著者
木股 文昭 石原 和弘 植木 貞人 内田 和也 小山 悦郎 佐藤 峰司 鈴木 敦生 高山 鐵朗 竹田 豊太郎 辻 浩 寺田 暁彦 中坊 真 浜ロ 博之 平野 舟一郎 松島 健 宮島 力雄 森 済 八木原 寛 山本 圭吾 渡辺 秀文
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-43, 1999-04

1998年以降, 火山活動が活発化している岩手山火山において, 火山活動に伴う地殻上下変動とその圧力源を議論する目的で, 水準路線を設置し, 1998年7, 9, 11月に精密水準測量を実施した。1998年9月3日, 水準測量実施中に, 直下でM6.1の地震が発生し, 20cmに達する断層運動を水準測量で検出した。岩手山南麓ではこの4ヶ, 月間に4cmに達する山側隆起の上下変動が観測され, その圧力源は岩手山西方に深さ3km前後と推定される。Earthquake swarm is observed around the Iwate-san Volcano, Northeast Japan since 1998. The leveling route with distance of 36 km was set up around the volcano and the precise levelings have been repeated to discuss the crustal deformation four times in July, September, September and November in 1998. When the precise levelingis doing in September 3, 1998, earthquake of M6. 1 was occurred close to the volcano. One leveling team was making leveling in the epicenter area, Re-levelings were repeated since the next day of the earthquake, and coseisimic deformations of 20 cm are detected along the leveling route. However the precursor of the vertical movements is not recognized in the leveling data made just before the earthquake. Uplift of the Iwate-san Volcano is observed and which amounts to 4 cm in the period of July to November in 1998. The pressure sources of the vertical deformations are estimated to be under the west side of the volcano with depth of 3 kim, which is the almost the same location of the pressure estimated by GPS measurements and the DInSAR (Differential Interferometric SAR).

1 0 0 0 OA 書評

著者
小林 貞一 高野 道夫 吉田 朋好 一松 信 内田 伏一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.370-375, 1978-11-22 (Released:2008-12-25)
参考文献数
6
著者
内田 元喜 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.691-696, 2010-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

本研究では、多くの集落を抱える岡山県高梁市を対象に、これまで十分に検討されていない免許返納に関するアンケート調査を実施した。そして、居住者がいつ免許を返納したいと考えているのか、またどのような状況であれば免許を返納したいと思うのか、といった意向について個人属性や居住地特性に着目した分析を行った。分析の結果、性別や年齢のみならず、バスサービスレベルなどの居住地特性も免許返納意向へ大きく影響していることが明らかとなった。また、居住地区や居住者自身に関する状況の変化以上に、バスサービスの改善によって免許返納が促進される可能性などを示した。
著者
内田 司
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.105, pp.165-181, 2019-02-25

現在,経済のグローバル化にともなう経済的不均等発展によって,さまざまな社会問題が発生している。経済格差の拡大や雇用の不安定化などもそうした問題のひとつである。そうした状況は,生活者にとって極めて理不尽と感じられるようなこともあるのではないだろうか。それゆえ,生活者にとって,現代社会においてどのような生き方をしていけばよいのかという問いは,差し迫った問いとなっているように思われる。本稿は,現代社会における生き方に関する社会学的研究のための予備的考察を行うことを目的としている。その考察の手始めとして,現代社会と同じように極めて理不尽な状況があった戦前の日本社会に生きた,三人の作家の生き方を検討するとともに,その検討を踏まえ,生き方の社会学的研究の対象の明確化を試みたいと思う。本稿では,3人の作家のうち小林多喜二の生き方を検討するとともに,生き方の社会学的研究対象の明確化を行うことになる。研究ノートResearch Note
著者
西村 太志 内田 東
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.387-391, 2005
参考文献数
11

We analyze five explosion earthquakes observed at Asama volcano in 2004. The main phase consisting of Rayleigh wave is well explained by a vertical downward single force with peak amplitude of 10<sup>10</sup>-10<sup>11</sup> N and pulse width of 5-6s. These source parameters are in the range expected from a scaling relation presented by Nishimura and Hamaguchi (1993), which suggests that the 2004 explosions of Asama volcano are typical Vulcanian eruptions. The internal pressure built up beneath the crater is estimated to be 0.2-1.5MPa, which tends to become large after the formation of lava dome in the crater.
著者
内田 洋子 高木 直之
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.55-64, 2012
参考文献数
7

The present study investigated patterns of foreign accent conspicuous in English produced by native speakers of Chinese. Native speakers of English and Japanese listened to English speech data collected from Chinese-speaking cadets, and reported Chinese accents they heard. Based on their reports, the authors pointed out typical Chinese accents which Japanese speakers are likely to find confusing, with a support of Pinyin transcription and contrastive analyses of Chinese, English, and Japanese. They included realization of English /v/ as [w], peculiar quality of/l/ and /r/ when following a vowel, and insertion of an extra vowel and/or omission of a consonant in a sequence of two or three consonants. China being one of the most important trading partners, we strongly believe that knowledge on characteristics of Chinese accented English described here will help Japanese people in the maritime sector with easier communication with Chinese seafarers, which will contribute to safer navigation of ocean-going vessels.
著者
堀 高志 藤岡 利生 村上 和成 首藤 龍介 末綱 純一 寺尾 英夫 松永 研一 糸賀 敬 村上 信一 柴田 興彦 内田 雄三
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.2775-2781_1, 1985-12-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
27

胃憩室は消化管憩室の中では比較的稀なものであり,胃憩室の発生頻度は一般に0.01%から0.20%との報告が多い.胃憩室の多くは,噴門部小彎後壁寄りに発生し,体部大彎に発生するものは極めて稀である.また,大きさについては,広田らによれぼ2.1cmから3.0cmのものが最も多く,5.1cmを超えるものは6.9%にすぎない.更にその壁構造については,一般に真性憩室が多いとされている. 症例は48歳女性,胸やけ,心窩部痛,体重減少を主訴として入院した.上部消化管X線検査にて胃体部大彎側に巨大な憩室を認め,内視鏡検査にても同様の所見であった.保存的療法にても自覚症状改善しないために手術が施行された.憩室は11.5cm×8.0cmの大きさで,組織学的には仮性憩室であった.
著者
鎌田 信一 柿市 徳英 本澤 明彦 大塚 宏治 内田 和夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1228-1233, 1992

アクサルアミド(ACR)のメタン発酵に対する影響試験を試みたところ,ACR 3.3mg/l以上で発生ガス量が極度に低下した.このメタン発酵スラッジからACR耐性通性嫌気性菌の分離を試みた結果,ACRに対する最小発育阻止濃度(MIC)が20,000mg/lの<i>E</i>. <i>coli</i> SK-1株が分離された.また,本菌株はACRを炭素源として利用することが明らかにされた.さらに,本菌株をPVA-硼酸法により固定化し,ACRの分解を調べたところ,4日間で52%が分解された.以上より,メタン発酵は微量のACRの存在で阻害されることが明らかとされた.また,ACRにより馴化したメタン発酵スラッジ由来の<i>E</i>. <i>coli</i> SK-1は固定化したバイオリアクターとしての応用の可能性が示唆された.

1 0 0 0 OA 嗚通力

著者
内田新好 作
巻号頁・発行日
1788

1 0 0 0 OA 車両照明

著者
内田 重春
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.459-461, 1962-09-25 (Released:2011-07-19)
著者
鈴木 里砂 宮下 正好 内田 成男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】理学療法教育において,臨床実習成績評定は施設間格差や妥当性について問題となることがある。また,実習中は学内と環境が変化し,学内の様子だけでは予想がつかなかった困難にあたることもある。我々は,学生の実習不安についての研究を実施してきたが,実習中の学生が持つ不安の原因に個々の学生のパーソナリティや自己教育能力に関連がある可能性を指摘してきた。今回,実習成績と,指導者による印象評定,学内成績,学生の自己教育能力との関連について検討し,臨床実習成績と学内成績との関連性を明らかにし,臨床実習での成績不良の危険因子を探ることで,学内において早期に学生の学外教育時の問題を明確化し対策を行うため,調査を実施したので報告する。【方法】対象は3年制理学療法学科2学年の学生54名であり,臨床評価実習(4週間実施)終了後,初登校時にアンケート調査を実施した。アンケート調査は,自己教育能力尺度として自己教育力調査票(Questionnaire Concerning Self-educational Ability)を利用し,成長・発達への志向,自己の対象化と統制,学習の技能と基盤,自信プライド安定性の4つのカテゴリー得点を算出した。学内成績に関しては,2学年の総合成績としてGPA(Grade Point Average)4.00を満点とした場合の割合で80%以上のものをA,70%以上のものをB,60%以上のものをC,それ以下をFとして分類し数量化した。また,当該校では臨床実習成績として情意面10項目,基本技能5項目,検査測定技能9項目,思考過程4項目,認知領域4項目,記録4項目の36項目についてそれぞれ4段階(A,B,C,F)で評定されたものを4,3,2,0点で数値化した合計点とし,最終的に80%の得点率のものをA,70%以上のものをB,60%以上のものをC,それ以下をFと規定しており,これを臨床実習評定として利用した。また,臨床実習指導者の主観により学生の全般的な印象を適正や将来性も含めをA,B,C,Fの4段階で評定しており,これを印象評定として数値化し利用した。分析は,統計ソフトMulcelを使用し,外的基準は対象者の臨床実習4週終了後の実習成績,印象評定とした。群判別するために多変量解析の数量化II類を用いて臨床実習成績に影響を与える因子の重さを求めた。【結果】数量化II類にて 外的基準を臨床実習成績とした結果は,相関比は0.9621(第1軸),レンジが広い順に,学内成績(偏相関係数,レンジ:0.9752,6.851),自信プライド・安定性(偏相関係数,レンジ:0.9181,4.027),成長・発達への志向(0.9451,3.325),自己の対象化と統制(0.9419,2.90),学習の技能と基盤(0.9124,1.831)の順であった。また,外的基準を印象評定とした場合は,相関比は0.7702(第1軸),レンジが広いアイテム順に,自信プライド・安定性(偏相関係数,レンジ:0.8237,5.009),成長・発達への志向(0.7434,4.770),自己の対象化と統制(0.7932,2.4859),学習の技能と基盤(0.7238,1.822),学内成績(偏相関係数,レンジ:0.4659,1.652)の順であった。【考察】当該校では,指導の種類・頻度によって基準を明確化し32項目での評定を行うように依頼している。この成績評定方法は学内成績との関連が高いことが明らかとなった。学内成績と臨床実習成績の乖離を防止するためには,臨床実習指導者会議にて細項目の成績判定基準を明確化し,各施設での評定の均一化を実施していくことが有効であると示唆された。また,指導者の印象評定との関連は,学内成績よりも,自信プライド・安定性,成長・発達への志向の方が強いと考えられた。自信プライド・安定性は,理学療法士として職務に取り組むための適正を示す指標と考えられる。また,単独で臨床実習施設で取り組むことが多い臨床実習の形態では,やる気を示すことが重要で指導者はこれらを主に評定基準として重要視している可能性が認められた。学内教育においては,成績評価を筆記試験のみでなく,実習授業での行動観察を加味し,学生の志向を適正に反映することで,早期に臨床上での学生の問題点を明るみにすることが可能であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】臨床実習の成績評定は,基準を明確化することで学内教育との解離を防ぐことができることが示唆された。また,臨床での適正を教育するには学外教育に移行するまでに早期に学生の成長志向を育むことが重要であることが示唆された。
著者
内田 泉之助
出版者
二松学舎大学文学部
雑誌
二松学舎大学論集 (ISSN:02867206)
巻号頁・発行日
no.33, pp.13-26, 1959-06
著者
内田 照久
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.396-405, 2000
参考文献数
20
被引用文献数
18

話速変換音声に対する主観的なピッチ感を測定した。変換音声には平均F_0に有意差がないにも関わらず, 発話速度の低下に伴って音声はより低く認知されていた。音声を150%伸長した場合の認知的なバイアスの推定値は, 約-14.0melであった。次に話速変換による話者の性格印象への影響を検討した。性格特性5因子モデルに基づく測定の結果, 協調性は速度の低下に伴っていったん上昇, 更に遅くなると低下した。外向性, 開放性, 誠実性では, やや速い発話にピークがあり, 速度の低減と共に低下した。情緒不安定性にあまり影響はなかった。聴取者は性格印象を特性因子ごとに多元的に評価しており, 話速変換により組織的に影響を受けていた。
著者
内田 有紀子 大石 響子 中西 真 藤井 達生 高田 潤 草野 圭弘 菊池 丈幸
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.640-645, 2005
被引用文献数
2 2

We have successfully prepared Carbon/Fe-Co alloy composites starting from metal organic precursors synthesized by polymerized complex method. The carbon/Fe-Co alloy composites were obtained after the carbonization of the precursors heat-treated at ambient pressure and lower temperatures ranging from 500 to 700&deg;C in N<sub>2</sub> gas flow. Crystalline sizes of both carbon matrix and Fe-Co alloy particles were determined by X-ray diffraction measurements as a function of the Co concentration and the carbonized temperature. The alloy particles were widely dispersed in the carbon matrix and the particle size carbonized at 600&deg;C was about 20&sim;50 nm observed by scanning electron microscopy. The composite carbonized at 600&deg;C had very small coercivity of 14 Oe and exhibited relatively large permeability spectra at frequency of GHz range.
著者
浪花 志郎 西山 和光 原 曜子 白石 達雄 山本 俊比古 内田 寛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1022-1026, 1982-12-01 (Released:2012-03-21)
参考文献数
9

パシフラミン(パッシフローラエキス製剤)を皮膚そう痒症を始めそう痒を伴う各種皮膚疾患計29例に投与し, その鎮静作用がもたらす止痒効果について検討した結果, 一日量3錠ないし6錠の投与で, 比較的早期に止痒効果が発現し, 併用された抗ヒスタミン剤, マイナートランキライザー, またはステロイド剤の有する止痒効果に補助的に作用する傾向がうかがわれた。副作用を示した症例は1例も認められなかつた。従つて, 上記薬剤による止痒効果が不十分であつたり, 副作用のために投与継続が困難な症例では, パシフラミンによる鎮静的止痒効果を期待して補助的に用いることは有用と考えられる。
著者
鈴木 勝征 内田 誠
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.10, pp.19-91, 2010 (Released:2011-07-13)

本研究は新規にギンナンを導入する際の参考に資するため、ギンナン実生個体の調査並びに既存の日本の品種、中国品種等について、詳細な果実特性調査を行ったものである。樹齢およそ20年生と思われるつくば市内の街路樹545本の調査から、開花結実していた雌樹個体は約28%であった。その果実は既存品種と比較すると小果であり、殻果も小さく、形状は縦長のタイプであった。これらの中から比較的特徴のある44個体を果樹研究所内の千代田圃場に高接ぎ保存した。既存品種の‘二東早生’、‘金兵衛’は早熟性で9月と10月との殻果重には差が無く、他の品種では増加するのが認められた。しかし、これら早熟品種は比較的小果であった。今回の調査では‘喜平’が大果であり有望な品種と思われた。‘金兵衛’は殻果表面に「アバタ」が多く発現する品種であり、数多くの実生個体の中にもこれほど「アバタ」が出る個体はなかった。胚乳上の内種皮の色は上位部と下位部に区分され、その比は品種によって異なり‘金兵衛’、‘栄神’では上位部のほうが長く、これは実生個体にも多く出現する特徴であった。中国6品種の殻果は全て日本の品種より縦長の形をしており、内種皮の上下比では下部が顕著に長いという特徴があった。なお、‘大馬鈴’は5年生の幼木で開花結実し、早期結実性のある品種と思われた。果肉部の屈折計示度は早熟品種が早い時期から高く、10月には全ての品種で20%を越えており、果実の着色と合わせて成熟度を測る指標となりうるものと思われた。また、樹齢が古いと成熟が早まり、若くて樹勢が強いと大果になるが、殻果歩留りは劣るようであった。
著者
丸山 剛史 白石 崇人 内田 徹 船寄 俊雄 笠間 賢二 釜田 史 山本 朗登 大谷 奨 井上 惠美子 亀澤 朋恵
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員(以下、初等教員)検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究である。府県比較に関しては、北海道、鳥取県、長野県、埼玉県、宮城県、山口県の道県を取り上げた。中央法令制定・改正過程の検討には『公文録』・『公文類聚』等の法令起草・成文関係史料等を用いる。本年度は学制発布から小学校教員検定等ニ関スル規則施行下の時期(1872-1900年)に限定し、検討を行った。検討の結果、次のことが明らかになった。1)府県比較に関して。北海道に関しては、資料調査により北海道道立文書館には初等教員検定関係の史料はほとんど残されていないことが判明したが、北海道教育会の機関誌に初等教員検定制度を活用した教員養成講習会に関する記事が掲載されているほか、合否判定基準等を記した検定内規も掲載されていることがわかった。検定関係規則は「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定細則」等の名称により北海道庁令で規定されていたことも判明した。長野県に関しては、資料調査により長野県立歴史館に『長野県報』、検定関係文書が所蔵されており、特に検定関係文書はこれまで非公開文書が多かったが、問い合わせにより非公開文書のほぼすべてが公開されることになった。また、検定関係規則は長野県令により「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」、「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」等の名称により規定されていたことがわかった(他県に関しては文字数の制限により省略)。2)中央法令制定・改正過程の検討に関しては、国立公文書館には画期的な史料は見つけ出すことはできなかったが、府県教育会機関誌等に「小学校教員検定ニ関スル規則」制定過程に言及した記事があることがわかった。