著者
松峯 敬夫 広田 英夫 前田 秀一 福留 厚 青木 幹雄 瀬戸 輝一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1109-1111, 1986-07-20

腺扁平上皮癌と扁平上皮癌 同一癌巣内に,腺癌と扁平上皮癌の像を併存する癌は,一般に,腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)と呼ばれている. 比較的稀なtypeであり,胃や腸にみられる機会はごく少ないが,胆道では,はるかに高率に発生するといわれ1),胆嚢癌における筆者らの検索でも,31例中7例,22.6%に腺扁平上皮癌が見出されている(表).このような癌巣中に占める腺癌と扁平上皮癌の比率はさまざまであり,時として,100%近く扁平上皮癌成分により占められることもあるが,純型の扁平上皮癌(squamous cell car—cinoma)とみなし得るものは極めて稀である.
著者
塚田 晃三 藤田 道郎 山本 一郎 田村 恭一 宮前 二朗
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

がん罹患犬におけるDLA-88型別に提示されるがん関連抗原の一つSurvivinを標的としたがん特異的免疫療法(ペプチドワクチン)を実施することを目的に、これまでDLA-88型別に特異的に反応する抗原ペプチドの同定を行ってきた。本研究では、1)有効なワクチン用adjuvant成分を、がん拒絶に特化したスクリーニングで選別し、2)現行のDLA-88型タイピングに代わる簡便な適合型検査を確立させ、3)臨床研究の開始後、1-2年間の予後観察(CT/MRI検査)により、その効果を腫瘤の退縮期間、寛解率、及び生存期間で判定する。
著者
藤森 弘子 前田 真紀
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.102-103, 2015-03-28

In order to develop academic Japanese abilities in students on the Japanese Language Program at Tokyo University of Foreign Studies (JLPTUFS), teaching materials based on can-do list are being developed. The can-do list indicates learners' proficiency and skills of academic Japanese. This paper examines how a textbook with a task-based syllabus based on can-do list that we are developing can be applied in a beginners' classroom. In this presentation, we will report the procedure of task-based activities used and discuss the effectiveness of a task-based syllabus.
著者
岡本 慎司 森本 昌宏 森本 充男 前川 紀雅 森本 悦司 古賀 義久
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.570-575, 2006 (Released:2006-10-25)
参考文献数
10

進行がんに対する治療法の進歩による患者の延命に伴い, 痛みを訴える患者が増加していると推察される. このような患者は痛みのコントロールが困難であるとして当科に紹介されることが多く, これらの痛みに対しては神経ブロック療法の併用を積極的に行っている. 特に骨転移による痛みは医療用麻薬のみでコントロールすることは不可能であり, 持続硬膜外ブロックを選択することが多い. さらに, 当科では在宅での管理を積極的に行っており, 硬膜外持続注入用アクセスを用い, 21名で良好な除痛効果を確認している. がん性疼痛患者に対しては, 医療用麻薬一辺倒ではなく適切な時期に適切な神経ブロック療法を行うべきであり, 在宅での管理にあたっては, 硬膜外持続注入用アクセス植え込みを積極的に施行すべきと思われる.
著者
事柴 壮武 浦辺 幸夫 前田 慶明 篠原 博 笹代 純平 藤井 絵里 森山 信彰
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-24, 2013-03-31 (Released:2015-03-03)
参考文献数
11
被引用文献数
2

「目的」 大腿四頭筋セッティング(Quadriceps femoris muscle Setting:以下QS)は関節運動を伴わないため,下肢整形外科疾患に術後早期から実施できる。QS では大腿四頭筋のみでなく,ハムストリングや大殿筋,中殿筋も筋活動を発揮するため,股関節の角度が変化すると各筋の筋活動量や発揮される筋力が変化すると推測される。本研究ではQS 時の下肢筋筋活動が,体幹固定性,股関節角度の違いによりどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。「方法」対象は下肢に既往がない成人男性9 名とした。対象は右側下肢膝窩部に下肢筋力測定・訓練器を設置した。リクライニングベッドを用いて股関節の屈曲角度を背面支持のある15°,65°,背面支持のない115°の肢位となるように設定し,両上肢を胸の前で組ませた。上記の股関節屈曲角度で5秒間の最大努力によるQSを各々2回行い,膝窩部が下肢筋力測定・訓練器を押し付ける力をセッティング力としその平均値を求めた。同時に右側の大腿直筋,内側広筋,外側広筋,半膜様筋,大腿二頭筋,大殿筋の筋活動を導出し,記録した。波形の安定した1秒間の積分値を各筋の最大随意収縮時の値で正規化し%MVCとして算出した。「結果」セッティング力は,15°で15.4±4.3N,65°で19.3±4.3N,115°で12.0±3.2Nとなり,背面支持のある65°が他の条件よりも有意に高い値を示した(p<0.05)。内側広筋と外側広筋の筋活動は背面支持のある65°が背面支持のない115°よりも有意に高い値を示した(p<0.05)。大腿直筋,大腿二頭筋,半膜様筋,大殿筋では有意な差は認められなかった。「結論」QSを行う際,股関節の屈曲角度を上記の3条件で比較した場合,背面支持のある65°の肢位の際にセッティング力や内側広筋,外側広筋の筋活動が高まることが示された。本研究の結果から,内側広筋と外側広筋の筋力増強練習は背面支持のある15°や65°の肢位にて行うことが有効かもしれない。今後はより詳細な角度での調査が必要であると考える。
著者
前田 一馬
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000322, 2018 (Released:2018-06-27)

Ⅰ.研究の背景と目的 本研究は長野県北佐久郡軽井沢を事例として、明治期における陸軍の脚気転地療養地として当該地が利用されたその実態と経緯を明らかにする試みである。 一般的に転地療養地と見なされてきた場所は、古来温泉地であったが、近代化とともに新たな環境が転地療養に適した場所として見いだされてきた。典型的には、明治期に海水浴場が、大正期に結核サナトリウム治療の適地としての高原が、西洋医学的な環境観の導入とともに、新たな療養地になったものと理解されてきた。 しかし、陸軍脚気療養地の実態を検討すると、早くも明治10年代には「高原」(高地)が陸軍の脚気転地療養地として見出されていた。日本の医学が漢方医学から西洋医学へと転換していくなかでも、脚気の治療法は、日本で知られていた漢方の療法である転地療養が行われていた。また、その後の陸軍(細菌説)と海軍(栄養欠乏説)の対立(脚気論争)は有名である(山下1988)が、細菌説の導入に先んじて、脚気転地療養が陸軍に導入されている。このように陸軍脚気療養地として、「高原」が加えられた経緯は、どのようなものであっただろうか。 本研究では陸軍の脚気治療を取り巻く軍医本部の動向・見解および軽井沢の環境を、陸軍関連文書や新聞記事等から検討することで、医学的見解や環境認識が、「高原」を療養地にふさわしいとする契機となったことを考察する。Ⅱ.陸軍の脚気転地療養地 脚気とはビタミンB1の欠乏による栄養障害性の神経疾患である。近世後期には白米の普及と米食偏重により「江戸煩い」等の名をもって都市的な地域で流行した。脚気の流行は明治期には国民病と言われるほど流行し、徴兵制のもとで組織化が進められていた軍隊、とりわけ兵数の規模が大きい陸軍で患者数は増大した。1875(明治8)年から刊行された『陸軍省年報』によると、脚気は、「天行病及土質病」として捉えられており、陸軍各鎮台の治療実施とその経過の報告は他疾病に比べて詳細である。原因は降雨後の溢水による湿気などによって生じる不衛生な空気や土壌が病根を醸成する一種の風土病と推察されており、空気の流れや汚水の滞留を防止する対策が取られている。治療法は「転地療法奇験ヲ奏スル」と転地療養が効果をあげていることがうかがわれる。1870年代の各鎮台の主な転地療養地は多くの場合、温泉地が選択されている。つまり、患者が発生した場所(兵営)を避けることが重視されており、古来療養の場とみなされた温泉地が転地先として選ばれたと考えられる。Ⅲ.転地療養地の拡大:軽井沢にみる療養に相応しい場所 1880年代以降、陸軍の脚気転地療養地には多気山、榛名山、軽井沢といった温泉地ではない「高原」(高地)が加えられていくことになる。1881年8月、「幽僻且清涼ニシテ最モ適当」な転地先として高崎兵営の脚気患者130名が軽井沢に送られた(『陸軍省日誌』『高崎陸軍病院歴史』)。当時の軽井沢には、まだ外国人避暑地は形成されておらず、温泉を持たない衰退した旧宿場町であったが、残存する旅館が患者を受け入れることができた。後年、日清・日露戦争と多くの脚気患者の転地療養地として利用されていく軽井沢で行われていた治療法は『東京陸軍予備病院衛生業務報告(後)』によると、気候療養と記録されている。このように、高原の気候が陸軍において注目されていたことがわかる。 現代医学からみると脚気の転地療養は対処療法に過ぎず、治療法として正しくなかったかもしれない。しかし、当時の医学的知識が活用され、健康を取り戻すための療養に相応しいとされる「環境」は確かに存在した。この陸軍脚気療養地としての軽井沢は、後年の結核の療養と結びつけられた高原保養地としての軽井沢とは、異なる分脈から見出された療養(癒し)の景観であったと思われる。こうした場所が発見されていく過程に見え隠れする、当時の健康と場所の関係を、転地療養地の実態や近代期の社会的文脈性のなかで考察し、今後検討すべき課題とする。〔参考文献〕山下政三1988. 明治期における脚気の歴史. 東京大学出版会.
著者
渡辺 建彦 目黒 謙一 谷内 一彦 一ノ瀬 正和 小野寺 憲治 前山 一隆
出版者
東北大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

ヒスタミンH3受容体は、中枢ヒスタミン神経系のシナプス前部に存在するオートレセプターで、ヒスタミンの遊離、合成を調節している。最近、末梢にも、また、他の神経系にも存在するといわれている。本研究では、ヒスタミンと関連する病態として喘息と痴呆をとりあげ、H3リガンドのこれらの疾患モデル動物での効果を検討した。まづ、老化促進モデルマウスを用いて、シャトルボックス法で学習・記憶能を評価した。異常老化系(P/8)は、正常老化系(R/1)に比して、学習獲得が遅かったが、H3アンタゴニスト、チオペラミドの投与で、R/1マウスと同じレベルまで改善した。しかし、R/1マウスの学習能が更によくなることはなかった。スコポラミン投与によりアセチルコリン系を障害した痴呆モデル・マウスにおいても、elevated plus maze testで評価したところ、チオペラミド投与が改善を示した。種々の喘息モデルに対するH3作動薬(R)-α-メチルヒスタミン、イミテットの効果を検討したが、明確な効果は得られなかった。より適したモデル系の確立が必要である。新規H3アンタゴニスト、AQ0145(ミドリ十字社)は、マウスの電撃痙攣に対する抑制作用においてチオペラミドとほぼ同程度であった。6-ヒドロキシドパミンをラットの片側線条体に注入する除神経において、障害側の線条体と黒質ではヒスタミンH3受容体の密度は上昇した。この上昇は、ドパミンD1アゴニスト、SKF38393処置で対側レベルまで低下したが、D2アゴニスト、キンピロールは影響しなかった。即ち、ドパミン神経系の障害に伴う神経可塑性において、D1受容体を介してヒスタミンH3受容体のアップ・レギュレーションが制御されていることが判明した。チオペラミド、(R)αメチルヒスタミンのラットにおける体内動態を検討したが、いずれも脳への移行性がわるいことが判明した。本研究の過程で、H3アンタゴニストに抗痙攣作用が有ることが判明し、今後に期待を抱かせた。結論として、H3アンタゴニストは、てんかん、痴呆の薬物となりうることが示された。そのためには、なお一層の基礎的知見の集積が必要である。
著者
金田 和輝 前田 慶明 鈴木 雄太 寺田 大輝 小宮 諒 浦辺 幸夫
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.117-123, 2022-10-31 (Released:2022-11-19)
参考文献数
20

本研究は,緊急事態宣言発令による生活環境の変化が,健常水泳選手とパラ水泳選手の生活範囲と精神的健康に与えた影響を検討することを目的とした.緊急事態宣言発令中と解除後にアンケート調査を行い,生活範囲と精神的健康の変化を確認した.生活範囲は全対象者で解除後に増加し,精神的健康は女性パラ水泳選手のみ有意に低値を示した.女性パラ水泳選手では,生活環境の変化により精神的健康が変化しやすい可能性がある.
著者
水田 良実 前田 慶明 小宮 諒 田城 翼 堤 省吾 安部倉 健 黒田 彩世 江崎 ひなた 浦辺 幸夫
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.111-116, 2022-10-31 (Released:2022-11-19)
参考文献数
16

本研究の目的は,感染症流行による部活動自粛後に発生した傷害を調査し,傷害と受傷した選手の特徴を探ることであった.部活動に所属する選手を対象に,自粛後半年間の傷害発生の有無,自粛中と自粛後の練習時間等をアンケートで調査し,自粛後の受傷群と未受傷群の2群に分類して各項目を群間比較した.回答者は148名で傷害発生数は52件であった.自粛中と自粛後の練習時間の差は受傷群で有意に大きかった(p<0.05).
著者
植月 悠記 渥美 友喜 倉鋪 圭太 菅原 宏 大場 優人 前田 元気 福水 洋平 深尾 隆則
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1155-1160, 2021 (Released:2021-10-07)
参考文献数
10

オフロード環境下では,白線などは存在せず,道路の境界はセンサにより検出される.その境界は滑らかではなく検出された境界に基づく自動操舵制御には問題がある.本論文では,非線形重み付きのPath Followingを提案する.提案手法により車両は走行可能領域内で滑らかにかつ安全に走行できることを確認した.
著者
前田 晃史 八田 圭司 相馬 香理 新地 実花子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.19-25, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
24

2013年7月にヨード造影剤によるアナフィラキシーで心停止になった症例を経験した。その後、ヨード造影剤による異常薬物反応(ADR)の重症化に関連する臨床的特徴の検証のために、即時型ADR 55例を対象として調査を行った。2010年1月1日から2013年7月31日までの3年7カ月間に発症した即時型症例を軽症群(n=49)とアナフィラキシー群(n=6)に分け、2群間でヨード造影剤によるADRの危険因子を比較した。その結果、アナフィラキシー群の【年齢】(p=.034)、【過去の造影剤ADR既往】(p=.003)、【過去の造影回数】(p=.0007)、【造影剤浸透圧350mgI/mL以上】(p=.002)、【危険因子の項目数】(p=.037)の5項目が有意に多かった。A施設は、CT室とMRI室に医師が常在しておらず、医療安全の観点から、これらの重症化に関連する因子のある症例へは造影剤投与前に医師へ報告する基準作成を検討する。しかし、これらの因子に関係なくアナフィラキシーが発症する症例や救急では意識障害により情報が収集できない症例があるため、発症時には迅速に対応できる体制づくりも必要である。 本研究とADRの危険因子を比較した先行研究との異なる点が即時型ADR重症化の特徴であるといえる。しかし、先行研究からアナフィラキシーを含めたADRの危険因子をすべて抽出できておらず、抽出した因子の妥当性の検証も不十分であった。また、症例数も十分でなかった。そのため、重症化に関連する他の因子が存在する可能性がある。今後も危険因子の検証を含めた追加調査が必要である。
著者
前之園 唯史
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.53-59, 2022-08-01 (Released:2022-08-24)
参考文献数
14

Two species of the xanthid crabs, Tweedieia odhneri and T. laysani, are reported based on specimens collected from Okinawa Island, Ryukyu Islands, southwestern Japan. Recent study suggested that T. laysani is endemic to Hawaiian Islands, but the present study confirmed its distribution in Okinawa Island. Tweedieia odhneri is newly added to the Japanese fauna. The additional distinguishing characters of these two species not mentioned in previous studies, are also provided.
著者
前田隆秀 [ほか] 著
出版者
学建書院
巻号頁・発行日
2013
著者
植村 弥希子 杉元 雅晴 前重 伯壮 吉川 義之
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-44, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
22

物理療法は近年,数多くの研究によりその効果とメカニズムについて明らかにされてきており,従来では「禁忌」とされていた患者に対しても安全に実施できる可能性が示唆されている.医療行為は安全であることが第一条件であり,物理療法も例外ではない.物理療法を安全に使用するためには各種物理療法が生体に与える影響を理解し,実施する際の注意事項を留意した上で行う必要がある.治療メカニズムを理解していれば,より効果的な物理療法の実施も可能となり,効能をリハビリテーション医療に生かすことができるであろう.本稿では2010年に発刊されたカナダ理学療法士協会の物理療法の禁忌事項を取りまとめたレビューを基に,2011年以降に発刊された基礎,臨床研究から物理療法が生体に与える影響について解説し,適応と禁忌について網羅的に解説する.
著者
前橋 健二 大戸 亜梨花 山本 達彦 浅利 妙峰 柏木 豊
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.290-296, 2015-06-15 (Released:2015-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

(1)市販塩麹製品14点の成分の平均値は,水分50.2%,食塩11.0%,還元糖21.9%,ホルモール窒素0.07%であった.酵素活性は全く検出されないものも見られたが多くの製品にデンプン分解系酵素やタンパク質分解系酵素が検出された.(2)塩麹の製造条件として,還元糖およびホルモール窒素量の消長の点では60°Cで6時間以上の消化が必要であるが,残存酵素活性を考慮すると50°C∼60°Cで6時間程度の短時間消化による方が適当であると判断された.(3)麹抽出液での試験では,10%食塩の存在でα-アミラーゼ活性の熱安定性は低下しプロテアーゼの熱安定性は若干向上する傾向が見られた.また,10%グルコースの存在ではプロテアーゼ活性の熱安定性がさらに向上する傾向が見られた.
著者
遠藤 真遊 前野 隆司 森川 利哉 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.449-452, 2012-11-20 (Released:2013-02-20)
参考文献数
14

石鹸で洗った皮膚の手触りとその摩擦物性を評価する方法を開発した。被験者に石鹸を塗布し硬水ですすいだウレタン製人工皮膚の手触りを評価して貰った。このとき,指の動きと皮膚と人工皮膚の間に加わる摩擦に基づいて各石鹸の手触りの違いを説明した。本研究の成果は新しい身体洗浄料を設計・開発するうえで有用である。
著者
前田 廣恵 福田 隆一 宮本 良美
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.50, 2005 (Released:2006-08-01)

【目的】四つ這い位での胸椎部可動性と腰痛との関連性について調査する。【対象と方法】神経症状のない慢性腰痛患者(以下腰痛群)10名、健常者(以下非腰痛群)10名を対象に四つ這いにて肩峰・坐骨結節・胸骨剣状突起の高さの棘突起(以下A点)にランドマークしキャットカールを行い、それぞれの肢位にて写真撮影を行う。肩峰・坐骨結節を結ぶ線を基準線にA点とのなす角を胸椎部可動性とし腰痛群・非腰痛群で比較、また、下肢のタイトネス・股関節の可動域との関連性について検討した。【結果】1、胸椎部伸展位への角度変化において腰痛群で有意に可動性低下を認めた。2、胸椎部屈曲位から伸展位への角度変化において腰痛群で有意に可動性低下を認めた。3、股関節可動域において腰痛群の屈曲・内旋に有意な制限を認めた。4、タイトネステストにおいて腰痛群の大腿四頭筋に有意なタイトネスを認めた。【考察】今回の結果より、腰痛群において胸椎部伸展方向への可動性低下があり、上半身重心が後方に位置している傾向にあると推測された。胸椎制御は体幹に柔軟性を要求し、支持性を筋活動から非収縮組織に移行でき筋疲労しにくいという利点があるが、腰痛群においては胸椎部可動性の低下により周囲筋への負担が大きいことが予測される。また、下部体幹制御は上半身重心の前後移動に関与するという報告より、腰痛群において、上半身重心が後方へ偏移した姿勢が固定化された代償として下半身にも影響を及ぼしていると考えられる。腰痛群の股関節屈曲に有意な制限を認めた要因として、股関節伸筋群のタイトネスによる骨盤後傾位が挙げられ、同様に大腿四頭筋のタイトネスも生じたものと考えられる。また、股関節内旋制限においては、骨盤の運動のみを考えると、胸椎部伸展位への運動制限により骨盤においては寛骨のうなずき運動が不十分(骨盤後傾位)となり、股関節は外旋位優位となるためであると考えられる。以上のことから、上半身重心の存在する胸椎レベルの可動性獲得は重要であり、胸椎部の可動性低下が腰痛を引き起こす一要因であると捉えるべきである。しかし、今回の研究では純粋な胸椎可動性の評価には到らなかったため、今後は下肢・骨盤の影響を除去した肢位での純粋な胸椎可動性の評価法を考案し、腰痛との関連性について更に調査していきたい。【まとめ】1、四つ這い位での胸椎部可動性と腰痛との関連について調査した。2、腰痛群において胸椎伸展方向への可動性低下を認めた。3、腰痛群の股関節屈曲・内旋制限、大腿四頭筋のタイトネスを認めた。4、胸椎可動性低下が腰痛の1要因として考えられた。5、下肢・骨盤の影響を除去した肢位での純粋な胸椎可動性の評価法が重要である。
著者
坂本 佳津子 制野 勇介 細川 つばさ 植野 杏樹 前田 佳子 越後 尚子 黒澤 寛史
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.555-558, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
4

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い,当院PICUでは面会制限と,その対策として遠隔面会を実施した。この影響について質問紙調査を実施し,PICU看護師60名中40名(回収率67%),患者家族51名中25名(回収率49%)から回答を得た。約90%の回答者が面会制限を肯定的に捉えていたが,家族は子どもと会えない不安を,看護師は看護ケアの不十分さを感じていた。遠隔面会は,視覚情報が得られたことや,普段は行えない両親以外の面会ができたことなどから有用であった。一方で,視覚情報の提示だけでは家族の不安軽減には不十分であり,さらなる工夫が必要と考えられた。