09-15

【抄録】 憑依症状群(キツネ憑き)を中心とするfolie à troisの2例を報告した。発端者はいずれも精神分裂病であり,「家」のうちでは中心的役割を果たし,共同体の文化的脈絡にそって生活していくべき立場にあった。1例は山村,他例は漁村が舞台となっているが,いずれにおいても発端者と継発者とは,地域の民間信仰と俗信を絆として互いの緊密な結びつきを保ち,それを土台に互いの病像を支持し合い,強め合うという傾向が顕著に認められた。従来,本病態の発生には,外部とは隔絶された,長期にわたる同居の期間が必要とされてきたが,本例では,地域と家庭双方における民間信仰の共有が,いわば心性という次元で同居と同様の状況を作り出していると考えられる。これらのことより,本病態の発生因として,従来重要視されてきた遺伝的近接と環境的近接に加えて,地域の伝統風俗や習慣に土台を持つ,信仰,思想上の近接が重要な役割を果たしうることが示唆された。