著者
小林 元 倉橋 節也
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究ではインターネット上のShopbotとよばれる価格情報を自動的に収集するシステムを対象とする. そこでは買い手は価格情報の収集と比較をより低いコストで行うことが可能となり,売り手は競合の価格情報および需要に応じて動的な価格の設定を行う.本モデルは経済合理性のみでは説明できない参加者間のコミュニケーションを鑑みた意思決定と価格決定の相互作用に基づき,価格形成の動的メカニズムを明らかにした.
著者
倉島 健 岩田 具治 入江 豪 藤村 考
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.450, pp.55-60, 2010-02-25
被引用文献数
4

写真共有サイトのジオタグ情報を人々の旅行履歴として利用したトラベルルート推薦手法を提案する.提案法においては,現在地からアクセスしやすい場所と自分の興味に合致した場所に旅行者は移動しやすいと仮定し,写真共有サイトのジオタグ情報からフォトグラファーの行動モデルを生成する.この行動モデルを用いて,現在地,空き時間,個人の興味に合うトラベルルート推薦を実現する.写真共有サイトFlickrの71,718人に関するジオタグ情報に基づく実験により,行動予測における提案法の有効性を示す.
著者
屋井 鉄雄 平田 輝満 福田 大輔 鈴木 美緒 古倉 宗治 高川 剛
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

無数に存在する交差点での自転車と自動車の出合い頭事故を防ぐことを目的とし,自転車を検知するディテクターの諸元の検討,および事故を再現できるシステムの構築を行なった.その結果,歩道上の自転車の検知には70[mm]×150[mm]、300[μH]程度の四角形コイルが適していた。また,動体視野角の概念と実地観測調査結果を用い,仮想空間内で対象とする出合い頭事故の再現を可能とし,ドライビングシミュレータにより左側から進入する自転車を見落とし,衝突に至る過程を再現することができた.
著者
戸倉 英美 LI pengfei LI Pengfei
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究は、中国の古典小説が日本文学にどのように受容されたかを、変身の物語という視点から考察するものである。その特色は、唐代.明代、及び清代の『聊斎志異』という、三つの時代の変身譚と、それぞれを受容して作られた日本の作品とを比較することで、両国文学の比較研究を、より高い精度で、総合的包括的に行う点にある。本年度は、昨年度の成果である、六朝・隋唐の小説と、『今昔物語』を中心とする平安時代の文学との関係について、さらに内容を拡充し、「魏晋六朝隋唐小説在日本的伝播和演変論考」として、中国杭州市で開催された中国古代小説第四届国際研討会において、LI,Pengfeiが発表した。本論は高い評価を受け、中国の学術雑誌に掲載を要請されている。また『雨月物語』の「夢応の鯉魚」「蛇性の淫」、中島敦の「山月記」、太宰治の「清貧譚」「竹青」のそれぞれと、原作となった中国の作品を比較し、「試論日本文学中"変身"題材類作品的因襲与創造」にまとめ、戸倉が主宰し、学外の専門家も多数参加する中国古典小説勉強会で発表した。この発表において、LI,Pengfeiは、中島敦、太宰治のような近代作家が、変身のモチーフを題材に、近代的な主題を持った小説を執筆することは中国では殆ど例がないと述べ、参会者の注目を集めた。今回の研究を総合すれば、次のように言うことができる。中国では唐代以降人間中心的な思想が次第に強固なものとなり、異類は人間より劣ったものとされ、人間が魚や虎に変身することは罪障と捉えられるようになった。唯一の例外は、清代の『聊斎志異』である。一方日本では、異類を蔑視する観念は発達せず、むしろ「夢応の鯉魚」が、魚への変身を人間では得られない大きな自由の獲得と描いているように、異類への変身、及び人間に変身して現れる異類との交流は、人間が自分自身と向かい合う場としての機能を保ちつつ、近代を迎えたということができる。LI,Pengfeiは2009年11月、2年間の研究期間を終え帰国したが、戸倉はその後もLIと連絡を取り、研究成果のまとめを進めている。
著者
山下 満智子 川島 隆太 岩田 一樹 保手浜 勝 太尾 小千津 高倉 美香
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.125-129, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
15
被引用文献数
3

最新脳科学の研究成果に注目して, 脳の健康という視点で「調理の効用」を研究するために, 無侵襲・低拘束性の近赤外線計測装置により調理中の脳活動を計測した。  計測に使用した近赤外線計測装置は, 頭皮から20ミリほどの深さにある大脳皮質の活性状態を近赤外線の照射によって計測する装置である。本実験の脳の測定部位は, 大脳の前頭連合野で, 運動・感覚・認知・言語・思考など高次脳機能に関連する。  実験方法は, 成人女性15名に対して, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという作業を課し, 各調理の手順における脳活動の計測を行った。  計測の結果, 夕食の献立を考える, 野菜を切る, ガスコンロを使って炒める, 皿に盛り付けるという調理の各手順で, 左右の大脳半球の前頭連合野の活性化が確認された。  音読や計算による脳の活性化の確認やそれらを組み合わせた学習療法による実践的研究や本実験結果から「調理を行うこと」によって前頭連合野を鍛えることができると考えられ, 前頭連合野の働きである他者とのコミュニケーションや身辺自立, 創造力など社会生活に必要な能力の向上が期待されることが示唆された。
著者
藤倉 良 中山 幹康 押谷 一 毛利 勝彦
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

世界ダム会議(WCD)は,大型ダムに関する国際的に受入れ可能な基準を開発し,普及することを目的として組織された独立の国際委員会であり,2000年11月にWCD報告書を刊行して解散した。WCD報告書に盛り込まれた基準やガイドラインに対しては,開発途上国政府やダム建設業界が明確に反対する姿勢を示し,国際的に受入れ可能な基準作りは失敗に終わった。WCD勧告を文字通り世界が受入れ可能な基準とガイドラインにするためには,その実施可能性を明らかにすることが必要であり,これが本研究のめざすところであった。本研究は,まず,WCD勧告の根拠が必ずしも明確でないということを明らかにした。WCD勧告はWCD報告書の後半部に記述されているが,それは前半部に記述された研究調査結果に基づいていることになっている。しかし,報告書を精査すると,すべての勧告が調査結果に基づいてはいないことが指摘できた。こうした問題点を踏まえ,本研究では,WCD勧告を実現可能にするための選択肢を示した。次に,実現可能性を高めるための条件を検討するため,本研究では日本のODAプロジェクトにWCD勧告を適用する場合に,どのような課題,改善すべき点があるかを明らかにした。さらに,WCD勧告について最も意見が対立した住民移転のありかたについて,提言を行うための知見を収集するためのケーススタディを実施した。一つは日本の過去の経験である。もうひとつは,現在のダムプロジェクト事例として,インドネシアで円借款により実施されたコタパンジャンダムプロジェクトの現地調査である。望ましい住民移転のあり方を示すためには,今後さらなる現地調査及び検討が必要であると考えられるが,このケーススタディによって幾つかの好事例(good practices)を示すことができた。
著者
倉本 晶夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.797-809, 2007-09-01
被引用文献数
25

最近,UWB技術を用いたワイヤレスPANやワイヤレスUSBを実現するための小形・広帯域のアンテナが多数提案されている. UWB技術を用いたワイヤレスPANでは,3.1〜10.6GHzの周波数を利用して,高画質の動画をリアルタイムに転送することができる.また,ワイヤレスUSBでは,USBによるデータ転送をワイヤレス化するものであり,ディジタルカメラなどの大きな動画ファイルもUWB技術により数秒で転送が可能になる.いずれの用途においても,小形で広帯域のアンテナが必要になる.特にワイヤレスUSB端末では,アンテナ放射素子部の最大寸法を20mm程度以下とする要望がある.本論文は,ワイヤレスPANやワイヤレスUSBを実現するために,今まで報告されてきた小形・広帯域化技術を取り上げて紹介する.更に,その中の有力なものについて,その特性と課題について示す.
著者
吉田 裕久 山元 隆春 朝倉 孝之 岡本 惠子 黒瀬 直美 新治 功 西原 利典 増田 知子 三根 直美 宮本 浩治
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.38, pp.111-117, 2009

本研究は高等学校の国語基本教材「羅生門」において, どのような読みの学力を育成することができるか, それを授業を通して明らかにすることを目的としている。方法として以下の3点を設定した。①初読における生徒の読解力の状況を調査する。②学習後, 生徒の読みがどう変化したか, 検討する。③どのような授業アプローチにより, 読解力が身につけられたのか, さらに基本教材においてどんな学力を身につけていくことが可能なのか検討する。そして授業実践として, 方法・形態の異なる3つの授業を設定した。1は, 「境界の物語として読む」ことを明示した上で, プレテクスト『今昔物語集』とテクスト「羅生門」の位置づけから, コードや象徴を読み解く方法である。2は, 「認識主体の育成をめざした」授業で, 「何が問題なのか」を発見する授業である。3は, グループ学習で, 「下人の行方を考える」学習課題を設定し, テクストから検証する方法である。これらの実践は, 「要点駆動の読み」を生み出すことをめざしたものともいえる。常に叙述を吟味しながら, 小説を読むことを探求していきたい。
著者
三船 恵美 天児 慧 堀本 武功 小笠原 欣幸 倉田 秀也 野口 和彦
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国と、東南アジアから南アジア・中央アジア・西アジアにかけての中国の周辺地域との関係構造と戦略に関する体系的な分析を行い、3年間の研究成果として、全メンバーの執筆による、天児慧・三船恵美編著『膨張する中国の対外関係-パクス・シニカと周辺国』頸草書房、2010年、を出版する。また、国際シンポジウムの成果として、Srikanth Kondapalli and Emi Mifune (eds.), China and its Neighbors, New Delhi : Pentagon Press, 2010)を出版し、本研究プロジェクトの成果を国内外に広く社会に公表した。
著者
石原 雅巳 寺本 龍生 松井 孝至 千葉 洋平 山本 聖一郎 安井 信隆 石井 良幸 奈良井 慎 立松 秀樹 小林 直之 徳原 秀典 渡邊 昌彦 北島 政樹 倉持 茂
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.440-445, 1990-06
被引用文献数
6

症例は22歳の男性.1995年5月,排便困難,血便を主訴に近医を受診した.直腸癌の疑いで当院を紹介され1995年5月29日,入院となった.注腸造影,大腸内視鏡検査では肛門縁より約7cmの直腸左壁を中心とし半周性の隆起を主体とした腫瘤の集蔟を認め,感染性腸炎を疑わせる所見であった.生検の病理組織像は形質細胞の多い非特異的炎症のみであった.梅毒血清反応が陽性であったことから,梅毒性の直腸炎と診断し,駆梅療法を開始した.開始後,梅毒血清抗体価の低下にともない病変の縮小を認め,治療後約4カ月で梅毒血清抗体価の陰性化と病変の消失を認あた.さらにTreponema pallidum(以下T.p.)に対する抗体を用いた酵素抗体法によりT.p.が生検部の病理組織より証明され,梅毒性直腸炎の確定診断がされた.
著者
大倉 輝 山本 寛 山崎 克之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.5, pp.1081-1090, 2012-05-01

近年,人間の行動を日常的にデータとして記録するライフログに注目が集まっている.人の位置を計測する手法は,屋外ではGPSが利用可能であるが,屋内では衛星からの電波が遮断されるためGPSの利用は困難である.そこで,GPSを用いずに人の位置を推定できる手法の確立が求められている.本論文では歩行経路を推定するために,加速度データから歩行周波数とエレベータ搭乗区間を,方位データから曲がり(歩行者の進行方向の変化)を推定する手法を提案し,システムを開発した.更に,開発したシステムを利用した評価実験を行うことで,歩行経路の推定精度を検証した.その結果,評価に使用した経路全てにおいて80 [%]以上,更に,エレベータを含まない場合は92 [%]以上という高い推定精度が得られ,屋内での歩行経路推定に有効であることが分かった.
著者
飯倉 道雄 吉岡 亨 樺澤 康夫
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

昨今、携帯電話などのモバイル機器が広く普及している。携帯電話にはメールの機能があり、携帯電話型の文字入力装置で文章を書くのが巧みな携帯電話ユーザも多い。そこで、コンピュータへの文字入力装置として、携帯電話型文字入力装置の利用の可能性について調査し、携帯電話型文字入力装置の文字入力練習システムを開発した。コンピュータへの携帯電話型文字入力装置の適用性について検討したので報告する。
著者
小野 薫 泉屋 周一 秦泉寺 雅夫 松下 大介 石川 剛郎 山口 佳三 高倉 樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

symplectic 構造は、古典力学における Hamilton の運動方程式の定式化などで重要な幾何構造である。近年は、symplectic 構造そのものの幾何学的研究が進展し、ミラー対称性の数学的研究と相俟って多くの研究者が関心を持つ対象となっている。研究代表者は、symplectic 幾何学で特に重要な Floer 理論とその応用の研究を続けている。今研究計画においては、Floer 理論をトーリック多様体とその Lagrange トーラスファイバーに対して、具体的な研究をし、いくつもの興味ある結果を得た。
著者
菅原 悦子 伊東 哲雄 米倉 裕一 櫻井 米吉 小田切 敏 SUGAWARA Etsuko ITO Tetsuo YONEKURA Yuichi SAKURAI Yonekichi ODAGIRI Satoshi
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.p520-523, 1990-07
被引用文献数
1

Bacillus natto was cultured in the chemically defined liquid medium which contain various amino acids as nitrogen source, and effects of amino acids on the formation of pyrazines were examined. The amino acids which are related to glutamic acid on metabolism, L-glutamic acid, L-aspartic acid, L-arginine and L-proline, promoted the best growth. Yields of pyrazines produced in the culture broth were not always parallel to cell growth. In the case of L-serine, L-aspartic acid, L-alanine and ammonium citrate, whole pyrazines were yielded about 10mg/l and above, and mostly consisted of tetramethylpyrazine. Pyrazines which have a characteristic side chain corresponding to the amino acid present in the medium were not detected.各種アミノ酸を添加した合成培地で納豆菌を培養し,ピラジン化合物の生成量を比較検討し,ピラジン化合物生成に対する納豆菌の役割について考察した.(1) 各種アミノ酸を添加した合成培地での納豆菌の増殖は代謝上, L-グルタミン酸と関連の深いアミノ酸(L-グルタミン酸, L-アスパラギン酸, L-アルギニン, L-プロリン)で良好であった.(2) 培養液からのピラジン化合物の抽出方法として,加熱条件の有無を考慮して, LIKENS-NICKERSON型連続蒸留抽出装置を用いる方法とPorapak Q吸着剤を用いる方法を比較したが,連続蒸留抽出法でピラジン化合物が二次的に生成している可能性は薄かった.(3) 納豆菌の増殖の良否とピラジン化合物の生成量には相関はみられず, L-セリン, L-アスパラギン酸, L-アラニン,クエン酸ニアンモニウムで, 10mg/l前後,あるいはそれ以上のピラジン化合物を検出し,その大半はテトラメチルピラジンであった,(4) 各種アミノ酸の特徴的な側鎖をもつピラジン化合物は確認できなかったので,この化合物はアミノ酸から直接生合成されず,より簡単な中間体をへて生成される可能性が高い.(5) 納豆菌が関与するピラジン化合物生成はその前駆体を多量に生成することによる可能性は高いが,最終段階まで酵素的に進むことも考えられ,さらに検討が必要である.