著者
仲田 栄子 有賀 久哲 半田 康延 小倉 隆英 関 和則 高井 良尋
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

今日のがん治療において、腫瘍内低酸素領域の克服が重要な課題となっている。そこで我々は電気刺激を用いることで腫瘍内低酸素領域を改善できるのではないかと考えた。C3H マウスの右大腿部に Squamous Cell Carcinoma-VII腫瘍(SCC-VII)を移植し、仙骨部後仙骨孔直上の皮膚表面に電気刺激を行った結果、刺激中に腫瘍表面の血流値で 22%の増加、電気刺激終了から約 50分後に腫瘍内部の酸素分圧で 28%の増加が確認された。低酸素マーカーであるピモニダゾールを使用した結果、電気刺激終了後 40 分で低酸素領域は 20%有意に減少した。X 線を腫瘍移植部に局所照射したところ、一回照射(総線量 5Gy)・分割照射(総線量 7.5Gy)のいずれにおいても放射線単独群より放射線+電気刺激併用群で腫瘍の成長に遅延が認められた。
著者
吉倉 智子 村田 浩一 三宅 隆 石原 誠 中川 雄三 上條 隆志
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.225-235, 2009 (Released:2010-01-14)
参考文献数
49
被引用文献数
3

ニホンウサギコウモリ(Plecotus auritus sacrimontis)の出産保育コロニーの構造を明らかにすることを目的とし,本州中部の4ヶ所のコロニーで最長5年間の標識再捕獲調査を行った.出産保育コロニーの構造として,齢構成,コロニーサイズとその年次変化,性比および出生コロニーへの帰還率について解析した.また,初産年齢および齢別繁殖率についても解析した.本調査地におけるニホンウサギコウモリの出産保育コロニーは,母獣と幼獣(当歳獣)による7~33個体で構成されていた.また,各コロニー間でコロニーサイズやその年次変化に違いがみられた.幼獣の性比(オス比)は,4ヶ所のコロニー全体で54.2%であり,雌雄の偏りはみられなかったが,満1歳以上の未成獣個体を含む成獣の性比は1.0%とメスに強い偏りがみられた.オスの出生コロニーへの帰還率は,全コロニーでわずか3.6%(2/56)であった.一方,メスの翌年の帰還率は,4ヶ所のコロニーでそれぞれ高い順に78.9%,63.6%,16.7%,0%であった.初産年齢は満1歳または満2歳で,すべてのコロニーを合算した帰還個体の齢別繁殖率は,満1歳で50%(12/24),満2歳で100%(13/13)であった.また,満2歳以上のメスは全て母獣であり,出産年齢に達した後は毎年出産し続けていることが確認された.
著者
倉本 充子 西田 晴美 越智 徹 釣井 千恵 ホーソン ティモシー・フロイド
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2年にわたり実施したコンピュータによる英文理解力テストを含む数種の調査と面接で得られたデータの質的分析を総合的に比較検討した結果、本研究において開発したタイプBの英文理解力テストは、学習者の英文理解力を予測するテストとして、限られた時間内で実施でき、かつ、十分な説明力があることが示唆された。これをWBT学習支援システムに組み込むことで、授業に参加する異なるレベルの学習者の自律学習習慣の形成を補助することが可能となった。
著者
大倉 一夫
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.139-145, 2000-08-31

ブラキシズムは睡眠時の口腔習癖として古くから知られており, 歯周疾患, 歯の過度な咬耗, 顎機能障害などに影響を与えると考えられている.ブラキシズムを理解することは臨床的に重要であるが, 現在においてもブラキシズムの詳細については未解明の点が多い.本文の目的は睡眠時ブラキシズムを研究あるいは治療の対象とする際の問題点や方法論に関して, 当教室で行われたブラキシズムの研究を例として解説することにある.主に以下の項目について述べる.1.ブラキシズムとは何か?2.ブラキシズム測定上の問題点3.ブラキシズム解析上の問題点4.治療を考慮したブラキシズム把握法5.今後の展望
著者
大倉 一夫
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.139-145, 2000-08-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
28

ブラキシズムは睡眠時の口腔習癖として古くから知られており, 歯周疾患, 歯の過度な咬耗, 顎機能障害などに影響を与えると考えられている.ブラキシズムを理解することは臨床的に重要であるが, 現在においてもブラキシズムの詳細については未解明の点が多い.本文の目的は睡眠時ブラキシズムを研究あるいは治療の対象とする際の問題点や方法論に関して, 当教室で行われたブラキシズムの研究を例として解説することにある.主に以下の項目について述べる.1.ブラキシズムとは何か?2.ブラキシズム測定上の問題点3.ブラキシズム解析上の問題点4.治療を考慮したブラキシズム把握法5.今後の展望
著者
石川航平 小倉加奈代 杉山公造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.32, pp.91-96, 2007-03-22
被引用文献数
1

学際的な領域を学ぶためには多くの書籍を読むことのいわゆる「多読」が必要とされている。多読とは「多くの本をかなりの早さをもって読むこと」である。また多読を単独の学習者が継続することは容易ではない。多読を集団で行うことによって、多読を単独で負担を軽減することができる。多読を集団で行う上でのコミュニケーションを通じて、多読者のコミュニティを活性化させ、多読を支援することによる学習の方法を提供することを研究の目的とする。コミュニティ・サイトにおいては、書籍を効果的に認知する機能を複数設け、膨大なデータベースを体系的に把握することを支援する。To study interdisciplinary fields, we have to read a large number and many kinds of books. Because we can't know all kind of books we have read, it is difficult for a learner to manage vast numbers of books at once. The purpose of this research is to propose a method of studying interdisciplinary fields using communities of extensive reading in which all members can communicate with the other members to support extensive reading. In this research, it is found that: 1. Support for extensive readers' continuous usage is accomplished. According to the result of the questionnaire, the system promotes communication and encourages the user to continue using the system. In addition, it is suggested that the book map function raises the interest towards the other users in the community.
著者
安藤 寿康 福士 珠美 佐倉 統
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.324-330, 2009-06-01
被引用文献数
1

学術研究の表現はともすれば無機質である。それがどれだけ血の通った人間を対象としていても,そこに求められるのは客観的な科学的現象の記述であり,個人を超えた普遍性を持つものでなければならない。かくして学者の書く論文の文章も,話す講義も,抽象化され非個性化されたことばで埋め尽くされる。科学的厳密さの前に,人間の心のなまめかしいうごきは封印されるのである。仮にその科学がどれだけ心のなまめかしさを扱っていようとも。だがこのことは研究者が人を対象とした実験を行う現場でも無機質に振る舞ってよいことを正当化しない。研究者も被験者もそれぞれが生きた人間であり,実験室はそのような生きた人間同士が出会う場である。研究倫理とは,そうした研究場面という特殊な人間関係や契約関係が作り出す葛藤に生まれる問題である。倫理判断は原則として法に基づくものではなく,基本的に人倫に関する当事者たちの良識に基づくものであり,研究領域ごと,あるいは研究施設ごとに,様々な慣習的手続きが作られている。
著者
倉島 顕尚 前野 和俊 市村 重博 田頭 繁 武次 將徳 永田 善紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.2487-2496, 1999-05-15
被引用文献数
10

モバイルグループウェアのコンセプトは 無線通信端末による任意の場所での協同作業の支援という形で 人と人とのコミュニケーションに役立つものとして 携帯端末に新しい付加価値を与える. そのモバイルグループウェアシステムの1つの実現形態として ここでは携帯端末を持ち寄った人々が集まった場での協同作業を支援するシステム「なかよし」を提案する. 「なかよし」の目的は 無線通信機能を持った端末さえあれば 他の機材をいっさい必要とせずに 任意の人々とその場で協同作業できる環境を用意することにある. このシステムを実現するにあたり アドホックネットワーク生成技術や グループ管埋の分散化のための技術 端末間の通信インフラとしてのPHS子機間パケット通信技術 「なかよし」に適したグループウェアのアプリケーションの実現技術について検討し 実装と評価を行った. アドホックネットワークは 端末が互いに直接通信できる状態のときに その場所で形成する一時的なネットワークである. 「なかよし」では その中にグループを作り 協同作業のためのアプリケーションを動作させる. 試作システムでは アプリケーションとして分散プレゼンテーション ファイル配布など会議というオフィスユースを念頭においたものを用意したが アプリケーションを置き換えることで教育やホビーに あるいは情報提供サービスなどへ応用できる.The "mobile groupware" concept, which provides a location-free collaboration environment, has given rise to new applications for mobile computers (MCs) with wireless communication equipment. We propose a mobile groupware system called "Nakayoshi" which enables much more flexible group computing at local areas than is possible with current network technology. A practical mobile host architecture and a new network management technology, allow users to freely establish or enter and leave the network at any time. Our original PHS packet communications protocol provides the communications infrastructure. With these three software-based technologies, MCs only need to be equipped with a low power radio modem for a network to be established. In the resulting system, one MC is assigned to act as server and guarantee the communications infrastructure, and then the necessary wireless network set-ups are completed. The system gives MC users the flexibility to hold conferences and seminars, or work jointly on electronic files and presentations from preferred indoor or outdoor locations. Apart from the more immediate business application possibilities, the system could also be used, for example, by teachers and students for classes whose composition changed with time. Additional possibilities are for use in homes and outdoors.
著者
新倉 諭
巻号頁・発行日
2008-03

Supervisor: 鈴木正人
著者
大平 健司 宋 中錫 高倉 弘喜 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.1125-1134, 2010-07-01

近年,インターネット上の攻撃活動の対象はマイナーなアプリケーション等に移行しつつあり,ワームやウイルス等によって講じられたバックドアまでもがねらわれる状況となった.それらに関する詳細情報を入手することは非常に困難であり,ゼロデイ攻撃に備えた新たな手法の開発が強く求められている.情報不足は攻撃者側も同様であり,開発初期の攻撃コードによる管理者権限奪取は極めて難しく,攻撃の成否は攻撃対象のシステム設定や状態に依存する.このためインターネット上のランダムに選んだノードによって攻撃コードを試験する事象が多数観測されている.試験段階の攻撃コードを追跡・解析することにより,その完成前に攻撃者の意図(攻撃対象など)を特定できる可能性があり,実現手法の一つとして,ハニーポットと呼ばれる観測装置が注目を集めている.本論文では攻撃状況に応じて待ち受け設定を自動的に変更する観測装置の設計方法を提案する.本装置により従来のセキュリティ機器では十分に解明できなかった攻撃についても解析が可能になる.インターネット上に展開した実験結果から,本装置の長所及び短所,また従来の観測機器と連携する広範囲な攻撃予知システムの構築の可能性について述べる.
著者
馬渡 駿介 片倉 晴雄 高橋 英樹 齋藤 裕 矢部 衛 柁原 宏
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

地球規模の環境問題を解決し、生物多様性を守り、人類の生存を保証する方策は、生物がどのくらい多様なのか知ってはじめて可能となる。しかし、「生物はどのくらい多様なの?」との素朴な疑問に今まで誰も答えられなかった。本研究は、一地域の生物多様性を丸ごと明らかにしようとする、日本で、また世界的にもこれまで例のない研究であり、生物多様性解明への社会的要望の高まりを受けて計画されたものである。研究は、北海道厚岸湾に位置する約1平方km^3の無人の大黒島およびその周辺浅海域で行い、地域生物相の徹底解明をめざした。その結果、土壌繊毛虫、土壌性鞭毛虫類、有殻アメーバ、トビムシ類、ササラダニ類、植物上ダニ類、土壌表層ダニ類、維管束植物、海産無脊椎動物、魚類、齧歯類において、合計5新種、約25の日本初記録種を採集し、生息種の全貌をほぼ解明した。
著者
中村 恭子 広沢 正孝 細見 修 山倉 文幸 鈴木 利人
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

統合失調症患者は中強度の歩行運動で快感情やリラックス感が増加し、不安感が減少、クロモグラニンA値やコルチゾール値が減少した。また、患者は一般成人より運動前から不安感やα-アミラーゼ値、クロモグラニンA値が有意に高く、運動後のアミラーゼ値の増加やクロモグラニンA値の減少が著しかった。患者は一般成人より体力が低いため、中強度の運動が精神的ストレス軽減をもたらす一方で身体的ストレスとなる可能性が示唆された。そこで、多様な運動強度に対するストレス反応を比較した結果、微細運動のフェルデンクライス・メソッドATMが低強度や中強度の運動よりも患者の心理的・生理的ストレス値の軽減に有効であることが判明した。
著者
今野晃市 高村 禎二 千代倉 弘明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1133-1142, 1992-09-15
被引用文献数
1

複雑な自由曲面形状を定義するための一般的な手法として曲面の境界曲線を定義し その境界曲線を自由曲面で内挿する手法がある入力された境界曲線は 設計したい物体の大まかな形状を表しているよって この曲線に囲まれた領域を自由曲面で内挿する場合には 設計者の意図どおりの自由曲面が生成されることが重要であるしかし 曲線メッシュの形状によっては うねった曲面が生成されることがあるまた 設計する形状によっては 生成される自由曲面はG^2連続になることが要求されるそこで本論文では このような問題を解決した自由曲面の内挿法を提案する本手法では 境界曲線がG^2連続である場合に G^2連続なパッチで曲線メッシュを内挿するまた このように内挿されたパッチに対して G^2連続性を保ったままでパッチの形状を変更する方法について述べる
著者
小倉 康嗣
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, 2001-06-30
被引用文献数
1 1

本稿は, 高齢化社会の内実への歴史的再認識を出発点として, 「高齢化」ないし「老い」の問題を, 全体社会の根本的変革や新たな社会構想の問題へとつなげていく研究枠組を開拓していく試みである.つまり「高齢化」ないし「老い」の社会学的研究に関する「生成的理論」の構築を目指して, 探索的な経験的研究を行っていくうえでの理論的インプリケーションを明確化し, その概念枠組の構築を図ることが本稿の目的である.<BR>理論的インプリケーションを明確化する際の主張は2つある.第1に, 高齢化社会の内実を「再帰化する後期近代」という歴史的ダイナミズムにおいて認識すること (1節), 第2に, その認識を取り入れてthe agedからaging へと照準を合わせ直し人間形成観の問題圏へ入ること (2節), である.これら 2つの主張は, パースペクティブとしての〈ラディカル・エイジング〉として統括される (3節).<BR>つづく概念枠組の構築作業においては, いかなる事象にどのような概念的参入を図ればよいのかを検討することによって, さきの理論的インプリケーションを具象化する.まず, 現代日本における「中年の転機」を〈ラディカル・エイジング〉の理論的インプリケーションの集約事象として位置づけ (4節), その作業を媒介に〈再帰的社会化〉という概念構成を導出し, 同時に〈再帰的社会化〉の基盤をめぐる探索課題を提起することによって概念的参入の足場を築く (5節).

1 0 0 0 OA 高橋氏文考

著者
倉野 憲司
出版者
福岡女子大学
雑誌
文芸と思想 (ISSN:05217873)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-79, 1952-07-01
著者
松平 秀雄 阪倉 康男 田中 康雄 中田 勉 濱田 彰
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.67-73, 1976-06-25

本研究で言う列車風とは,トンネル内を走る列車のピストン作用によって引き起こされる風である.トンネル内で列車が発進・加速・等速・減速・停止する場合に,列車風速および空気吐出し量が時間とともにいかに変化するかを定量的に把握し,地下鉄空気調和設備の設計資料を得ることが本研究の目的である.本報告ではまず単線のトンネル模型を作り,その中で模型列車を走らせることにより,上記の関係を求めるとともに,トンネル内の空気の運動方程式(非線形微分方程式)を立てて考察したので報告する.