著者
高橋 英海 桑原 尚子 近藤 洋平 辻上 奈美江 菊地 達也 三代川 寛子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中東・北アフリカのイスラーム地域における少数派・弱者を取り上げ、その過去と現状について3年の期間をかけて調査を行った。具体的には、少数派・弱者を(1)「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」、(2)「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」、(3)「イスラーム世界における異端」という3つの研究課題に分け、それぞれの課題について調査を行い、思想史的および社会学的手法を用いて考察した。
著者
久留 一郎 餅原 尚子 関山 徹
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.29-36, 2012-03-31

犯罪被害者支援に携わった警察官を対象にしてアンケート調査をし,そのストレス状況(CIS・PTSD傾向の二次受傷など)および予防,ストレス緩和要因について臨床心理学的視点から検討をした。警察・被害者支援室の協力を得て,2006年に実施した426名について分析した。その結果, a)ストレスヘの対処は,バランスが大切であること, b)PTSD傾向者への援助や予防は,画一的におこなうのではなく,その人のもつコーピング・スタイル(coping Style)に応じたものが有効であること, c)女性警察官や既婚者への支援はより手厚くする必要があること,などが,明らかになった。二次受傷(secondary traumatic stress)の先行研究でも支援者保有が有効であることは,多々指摘されており,これらの観点を活かして職場での精神的支えをどのように作るかが,犯罪被害者支援を左右する鍵となるだろうと考察された。A questionnaire survey was carried out in 2006 for the police officers who took part in support activities for crime victims. We analyzed the results of 426 cases collected by Crime Victims Branch of A Police Office, concerning the stress situation(CIS, Secondary traumatic stress etc.), its prevention, and stress coping factors from the point of view of Clinical psychology. As the result, fo1lowing points became clear: a)'Balance' is important to cope with stress. b) It is more effective for the person with PTSD tendency to be given support and preventive help according to his/her own stress coping style. c)Female police officers and married police officers need to be supported with greater care. As the many previous researches on Secondary traumatic stress indicate, this investigation also seems to prove that the key in supporting crime victims is for the helpers themselves to have means of mental support at their workplaces.
著者
菅原 尚子 武藤 泰明
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_363-3_375, 2022-07-01 (Released:2022-07-23)
参考文献数
6

The sports participation rate, which indicates the exercise habits of people, has increased significantly in the last 30 years. According to the survey of household economy, the ratio of sports admission fees to education and entertainment expenses is on the rise. Then, how much has the sports spectating rate, which indicates whether or not a person spectated at sports events at least once a year, increased? In this study, we investigated whether the increase in the spectating rate could be confirmed by macro data. The data was secondarily obtained from the “National Sports-Life Survey” and “National Sports-Life Survey of Children and Young People” conducted by the Sasakawa Sports Foundation, and the ratios of respondents who had spectated some kind of sports in the last year were aggregated and compared by survey year. To evaluate the significance of difference in each survey year, Kruskal-Wallis test and Bonferroni correction were used. As a result of the investigation, a significant increase in the spectating rate was observed from 1994 to 2010 for adults excluding students, and no significant decrease was confirmed thereafter. On the other hand, for professional baseball (NPB) and soccer (J-League), there was no increasing trend in the spectating rate. This suggested that the absolute number of spectators is small compared to the whole population in Japan. Although sports admission fees have increased due to the repeaters, from the viewpoint of the spectating rate, even if the number of spectators at one event increases, it gives small impact on the spectating rate of the whole, as long as the venues are in a biased location. In order to increase the number of spectators, it is important that various events be held in various areas.
著者
菅原 尚子 武藤 泰明
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_211-2_226, 2021-04-01 (Released:2021-04-26)
参考文献数
15

One of the authors has analyzed the relationship between playing and spectating sports behavior during school-hood by setting adult sports spectating behavior as an explained variable, and confirmed a certain relationship. The purpose of this study was to clarify what timing of school-age the groups which come into contact with sports tend to continue or resume spectating sports in adulthood, based on the theory of carry over effect. The data was secondarily obtained from the research conducted by the Japan Volleyball League organization through an online survey. The respondents were asked whether or not they had experienced spectating or playing sports at each school-age stage (elementary school, junior high school, high school and university). Spearman′s rank correlation coefficients between spectating or playing sports in each school-age and the behavior modification stage of spectating were calculated, and Fisher's z-transformation and Bonferroni correction were used to evaluate the significance of difference in correlation coefficients for each school-age. As in the previous research on playing sports, the results revealed that spectating in university indicated significantly higher correlation with the behavior modification stage of current spectating, compared with other school-ages. In some cases of excluding the group that had been spectating since school-age, the correlation coefficients between spectating in elementary school/junior high school and the behavior modification stage of current spectating showed significant differences in comparison with other ages. This suggested that past experience may be carried over and facilitate resumption of spectating in adulthood, even when interrupted. Our results suggest that sports organizations are required to have a medium- to long-term perspective that takes into account the re-socialization of spectators while consciously targeting the school-age in which significant tendency is confirmed.
著者
餅原 尚子
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.平成15年度に引き続き、新たに、警察官854名、救急救命士200名を対象に、災害ストレス(PTSD、CIS)、そしてその緩和要因等に関するアンケート調査を実施した(久留一郎氏の協力による)。その結果を、消防職員356名、海上保安官80名の結果とともにSPSSを用いて、以下の視点を中心に、統計処理を行った。その結果、警察官に比較し、消防職員や海上保安官、救急救命士のストレスが高いことが明らかになった。また、救援者全体のクロス集計においては、惨事状況によって、直後にあらわれるストレス(CIS)、しばらく経ってから現れるストレス(PTSD)、直後およびしばらく経過してから現れるストレスが明らかになった。また、そのストレスを予防、あるいは緩和する要因として、自分自身でできること、職場や家庭でできることなどを抽出することができた。2.アンケート調査の結果をもとに、災害ストレスを緩和(予防)するためのガイドラインを作成した。その際、研究協力者(災害ストレス研究〔PTSDなど〕の第一人者である久留一郎氏〔日本臨床心理士会被害者支援専門委員〕)からの支援をもらうことができた。ガイドラインは、本人や職場の同僚、家族等がポケットに入れられるサイズで作成(三つ折り)し、常時携帯できるよう工夫した。また、救援者のみならず、彼らの上司・同僚を含めた全職員、そして家族等へガイドラインを配布し、今後の救援活動に役立てられるよう配慮した。3.今回の結果を冊子にまとめ、調査対象者(消防職員、海上保安官、警察官、救急救命士)へフィードバックした。また、研究会や研修会等で、本研究の報告・発表をし、啓発を行った。
著者
餅原 尚子 松田 英里 成願 めぐみ 久木﨑 利香 有留 香織 永田 純子 坂元 真紀 前原 加奈 松元 理恵子 久留 一郎
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.44-54, 2007-03-31

災害の体験によって直接の被災者だけでなく,救援者も大きな影響を受ける。海外での先行研究と同じく,わが国の救援者においても心的外傷性ストレス症状(post‐traumatic stress reaction)の割合が高いことが明らかになっている。救援者は災害現場に出場し,被災者と同じような体験をすることによるストレスを受けることになる。一方,職業的救援者であるがゆえに一般的な被災者とは別のストレス(災害出場を忌避できない。彼らには社会的な期待が大きい)に加え,特有の義務感,責任感や弱音を吐きにくい組織的風土が加わる。まして,箝口令が敷かれているとなおさらである。本研究では,消防職員,海上保安官,警察官,救急救命士が直面するCIS(Critical Incident Stress:惨事ストレス), PTSD(Posttraumatic Stress Disorder:外傷後ストレス障害)の現状について分析し,ストレスの特徴を明らかにすることを目的とした。アンケート調査を実施し,そのうち消防職員356名,海上保安官80名,警察官854名,救急救命士200名の有効回答を得ることができた。CISついては,海上保安官や警察官よりも消防職員や救急救命士に高く認められた。さらに,警察官より消防職員や救急救命士が, PTSDの症状を呈しやすいことが明らかになった。
著者
宇野 洋輔 西岡 慎一 原 尚子
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.2-25, 2016-12-01 (Released:2022-01-25)
参考文献数
64

本稿は,コンファレンス「物価変動とその中での経済主体の行動変化」(東京大学金融教育研究センターと日本銀行調査統計局の共催コンファレンス第6回)の導入論文である.本コンファレンスでは,長期にわたるデフレが終息し,基調としてマイルドなインフレへと転換しつつあるわが国物価の現状を踏まえて,まず,物価変動の背景やそれに関する論点について整理する.特に,経済主体の予想形成と企業の価格設定行動が物価変動とどのような関わりを持つかについて論点を整理する.次に,物価の変動に伴い企業や家計がどのように経済行動を変え得るかについて論点整理を行う.具体的には,まず,賃金面に焦点を当て,今後の実質賃金の動向を考えていく上で重要となり得るポイントを挙げる.また,インフレ局面への転換が,これまでの現預金を中心とした家計の慎重な投資行動をどの程度変え得るのかについても論点として提示する.
著者
山本 健兒 熊谷 圭知 栗原 尚子 竹内 啓一 寺阪 昭信 山田 晴通
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

欧州の大都市自治体はEUROCITIESを通じてEUに都市政策を推進させる行動や、相互の経験交流を進めてきた。これを受けて、EUも当初、文化遺産の保全や環境問題に焦点をあてる都市政策を、社会的排除、失業、移民の統合、経済的活力などを重視する都市政策を1990年代半ば以降推進している。EU主要都市によるグローバリゼーションとEU統合への文化的対応に関して2つの論点が浮かび上がる。第1は移民マイノリティの生活実態とこれに対するホスト社会の対応、第2は都市の建造環境の整備保全という論点である。第1については、オランダへのモルッカ移民の統合、スペインへの移民のラテンアメリカ化、同じドイツ都市といえどもベルリンとミュンヘンでは移民比率の高い街区の様相に大きな違いがあることが明らかとなった。移民とホスト社会との間で対立が激しいというわけではなく、移民たちはドイツ都市を故郷と認識する傾向にある。しかし、移民は失業などでより厳しい立場にある。また中国を含む世界各地からの移民がパリ、ローマ、バルセロナでも可視的存在となっている。第2の論点について、イタリアでは都市政府の政権交代が建造環境の変化に大きく影響すること、フランスでは文化遺産としての建造物の保全に中央政府の力がより大きく働くことが判明した。ロンドンの影におかれやすいイギリスのその他の主要都市は、欧州文化首都として指定を受けることによって大陸部のEU主要都市との競争に対応しようしている。2つの論点のいずれに主眼をおこうとも、都市住民あるいは訪問外国人に対して都市の物理的な構成は大きな意味を持つ。欧州各国主要都市の動向を総括するならば、外的圧力に対する文化的対応は政治的対応とならざるを得ず、中央政府の力が強いフランスと地方政府の力が強いドイツを両極として、各都市を位置づけうる。その際に鍵をなすのは、参加と自治のありようである。
著者
渡邉 悟 篠原 尚子 金井 節子 飯塚 良雄
出版者
東京聖栄大学
雑誌
聖徳栄養短期大学紀要 (ISSN:02866366)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-6, 2005-12-20
被引用文献数
1

(1)飯塚パンの元種から酵母(飯塚菌、I)を分離同定したところ、一般のパン酵母として知られるサッカロミセス・セレビシアであった。(2)Iと一般の生イースト(オリエンタル酵母、O;三共、S)と生育状況について比較したところ、YM培地では菌体量が同等であったが、レーズン培地では、1>S>Oの順であった。(3)気体発生量については、レーズン培地で1>S>Oの順であり、中種で同等と判断でき、本捏で1>S>Oの順であった。(4)Iの生育の至適pHを判定したところ、一般の酵母のpH5〜6とは違い、pH3.9付近であった。(5)飯塚パン製造時のレーズン添加の影響を見たところ、レーズン添加で膨張体積が増加し、Iの気体発生を促すには、レーズン添加が適していた。以上より、飯塚パン製造には、Iが適しており生育の至適はpH3.9であり、レーズンを含むパンの製造において気体発生量が多くなることを示唆した。
著者
四元 真弓 餅原 尚子 久留 一郎
出版者
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要 (ISSN:18809944)
巻号頁・発行日
no.8, pp.39-47, 2013-03

現代社会において,感情労働という用語は,医療・福祉・教育など, さまざまな分野で用いられるようになってきた。 しかしながら,心理学の分野における研究は少なく,臨床心理士を研究協力者としたものは,いまだ蓄積されていない。そのため,本稿では,精神科医療で働く臨床心理士を対象にしてインタビュー調査を実施し,臨床心理士の感情労働について臨床心理学的視点から検討をした。その結果,臨床心理士の感情労働は,"人間性"と"専門性"から成立しており,臨床心理士はその両者のバランス感覚を保持することが大切であることが明らかになった。また,今回の調査より,臨床心理士の感情労働は、 日常の場面においても「自己一致」が(完全ではないが)得られていた。これは,臨床心理士の職務における訓練と技能のたまものであり,「自己一致」について理解と認識をもつ臨床心理士の専門性における特色が示唆された。
著者
栗原 尚子
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.781-789, 1980-12-01

論文タイプ||資料紹介
著者
成願 めぐみ 餅原 尚子 久留 一郎
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-27, 2009-03-31

本研究では心的外傷(トラウマ)のパーソナリティに及ぼす影響が,ロールシャッハ反応にどのように表出するのか, その現れを探索した。 研究対象としてPTSDの事例8ケース, トラウマとの関係が深いとされるBPDの事例11ケース, 統制群として健康群10ケースのロールシャッハ・プロトコルを用い, 名古屋大学式技法によるスコアの量的分析と,反応の質的分析を行なった。結果として,「血液反応」(Bl)の多さ, Positive feeling%の少なさ, 色彩優位の反応の多さ(FC<CF+ C)などが,PTSD, BPD両群に共通した。また,両群ともにPTSD症状の「再体験」を思わせる反応が多くのケースに見いだされ, トラウマの再現性や影響はロールシャッハ反応上にも見いだされることがわかった。
著者
川原 尚子
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-46, 2011-07

[要旨] 近年, 企業の自主的な環境開示に関する様々なフレームワークが国際的に開発されてきたが, 投資家向けの制度財務報告において, 環境問題に関連した財務報告基準や開示規制は未だ萌芽段階にある。本稿は, 欧州大企業10社が提出した, 金融商品取引法に基づく有価証券報告書上での環境開示事例を検討している。これらの企業の本国制度の財務報告には, 国際財務報告基準(IFRS)が適用されている。これらの企業の有価証券報告書の様々な箇所で環境問題が様々に説明されうるが, 記載は企業判断に大きく委ねられている。よって, 情報の信頼性をどのように確立するかの重要な問題が未だ残されている。 [Abstract] Recently, different voluntary frameworks regarding corporate environmental disclosure have been developed worldwide, but financial reporting standards and disclosure rules related to environmental issues in regulatory financial reports for investors are still embryonic. This paper examines issues of environmental disclosure in certain securities reports ("Yukashoken-Hokokusho") in accordance with the Financial Instruments and Exchange Act in Japan, the reports being prepared by ten of the largest European companies. These companies' regulatory financial reports have already adopted the International Financial Reporting Standards. To some extent, these companies' different environmental issues can be explained in different sections of their reports, and their inclusion largely depends upon management decisions. Therefore, the important question of building credibility in the information provided still remains.