著者
内田 照久
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.63-72, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
47
被引用文献数
4 4

教育心理学領域の測定・評価に係わる研究について, 2010~2011年の動向を概括した。従前から続く傾向として, 心理尺度の作成に係わる研究が数多く進められた。しかし本年は, 心理学的な構成概念や測定尺度の過度の氾濫や過剰供給に対する危機感から, 尺度の妥当性の検証の必要性を訴えると共に, 具体的な検証方法を提案するセミナーや発表が多くなされたのが特徴的であった。また近年, 心理測定や教育評価, テスト理論の研究領域は, その発展に伴って細分化が進んでいる。試験やテストに関連した教育評価の研究は, 教育心理学会からテスト学会などに発表の場が移動しつつあるように見受けられた。そこではテスト理論や統計手法の開発, IT技術の活用などのテスト技術に関する研究が精力的に進められる一方, 社会で実際に運用され, 受験者の処遇を左右するテストや試験の場面で発生している具体的な問題に向き合い, その解決を目的とした研究も行なわれている。これらの研究は, 教育心理学の従来からの課題でもある研究と教育実践の社会的な繋がりを考える上で, 大切な方向性の1つを示すものと考えられる。
著者
中井 由佳 徳山 絵生 吉田 都 内田 享弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1175-1182, 2009 (Released:2009-12-21)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本特集では、種々の配合変化の中から、FDAからALERTが出されている、注射用セフトリアキソンナトリウム製剤とカルシウム含有製剤との配合変化に着目して、(1)カルシウム濃度、(2)温度、および(3)振とうの度合いが与える影響について、肉眼的・実体顕微鏡下の観察および光遮蔽型自動微粒子測定装置を用いた不溶性微粒子数 (以下、微粒子数と略す) 測定により評価した成果について述べた。10mg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が0.5、1、1.5、2、2.5mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加え、薬剤が均一になる程度に緩やかに振り混ぜた後、20℃、25℃、30℃の温度条件下に保存した。混合溶液中の微粒子数を光遮蔽型自動微粒子測定装置により計測したところ、微粒子数はカルシウムイオン濃度と経過時間に比例して増加する傾向を認めた。混合直後では、すべてのサンプル中の微粒子数は日本薬局方 (以下、局方と略す) の許容範囲内であったが、混合1時間後では、すべての温度で、カルシウムイオン濃度2mmol/L以上で局方の許容微粒子数を超えた。配合変化に及ぼす温度の影響については温度が高いほど大きい粒子径の不溶性微粒子を実体顕微鏡下確認できた。逆に温度が高いほど微粒子数は少なかった。また、この事実は、沈殿物重量の測定結果と矛盾しなかった。また、振とうを与えることで微粒子数は有意に増加した。体内濃度を想定した1,000μg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が1.25mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加えた溶液中の微粒子数の検討では、微粒子は有意に増加した。上記結果より、カルシウム濃度だけでなく、保存温度や振とうもセフトリアキソンとカルシウムの沈殿に影響を及ぼした。
著者
齋藤 里美 齋藤 幸広 濱野 俊明 高関 じゅん 畠中 佳代子(OT) 加藤 理恵(ST) 友井 貴子 内田 賢一
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第25回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.23, 2006 (Released:2006-08-02)

【はじめに】膝蓋骨骨折に対する骨接合術を施行した患者における経過と機能の変化を把握する目的で、調査検討を行ったので報告する。【対象と方法】対象は2002年4月以降、当院にて外傷性の膝蓋骨骨折に対する骨接合術を施行した患者28例(男18女10、平均年齢54.7歳)である。 診療録より、各症例の骨折型、手術日、理学療法(PT)開始日、膝関節可動開始日、荷重開始日、退院日、退院時膝関節可動域、退院時移動能力を調査した。【結果】骨接合術後、PT実施計画に大幅な変更無く退院した例は28例中24例だった。骨折型は腰野の分類で、単純横骨折型8例、第3骨片型が9例、第4骨片以上多骨片型(多骨片型)が7例であった。手術日~PT開始日までは平均1.9日、退院日までは平均24.0日であった。 PT開始日より術側膝関節伸展位での股・膝関節周囲筋の筋力増強、非荷重での立位・歩行を行った。膝関節可動域の回復に合わせて術側下肢の自動介助運動を追加したが、関節運動を伴う積極的な筋力増強は退院時まで行わなかった。 膝関節可動域については、単純横骨折型と第3骨片型では全例で術後1週以内に開始したが、多骨片型では術後1週以内が4例、残りの3例は術後2週以降の開始となった。 部分荷重負荷での歩行は単純横骨折型と第3骨片型では1例を除く16例で2週以内に開始した。多骨片型では4例は2週以内に開始、2例はギプス固定後早期に開始し、残りの1例は5週の安静となった。 24例のうち3例は、手術後ギプス固定が必要となった。うち2例が多骨片型の骨折であり、バイク乗車中の受傷であった。 退院時にギプス固定をしていなかった22例の膝関節屈曲角は平均120°であった。120°に達しなかったものは第3骨片型で9例中3例が100°~120°、多骨片型では6例中2例が90°未満であった。 退院時移動能力は、独歩が9例、T字杖歩行が4例、片松葉杖歩行が6例、両松葉杖歩行が3例、その他2例であった。 一方、28例中4例は在院中に再手術の適応となった。1例は術後10日で転倒し再骨折となった80歳男性で、再手術後2週で部分荷重負荷を開始し、30日後膝関節屈曲角130°でT字杖歩行退院となった。3例は術後早期の画像所見にて骨片脱転が認められ、うち2例は当院で再手術を施行した。術後15・28日後にギプスシーネ下にて部分荷重負荷・関節可動を開始し、43・44日後にそれぞれ片松葉・T字杖歩行にて自宅退院となった。尚、退院時膝関節屈曲角は70・90度であった。【まとめ】膝蓋骨骨折に対する骨接合術を施行した患者について調査検討を行った。再骨折や骨片脱転などで再手術となる例もあった。
著者
内田 伏一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 自然科学 = Bulletin of Yamagata University. Natural Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.135-163, 2004-02-16

There is a special class of magic squares that are called pan-diagonal magic squares among general magic squares. In this paper, we shall consider a classification of a subclass of pan-diagonal 8×8 magic squares. Key clues for the present investigation are the 4-adic expansion of the entries of magic squares and the transformations of magic squares that are represented by the permutations of rows and columns of the magic squares.
著者
内田 伏一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 自然科学 (ISSN:05134692)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.135-163, 2004-02

There is a special class of magic squares that are called pan-diagonal magic squares among general magic squares. In this paper, we shall consider a classification of a subclass of pan-diagonal 8×8 magic squares. Key clues for the present investigation are the 4-adic expansion of the entries of magic squares and the transformations of magic squares that are represented by the permutations of rows and columns of the magic squares.
著者
寺本 英央 定免 良太 田中 文明 池田 充貴 桐生 倖成 松下 幹弥 前中 寛裕 代 盼 陆 书龙 内田 史朗
出版者
宇宙太陽発電学会
雑誌
宇宙太陽発電 (ISSN:24321060)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.8-11, 2018-04-01 (Released:2018-04-06)
参考文献数
6

L-SSPSにおける光電変換効率の向上を目的として,太陽電池に入射するレーザ光の波長依存性の検討を行った.バンドギャップエネルギーの異なるInGaP,GaAs,InGaAsP,InGaAsの4つの単セル太陽電池と,それぞれのバンドギャップに対応した異なる波長の半導体レーザを複数用意し,その変換効率を調べた.その結果,いずれの太陽電池でもバンドギャップエネルギーよりも約100meV高いレーザ光を照射した時に最も変換効率が高くなることが分かった.
著者
内田 孝幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.473-480, 2013 (Released:2014-12-16)
参考文献数
26

蒸着や,電着によって10 nm程度の銀の薄膜を作製し,これらを透明導電膜等で挟み込んだ場合,透明性,導電性,表示色に関して特徴ある特性を示す.本稿では〈1〉Ag薄膜を酸化物透明導電膜(TCFs)で挟んだ,サンドイッチ型の積層膜の作製と評価,さらにこれらを用いて有機EL(OLEDs)の電極への適用の事例とその応用について紹介する.〈2〉また,Agイオンを含む透明エレクトロクロミック素子へバイアス電圧を印加し,透明導電膜にAgを電着した場合,鏡や黒,さらには赤~青色といった多彩な表示色を示す.これは,透明電極のモルフォロジー(平坦/凹凸等の差異)や,バイアス電圧印加の工夫(一定電圧やダブルパスル印加など)によって,ある程度,銀の粒子(核発生,粒子成長)の成長を制御でき,その結果,Agの粒子の凝集状態が異なることによって,多彩な表示色が得られることを示す.〈3〉さらに,これら〈1〉と〈2〉の特徴を活かした新奇な素子として,「透明有機EL素子」と「透明エレクトロクロミック素子」を組み合わせた,6状態を有するスマートウィンドウの紹介を行う.
著者
内田 九州男 松原 弘宣 寺内 浩 山川 廣司 藤田 勝久 加藤 國安
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

[資料収集と現状把握](1)日本国内。2700件余の四国遍路関係資料・文献のデータを収集し、原資料では、納経帳等愛媛県歴史文化博物館蔵の資料、また接待資料や『四国霊験奇応記』、伊予小松藩会所日記等の写真を収集した。(2)海外。中国、チベット、スペイン、イギリスへ出張し、巡礼の現状、旅行・宗教のルート等の調査を実施した。[口頭発表](1)愛媛大学公開講座または愛媛大学法文学部開放講座を3年間で3回(年に1回)実施し、合計22本の講演を行った。(2)平成15年度に「四国遍路と世界の巡礼-その歴史的諸相の解明と東西比較-」(国内シンポジウム)を開き、12本の報告を行った。16年度はフランスから巡礼研究者2名を招き「四国遍路と世界の巡礼-歴史的諸相の解明と東西比較-」(国際シンポジウム)を開いた。このシンポジウムに国内からは11本の報告を用意した。また個人による個別の口頭発表を約20本おこなった。[学会誌その他の発表]遍路・巡礼・旅・いやし等多方面からの研究成果を50編余の論文・小論等にまとめ発表した。[印刷物]研究成果を以下のように刊行した。『四国遍路と世界の巡礼 平成15年度愛媛大学国内シンポジウムプロシーディングズ』(平成16年2月)、『愛媛大学「四国遍路と世界の巡礼」国際シンポジウム』(平成16年10月)、『愛媛大学「四国遍路と世界の巡礼」国際シンポジウムプロシーディングズ』(平成17年3月)。また個人の関係著書は9冊に及んだ。3ヶ年の研究活動を通して、国内の四国遍路や六部研究を初め古代ギリシャや近世イギリスの巡礼等、諸巡礼とその時代環境の解明等の個別研究を大きく前進させたと同時に、その国際比較の基礎を築いたと評価できる。
著者
内田 智雄
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.49-75, 1961-10

資料
著者
伊藤 史斗 長谷 和徳 内田 和男
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.85, no.878, pp.19-00191, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
15

The frame stiffness in a racing bicycle might influence not only toughness as the frame structure but also performance of an athlete. The purpose of this study is to clarify biodynamic relations between the frame stiffness in a racing bicycle and the physical loads of an athlete by using a forward dynamics simulation model. The human body structure was represented by the 13-rigid-links and 23-degrees-of-freedom model. Based on the theory of multibody dynamics, the frame structure was expressed by combination of 12 rigid pipes, and the frame stiffness was modeled by rotational springs at the connecting joint between the rigid pipes. Spring coefficients were changed according to the thickness of the frame pipes. The pedaling load from the crank was computed by the angular velocity and angular acceleration of the crank. Moreover, the driving force in the bicycle was additionally defined to consider the influence of the frame weight on the human joint load. The human body model was driven by the joint toques to minimize the cost function consisting of the joint loads in the human body and the driving force in the bicycle, and also to keep desired angular velocity of the crank. Validity of the simulation was evaluated by comparing the joint angles and torques with the measured ones. As for the result, the larger stiffness of the frame resulted in smaller the joint loads in the human body, and optimal stiffness would be determined by the balance between the joint loads in the human body and the driving force in the bicycle.
著者
吉田 真美 内田 優 吉田 佑美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2006 (Released:2006-09-07)

[目的]ショウガはプロテアーゼ活性を有するため肉への軟化作用があるとされ、また6-ジンゲロールなどの抗酸化物質を多種類有することにより抗酸化作用をもつことが報告されるなど、その機能性が評価されている食品である。しかし、その簡便性ゆえに一般に普及している市販のチューブ入りショウガ、瓶入りショウガや粉末ショウガなどのショウガ関連商品についての報告はほとんどない。そこで、これらの商品の抗酸化性とプロテアーゼ活性ついて測定し、生ショウガと比較した。[方法]生ショウガはおろして使用した。それぞれの商品の水分を測定して、水分量を一定に調製した後、豚ひき肉に対する抗酸化性をTBA法で測定した。 また、試料を遠心分離して上清を得て、Sephadex G25を用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行った。各溶出各分の280nmにおける吸光度を分光光度計で測定、たんぱく量をLowry法で測定、プロテアーゼ活性をカゼインを基質をして測定した。[結果]チューブ入りショウガ、瓶入りショウガは抗酸化性を有したが、生ショウガに比べてその機能はごく弱かった。粉末ショウガは、生ショウガの約半分の抗酸化性を示した。 プロテアーゼ活性については、チューブ入りショウガ、瓶入りショウガにはたんぱく質自体が存在せず、活性は全く無かった。粉末ショウガには若干の活性が認められた。これらの結果から、粉末ショウガにはある程度の機能が認められたが生ショウガには劣り、生ショウガの機能性が最も高いことが確認された。
著者
内田 智洋 横塚 達男 堂山 昌男
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.773-776, 1995-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
20

マイクロマシンと呼ばれる極微小な機械が現実視されるようになり,ミクロなレベルでの切削,摩擦・摩耗・潤滑などの現象が,注目を受けている.本稿では,これらの現象を原子の視点から扱う有効な手法として分子動力学を示し,現状と展望を述べる.