著者
前田 吉昭 森吉 仁志 伊藤 雄二 藤原 耕二
出版者
慶応義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1997年から1998年にかけては,次の研究テーマを主題に行なった.(1) 4次元空間のYang-Mills gradient flowと3次元空間のYang-Mills-Higgs gradient flowの研究.(2) 変形量子化問題と非可環幾何学(3) 無限次元空間における無限次元リー群の作用によるオービットの幾何学的性質(1)については,4次元コンパクト多様体のYang-Mills qradient flowについて,チャーン数に近い初期データを与えることでその滑らかな解が大域的に存在することを示した.また,3次元空間のYang-Mills-Higgs qradient flowについては,その弱大域解の存在を与えられることがわかった.(2)については,特に接触多様体の変形量子化問題とそのレダクションの方法について研究を行なった.(3)についてはコンパクト多様体のリーマン計量の空間に作用する微分同型群(無限次元リー群)のオービットに対する平均曲率の定式化とその応用について研究を行なった.これらの研究は萌芽研究として申請した,非可換微分幾何学の構築において基礎となる成果をあげることができた.そして,その成果はこの2年間の間に行なわれた,国内の研究集会,国際研究集会で発表や討議を行ない,これから先に非可換微分幾何学の展開に向けて,大きな成果をあげた.さらなる成果は,近い将来に出版される予定である.
著者
川村 よし子 前田 ジョイス 北村 達也 三輪 譲二 宇津呂 武仁
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、世界各国の日本語学習者に、よりよい読解支援環境をWeb上で提供することである。代表者らはすでに読解学習支援システム『リーディング・チュウ太』を開発しWeb上で公開している。今回新たに文章の難易度の主要な決定要因である単語の難易度と構文の複雑さに着目し、「学習者の視点にたった文章の難易度判定システム」を開発することを目指した。そのため、本研究では世界各国の母語の異なる学習者を対象にした難易度判定実験を行い、その結果を基に、単語と構文の双方に着目した文章の難易度判定システムを開発した。さらに、チュウ太の辞書ツールにはデータ・マイニングシステムを組み入れ、日本語学習者の辞書利用の実態調査を行った。利用者の推移や言語別の利用者数の変化および辞書のカバー率の調査を通して、辞書開発に関する今後の課題も明らかになった。研究成果は、Web上の読解学習支援ツールとして世界の日本語学習者・教育関係者に無償公開している。
著者
速水 修 前田 和司
出版者
北海道教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1.これまで施行してきたスキー遊びについて、本学及び附属中学校の歩くスキーの授業において、方法を改善し、歩くスキーのスキルアップの効果を確認した。2.初心者指導に効果的な人工の雪山については、これまでの実践研究から、歩くスキーで直登行できる傾斜(約5度)とした。この斜度は、中級者にとっても、スピードを出して通過したり、降り斜面での片足スキーなどのスキースキルの学習に効果的であった。3.初心者指導に有効なスキースキルについては、フィンランドスキー連盟で実施しているスキースキルを参考にして初心者、中級者の指導に効果的と思われるものを幼児、中学生、大学生に実践し、その有効性を検討した。4.スキー遊びに使用するジャンプ台は、積雪量や雪質によっては造りづらいことがあるので、木製で移動可能なジャンプ台(幅60cm×長さ130cm×前の高さ30cm・後の高さ15cm)を製作し中級者を対象にテストをし、その安全性と有効性を検討した。5.旭川市民体育の日(平成19年2月17日)に、旭川市教育委員会スポーツ課の許可を得て、神楽岡歩くスキーコースにおいて、トラックセッターによりクラシカル用の溝を切り、参加者(約50名)の感想を聞いた。その結果、全員からその有効性が確認された。6.当初、小学生を対象にスキー遊びの実践指導を計画していたが、日程、天候の都合で実施できなかった。しかし、保育園児(4歳児22名、5歳児27名)を対象に、スキー遊びを実践することができ、幼児段階での有効性が確認できた。7.3年間の研究の成果の概要を指導者および歩くスキーの環境を提供・整備する行政関係者向けに小冊子「スキー遊びとスキースキル」としてまとめ、180部印刷した。歩くスキー実践校及び教育委員会等に配布の予定である。
著者
中澤 明子 松河 秀哉 奥林 泰一郎 森 秀樹 前迫 孝憲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.85-88, 2010
被引用文献数
2

日本とシンガポールの学校間において,通常のインターネット回線と低帯域高精細映像伝送方式を用いたところ,2Mbps程度で高精細映像による国際間遠隔学習を行うことができた.映像の遅延は約1秒あったため,生徒からは遅延が気になるという意見も聞かれた.その一方,高精細映像により遠隔地の細かな文字等を含む発表資料がはっきりと見え,高精細映像利用の意義が示唆された.
著者
前川 貞次郎
出版者
弘文堂書房
雑誌
人文科学
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.52-114, 1948-07
著者
前田 卓志 松下 雅仁 笹川 耕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.118, pp.21-26, 1999-06-17
被引用文献数
5

インターネット閲覧や電子商取引に代表されるような,遠隔地から各種のサービスを提供する情報システムは,利便性などからその需要は急激に拡大している.サービスを権利のある人に正しく提供するには,個人を特定する個人識別技術が必要となる.本報告では,入退室管理等のセキュリティシステムや本人確認を必要とする情報システムを構築するための,汎用性に優れた個人識別用ミドルウエアについて述べる.
著者
平井 英明 関本 均 斎藤 高弘 一前 宣正 伊谷 樹一 平井 英明
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

植物根圏はある土壌環境に生育する植物の個有の領域であり、いわばいろいろな表情を見せる植物と土壌の顔である。根圏のpHは植物の栄養条件の嗜好性や選択性によって独特のパターンを示す。また、根圏pHの変化はある栄養環境にさらされた時の植物の一つの応答でもある。したがって、根圏pHは、因果関係の特定はできないが、植物の栄養状態を把握するためのマクロな指標、いわば根圏の「顔色」と位置づけられる。そこで根圏pHに着目し、その変化のパターンを画像として観察し、土壌一植物系の栄養状態を評価する方法を考案した。作物、雑草、緑肥用植物などの硝酸態窒素とアンモニア態窒素の嗜好性を調べた。また、アミノ酸やタンパク質を窒素源とした場合の植物根圏pHの変化、鉄欠乏植物の植物根圏pHの変化、リン酸欠乏および難溶性リン酸塩に対する植物pHの変化について観察した。コムギは硝酸態窒素が多い培地にあってもアンモニア態窒素などのカチオンの吸収能力が高いため、コムギの根圏pHは水耕液供給後、一旦低下した後に再び上昇する。一方、ハクサイは窒素源として硝酸態窒素が多い培地におけるアンモニア態窒素などのカチオンの吸収能力はコムギほど高くないため、根圏pHは常に上昇すると解析した。検定した植物の多くはコムギと同じタイプであること、マメ科植物の根圏pHは低いこと、鉄欠乏やリン酸欠乏によって根圏は酸性化されること、難溶性のリン酸塩に遭遇すると根圏pHは低下することを明らかにした。従来、根色などを「定性的」に評価して、根の健全性を判断してきたが、画像処理を用いることによって[定性的」な判断を「定量化」することができる。画像には多くの情報が含まれるので、画像処理法は現場での土壌・作物の栄養診断技術への活用が期待される。
著者
前島 正義
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

気孔開閉調節に関わるタンパク質PCaP1およびCO_2透過性アクアポリンPIP1に焦点を当て、生理機能の作動機構を明らかにし、高濃度CO_2下での両分子のCO_2供給システムにおける役割とそれに関わる量的・機能的調節を解明する。新規のCa結合タンパク質であるPCaP1は細胞膜に局在し、情報伝達にかかわるカルモジュリンとホスファチジルイノシトールリン酸(PtdInsPs)と結合する。PCaP1は孔辺細胞にも発現し、その遺伝子欠失株の葉では気孔の閉口ができないという表現型を観察してきた。本年度、PCaP1が孔辺細胞に発現していることを確認し、PCaP1のタンパク質化学的な特性として、CDスペクトル解析により、Ca結合による構造変化、ITC法によるCa結合のキネティクスを明らかにすることができた。なお、気孔以外での役割の一つとして、PCaP1は病理応答にも関わっていることを明らかにすることができた。さらに、PCaP1のT-DNA挿入遺伝子破壊株では、暗所での気孔閉口が不完全となること、野生株と比べて、暗所下および高濃度CO_2条件での生育が良いことを見出した。これらの結果は、生育環境が悪いときPCaP1は生育を抑制するブレーキ役を果たしている可能性を示唆している。多様なアクアポリン分子種の中でも細胞膜局在性のPIP1は複数の植物でCO_2透過性が認められており、申請者らはPIP1の量の減少がCO_2固定能の低下をもたらすことを見出した。高濃度CO_2に対するPIP1の応答を解析し、組織内CO_2供給システムの解明とモデルの提案を目指し、CO_2濃度の影響が高温環境で変化するか否かも解析の準備を進めた
著者
前田 高志 Takashi Maeda
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.571-599, 2009-12-15
著者
前田 有希 宮崎 大介 前川 聡
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.22, pp.37-40, 2011-06-09

2面コーナーリフレクタアレイによる結像作用を利用し,さらに屈折素子であるプリズムシートによって走査を行う体積走査型ディスプレイを開発した.プリズムシートの回転による光線走査は機械的負荷が小さく,表示像の大型化を容易にする.2面コーナーリフレクタアレイにより3次元画像は空中に表示される.我々はプロトタイプを作成し,5[cm]×5[cm]×5[cm]の大きさの3次元画像を表示することができた.
著者
吉岡 昭三 木賀 一美 小杉 紘平 前田 穂積
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978-12-15

稲城砂は, 三浦層群に属する細砂層で, 日本住宅公団が施工する多摩ニュータウンの宅地開発において遭遇する地層である。当公団が宅造法の主旨を守り, 補完し, 良質でかつ経済的な宅地造成を施工するという基本的観点から, 稲城砂の特性を解明するための各種の試験, 調査, 研究を実施し, その結果に基づく土工事設計基準を作成したものである。その内容としては, 締固めに関しては, 現場締固め試験結果と設計基準, 締固め仕事量が乾燥密度に与える影響, 細粒分含有量, 試料養生期間が乾燥密度に与える影響, 締め固めた土の透水性とせん断特性を考慮している。のり面に関しては, 模型盛土のり面の崩壊形式を実験より研究し, 勾配, 小段, 排水, のり面保護について基準が規定されている。造成面に関しては, その規模や勾配をいかにして土砂流出等の被害を少なくできるか把握する目的で浸食状況調査が行われた。その他, 調整池に関しても研究がなされている。
著者
南石 晃明 木南 章 伊東 正一 吉田 泰治 福田 晋 矢部 光保 堀田 和彦 前田 幸嗣 豊 智行 新開 章司 甲斐 諭 樋口 昭則 石井 博昭 松下 秀介 伊藤 健 亀屋 隆志 八木 洋憲 森高 正博 多田 稔 土田 志郎 後藤 一寿 佐藤 正衛
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

食料・農業・環境に関わる諸問題は,相互に密接に関連しており,その根底には「リスク」が深く関与している.このため,食料・農業・環境に関わる諸問題の解決には,「リスク」に対する理解が不可欠である.食料・農業・環境に潜むリスクには,どのようなものがあり,それらはどのように関連しており,さらにどのような対応が可能なのか?本研究では,学際的かつ国際的な視点からこれらの点について明らかにした.