著者
内田 賢徳
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.18-26, 2000-05-10 (Released:2017-08-01)

修辞の出発には、ものと人、或いはものごと相互の同一性が身体的に感受されるということがある。それは語の語源的な層において、身体の体制こそが語源であるというあり方に言語としての基礎をもち、そして地名の語源のようなミュトスに広がる。身体はまた律動の場でもある。生の脈動がことばの音律に現れる時に歌は生まれる。歌謡から定型歌へと様式化したそれぞれで、同一性の感受は修辞として歌のことばへと組織される。
著者
内田 良
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.277-286, 2015 (Released:2016-05-18)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本稿の目的は、学校安全の教育実践におけるエビデンスの功罪について検討することである。そもそも学校安全において、エビデンスは活用されてこなかった(エビデンスの不在)。しかしエビデンスが活用されても、数値が誤読され、そのうえで施策が推進されることがある(エビデンスの罪)。科学的手続きにもとづいてエビデンスが慎重に用いられることが重要であり、こうして実質的な安全が達成されていく(エビデンスの功)。
著者
野村 聡 塩谷 猛 渋谷 哲男 内間 久隆 鈴木 英之 内田 英二
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.50-54, 2011 (Released:2012-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は56歳,男性.主訴は気尿,糞尿.腹部CT検査で膀胱内にガス像と膀胱に癒着するS状結腸を認めた.注腸造影検査では上行結腸とS状結腸に多発する憩室,更にS状結腸狭窄と同部位から膀胱内へ造影剤の流出を認めた.S状結腸憩室炎による結腸膀胱瘻と診断し,手術療法をすすめたが,仕事上の都合により保存的治療を希望し,内視鏡的バルーン拡張術を施行した.一時的に症状は改善したが,糞尿が増悪したため,S状結腸切除,膀胱部分切除術を施行した.病理組織学的にもS状結腸憩室炎に伴う結腸膀胱瘻と診断された.結腸膀胱瘻の根治には手術が必要と考えられた症例を経験した.
著者
京野 千穂 内田 由紀子 吉成 祐子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.56-67, 2015-03-31 (Released:2017-04-26)

援助場面を叙述する際に使用されるテモラウとテクレルの違いを明らかにするために,日本語母語話者に対し2種類の調査を行った.調査1では援助を受けた場面について,その状況と援助時における与え手との会話を思い出し,記述してもらった.その結果,会話内で与え手からの申し出があった場合,テクレルで状況を記述する傾向が見られた.一方,会話での受け手からの依頼は,テモラウによる記述には結びつかなかった.調査2では,テクレルあるいはテモラウで記述された状況文を呈示し,援助の与え手と受け手の会話を想像して記述してもらった.会話内の依頼表現と申し出表現を数えたところ,テクレルを含む状況文に対しては,与え手からの申し出表現が約8割,そして依頼表現が2割となった.一方,テモラウを含む状況文に対しては会話内の依頼表現と申し出表現がそれぞれ5割と同程度出現することが明らかになった.これらの結果から,テクレルと与え手からの申し出のほうが,テモラウと受け手の依頼との結びつきより強く,また,テモラウは与え手の申し出とも結びつくものであることを示した.上記結果は,テモラウ・テクレル文の構造と関連し,また,後続する感情表現とも関連することを論じる.
著者
内田 昭利
巻号頁・発行日
2017-03-23

北海道大学. 博士(文学)
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。
著者
内田 学 山口 育子 月岡 鈴奈
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C-107_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】パーキンソン病(Parkinson disease:以下PD)は中脳黒質のドパミン作動性有色素神経細胞が脱落し,線条体でのドパミン消失によって安静時振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害等の症状が現れる.PD患者の嚥下障害は予後に関係する重要な因子であり,経過中90〜100%に出現し死因の25%は肺炎で,肺炎の発症のリスク因子として誤嚥は重要である.PD患者の嚥下障害に対する治療法としては薬物療法が選択され,L-dopaなどが代表的に用いられている.治療効果として口腔期の異常は改善させるが食物移送に関与する咽頭期の異常に対して効果が不十分である.間接的介入として摂食・嚥下リハビリテーションが併用されているが代表的な治療法はShaker exerciseである.この介入効果は舌骨上筋に対する筋力増強が目的であり主として顎二腹筋などの筋萎縮に対して実施される.PD患者の嚥下障害はドパミン欠乏による咽頭や喉頭筋群の固縮によって咀嚼や嚥下,喉頭蓋の閉鎖不全が起こるにも関わらず嚥下筋の筋力を焦点にした介入が実施されている.我々は,第27回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会にて舌骨下筋に対する超音波療法(Ultra sound:以下US)が嚥下クリアランスを改善させることを報告した.その検討は温熱効果の介入効果のみであることから,プラセボ群との対比を用いることでUSの効果を明確にすることを本研究の目的とした.【方法】対象は, PDと診断され日常的に嚥下障害を呈している者19名とした.Head dropping testが陽性を示し頸部筋の固縮を認め嚥下障害の指標となる相対的喉頭位置が49%以上であることを統制条件とした.乱数表を用いてUS介入群10名、プラセボ群9名をそれぞれ割り付けた。US介入群は甲状舌骨筋を対象筋としてUSを実施した.出力周波数は3MHZ,照射時間率は,照射時間/(照射時間+休止時間)で設定し50%,BNRは3.5±30%,治療頻度は3回/週×2セット(合計6回)とし10分間実施した.プラセボ群はUSの出力をOFFにした状態で同一筋に対して同条件下の時間頻度で回転法を実施した.測定項目としては,嚥下機能を評価するために改訂水飲みテスト(modified water swallow test : 以下MWST),相対的喉頭位置,嚥下時における嚥下関連筋の表面筋電図(振幅,活動時間),食事摂取時に出現する顕性誤嚥の回数を測定した.両群共に全ての測定を介入前に実施し,2週間の介入後に再測定を実施した.統計的手法としては,群内におけるMWST,相対的喉頭位置,筋電図学的解析,顕性誤嚥回数の介入前後の差についてMann-Whitney's U testを実施した.【結果】US群では,MWST,嚥下筋活動の振幅,活動時間,相対的喉頭位置,誤嚥回数が介入後に有意な改善を認めた.一方でプラセボ群では全ての項目に統計学的な差は認めなかった。【結論】PDの誤嚥に対するUSは,固縮による異常な筋緊張を抑制し咽頭部における活動性をより改善させた.プラセボ群では変化を認めないことから,舌骨下筋に対するUSは誤嚥の予防効果として有効であることが示された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は東京医療学院大学研究倫理委員会の承認(17‐37H)を得たのちに実施した.すべての対象者には視覚材料を用いて研究内容を十分に説明し,書面にて同意を得た後に測定および介入を実施した.
著者
内田 敦子 土居 敏明 難波 倫子
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.503-505, 2007-06-01

要約 31歳,女性.ネフローゼ症候群の治療中に,円形の落屑性局面が体幹を中心に次々に出現するようになった.病理組織学的に不全角化を伴わない角質増生,顆粒層の減少,有棘層の菲薄化がみられ,臨床症状と併せて連圏状粃糠疹と診断した.ネフローゼ症候群の改善と尿素軟膏の塗布により,皮疹は約2か月後には軽快した.本疾患は,悪性腫瘍や結核に合併することが多く,消耗性疾患のデルマドロームの一型と考えられている.