著者
高木 悦子 小崎 恭弘 阿川 勇太 竹原 健二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-071, (Released:2023-05-10)
参考文献数
25

目的 本研究の目的は全国における父親を主な対象とするポピュレーションアプローチ事業の実施状況とその内容について明らかにし,地域における父親への育児支援の可能性について考察することである。方法 本研究は2つの調査を実施した総合的な結果の分析である。第一次調査は2020年12月から2021年2月に全国1,741自治体に対し,郵送留め置き法による質問紙調査を実施した。第二次調査として,2021年8月から9月に主な対象者を父親として事業を実施し調査協力を得られた自治体を対象に,ヒアリング調査を実施した。結果 837(回収率48.1%)自治体を分析対象とした。多くの自治体が母子健康手帳交付時と両親学級の一部として父親への育児支援を実施していた。父親向けのリーフレットやパンフレットの配布(P=0.036),両親学級として父親の参加を奨励(P<0.001),父親が参加しやすい日時の設定(P<0.001),父親向けの内容を盛り込んだ内容(P<0.001)の項目で総人口7万人以上の自治体での実施の回答が有意に多かった。そのうち,「主な対象を母親ではなく父親とした育児支援を実施した」に回答した自治体は54自治体,全体の6.5%であった。実施していない自治体の約7割は実施の必要性を認識していた。ヒアリング調査を実施した21自治体では,妊娠中の事業10件と出産後の育児期の事業が12件,両方の実施が1件であった。実施内容は多岐にわたり,地域の強みを活かし,各自治体が工夫を凝らした内容になっており,参加者の評価は概ね良好であった。一方で参加者数の調整を課題とする自治体が多かった。結論 父親は家庭内での育児や家事への参加が奨励されているが,地方自治体で実施されている父親を主な対象とするポピュレーションアプローチ事業は知識や技術を習得する希少な機会となっていた。ほとんどの父親育児支援内容は,母親の支援者として実施されている。今後は父親を対象とした調査をもとに,自治体で実施できる支援事業モデルの提示が望まれる。
著者
竹原 健二 須藤 茉衣子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.164-172, 2014 (Released:2015-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

背景 わが国では立ち会い出産に対する認識は広まっている。その一方で,出産に立ち会うことが男性にとって,不安やうつ,トラウマといったメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性も指摘されつつある。パートナーの出産に立ち会った男性が,分娩開始前から産後までにどのような気持ちになり,どのように気持ちが推移していったのか,ということを質的に記述することを本研究の目的とした。方 法 東京都およびその近郊にある2か所の病院において,過去3か月以内に陣痛中から分娩終了までのプロセスに立ち会った男性10人を対象に,半構造化面接を実施した。収集したデータについて,2人の研究者が独立して要約的内容分析をおこなった。結 果 対象者10人のうち7人は,今回の立ち会い出産が初めての経験であった。対象者は皆,分娩第一期から分娩が終了するまで立ち会った。面接調査によって得られた文脈からは,立ち会った男性の気持ち・想いを表す【妻を支えたい】,【未知の世界に対する不安と恐れ】,【共に立ち向かう】,【男女の違いの気づき】,【成長】という5つのカテゴリーと,それを構成する13のサブカテゴリー,立ち会い出産をした男性の気持ちに影響を及ぼした外的要因として,【影響を及ぼした要因】というカテゴリーと,2つのサブカテゴリーが抽出された。【妻を支えたい】は妊娠期の男性の気持ちや行動を表す文脈によって構成されていた。同様に,【想像がつかない世界】や【共に立ち向かう】,【男女の違いの気づき】は分娩時を表す文脈が中心となり,【成長】は分娩直後や産後の男性の気持ちや行動を表す文脈によって構成されていた。結 論 本研究の結果から,立ち会い出産に臨む男性の気持ちは出産前から産後にかけて変化していくことが示された。助産師を中心とした医療スタッフは男性の状態も観察し,適切な声掛けや働きかけをおこなっていくことにより,男性の立ち会い出産の体験をよりよくすることができると考えられた。
著者
吉田 優太郎 林 亮 舛屋 賢 高木 賢太郎 有田 輝 田原 健二
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.573-576, 2023 (Released:2023-07-27)
参考文献数
8

A Straight Twisted Polymeric Fiber Actuator (STPFA) has attracted attention as a new rotational actuator because it is soft, lightweight, silent, and inexpensive. It can rotate when heating, and be back when cooling. However, it is difficult to improve the response, especially in the cooling phase when using natural cooling. In order to improve the response in natural cooling, antagonistical actuation is one of the effective methods. However, the diactivated-side actuator generates a disturbance-like torque when the other-side actuator is activated due to its passive torsional spring-like characteristics. In order to realize the antagonistical actuating module using a pair of rotational-type STPFA, in this paper, the models are constructed that can estimate the torque generated at both ends of an antagonistically arranged rotational STPFA from the change in heater resistance. A sensorless output torque control method is proposed for the total torque obtained as the difference between the torques at the two ends using the proposed STPFA models. The effectiveness of the proposed method is demonstrated through fundamental experiments using a prototype module.
著者
北原 健二
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.488-492, 1997-06-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
著者
柏木 正之 原 健二 ウォーターズ ブライアン 久保 真一
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究期間内において、ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)法、ガスクロマトグラフ・タンデム型質量分析装置(GC-MS/MS)を用いて、インスリン製剤の添加物であるm-クレゾールの検出が可能であることが確認され、応用することにより、その定量も可能であると考えられた。また、インスリンアナログの検出法について、液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて検討を行い、その定量の可能性が示唆された。
著者
加藤 承彦 越智 真奈美 可知 悠子 須藤 茉衣子 大塚 美耶子 竹原 健二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-040, (Released:2022-03-16)
参考文献数
50
被引用文献数
2

目的 近年,父親の育児参加に対する社会の関心が高まりつつある。しかし,父親が積極的に育児参加することによってどのような影響があるのかあまり明らかになっていない。本研究では,我が国で主に2010年以降に報告されている父親の育児参加に関する研究の知見についてレビューを行い,日本社会において父親の育児参加が母親,子ども,父親自身に与える影響に関する知見をまとめた。さらに,今後の課題についても検討を行った。方法 医学中央雑誌文献データベース,JSTPlus,JMEDPlusを用いて,「乳幼児関連」,「父関連」,「育児関連」のキーワードで2010年以降に掲載された和文原著論文の検索を行った。また,PubMedを用いて,「father or paternal」,「childcare OR co-parenting OR involvement」で英文原著論文の検索を行った。また,日本国内の研究,乳幼児期がいる家庭を対象,質問紙を用いた量的研究,2010年以降に掲載などの条件を設定した。これらの条件を満たした26編の論文(和文22編,英文4編)について,対象者(母親,父親,両者),育児参加方法の内容,アウトカムの内容,得られた知見などについて検討を行った。結果 父親の育児参加の影響に関する過去10年間の和文論文および過去20年間の英文論文の文献レビューの結果,次の2点の傾向が見られた。第1点目として,母親が父親の積極的な育児参加を認知している場合,母親の育児負担感が低く,幸福度が高い傾向が見られた。また,子どもの成長においても,母親が父親の積極的な育児参加を認知している場合,子どもの健康や発達(怪我や肥満の予防)に良い影響を及ぼしている可能性が示唆された。しかし,第2点目として,父親が自分自身で評価した育児参加の度合いは,母親の負担感などとは直接に関連しない可能性が示唆された。父親の育児参加が父親自身に与える影響(QOL等)は,研究の数が少ないこともあり,一貫した傾向は見られなかった。また,父親の育児参加の評価の方法がそれぞれの研究で異なっていた。結論 今後,父親の育児参加が積極的に推奨されると同時に,その影響についても社会の関心が高まると推測される。今後の課題として,父親の育児参加の量および内容をどのように適切に評価するのかに関する議論を深める必要が示唆された。
著者
阿部 敬悦 上原 健二 高橋 徹 大滝 真作 前田 浩 山形 洋平 五味 勝也 長谷川 史彦
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.10-18, 2009 (Released:2016-01-18)
参考文献数
21

生分解性プラスチックは,発酵により生産が可能である有機酸とアルコールを原料とするものであり,現状の石油系プラスチックに代わるものとして期待され,生産量が拡大している。本稿は,著者らが行っている,麹菌が生分解性プラスチックを効率的に分解するメカニズムの学術的な検討と,伝統的な麹利用技術を本プラスチックの分解に生かす新たな処理システムの構築につき,詳細な解読をしていただいた。
著者
柏村 征一 原 健二
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

覚せい剤アンフェタミン、メタンフェタミンはそれぞれ2つの立体構造(光学異性)が存在する。乱用されているのはd-体であるが、治療薬セレギリンの代謝物のメタンフェタミンは1・体である。治療薬か乱用薬かの判別のため、中毒作用に関する情報を得るために、光学異性体の識別分析は重要である。我々は本研究において、2つの試料調製法をガスクロマトグラフィー・質量分析法に応用を検討した。これらの方法は1.光学異性体分離用誘導体トリフルオロアセチルプロリルを珪藻土抽出カラムを使って簡易調製、通常分析に使うキャピラリーカラムによる分析、2.通常分析に使うヘプタフルオロブチリル誘導体を、気化平衡法で行い、固相マイクロ抽出により試料導入を行い、光学異性体分離キャピラリーカラムを使って分離、というものである。光学異性体GC-MSに関する、従来からの欠点の一つに、測定時間が長くなることがある。そこで、本研究では、分析時間の改善に力点を置いた。方法1は、内径の小さいカラムを高圧キャリアガスで使用することで関連物質まで含めて5分以内で分析できる条件を作成した。方法2は光学異性体分離カラムの特性より4から5分の短縮にとどまった。また、実用化ということから、血液、体組織試料への応用を試みたところ、試料中の脂質を有機溶媒抽出で除くことで、方法2の高感度分析が可能になった。これらの方法は、簡素な試料調製、分析時間の短縮化ということで法中毒学に有用であり、今後、実務分野での応用が期待される。
著者
久冨木原 健二 中原 仁
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.603-609, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
34

要約:自己免疫疾患において,血液中のリンパ球が血管内皮に接触・接着し組織内に侵入することで炎症が引き起こされるが,接着分子阻害薬はこの接着の機序であるリンパ球表面のインテグリンと血管内皮細胞のインテグリンリガンドの相互作用を阻害することで効果を発揮する.多発性硬化症には抗α4 インテグリン抗体のnatalizumab が高い治療効果を有し,また消化管特異的に発現しているインテグリンリガンドを標的とした抗α4β7 インテグリン抗体のvedolizumab は炎症性腸疾患に対して有用である.免疫系細胞や炎症性サイトカインの作用自体を抑制するのではなく,リンパ球の組織移行を阻害するというユニークな機序のインテグリン阻害剤について,本稿ではこれまでの知見を概説する.
著者
前原 健二
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.4-20, 2020 (Released:2021-10-12)

The purpose of this paper is to discuss what“justice”is for education, especially for local education administration. In the first half of the paper, the basic ideas of justice of education are discussed, and in the second half, the current state of the theory of“justice of education”in Germany is considered, and in particular, the policies of the Hanseatic city Hamburg, Germany, are examined as concrete examples.Justice is subject to various discussions. In political science, some argue that it is impossible to prove the correctness of a concept of justice, so they focus on only the“decision process”of what seems to be“justice”. On the other hand, there are people who continue to argue for tentatively agreed justice, even if the final correctness is uncertain. From the standpoint of the latter, this paper discusses justice for local educational administration from some limited perspectives.The theory of educational justice is generally discussed as distributive justice of education. The popular positions in discussions are egalitarianism, priority theory, sufficiency theory, and meritocratic conception. Aside from these individual-based approaches, it is also important for educational administration to take into consideration individual school or school districts as a subject, on which the compensative measurements are offered. When ensuring equal educational conditions for each school district or school, it is necessary to carefully consider how to handle the differences that actually exist. Guarantees of formally equal conditions often lead to unequal results. Therefore, in order to guarantee substantial equality of education, it is necessary to“make the difference stand out”in advance.In Japan, the substantial guarantee of educational conditions has been achieved fairly well since the Second World War. However, in recent years, there has been an increasing tendency to directly compare the educational achievements of individual schools. Each school is, however, located in a diverse social environment. The backgrounds of students' parents are diverse and disparate, too. Including these points, there is an increasing need for educational administration to provide support on an individual school basis. In other words, there is a growing necessity to discuss the justice of education for individual schools or school districts.In Germany, many people have been discussing“educational justice” since the PISA survey. In Germany, the word“Chancengleichheit” (equal opportunity) is rejected as a formal concept. Instead, the word “Bildungsgerechtigkeit” (educational justice) is preferred to express these concepts. Educational justice is defined as“the condition in which a decision to go to secondary school is determined independently of the student's social background.”Regarding this definition, there are criticisms that the principle of sufficiency should be considered more strongly, and that the recognition of individual moral autonomy should be emphasized.Hamburg, as a federal state, is advancing school reform with the aim of realizing“educational justice.”There, school system reforms (two-pillar model) were introduced to reduce restrictions on educational career paths at the time of progressing to secondary education, and administrative support has been provided based on the“social index”of individual schools. In addition, the moral autonomy of individuals is approved by guaranteeing the parent's right of school choice. These measures are intended to improve the level of“educational justice”.It is concluded by this half theoretical and half case-based discussion that when discussing justice from the perspective of educational administration, it is better to analyze a concrete educational policy based on the particular notion of justice appropriate to it, rather than to theoretically and comprehensively discuss the concept of justice.
著者
木城 智 植原 健二 皆川 直毅 大沼 弘幸 仁木 久照
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.122-126, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
10

高齢者女性に急性発症した脛骨内側顆不全骨折4例について,共通する特徴を検討した.すべての症例における共通点は,高齢,女性,急性発症して,持続する強い膝関節痛,鵞足部の圧痛,単純 X線像で明らかな所見がないことであった.これらの項目は脛骨内側顆不全骨折の診断に有用であることが示唆された.高齢者女性に急性発症した膝関節痛では,不全骨折を考慮し,MRIや早期治療介入が必要である.
著者
稲本 由美子 木原 健二 飯田 一史
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.284, 2017

はじめに 重症心身障害児者にとり、「呼吸」を安楽に維持することが生命予後、QOLの向上につながる。呼吸ケアというと、吸引・呼吸器の管理など医療的ケアをイメージするが、姿勢管理、口腔ケア、緊張緩和のための心理的関わりなどのほうが重要である場合も多い。日常生活の中で多職種がそれぞれの専門性を発揮して適切な介助、対応を行うことが重要であると考える。しかし、現状は職種間の知識・技術の格差があり、専門性を発揮した呼吸ケアを実践しているとは言い難い状況である。職員全体の「呼吸」に対する知識の底上げを行うことが重要であると考える。さらに、知識だけでなく、それを実践に活かすためにはOJTは不可欠であり、指導する立場の職員を育てることも重要である。 今回、施設が求めるそれぞれの職種(看護師・支援職・セラピスト)の呼吸ケアにおける役割を明確にすること、「重症心身障害児者の呼吸障害」の基礎的な知識を職種間格差なく持てること、個々の症例に合わせた適切な呼吸ケアを実践できることを目標とし、系統的な「呼吸研修プログラム」の立ち上げに取り組んだので、その経過を報告する。 活動内容 1.「呼吸研修検討会」定例会議1回/月を実施。「呼吸研修プログラム」の内容検討し、計画立案を行う。 2. 研修会の実施・評価 結果 呼吸の仕組み・重症心身障害児者の呼吸障害とその対応・呼吸リハビリの基礎と実際など基本的に知っておくべき知識と技術を得るための「ベーシックコース」計5回と指導的立場を担うための知識と技術を得る「アドバンスコース」計3回を計画・実施した。「ベーシックコース」は対象職員(看護・支援・セラピスト)約140名中、各回約50〜80名参加。「アドバンスコース」は対象者を限定して実施した。 今後の課題 研修内容を「難しい」と感じた職員に対して理解度のチェックとフォローアップ実践に活かすための、職種別知識・技術の研修プログラムの検討
著者
中原 健二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.63-66, 2020-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
2

中枢神経領域疾患には多くのアンメットメディカルニーズが残されており、複数の製薬企業が重点領域に掲げている。一方で本領域をターゲットとした創薬は、薬理学的メカニズムの複雑さから難度が高く、開発成功率が低いことから、共同研究によって活路を見出す製薬企業が少なくない。塩野義製薬株式会社はJanssen Pharmaceuticals, Inc.(ヤンセン社)にアルツハイマー病治療薬の開発候補品であるBACE1阻害剤(atabecestat)を導出し、同時にバックアップ化合物の創製に関する共同研究を開始した。筆者は、ベルギーにあるヤンセン社の研究所にてメディシナルケミストとして上記共同研究に参画する機会を得た。本稿ではヤンセン社の研究環境や共同研究を通して感じたことについて述べたい。
著者
竹原 健二 松田 智大 児玉 知子 渡會 睦子
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 = The journal of AIDS research (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.215-220, 2008-08-20
参考文献数
17
被引用文献数
1

目的: HIV感染者増加を抑制すべく, HIVスクリーニング検査の普及が図られているが, 十分であるとは言えないのが現状である.HIV検査に関する先行研究では, 受検者を対象に受検動機や検査の実施体制について検討したものは見られるものの, 一般集団を対象にした実態調査は十分行われていない.本研究では, 若者のHIV検査に対する認識と利用状況を把握することを目的に調査を実施した.<BR>方法: 本研究は2007年6月から7月に東京都近郊の5つの大学に所属する大学生の男女271人を対象とした.そのうち十分な回答が得られた233人を分析対象とした.調査は対象者がWeb上の調査票にアクセスし, 回答してもらう方法を用いた.調査項目は, Misovich, S. J.らが開発したスケールを用いた.<BR>結果: 献血時にHIV検査が同時にできると考えている者が約70%であった.HIV検査によって感染を発見できるようになるまでに「ウインドウピリオド」があることを十分に理解していないものは約40%であった.HIV検査を受けられる場所を正しく挙げることができた者は男女ともに約75%であった.今までにHIV検査を受けたことがある者は3.596であった.<BR>結論: 本研究を通じて, 献血時に同時にHIV検査ができるという誤った認識の者も多く, 適切な情報提供, および受検行動につながるような取り組みを強化する必要があることが示唆された.
著者
青木 純一 前原 健二 樋口 修資 平田 昭雄
出版者
日本女子体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

学校はこれまで民間企業などの職務経験を積んだ後に教職をめざす人達を積極的に受け入れてきた。教員以外の職務経験が学校という「閉鎖的」な場を活性化すると考えたからである。しかし、中途入職教員が採用後の教育活動や、校務分掌や研修といった業務においてその経験をどのように活かし、活かされているかといった実態調査は、これまで必ずしも行われていない。そこで、中途入職教員やその任命権者である教育委員会へのインタビュー調査や質問紙調査によってこれらの課題を明らかにする。
著者
竹原 健二 三砂 ちづる 本田 靖
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.215-224, 2006-11-30 (Released:2011-02-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The purpose of this study is to comprehend the correlation between the conditions of experience in sexual behavior and the sex education needs of high school students. We conducted a cross-sectional study in January-February 2004 using self-response sheetstargeting 681 students (15-16 years old) attending three public high schools in Ibaraki Prefecture and received valid responses from 627. The subjects of the analysis were divided into three groups depending on the conditions of experience in sexual behavior. We found that, as sexual behavior becomes more active, there are more pressing needs for sexual behavior related information such as "contraceptive methods" and "sexually transmitted infectious diseases" while lessinterest is shown in "male and female psychology" or "interaction between the sexes, " It became clear that the source of sex-related information is shifting from textbooks and school instruction to friends and news media. Although 30-40% of the subjects responded that they wanted to know more about the "nature of love" and "interaction between the sexes, " that is hardly handled in sex education. This suggests that needs and the sources of information on sex-related issues also differ.Judging from this result, if instruction in sex education had more varied content depending on experience in sexual behavior, there would likely be a strong possibility of being able to respond better to student needs. Though the primary issues handled in current sex education are probably centered in the provision of medical knowledge, it can be assumed that high school students want to know more essential matters as well as specific methods and it would be desirable for sex education to provide more multifaceted information.
著者
松田 実 姉川 孝 原 健二
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.239-246, 1992 (Released:2006-06-23)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

経過中に再帰性発話 (RU) がreal word RU (RWRU) からnon-meaningful RU (NMRU) に移行した特異な症例を報告した。症例は73歳の右利き女性。脳梗塞で右片麻痺と全失語を呈した。初期には,「あんた」という発語を繰り返したが発語量は多くなかった。 50病日頃より発語量が多くなるとともに,発語パターンは「あんた」が徐々に減少し,「ツツツ……」「夕夕夕……」「ツツターン」「ツターン」「タンターン」という何種類かの発語を認める時期を経過して,「タンターン」「タンタン」に収束した。 CT, MRIでは基底核,放線冠と頭頂後頭領域の皮質皮質下に梗塞巣を認めたが,SPECTではより広範な左半球ほぼ全域にわたる血流低下が認められた。著しく機能低下した左半球の音声学的システムが右半球発語であるRWRUを修正した結果, RWRUからNMRUへの移行が生じたと考え,RUの成立機序や責任病巣についての私見を述べた。
著者
原 健二
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.380-383, 2018-09-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2