著者
伊藤 文人
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.137, pp.1-23, 2017-09

本稿は, ポプラリズム運動を牽引したレイバー・ガーディアンズ(Labour Guardians:労働党の影響力の強い保護委員会)による人道的救貧行政(the Humane Administration of the Poor Law)をこの間収集した新資料を基に検討することを通じて,彼らの実践思想の内実にアプローチするものである. 本稿では,改正救貧法(1834 年)に規定されたガーディアンズの役割を確認した上で,1920 年代にレイバー・ガーディアンズによって実施された救貧行政とソーシャルワークの実相に焦点を当てる.その際に彼らの政敵であった慈善組織協会(COS)のそれと比較しながらその特徴を考察する.また彼らの設定した救貧法上の救済基準(スケール)の運用実態にも触れつつ,彼らのストリート・レベルの政策思想についても検討する. 検討の結果,レイバー・ガーディアンズの救貧行政は,遵法精神(コンプライアンス)の徹底を通じたステイクスホルダーへのアカウンタビリティ(説明責任)の確立と,財政事情が厳しい中でもその政策思想を現実化しようとした救済基準の設定と柔軟な運用を行っていたことが明らかになった.
著者
坂井 優美 木村 智博 福田 誠 橋本 治 岡田 勝也 伊藤 真理 川原 潮子 岩波 基
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.31-44, 2010 (Released:2011-09-14)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2 1

兵庫県南部地震以降,廃棄物学会を中心に,地盤工学領域では応用地質学会や日本粘土学会等が災害廃棄物の調査を行うようになった.本研究では2007年新潟県中越沖地震を例に,廃棄物行政の実態を俯瞰し,住民に求められる危機管理の方向性を現地調査やアンケート等で明らかにした.また,東京都等の震災廃棄物対策を参照しつつ,地盤材としての有効性を検討した.この一連の流れで,徹底した分別回収がなされたこと,家族や住民間の協力で非常時の自主防災の成否につながったこと,膨大な廃棄物でも適正処理により環境影響を低減出来る可能性が筆者らの調査で示唆された.さらに廃棄物に内在する重金属にも言及し,新潟県内海岸部での調査結果や処理技術の現状も参考のために概観した.
著者
濱田 孝喜 貞清 正史 坂 雅之 竹ノ内 洋 伊藤 一也 蒲田 和芳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1577, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】野球では外傷よりも野球肩などスポーツ障害の発生率が高いことが知られている。近年,肩後方タイトネス(PST)に起因する肩関節内旋可動域制限の存在が示され,PSTと投球障害肩発生との関連性が示唆されたが,高校野球においてPSTおよび肩関節可動域制限の予防策の実施状況は報告されていない。また,予防策実施と肩障害発生率との関係性は示されていない。そこで本研究の目的を高校野球において,肩関節可動域制限の予防策の実施状況および予防策実施と肩関節痛の存在率との関連性を解明することとした。【方法】長崎県高等学校野球連盟加盟校全58校へアンケート用紙を配布し,アンケート調査を高校野球指導者と選手に実施した。指導者には練習頻度・時間,投球数に関する指導者の意識調査,選手には肩障害の有無・既往歴,ストレッチ実施状況・種類などを調査した。調査期間は平成25年1月から3月であった。【倫理的配慮,説明と同意】アンケート調査は長崎県高校野球連盟の承諾を得た上で実施された。アンケートに係る全ての個人情報は調査者によって管理された。【結果】1.選手:対象58校中27校,673名から回答を得た。対象者は平均年齢16.5歳,平均身長170.1cm,平均体重66.1kgであった。アンケート実施時に肩痛を有していた者は全体の168/673名(24.9%)であり,肩痛の既往がある者は全体の367/673名(54.5%)と約半数にのぼった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は147/167名(88%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は422/490名(86%)であった。投手のみでは,肩痛を有する者が22/133名(16.2%),肩痛の既往は82/136名(60.3%)であった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は20/22名(90.9%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は107/111名(96.4%)であった。2.指導者:58校中24校,33名から回答を得た。練習頻度では,週7日が9/24校(38%),週6日が13/24校(54%),週5日が8%(2校)であった。練習時間(平日)では,4-3時間が14/24校(58%),2時間以下が9/24校(38%),回答なしが1校であった。練習時間(休日)では,9時間以上が2/24校(8%),7-8時間が8/24校(33%),5-6時間が9/24校(38%),4-3時間が5/24校(21%)であった。投球数(練習)では50球以下が3%,51-100球が24%,101-200球が24%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。投球数(試合)では50球以下が0%,51-100球が9%,101-200球が42%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。3.指導者意識と肩痛:投手の練習時全力投球数を制限している学校は12校,制限ない学校は12校であった。全力投球数制限ありの投手は45名で,肩痛を有する者は8/45名(18%),肩痛が無い者は37/45名(82%)であった。全力投球数制限なしの投手は60名で,肩痛を有する者は11/60名(24%),肩痛が無い者は49/60名(75%)であった。【考察】肩関節痛を有する者は全体の24.9%,投手のみでは16.2%であり,肩痛の既往歴が全体の51.5%であった。ストレッチ実施状況は肩痛の有無に関わらず約80%の選手が実施していた。肩関節可動域制限に対してスリーパーストレッチ,クロスボディーストレッチによる肩関節可動域改善効果が報告されている。本研究ではストレッチ実施の有無を調査しているためストレッチ実施方法の正確性は明らかではないが,ストレッチのみでは投球障害肩予防への貢献度は低いことが考えられる。障害予防意識に関して練習時・試合時共に制限をしていない指導者が48%であった。高校生の全力投球数は1日100球以内と提言されているが,部員が少数である高校などの存在は考慮せざるを得ない。練習時全力投球数を制限している者のうち肩痛を有する者は18%,制限の無い者のうち肩痛を有する者は24%であった。1試合または1シーズンの投球数増加は肩障害リスクを増大させると報告されている。アンケート調査を実施した期間はオフシーズンであり,指導者の投球数に関する意識が選手の肩障害に関与する可能性があると考えられる。以上より,高校野球選手において一定の効果があるとされるストレッチを約8割の選手が実施していたにも関わらず肩痛の存在率は高かった。この原因としてストレッチ方法の正確性及びオーバーユースや投球動作など他因子との関連が考えられる。今後はこれらの関係性を明確にし,障害予防方法の確立が重要課題である。【理学療法学研究としての意義】スポーツ現場において障害予防は重要課題である。これまで障害予防方法の検証はされてきたが,現場ではその方法が浸透していないことが示唆された。医学的知識や動作指導が可能な理学療法士の活躍がスポーツ現場での障害予防に必要である。
著者
伊藤 慶明 木山 次郎 関 進 小島 浩 張建新 岡 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.73, pp.17-22, 1995-07-20
参考文献数
17
被引用文献数
18

本稿では、人間と計算機の新しい対話形態,インタフェース・システムの提案を行う。本システムでは、マルチユーザによる音声とジェスチャのマルチモーダルな入力が可能で、これらの認識技術を統合することによって音声とジェスチャの同時かつ相補的な理解を実現する。さらに、システムの理解内容を合成音声と画像を通してリアルタイムにかつ漸次的にユーザにフィードバックすることによって、複数の人間と計算機との知的で、かつ豊かなコミュニケーションを実現する。本方式は、一種の思考の支援と考えることもでき、これを次世代のインタフェースと位置付ける。我々は、このインタフェースを実現するために、frame?wise and realtime spotting技術を用いて、複数話者による音声とジェスチャの同時認識/理解リアルタイム統合インタフェースシステムを試作した。This paper proposes a new type of dialog system, or interface system between men and computers. This system allows multi-modal input of speech and gesture by multiple users, and enables simultaneous and complimentary understanding for speech and gesture by integrating both recognition technologies. It realizes intellectual and affluent communication between multiple users and computers by real-time and gradual feedback of understanding state in the system, using synthesis speech and graphics image. The system can be thought as a novel interface system as it gives users a sense of reality and unity. We realized such a real-time interface system that integrates speech understanding and gesture understanding by multiple users.
著者
佐々木 長市 江成 敬二郎 小関 恭 伊藤 豊彰 中山 正与
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.233-241,a2, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

農業用水の水質浄化 (特に親水公園に使用を想定) に, 産業廃棄物としてその処理対策に苦慮しているカキ殻を用い試験をした。実験は水質の悪化している農業用水を循環させ水質の経日変化を調査した。その結果, 以下のような知見が得られた。1) pHの値は全観測期間8前後, 同じく溶存酸素濃度は5mg/L以上となった。浮遊物質濃度は数日で20mg/Lから2mg/Lへと低下した。生物化学的酸素要求量の値も8mg/Lから1週間ほどで4mg/L前後まで低下し, 30日で1mg/Lまで低下した。電気伝導度の改善効果は認められなかった。2) 大腸菌群数は, 5,000MPN/100mLの値が実験開始後数日で1,000MPN/100mLまで低下し, その後もさらに低下する傾向を示した。3) 全窒素濃度は, 1.4mg/Lの値から10日ほどで半分以下の濃度の0.6mg/Lとなり, その後も減少していく傾向となった。特に, NH4-Nの減少が大きかった。全リン濃度は, 初期にカキ殻からの溶出がみられ濃度が上昇し, 10日程で0.20mg/Lになったが, その後は低下し20日目で0.1mg/L, 30日目では0.05mg/L前後まで低下した。4) 大腸菌の減少傾向がみられ衛生面からの浄化が期待される。なお, 事例調査により, カキ殻の溶出による体積減少は, 年5%程度で機能維持のためには7年ほどで新しいカキ殻の補充が必要と判断された。以上の結果より, カキ殻は農業用水の浄化に有用であると判断された。
著者
新美 真 伊藤 孝行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1959-1967, 2015-10-15

本研究では,多腕バンディット問題を拡張した予算制限多腕バンディット問題を取り扱う.多腕バンディット問題とは,複数台あるスロットマシンをプレイするギャンブラを模した問題である.予算制限多腕バンディット問題は多腕バンディット問題の拡張の1つで,コストと予算による制約が存在する.既存の予算制限多腕バンディット問題では静的な報酬確率分布のみを仮定しており,動的な報酬確率分布については想定していない.本研究では予算制限多腕バンディット問題および予算制限バンディットアルゴリズムを拡張し,動的な報酬確率分布を想定する.予算制限多腕バンディット問題の拡張にともない,既存の予算制限バンディットアルゴリズムを拡張したD-KUBEおよびSW-KUBEを提案する.動的な報酬確率分布による問題空間を設定し,既存手法であるKUBEと提案手法であるD-KUBEおよびSW-KUBEとの比較実験を行う.実験結果から動的な報酬確率分布において,提案手法であるD-KUBEおよびSW-KUBEは既存手法であるKUBEと比較して改善されることを確認する.
著者
伊藤陽 小濱 真樹 佐々 政孝
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG14(PRO27), pp.30-42, 2005-10-15

SSA 形式(静的単一代入形式)は,φ 関数という仮想的な関数を用いることで,変数の定義を字面上1 カ所だけになるように表した中間表現である.しかし,SSA 形式を用いたプログラム中に現れるφ 関数が仮想的であることから,SSA 形式から直接目的コードを出すことはできない.そこで,目的コードを出す前段階として,φ 関数を消去して通常形式に戻すことが必要である.これをSSA 逆変換と呼ぶ.SSA 逆変換には主なアルゴリズムが2 つある.以前から用いられているBriggs らのアルゴリズム,およびこれとは異なるアプローチによるSreedhar らのアルゴリズムである.SSA 逆変換アルゴリズムはそれぞれ異なった特徴を持つが,これらを実際に比較した研究はほとんどなされていない.このため,SSA 形式を最適化コンパイラに採用するにあたって,どのSSA 逆変換を用いるかの選択の指標となるものがなかった.そこで本研究では,Briggs らとSreedhar らのアルゴリズムの長所と短所を明確にした.また,Briggs らのアルゴリズムに対する改良案を提案した.さらに,Briggsらのアルゴリズムとその改良案,Sreedhar らのアルゴリズムの3 つを実装し,同一のコンパイラ上で,SPEC ベンチマークを用いて種々の条件を変えながら比較した.本研究により,Briggs らの方法ではコアレッシングすることのできないコピー文が数多く挿入されること,実証的にはSreedharらの方法が最も優れていること,が判明した.
著者
堀田 広満 及川 哲郎 伊藤 剛 花輪 壽彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.722-726, 2011 (Released:2012-03-21)
参考文献数
35
被引用文献数
1

掌蹠膿疱症に関節症状を合併する例は少なくないが,標準的治療は確立されていない。今回,柴胡桂枝湯の投与で皮疹および関節症状が改善した掌蹠膿疱症の症例を提示する。症例は44歳,男性。足底の膿疱,胸鎖関節,股関節,腰部の疼痛を認めた。ジクロフェナクナトリウム挿肛後も疼痛は緩和せず当研究所を受診した。掌蹠膿疱症の関節痛合併例と診断し「治小柴胡湯,桂枝湯,二方証相合者」を目標に柴胡桂枝湯を処方したところ,1ヵ月後,関節痛,皮疹が軽快した。以後,上気道症状と共に再び足底に膿疱を認め,桔梗湯の『傷寒論』条文「咽痛者」から桔梗を加味したところ,関節痛,皮疹がほぼ消失した。掌蹠膿疱症の関節痛合併例に柴胡桂枝湯を用いたとする文献はない。関節痛を合併する掌蹠膿疱症は稀ではなく,柴胡桂枝湯は有用な処方のひとつであると考える。
著者
岩原 文彦 伊藤 雅充 浅見 俊雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.499-511, 2003-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 3

The purpose of this study was to examine the effect of active recovery between two strenuous anaerobic exercises separated by a short time interval. Eight healthy adult male volunteers (age: 24.8±1.8 yrs, height: 170.6±2.5 cm, weight : 70.1 ±2.5 kg) underwent five exercise sessions. Each session consisted of a warm-up, the first anaerobic exercise test (40 sec of exhaustive cycle ergometer exercise), a 30 min inactive (seated) or active recovery period, and a second anaerobic exercise test. During the active recovery period, subjects executed one of four different intensity pedaling tests (60, 80, 100, 120% of predetermined lactate threshold intensity) for 10 min. There were no significant differences in mean power and peak blood lactate concentration among sessions during the first anaerobic exercise test. Significant differences were found in the blood lactate concentration among sessions during the second anaerobic exercise test, and significant differences were found in mean power for the second anaerobic exercise. Optimal intensity related to the blood lactate removal rate was 83.3±7.1%LT, and that related to the working capacity recovery rate was 68.3±11.8%LT.From these results, concerning blood lactate removal rate, it was suggested that between 80%LT and 100%LT was an effective intensity. As for performance, the effective intensity was less than 100%LT.
著者
薄井 健介 小室 治孝 月村 泰規 渡辺 雄一 神 雅人 伊藤 千裕 井口 智恵 野島 浩幸 井上 岳 厚田 幸一郎
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.338-346, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

We investigated the effectiveness of using a “Sports Pharmacist” to prevent the occurrence of doping in sports.During the first step, we individually interviewed 17 high school softball team athletes and determined their regular and/or occasional use of prescription and OTC medications, herbal agents, vitamins and supplements. A total of 76% of these players were either taking or had access to medications for occasional use that contained prohibited substances. Athletes determined to be using a prohibited compound were sent a written notice that recommended they avoid carelessly taking these banned substances.In the subsequent step, we gave an educational lecture to the entire team on how to avoid doping in sports. Before and after the presentation, we evaluated the effectiveness of the lecture by examining the athletes’ knowledge and awareness of anti-doping in sports. The results indicated a significant difference after the lecture with regard to appropriate knowledge and awareness of anti-doping in sports. This specific awareness continued for at least a month.In summary, medication reviews and one-on-one consultation with athletes in conjunction with a follow-up educational lecture to the team as a group resulted in successfully educating and helping team members avoid doping. In addition, these findings demonstrated the effectiveness of the “Sports Pharmacist” profession in working with athletes to help prevent doping in the future.
著者
吉田 信彦 河本 千恵 白鳥 美津子 伊藤 要
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.390-397, 1999-12-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13

眼圧が高い人への生活指導の参考にするため, 眼圧値と人間ドックの各種検査成績を比較検討した。眼圧平均値および高眼圧率 (眼圧が20以上の割合) は女性より男性の方が有意に高かった。血圧や血糖値の高い人の眼圧平均値や高眼圧率は対照より高値で, 男女間の有意差は見られなくなった。脂肪肝や肥満, GOT, GPT, TGの高値も眼圧を高くした。飲酒者は圧倒的に男性に多く, 飲酒男性の高眼圧率は高かった。非飲酒者では高眼圧率や眼圧平均値の男女差はないことから, 高眼圧率や眼圧平均値全体の男女差は男性に多い飲酒によるものと考えられた。高血糖, 高血圧, TG高値, GPT高値, 飲酒, 脂肪肝, 肥満などが重なれば重なるほど高眼圧率は上昇した。また高眼圧症で治療を受けて眼圧が正常となっていても高血糖や高血圧の割合は他の正常眼圧者より高かった。以上のことからこれら諸因子は高眼圧の背景因子, 促進因子あるいは危険因子として重要であり, 高眼圧症は生活習慣病に関連があるのではないかと思われた。したがって高眼圧者に対しては糖尿病, 高血圧, 過度の飲酒, 脂肪肝, 肥満, 高脂血症などを改善するような生活指導を行う必要があると考えられる。
著者
伊藤 敏雄 安部 聡一郎 川合 安 窪添 慶文 佐川 英治 佐藤 智水 關尾 史郎 中村 圭爾 福原 啓郎 葭森 健介
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

魏晋南北朝史に関する石刻史料の主要な出土地である洛陽・南京・西安・太原・大同・安陽などで現地調査を実施し、基本的石刻史料のデータ・ベースを作成した。基本問題のうち、貴族制については、貴族制形成期の史料が後世の貴族制の影響を受けていることを強調し、北朝・南朝の貴族制の実態を明らかにした。官僚制については、北魏後期の官僚の昇進がシステム的であったことなどを明らかにした。民族問題については、民族問題に関連する新出石刻史料を紹介するとともに、六鎮の乱の民族的背景などを明らかにした。

3 0 0 0 OA 忍術の極意

著者
伊藤銀月 著
出版者
武侠世界社
巻号頁・発行日
1917
著者
伊藤宗印 編
出版者
山静堂
巻号頁・発行日
vol.2, 1877