著者
岡村 かおり 前田 翔平 飯田 則利 佐藤 昌司 米本 大貴 飯田 浩一 和田 純平 卜部 省悟
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.278-285, 2019-04-20 (Released:2019-04-12)
参考文献数
72

胎児内胎児は多胎の発生過程で一児が他児に取り込まれた稀な奇形で,奇形腫とは異なる病態であるが,予後に大きく関わるため両者の鑑別は重要である.大半は新生児期から乳児期に発見され,液体で満たされた囊胞内に骨構造を有する充実成分と,充実成分へ流入する血管を認めるといった超音波所見を呈し,診断の参考となり得る.今回,我々は比較的高度な身体器官の形成を認め,また特徴的な画像所見から,出生前診断された1例を経験した.腫瘤は出生後も増大し哺乳障害を認めるようになったため,新生児期に手術を行った.MRIやCTは脊椎構造の有無,栄養血管や周辺臓器との位置関係を把握でき,手術時期やアプローチ法の決定に有用である.
著者
堂野前 彰子
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.31, pp.241-251, 2009
著者
前田 ひろみ 伊藤 ゆい 吉永 亮 土倉 潤一郎 上田 晃三 井上 博喜 矢野 博美 犬塚 央 山口 昌俊 藤野 昭宏 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.218-222, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ばね指は,手のA1輪状靭帯の部位に狭窄を生じ円滑な指屈伸動作が阻害されることにより発症し,西洋医学的には消炎鎮痛剤,ステロイド剤注入,手術等で治療される。今回温経湯が奏効したばね指の3症例を報告する。症例1は71歳女性。腹部膨満感に対して漢方治療中に右第3指のばね指を発症し,口唇乾燥と手足のほてりを認めた。 症例2は56歳女性。手指の多関節痛に対して漢方治療中に左第4指のばね指を発症し,手のほてりを認めた。症例3は71歳女性。慢性腎不全で加療中に,左第1指のばね指を発症した。手のほてりや口唇乾燥を認めなかったが,皮膚の枯燥感を認めた。温経湯は,手掌煩熱や口唇乾燥を使用目標としており,補血・駆瘀血作用や抗炎症作用,滋潤作用を有する生薬で構成されている。温経湯のこれらの作用が,ばね指改善に寄与した可能性がある。
著者
立川 雅司 加藤 直子 前田 忠彦 稲垣 佑典 松尾 真紀子
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.283-288, 2020 (Released:2020-04-10)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

Genome editing is being applied in various fields of life sciences, such as medicine, agriculture, food and energy. Regarding the regulatory status of genome editing in Japan, policies are being issued by the Ministry of Health, Labor and Welfare and the Ministry of the Environment, and applications to the fields of agriculture and food are being widely considered. However, there has hardly been any explicit discussion on the differences between applications for plants and animals. We argue there are several points that should be taken into account. In this paper, we clarify the unique regulatory issues that separate genome edited animals from plants, in particular, safety assessment, consumer perception, and animal welfare.
著者
前田 保夫 山下 勝年 松島 義章 渡辺 誠
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.213-222, 1983-11-30 (Released:2009-08-21)
参考文献数
20
被引用文献数
5 6

A large shell mound called Mazukari shell-mound (YAMASHITA, 1978) was found in 1978 to be buried 12m under the ground surface, at Utsumi Town in the south part of the Chita Peninsula, Aichi Prefecture in Central Japan.Several hundred pieces of Kozanji-type pottery (the middle Earliest Stage of Jomon Age) are included in the collected remains. Tegillara granosa, dated at 8, 330±260y.B.P. (GaK-7950) occurred with these potteries. Many kinds of fossil shells, foraminifers as well as Akahoya Tephra (about 6, 300y.B.P.) were found in the Mazukari shell mound. These features and the 14C dating suggest that the sediments were formed by Jomon Transgression.There are Hayashinomine shell-mound, Shimizunoue shell-mound, Otofukudani remains and Shimobessho are near the Mazukari shell-mound. The following sea-level changes since 9, 000y.B.P. are deduced from the elevation of these remains and the upper limit of marine the sediments.ca. 9, 000y.B.P. ca-14mca. 7, 000y.B.P. ca+1mca. 6, 000y.B.P. ca+4.5-5.0mca. 4, 500y.B.P. ca+1mca. 3, 000y.B.P. ca+2m
著者
前田 裕二 安枝 浩 秋山 一男 信太 隆夫 宮本 昭正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2-1, pp.120-126, 1994-02-28 (Released:2017-02-10)

特殊カバー(ミクロガード)によるダニアレルゲン暴露からの防止効果を検討した. 敷布団(日本式マットレス)の右あるいは左半分の面から掃除機で吸塵した. 次いでその敷布団を新しい特殊カバーで被った後にもう一方の面から吸塵し1組のサンプルを得た. 約2週後に同様なことを同じ敷布団で旧いカバー(1年半使用)を用いて行った. 7枚の敷布団を用意し, 14組の塵の検体を得た. 塵を秤量し, 次いでコナヒョウヒダニおよびヤケヒョウヒダニに対するモノクロナール抗体を用いてアレルゲン量を測定した. 塵の量は新旧カバーそれぞれ対照(カバーの無い状態)の1.0%, 2.0%であった. Der I濃度は新旧カバーそれぞれ2.5, 3.3μg/g dustであった. Der II濃度は新旧カバーそれぞれ1.6, 2.3μg/g dustであった. Der I総量は新旧ミクロガードそれぞれ対照の0.1%, 0.5%の量であり, Der II総量はそれぞれ0.2%, 0.7%であった. 濃度の測定が可能であった塵についてDer p, f濃度を比較したところDer I, IIともに種類による有意な差はみられなかった. 以上よりミクロガードは濃度および塵総量の減少に伴いダニアレルゲン曝露からの回避に有効な手段であると結論した.

2 0 0 0 OA 火のニオイ

著者
能美 隆 前川 麻弥
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.285-296, 2013-04-05 (Released:2013-06-10)
参考文献数
30

人類は,水素を中心とした新しいエネルギー時代を迎えようとしている.言い換えると,古い火は新しい火に移行しようとしている.長い間火災を追ってきた者にとって,火災の前兆現象を分析し判断する尺度を変化させざるを得ない.火災検出で長年使用される煙センサーも火災性状の変化と共に使用できなくなる可能性がある.二酸化炭素センサーから水素センサーを使用する時代が到来するだろう.すなわち,煙の出る火から煙のでない火に,明るい色のある火から色の出ない火に,ニオイのある火から無臭の火に,二酸化炭素の出る火から出ない火に,火は時代と共にその姿を変えている.昔はゆっくりと燃え煙やニオイを出した火から,煙や色,ニオイの無い,瞬く間に燃える火,時として漏洩(えい)すると爆発的に燃焼する火に移行しようとしている.火災の前兆現象を的確に捕らえ判断する事がより難しい時代になって来たと言う事ができる.ここでは,火のニオイを取り上げ火とニオイの関係について,燃焼に際して生成する煤(すす)やニオイについて述べる.ニオイと言うと,香料や香水の良い香り,焼きたてパンの香ばしいニオイを連想する.芳香は人の能に心地よい刺激を与え活力を生み出し,芳ばしさは脳に働きかけて唾液を分泌させる.人は本来ニオイにとても敏感である.焦げ臭いニオイは本能的に生物に退避行動を誘起する.山火事や家屋の火災は危険であり咄嗟(とっさ)に逃げるのは生存の必須要件である.繰り返される大火や戦火に追われた経験のある我々は本能的に火のニオイに敏感であった.しかし,災害から少し経つと我々は火が怖い事を忘れてしまう.そこで,ニオイに本来敏感な生物を振り返ると共に,火災より生ずるニオイ,火災後に残るニオイや,最近のニオイ分析の進歩と応用について解説し,焦げ臭や煙のでない火災の前兆をどのように察知し退避するか考えてみたい.
著者
紅林 章央 前田 研一 伊東 孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-94, 2005-05-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
63
被引用文献数
1

In this study, the authors listed the concrete arch highway bridges that were built in Japan before World War II. And we classified them into the three types of arch bridges, single span, multi span deck types and through type, in addition, arranged chronologically and classified them into the areas, the structures, the designs and the designers. Next we analyzed characteristics of ages, areas, structures and designs of them. Based on this study, we found that those were built in Nagasaki, Kobe, Kyoto and Tokyo City in Meiji Era at first, Aichi and Ehime in Taisho Era, and next, those had made rapid progress though Reconstruction Program in Tokyo after Kanto-Earthquake and Urban Planning in Osaka City, and after that, the techniques of building spread in Kanto and Tohoku. And we made clear that most of spandrel-filled arch bridges were built below about 30m, and about 40 Melan-arches were built, and arch-rib structure as many as arch-ring structure were built, almost arches were built the fixed arch, most arcade-structure of arch-spandrel had been built for 10 years since 1927, and fixed arch-spandrel pediment changed to pasting stones then changed to concrete walls.
著者
前原 芳文
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.357-360, 2003-03-05 (Released:2009-04-10)
被引用文献数
1 1
著者
前田 直美 小瀬川 度
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.128-129, 2008-03-20

現地に住む者として、そんな見方のすべてが誤解とは言わない。しかし、少なくともビジネスを築き上げた人物となれば、イタリア人も日本人が驚くほど勤勉だ。 オフィス家具メーカー「ウルトム」の創業社長のルイージ・トムボラン(78)もよく働く経営者の一人だ。 ルイージは伝統的な木工場にすぎなかった家業を、デザイン力の高いオフィス家具メーカーに育てた。
著者
柳澤 史人 財前 知典 小関 博久 金子 千秋 小谷 貴子 松田 俊彦 藤原 務 古嶋 美波 加藤 宗規
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3404, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】近年、肩回旋可動域を測定するpositionにおいて、肘関節90°屈曲位(以下1st)、肩関節90°外転・肘関節90°屈曲位(以下2nd)、肩関節・肘関節90°屈曲位(以下3rd)という言葉は定着してきている.しかし、関節可動域についての報告は散見されるものの、各positionにおいて発揮できる筋力について報告されているのは少ない.上記の3つのpositionでの内・外旋筋力を比較・検討したのでここに報告する.【方法】対象は肩関節疾患既往がなく、ヘルシンキ宣言に基づき研究内容を十分に説明し同意を得た健常成人17名(男性10名、女性7名、平均年齢24.5±7.5歳)である.肩関節1st・2nd・3rd positionにおける等尺性最大肩内旋・外旋筋力を検者の手掌に等尺性筋力測定器(アニマ社製μTasF-1)を装着した状態でmake testにて測定した.測定肢位は被検者を端坐位として肘を台上に置き、前腕回内外中間位・手指軽度屈曲位とした.検者は測定器を被検者の前腕遠位部にあてるとともに、対側の手で被検者の肘を固定することにより代償を最小限にして測定を行った.各検査とも検査時間は5秒間、30秒以上の休憩をおき2回ずつ行った.なお各positionの測定順はランダムに実施した.統計的手法としては、連続した2回のtest-retest再現性について級内相関係数(ICC(1,1))を用いて検討し、各positionの比較は2回の高値を採用して一元配置の分散分析と多重比較(Tukey HSD)を用いて検討した.統計はSPSS ver15用い、有意水準は1%以下とした.【結果】等尺性内外旋筋力平均値は、1回目・2回目の順に1st外旋6.29・6.72kg、1st内旋8.64・9.05kg、2nd外旋4.11・3.94kg、2nd内旋5.98・5.94kg、3rd外旋3.78・3.84kg、3rd内旋7.62・7.73kgであった.2回のテストにおけるICCは0.914~0.983であった.外旋は一元配置の分散分析に主効果を認め、多重比較では1st-2nd、1st-3rdで有意差を認め1stが高値を示したが、内旋では主効果を認めなかった.【考察】今回の結果、2回のtest-retestの再現性はいずれも高いことが示唆された.また、各positionでの比較では、内旋筋力にて有意な差は認められなかったが外旋筋力においては2nd・3rdと比較し、1stでの外旋筋力に高値を示すことが示唆された.しかし、今回の測定では外旋で差を呈した要因の特定は困難であり、今後は筋電図を用いた検討などを重ねていきたい.
著者
山本 康平 橘 素子 前野 蔵人 北川 正嗣 岡田 志麻
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015)
巻号頁・発行日
pp.1C22, 2015 (Released:2018-07-30)

近年、加速度センサデバイスの普及により、簡便に睡眠深度を推定することが可能となってきている。しかし、これらのデバイスは利用者が意識的に装着や操作を行う必要がある。本報告では、マイクロ波を用いることで遠隔から非接触にて微細な呼吸動作を含む体動を計測し、それらからの特徴抽出と機械学習モデルを組み合わせることで、人体への装着や操作が不要な睡眠深度の推定技術を提案する。
著者
川野辺 裕幸 前川 公志
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.45, pp.5-23, 2005-12-05 (Released:2010-10-14)
参考文献数
19

The Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology launched“the 21st Century Center of Excellence (COE) Program”in fiscal year 2002. Right after the COE program, the Distinctive University Education Support Program (Good Practice [GP] ) started as an educational version of the COE program in fiscal year 2003, and the program expanded to various educational areas thereafter. Because of the overwhelming growth of demand for higher education services, the postwar Japanese higher education policy based mainly on the university chartering standard as an exante qualification of higher education. But since 1991 as the rapid reduction of 18 age population started, the Japanese higher education policy changed to a more competition and deregulation oriented ones. The ministry's new policy aims to bring about more vigorous competitive environment for the inter-university competition through national, public and private universities. Using the data of 499 universities which applied to the COE program and/ or the GP program, this paper examines the recent competition oriented policy using several numerical analyses. Some findings are as follows (1) the Japanese higher education policy which based mainly on the university chartering is found to be useful to assure the quality of research in national universities, (2) but which also brought forth the quality differ-entiation in research between the national, public and private universities, and the uniformity of education through these universities, (3) the GP programs which originally aimed at the improvement in the educational quality through the competitive subsidization, choose university programs whose quality of research are high.
著者
川嶋 恵子 和栗 夏海 宮崎 玲子 田中 哲哉 三浦 多佳史 前田 純子 Keiko KAWASHIMA Natsumi WAGURI Reiko MIYAZAKI Tetsuya TANAKA Takashi MIURA Sumiko MAEDA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.11, pp.37-52, 2015

JF 日本語教育スタンダード準拠の海外の成人向け教科書『まるごと日本のことばと文化』の開発に合わせ、関西国際センターでは、この教科書を使って学ぶ学習者のためのサポートサイト「まるごと+(まるごとプラス)」を開発した。「『日本語を使ってできること』が増やせる」、「『リアリティ』のある練習ができる」、「大人が『楽しく使える』」の3つをキーコンセプトとして定め、課題遂行を意識した練習、異文化理解のための情報やきっかけを提供するサイトを目指すこととした。「まるごと+」は教科書の「入門A1」、「初級1 A2」の2つのレベルに対応した種々のコンテンツを提供しており、動画を使った会話練習や異文化理解のためのコンテンツを中心に、学習者や教師から好評を得ている。本稿では、「まるごと+」の開発方針とそれをどのように具現化したか、また、サイトの反響を報告する。
著者
松峯 敬夫 広田 英夫 前田 秀一 福島 亮治 青木 幹雄 瀬戸 輝一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1369-1371, 1986-09-20

化生のtype 前述したように,胆嚢にみられる化生組織は,おおむね,粘液腺化生(偽幽門腺化生,偽Brunner腺化生)と腸上皮化生の2種のtypeに大別される.いずれも胆道全般に共通した再生変異であり,胆管においてもしばしば同様の変化が見出されている1〜4). 化生の進展とともに,胆管粘膜は次第にその形態を変え,両化生組織の単一,あるいは複合分布により,胃の幽門洞部や十二指腸粘膜に似たさまざまな過形成巣を生じていくが,このような変化はまた,胆嚢にみられる化生巣の性状ともよく一致している.
著者
前田 真季子 堀内 靖雄 市川 熹
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.9(2002-HI-102), pp.39-46, 2003-01-30

人は視線の動きやうなずきなどのジェスチャーを用いて、対話の円滑なやり取りを行なっている。自然対話は話者同士の音声情報、視覚情報を用いた相互作用によって進行していくものであるため、音声におけるあいづち現象などと同様に、ジェスチャー同士にも話者間に相互作用が生じていることが推測される。そこで、本論文では、特にうなずきに着目し、ジェスチャーによる相互作用を分析した。分析に用いたデータは、6組の親しい友人同士による対話であり、収録には正面映像を撮ることが可能な、2つのプロンプターを使用した。そして、その収録データを一般に公開されているアノテーションツール“ANVIL”を用いて、アノテートし、分析を行なった。分析の結果、うなずきは、あいづちと同様に相手話者の発話に対する何らかの応答動作として生じる場合よりも、自己発話内の方が多く生じる傾向が見られた。また、うなずきが二人の話者で同時に発生する現象が多いことも示唆された。

2 0 0 0 OA 網廼綱手

著者
前田, 利保
出版者
巻号頁・発行日
1853