著者
新崎 千江美 佐藤 豊三 白玉 敬子 大城 篤 金子 繁
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.22-24, 2013

沖縄県与那国町で露地栽培中のボタンボウフウにおいて葉の表裏,葉柄に微小な黄斑点を生じ,褐色粉状の胞子が大量に形成され黄化・葉枯に至る病害が発生した。病原菌の夏胞子は淡褐色,単細胞,広楕円形ないし倒卵形で表面に細刺があり,大きさは23~38.5×21~32.5μm であった。冬胞子は褐色2細胞で隔壁部がややくびれ,短棍棒形,長楕円形ないし雪だるま形,大きさは34~51×22~33μm であった。夏胞子の接種により病徴が再現され,夏胞子および冬胞子が形成された。本病原菌とカワラボウフウ属の植物に寄生するさび病菌との形態的比較に基づき,<i>Puccinia jogashimensis </i>と同定した。以上より本病をさび病(新称)とすることを提案する。
著者
佐藤 豊浩 穴田 一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.23, pp.1-5, 2016-12-05

進化的アルゴリズムは,生物の個体群の進化をモデル化したアルゴリズムで,最適化問題の解探索に用いられる.そうしたアルゴリズムである Genetic Algorithm と Differential Evolution が有する解探索過程を収束性と多様性の観点から取り入れた,巡回セールスマン問題 (TSP) の解探索を行う新たなアルゴリズム Referential Evolution を構築した.そして,TSPLIB に掲載されているベンチマーク問題を用いて提案手法と既存手法を比較し,その有効性を確認した.
著者
山田 喬 佐藤 豊彦 平田 守男 山田 博
出版者
The Japanese Society of Clinical Cytology
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.98-102, 1974

To stain the nuclei in the cytologic specimen and the histologic section, two synthesized basic dyes, Gallein-alminium and Pyrocatechol violet alminium, were found to be substituted for Hematoxylin. Since these dyes have also o-hydroxy quinoid ring in molecular structure and are lacked with alminium, their staining mechanisms might presumablly simulate the one of Hemato xylin.
著者
佐藤 豊三 埋橋 志穂美 細矢 剛
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.59-160, 2010-03

Approximately 1,000 taxa of fungi found and/or collected in the Bonin Islands were listed based on previous reports, collection data of dried specimens and background dataset of living cultures. Five hundred 6 (50.8%), 203 (20.4%) and 180 (18.1%) of them belong to Basidiomycota, Deuteromycota (Mitosporic Fungi) and Ascomycota, respectively. The others (total 10.7%) are mixomycetous (56 taxa), zygomycetous (24 taxa), chytridiomycetous (14 taxa), oomycetous (12 taxa) and blastocladiomycetous (1 taxon) fungi. About 100 taxa containing texts, "bonin", "munin", "ogasawara," "chichi", "haha", in their scientific and/or common names were found in the list. It indicates that at least 10% of taxa reported from the islands have type localities there and/or endemic. More taxa new to the islands will obviously turn up if various mycologists repeatedly place the full weight of their effort on collecting and identifying materials there, because those found are merely ca. 8.3% of known species of fungi in Japan.小笠原諸島で採集・発見・同定された菌類のうち文献として公表され、あるいは標本や分離菌株が公的機関に保存されている約1,000 学名(分類群)を網羅した。その主な内訳は担子菌類506 種(50.8%)、不完全菌類203 種(20.4%)、子のう菌類180 種(18.1%)で、残りの10.7%は変形菌類56 種、接合菌類24 種、ツボカビ類14 種、卵菌類12 種、コウマクノウキン類1 種である。学名や和名のローマ字表記の中に"bonin"、"munin"、 "ogasawara"、 "chichi"、 "haha"の語を含む種等が100 以上あることから、少なくとも10%の分類群が同諸島をタイプロカリティーとしており、また、その中には特産種も含まれているものと思われる。リストアップされた菌類は国内既知種の8.3%に過ぎず、今後、様々な菌学者が繰り返し同諸島の菌類を採集・同定することにより、さらに多くの種が明らかになると予想される。
著者
平野 博之 佐藤 豊
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

イネの花序は,穂軸,ブランチ,小穂から構成され,小穂は小花(花)と外穎や内穎などいくつかの側生器官から成る.本研究は,この高い階層性を持つイネの花序の構築および花の発生ロジックを解明することを目的としている.fon2変異を昂進する変異体 (fon2 enhancer 2B-424),一次ブランチが偽輪生の表現型を示すpvp1, 小穂の形態異常を示すtol変異体 (wadより改名)やfsp1変異体などを用いて,発生遺伝学的研究を行った.FON2は花メリステムの幹細胞維持の負の制御因子であり,fon2変異体では花メリステムが肥大する結果,花器官数が増加する.2B-424系統はfon2変異を昂進する変異体の一つである.昂進変異の原因遺伝子を同定した結果,クラスC遺伝子のOsMADS3に機能喪失型の変異が起きていることが判明した.この研究により,FON2とOsMADS3が共同して花メリステムの有限性を制御していること,OsMADS3が花メリステムの維持制御にも関わっていることが明らかとなった (Yasui et al. 2017).tol変異体の表現型を詳細に解析し,この変異体では小穂の左右相称性がそこなわれ,対称軸が2つ形成されるようになること,その原因はメリステム増大や部分的な活性低下であることを明らかにした (Sugiyama et al. 2016).fsp1変異体の原因遺伝子の単離を試みたところ,メリステム維持に関わるFON1遺伝子に変異が起きていることが示された.fsp1の小穂には,fon1小穂に見られる異常に加えて他の表現型が現れることから,未知の第2の遺伝子に変異が生じている可能性が示唆された.PVP1に関しては,この遺伝子の近縁パラログであるPVP2と併せて解析を行い,これら2つの遺伝子が穂の構築に冗長的に作用していることを明らかにし,メリステム機能との関連を解析中である.
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.
著者
久保 善博 佐藤 豊 村川 義行 久保田 邦親
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.83-90, 2005-01-01

The Japanese traditional steel making method which manufactures steel "Kera" or plg iron "Zuku" from iron sand and charcoal is so called "Tatara" steel making process The influence of the loading ratio of iron sand to charcoal on the "Tatara" steel making was investigated In the case of the loading ratio is equal to 1, high carbon steel "Kera" was produced at the high yield accompanied with viscous slag "Noro" In the meantime, in the case of the loading ratio is equal to 15, the carbon content of the produced steel "Kera" was low at the low yield accompanied with a lot of low viscous slag "Noro" In the case of low loading ratio, so called "light charge", iron sand was well deoxidized and carbonized in the furnace and became to high carbon steel "Kera" at the high efficiently In that case, the slag "Noro" became to viscous one because of the reduction of FeO content on the contrary, in the case of high loading ratio, so called "heavy charge", the deoxidization of iron sand was insufficient and most of iron sand was discharged as a slag "Noro" to the outside of the furnace As the result, produced steel "Kera" yield lowered During the "heavy charge" operation, the composition of the slag "Noro" became FeO-rich, and then the fluidity of the slag "Noro" increased It was clarified that the controlling of the loading ratio was an important factor which affected both to the quality and productivity of steel "Kera" and the fluidity of slag "Noro" on "Tatara" steel making process
著者
出川 洋介 勝山 輝男 田中 徳久 山岡 裕一 細矢 剛 佐久間 大輔 廣瀬 大 升屋 勇人 大坪 奏 城川 四郎 小林 享夫 原田 幸雄 松本 淳 勝本 謙 稲葉 重樹 佐藤 豊三 川上 新一 WALTER Gams
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労力と時間を要すために研究が遅れてきた菌類のインベントリー調査を、博物館を介して専門研究者と市民とを繋ぐ3者連携体制を構築して実施した。多様な世代の70名以上の市民により5千点を超す標本が収蔵された10年に及ぶ事前調査を踏まえ、約50種の菌類を選定し、研究者の指導のもとに市民が正確な記載、図版を作成し菌類誌を刊行、デジタルデータを公表した。本研究事例は今後の生物相調査の推進に有効な指針を示すと期待される。
著者
衣川 勝 佐藤 豊三
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.373-383, 2003-11-25
被引用文献数
3

近年、香川県で樹齢が10年以上のキウイフルーツ樹に枝枯れが多発している。枝の大きな切断痕や日焼け部から枯れ込みが進み、側枝、亜主枝が枯れる場合が多い。病勢の著しい場合、亜主枝、主枝まで枝枯れが進み胴枯れ症状を呈し、樹全体が枯れる場合もある。罹病枝から高率に分離されたPhomopis属菌およびF. aesculiをキウイフルーツの枝に接種した結果、いずれも枝枯れ症状が再現され、接種菌が再分離された。Phomopsis属菌については、子のう世代および分生子世代の形態、培養上の諸性質、およびキウイフルーツ、ミカン、およびリンゴの果実、またモモおよびナシの枝に対する接種試験の結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌のうちDiaporhe属菌と同一種であった。また、F. aesculiについても、子のう世代および分生子世代の形態、培養上の諸性質、およびキウイフルーツ果実への接種試験の結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌B. dohideaと同一種であった。これらの結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌のDiaporhe sp.、およびB. dohideaにより枝枯症状が起きることが明らかとなった。
著者
佐藤 豊実
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2008-2012