著者
佐藤 信枝
出版者
新潟青陵大学
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
no.1, pp.47-58, 2001

本研究では, 両職種が業務を協働する領域である身辺介護業務に焦点を当て, 両職種それぞれの周囲の人間関係に伴う社会的支援, 職場を離れた日常の生活苛立ち事, 職場環境での苛立ち事の実態を調査し, その構成要素と職種別の特性を明らかにすることを目的とした。調査対象の選定は, 1997年の国民衛生の動向から老年人口18.9%以上の都道府県, 施設規模が利用者数50名以上の100施設, 看護職と介護職を対象とした。年齢層, 職種経験年数などの特性, 身辺介護業務ストレスに影響する要因とソーシャルサポートとの関連を検討した。すべての年齢層で日常苛立ち事が職場環境苛立ち事に有意差があった。職場環境上で生じる心理的な影響を緩和していくためにはソーシャルサポートが必要である。生活出来事の多い20歳代には何らかの適切な社会的支援の必要性があることが示唆された。介護業務ストレス要因の因果関係では, ソーシャルサポートによって日常苛立ち事が緩和されているという結果であった。年齢層別比較では, 20歳代と同様に40歳代でも情緒的サポートや評価的サポートを必要としていたことからも, 今後は, サポートのタイプ別による介入方法の検討が必要となると考える。
著者
佐藤 信之助 吉岡 昌二郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.11-14, 1972-03-25

1.13種の寒地型イネ科牧草類を用いて生育特性を比較し, 主として北陸の低標高地帯における季節生産性について検討した。2.2カ年合計収量はトールフェスク>オーチャードグラス>リードキャナリーグラスの順に上位を占めたが, 平衡的な季節生産性の点ではトールフェスク, リードキャナリーグラスがすぐれていた。3.上位3草種について検討した結果, 季節的な収量の変動は単位面積あたり茎数および一茎重の変動と関連しているが, それぞれ草種毎に違いが認められ, 特にリードキャナリーグラスの盛夏以降の収量が高い水準で維持されたのがいちじるしく特徴的であった。4.その他の草種では夏枯れの影響がいちじるしく, そのことが季節生産性および維持年限に大きく影響するものとみられた。5.各草種とも雪害による直接的な被害は軽るく, むしろ融雪後の急激な生育の点で季節生産性に大きく影響するものと思われる。
著者
河合 知子 久保田 のぞみ 佐藤 信
出版者
市立名寄短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

今年度は、米飯給食における地元産米利用とその実態について、北海道の稲作地帯(空知管内)と畑作酪農地帯(十勝管内)の給食だよりを基に比較検討した。米飯給食の実施回数については、空知地域が週当たり平均米飯実施回数3.5回に対して、十勝地域のそれは2.6回であり、稲作地帯の学校給食の方が米飯を取り入れている回数は多い。また、使用している米については、十勝地域については何ら紹介がないのに対して、空知地域は、地元産米使用と紹介している学校給食が17センター中8センターある。米の生産地である空知地域は学校給食に地元産の米を積極的に取り入れている。米飯給食の導入が他の献立内容にどのような影響を与えているのか、使用野菜数との関係、白飯と味付けご飯との割合、他の献立内容との関わりについて分析した。1食当たり使用野菜数は、空知地域の平均が37.8種類、十勝地域のそれは40.3種類であった。米飯給食の週当たり実施回数が少なくても、使用野菜数の多い学校給食もあれば、またその逆のケースもあり、米飯給食の実施回数と使用野菜数にはっきりとした相関は見られなかった。さらに、米飯給食のうちどの程度白飯が出されているか(以下、白飯率という)について分析すると、白飯率が下は30%台から、多い学校給食においては90%を超えたところもあり、その幅は大きい。個別に、丼物、カレーライス、混ぜご飯などの味付けご飯の時と白飯の時の献立内容を比較すると、味付けご飯の場合は総じて、漬け物と汁物だけの献立であることが多く、白飯の献立内容と比べて満足度に欠ける。献立の多様性は必要ではあるが、おかず類の充実には白飯率を上げることも一案と考えられる。
著者
佐藤 信 河合 知子 久保田 のぞみ 佐藤 信
出版者
市立名寄短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

現在、日本の学校給食は、成長期の多くの国民が経験するところとなっており、その食習慣形成に大きな影響を与えている。近年では、地元産や国内産食材料を使用する取り組みがすすめられている。牛肉も例外ではなかったがく2001年9月に日本国内で初めて発生したBSE(牛海綿状脳症)牛の結果、学校給食の現場では使用自粛などの対応を余儀なくされた。本研究はこうした状況の下で、和牛産地と乳用種肉牛産地を対象として、2001年前後における学校給食の地元産食材料、とりわけ牛肉およびその加工品の使用実態を明らかにし、今後の地元産食材料導入にあたっての諸条件、課題を実証的に明らかにすることを目的とした。その結果、次の諸点が明らかとなった。1.BSE問題の発生後、全国の約60%の学校給食が、牛肉および牛肉加工品の使用を自粛するようになった。もともと、1996年のO-157問題を契機として、学校給食現場では食品安全対策を強化していたとそこで、BSE問題後も迅速な対応をとった。しかし、使用自粛については地域によって強弱があった。2.ブランド和牛で知られる岩手県M地域においては、BSE問題が発生した直後、農協や自治体、獣医の協力の下でいち早く安全宣言を出した。乳用種肉牛産地の北海道においても、牛肉やその加工品など国産への切り替えが行われたが、その度合いは他の県よりも小さかった。学校給食関係者と地域農業との継続的な結びつきがこうした対応をもたらした。3.これからの学校給食に関わる栄養士は、地元産食材料を利用するための、生産者や農・漁協等との交渉・調整能力等が必要であるとともに、現場で食品安全問題が発生した際に迅速に対応できる能力も必要である。
著者
佐藤 信一郎
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

溶液中における光励起分子の振動緩和過程の研究は、光化学反応制御や溶液構造・ダイナミクスとの関連において非常に重要な研究課題である。溶液中の多原子分子の振動緩和過程では、分子内振動再分配(IVR)と分子間振動エネルギー移動(VET)とが時間的に重なり、両者が競合する領域を持った複雑な過程である。我々はこれまで、ペリレン等の多環芳香族分子のVERについて研究をおこなってきた。多環芳香族分子は溶液中においても,吸収・発光スペクトルが比較的シャープであり,振動プログレッションが明瞭であることに着目し,時間分解発光スペクトルをフランクコンドン(FC)解析することで溶液中多原子分子系の実験としては報告例が非常に少ないstate-to-stateのポピュレーション解析に成功している。近年、溶液中での振動緩和過程の研究において、IVRにはサブピコ秒のタイムスケールで起こるfast IVRと、ピコ秒領域のslow IVRの2つが存在することが見出されている。このslow IVRはVETとタイムスケールが接近しており、溶質-溶媒間の弾性的な相互作用により影響を受けるsolvent-assisted IVR(SA-IVR)であると考えられている1,2。本研究では、このSA-IVRについて、溶媒のどのような性質が影響を与えているか詳細を明らかにするため、ペリレンのフェムト秒からピコ秒領域における余剰振動エネルギー緩和過程に対する溶媒効果について蛍光アップコンバージョン法により調べた。
著者
佐藤 信夫 角谷 秀典 井坂 茂夫 島崎 淳 松嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.1263-1269, 1992-08-20
被引用文献数
5 1

1975年から1988年の間に千葉大学医学部泌尿器科でTURを施行した表在性膀胱移行上皮癌(Ta,T1かつG1,G2)159例を対象として,進展を予測する因子につき検討した. 臨床所見:年齢,性,主訴:症状発現から受診までの期間,検査所見:ESR,CRP,貧血,内視鏡所見:腫瘍の位置,数,大きさ,形態,病理組織学的所見:異型度,深達度,尿細胞診,ABH血液型抗原(ABH),Thomsen-Friedenreich抗原(T-ag)につき検討した.進展と有意に相関したのは高年齢,多発,広基性腫瘍,G2,T1,陽性尿細胞診,ABH陰性,T-ag異常であった. 多変量解析法で分析すると,進展に影響をおよぼす因子の重要度はABH,深達度,T-ag,形態,異型度,年齢,数の順であり,ABH,深達度,T-ag,形態の4因子が有意に高かった.さらにABH,T-agは他の臨床病理学的因子と相関せず,表在性膀胱腫瘍の進展の予知因子として有用であると考えられた.
著者
井坂 茂夫 岡野 達弥 島崎 淳 村上 信之 原 徹 片海 七郎 吉田 豊彦 長山 忠男 和田 隆弘 北村 温 香村 衡一 石川 堯夫 外間 孝夫 座間 秀一 佐藤 信夫 小寺 重行 川地 義雄 並木 徳重郎 梶本 伸一 伊藤 晴夫 皆川 秀夫 高岸 秀俊 村山 直人 真鍋 溥
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.10, pp.1662-1667, 1992-10-20
被引用文献数
4

日本において近年腎細胞癌患者数が増加してきていることが言われているが,人口動態の変化をもとにした発症率に関して最近の実情を報告したものはほとんどない.人口約500万人,手術設備のある25の泌尿器科を有する千葉県において,過去10年間の腎細胞癌患者の実態を調査した.郵送アンケート方式にて組織学的に確認された症例について検討した.調査項目は,性別,年齢,住所,職業,症状,発見のきっかけとなった検査法,手術日,腫瘍径,臨床病期などであった.22の施設から回答が得られ,1980年から1989年までの間に千葉県在住で560例が報告された.年間10万人当たりの発症率は10年間で0.32から2.07へと増加した.小さくて無症状かつlow stageの癌が急激に増加しつつあることが判明したが,転移病期のものの減少は認められなかった.腎細胞癌増加の主体は診断方法の発達による早期診断症例の増加であると考えられたが,なんらかの発癌因子が関与している可能性も否定できなかった.
著者
金田 隆志 星 宣次 毛 厚平 高橋 とし子 鈴木 謙一 佐藤 信 折笠 精一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.33-42, 1998-01-20
被引用文献数
2 1

(目的)健常者の抹消血液中にはケラチン19は存在せず、もし血液中から検出されれば上皮性癌細胞が存在しているものと考えられる。そこでnested RT-PCR法を用いて、種々の尿路性器悪性腫瘍患者の抹消血液からケラチン19 mRNAの発現の有無を検討し、転移との関連を検討した。(方法)ヒト尿路性器癌培養細胞12種類、泌尿生殖器担癌患者39例、健常者9例を対象とし、患者および健常者の抹消静脈から血液6mlを採血し、Ficillを用いてnested RT-PCRを行い、サザンブロッティングで確認した。(結果)用いた培養細胞は全て陽性で、検出率は健常者リンパ球1×10個に対して腎癌細胞TOS-1は1個の混入でもケラチン19 mRNAが検出され、膀胱癌細胞KK47では1×10^6個の混入ではじめてケラチン19 mRNAが検出された。健常者9例の抹消血は前例陰性であった。尿路性器悪性腫瘍患者の抹消血では転移のみられない症例よりも、転移を有する症例のほうがnested RT-PCRの陽性率が高く、またリンパ節のみの転移よりも他の遠隔転移を有する症例のほうが陽性率が高かった。また、短期間の観察であるが、転移の有する場合でもnested RT-PCR陽性のほうが予後不良であった。疾患例では、精巣腫瘍は検出されにくく陰茎癌は検出されやすい印象であった。(結論)RT-PCR法を用いたケラチン19 mRNAの抹消血よりの検出法は尿路性器腫瘍にも利用できる。
著者
菅藤 哲 平松 正義 竹内 晃 大山 力 佐藤 信 斎藤 誠一 福崎 篤 遠藤 希之 荒井 陽一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.35-41, 2004-01-20
被引用文献数
1

(目的)精巣腫瘍55症例に対し高位精巣摘出術と同時に対側精巣生検を行った.その結果精巣CISと診断された症例はなかったが,そのうち2症例において後に対側精巣に精巣腫瘍を発生した.そこで我々は生検の感度に問題がなかったかどうか,そして我々の結果がスキャケベクの理論に整合性を認めるかどうかを検証した.(症例と方法)後に精巣腫瘍を発生した2症例の生検標本のパラフィンブロックを再度切り出しし,ヘマトキシリン・エオジン染色とPLAP抗体(クローン番号:8A9)を用いて免疫染色を行い,再度評価しなおした.他の53症例の標本も再度評価しなおし,その結果精巣CISが認められた症例の対側精巣の転帰を追跡調査した.(結果)後に精巣腫瘍を発生した2症例の標本うち1症例の標本において精巣CISが認められた.又,残りの53症例の内1標本において精巣CISが認められた.この症例は本人の失踪により対側精巣の転帰は確認できなかった.CISは3.6% (55症例中2症例)に確認され,2症例において偽陰性となったことが確認された.(結論)精巣CISに対する精巣生検の感度を上げるには泌尿器科医及び病理医が精巣CISについて知識を深め,スキャケベクのガイダンスに従った方法で行われるごとが重要と考えられる.

1 0 0 0 OA 蘭学大道編

著者
佐藤信淵 著
出版者
報効義会
巻号頁・発行日
1920