著者
藤原 治 鈴木 紀毅 林 広樹 入月 俊明
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.Supplement, pp.S96-S119, 2013-08-15 (Released:2014-03-21)
参考文献数
135
被引用文献数
9

本巡検では,東北日本の太平洋側新第三系の標準地域としての宮城県仙台市から名取市にかけて分布する新第三系を見学する.見学の要点は,シーケンス層序と奥羽山脈発達史などの研究成果を念頭においた観察にある.最下位の茂庭層では,同時期の地層では例の少ない岩礁性動物群化石を見る.時間が許せば,茂庭層-旗立層境界に見られる海緑石層を見学し,東北日本で同時期に海緑石層が形成されていた一端を紹介する.名取川下流の露頭が本巡検の主要な見学地で,これまでの巡検で詳細には紹介されたことがない,旗立層と綱木層の不整合と堆積サイクルを見学する.この見学地は,フィッション・トラック年代の測定用試料を採集した露頭でもあるため,旗立層・綱木層の見学地としては模式地に匹敵する重要地点である.青葉山丘陵の見学地点では,綱木層と梨野層の境界を見学する.梨野層は白沢カルデラの東縁を構成する地層とされるが,綱木層との層序関係については不整合か整合か決着していない.最後に,仙台層群を観察する.下位の名取層群とは対照的に水平層となっていることが分かるほか,竜の口層から向山層への層相変化を見ることができる.
著者
谷 幸太郎 栗原 治 金 ウンジュ 酒井 一夫 明石 真言
出版者
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

原子力事故後の緊急作業等によって高線量の放射線被ばくを受けた場合には、個人データに基づく線量評価が必要となる。本研究では、甲状腺へ局所的な内部被ばくをもたらすI-131を対象として、人体を再現したボクセルファントムを使用した数値計算により、甲状腺前面の組織厚を考慮した甲状腺残留量の評価を可能とした。また、安定ヨウ素剤服用時の体内動態解析コードを開発し、個人の摂取シナリオを考慮した甲状腺線量の評価を可能とした。これらの手法について、福島第一原子力発電所事故への適用例を示し、有用性を確認した。本研究の成果は、I-131による高線量内部被ばく時の線量再構築に役立つものと期待される。
著者
松尾 喜久男 吉田 幸雄 上本 驥一 原 治
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.19-22, 1962
被引用文献数
1

1) 1961年8月22日から8月27日の間に3回にわたり計8匹のハエ幼虫が男子尿道より排出された.2) 第2回目排出の2虫体を同定した結果, その虫体は3.4〜4.8mm長の3齢幼虫で, Sarcophaga septentrionalisかS. similisの何れかに該当し, 多分S. septentrionalisと思われる.3) 今回のハエ幼虫感染径路は恐らく汚染された陰茎かその付近に産下された1齢幼虫のうち若干のものが外尿道口から侵入し, 尿道内で発育した幼虫が3回にわたり尿中に排出されたと推察される.
著者
藤原 治 増田 富士雄 酒井 哲弥 入月 俊明 布施 圭介
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.41-58, 1999-02-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
49
被引用文献数
12 19

内湾(溺れ谷)の泥底に砂や礫を再堆積させるイベントが,完新世の三浦半島と房総半島南部で繰り返し発生したことが,沖積低地で行ったボーリング調査によって明らかになった.これらの再堆積層は,上方へ細粒化する淘汰の悪い泥質砂層や砂質礫層からなり,他生の貝化石や粘土礫を多く含み,生痕が発達し,自生の貝化石を含む泥層を削り込んで覆う.これらの再堆積層は,3ヵ所の沖積低地で掘削した6本のボーリング・コアで認められ,加速器質量分析計(AMS)による79個の14C年代測定値に基づいて,近似した年代をもつ7つの層(下位からT1~T7)にまとめられる.T3~T7は,水深10~20mの内湾中央部に堆積したものであるが,岩礁などに棲む貝化石を泥底の群集と混合して含む.また,貝化石は下位層と14C年代値が逆転するものがある.T1,T2は上述した異常堆積物と類似した堆積構造や化石を含み,特に貝形虫化石群集は外洋水が内湾奥の汽水域へ流入したことを示唆している.T1~T7の堆積構造,化石の種構成,14C年代値は,海底および海岸の侵食と削剥された堆積物の湾央への運搬が強い流れに起因することを示している.さらに,T3~T7は,相模トラフ周辺で発生した巨大地震に伴う海岸段丘の離水時期と年代が近似する.以上のことから,T1~T7は海底地震に伴う津波で形成されたことが強く示唆される.これらの津波は,過去約10,000年の間に,400年から2,000年の間隔で発生した.
著者
藤原 治 増田 富士雄 酒井 哲弥 布施 圭介 齊藤 晃
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.73-86, 1997-05-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
37
被引用文献数
5 13

相模湾周辺では,完新世を通じて巨大地震が繰り返し発生したことが,完新世の海成段丘や歴史地震の研究から知られている.しかし,完新世の地震を示す津波堆積物などの地質学的な証拠は,ほとんど知られていない.完新世の3回の地震隆起に対応する津波堆積物を,房総半島南部の館山市周辺に分布する内湾堆積物から初めて見いだした.これらの津波堆積物は,館山市周辺で広域に追跡できる.津波堆積物は,基底が侵食面を示し上方へ細粒化する砂層や砂礫層からなり,貝化石片や木片を多量に含む.貝化石は,内湾泥底と沿岸の砂底や礫底に住む種が混合しており,海底の侵食と再堆積が生じたことを示す.また,陸側と海側への両方の古流向が堆積構造から推定される.3枚の津波堆積物は,それぞれ約6,300~6,000yrs BP,4,800~4,700yrs BP,4,500~4,400yrs BPに堆積したことが貝化石の14C年代値から明らかになった.最下位の津波堆積物は,沼I段丘,野比I段丘の離水と年代が一致する.また,中位と上位の津波堆積物は,それぞれ野比II段丘,沼II段丘の離水と年代が一致する.調査地域では,上述の津波堆積物と類似した堆積相を示す砂層や砂礫層が,約7,400~3,600yrs BPの間に100~200年に1枚の割で堆積している.これらの砂層や砂礫層の一部は,沼段丘上に分布する離水波食棚群(茅根・吉川,1986)に対応する津波堆積物の可能性がある.
著者
藤原 治 太田 耕輔 青島 晃
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.4, pp.309-325, 2023-08-25 (Released:2023-09-08)
参考文献数
32
被引用文献数
2

Array coring survey at the site of Yonezu Pond, which is depicted on a 1680s map, revealed a sand bed deposited by a tsunami caused by the 1498 CE Meio Earthquake occurred in the eastern Nankai Trough. This sand bed consists mainly of medium-grained sand, 10-15 cm thick, forming large ripples or dunes that record the reversal of tsunami inundation and return flows. Our age model based on radiocarbon dating limits the depositional timing of the sand bed to c. 1440-1600 CE. Only a tsunami could have generated a flow fast enough and long enough in duration to deposit a large amount of sand in Yonezu Pond, which at that time was more than 1.2 km inland from the coast and river. The facies change from peat to clay and pollen composition before and after the Meio tsunami suggest that the tsunami had a significant impact on the vegetation around the pond, especially herbaceous vegetation. Plant opal analysis revealed that paddy field devastation occurred with the formation of the Meio tsunami deposit.
著者
リンデマン エーリック 桑原 治雄
出版者
大阪府立大学社会福祉学部
雑誌
社會問題研究 (ISSN:09124640)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.217-234, 1999-12-24

Erich Lindemann "Symptomatology and Management of Acute Grie."(Americαn Journal of Psychiatry, 101, 141-148, 1944)の翻訳
著者
河野 豊 吉田 純一 原田 文也 植原 治 安彦 善裕 永易 裕樹 舞田 建夫 川上 智史 江口 有一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.388-391, 2022-08-01 (Released:2022-08-10)
参考文献数
4

We investigated whether the humanoid robot, Pepper, could help patients in taking hepatitis virus tests at an oral dental clinic. Ninety-five patients interacted with Pepper, followed by visiting the physician and answering a questionnaire. One asymptomatic patient was diagnosed as HBs-Ag positive. Most patients who operated Pepper were female and older than 50 years of age. Only a few patients (16%) knew a hepatitis subsidy system. Results of the questionnaire revealed that Pepper's promotion was beneficial and useful for understanding the severity of hepatitis. These findings suggest that the application of a humanoid robot may encourage hepatitis examinations in an oral dental clinic.
著者
中田 光俊 木下 雅史 中嶋 理帆 篠原 治道
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.356-367, 2022 (Released:2022-06-25)
参考文献数
75

高次脳機能とは, 伝達・表現・理解・遂行するためのヒトの高度な機能の総称である. 脳神経外科手術において高次脳機能を温存するためには, その機能局在および関連する神経ネットワークを知ることが必須である. われわれは白質神経線維の走行を理解するためには白質解剖が最も優れた手法であると考える. 高次脳機能を司る上縦束, 下前頭後頭束, 下縦束, 前頭斜走路, 帯状束は白質解剖で剖出できる. 覚醒下手術中に適切なタスクを用いて, これらの神経線維束が担う高次脳機能関連領域を同定することが可能であり, 同部位を傷害しないことで全身麻酔手術では温存し得なかった高次脳機能を意図的に温存できるようになった.
著者
佐藤 善輝 小野 映介 藤原 治
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
pp.60.2011, (Released:2021-02-15)
参考文献数
37

九十九里浜平野の中央部に位置する千葉県九十九里町(旧片貝村)を対象に,1703年元禄関東地震津波の痕跡について,史料調査と低地の掘削調査によって検証を試みた.元禄関東地震の前後に作成された絵図を現地調査で比定した結果から,津波は少なくとも九十九里町役場付近まで遡上したことが分かった.九十九里町役場に隣接する水田で掘削したコア試料の層相と珪藻化石の分析からは,海浜堆積物とそれを覆う堤間湿地堆積物が認められた.淡水性の湿地堆積物を明瞭な地層境界を介して覆う砂層が一枚認められ,堆積物の特徴などから津波堆積物の可能性が高いと考えられる.この津波堆積物の堆積年代は少なくとも1,664calAD以降と考えられ,史料などの情報も考慮すると1703年元禄関東地震による津波堆積物と考えるのが最も妥当である.
著者
石原 治 権藤 恭之 W. Poon Leonard
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.516-521, 2002-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
21
被引用文献数
7 9

The continuous recognition paradigm was employed to examine age-related performance deficit in short-term and long-term memory. Three age groups of people: young, young-old, and old-old, participated in the study, which used words of high and intermediate familiarity. With intervals used as criteria for separation of short-term (STM) and long-term (LTM) memory, hit rate and reaction time (RT) were computed separately. Although not significantly different in STM, hit rate in LTM decreased as the participant got older. No difference in RT for young-old and old-old groups was found for STM and LTM of high familiarity words, but the difference was significant for LTM of intermediate familiarity. RT was longer for intermediate than high familiarity words for both young-old and old-old groups in LTM, and only for old-old group in STM. These results indicated that although age differences in memory performance were not very large, different influence of aging on encoding, storage, and retrieval processes could be inferred.
著者
宍倉 正展 鎌滝 孝信 藤原 治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.357-370, 2016
被引用文献数
1

<p>フィリピン海プレートが沈み込む相模トラフ沿いでは,過去からプレート間地震(いわゆる関東地震)がくり返し生じてきた.歴史上に記録されている1703年元禄関東地震と1923年大正関東地震では,南関東沿岸に地殻変動を伴い,大きな津波が襲ったことが知られている.地殻変動は海岸段丘などの離水海岸地形や隆起生物遺骸として,また津波は津波堆積物として,それぞれ地形や地層に記録されている.房総半島南部沿岸では,地殻変動や津波の影響を特に大きく受け,複数のレベルに海岸段丘が発達していたり,縄文海進期の内湾堆積物中に複数枚の津波堆積物が挟まれていたりする.これらの記録を解読することで,過去7000年から8000年以上に渡る地震や津波の履歴を復元することができる.</p>
著者
藤原 治 増田 富士雄 酒井 哲弥 入月 俊明 布施 圭介
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.489-501, 1999-12-01
参考文献数
47
被引用文献数
7 9

相模トラフ周辺で過去1万年間に発生した地震イベントを,房総半島南部と三浦半島に分布する4つの沖積低地の内湾堆積物から検出した.<br>堆積相解析の結果,基底に侵食面をもち,上方へ細粒化する砂層や砂礫層によって,自生の貝化石を含む均質な泥質層の堆積が中断されるイベントが,各沖積低地で10回以上識別された.また,一部の砂層では,海と陸の両方向の古流向が見られる.内湾堆積物に含まれるこれらの粗粒堆積物は,いわゆる"イベント堆積物"である.<br>タフォノミーの視点からの化石群集の分析によって,イベント堆積物の供給源や運搬・堆積プロセスが推定された.イベント堆積物は,内湾泥底と岩礁など,通常は共存しない異なる環境に棲む貝化石群集が混合しており,湾周辺からの堆積物の取り込みと内湾底への再堆積を示す.湾奥の汽水域や湾中央で堆積した泥層に挾まれる2枚のイベント堆積物は,外洋性の貝形虫化石を多量に含み,外洋水が湾奥に侵入したことを示す.これらは津波堆積物の可能性がある.<br>137個の高密度の<sup>14</sup>C年代測定によって,7枚のイベント堆積物が相模湾沿岸で広域に追跡され,乱泥流が南関東沿岸の広域で同時に繰り返し起きたことが推定された.5枚のイベント堆積物は,南関東に分布する完新世海岸段丘の離水と近似した年代を示し,津波起源であることが強く示唆される.<br>化石群集から復元した古水深変動から,イベント堆積物を挾む2つの層準で急激な海面低下が見いだされた.このイベントは海底の地震隆起と地震に伴う津波を示すと考えられる.<br>地層から地震イベントを検出することは,古地震研究に有力な情報を提供し,地震テクトニクスの新たな研究方法として貢献すると考えられる.
著者
篠原 治征 杉浦 正
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.100-104, 2016-02-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
17

A 34-year-old woman was referred to our department because of trismus. Physical examination showed severe trismus and stiffness of the masseter muscles. She had a miscarriage in the Philippines a few days ago, received treatment, and went back to Japan. Maternal tetanus( MT) was diagnosed on the basis of the clinical course and symptoms. The patient was immediately admitted to the intensive care unit. She was given anti-tetanus human immunoglobulin and antibiotics. The patient recovered without undergoing a tracheotomy or tracheal intubation. The World Health Organization( WHO) has reported that maternal and neonatal tetanus( MNT) has decreased in developing countries. However, delivery and miscarriage in an insanitary environment remain a problem. Tetanus is a fatal infectious disease if early treatment is not appropriately performed. An early warning symptom of tetanus is trismus. Patients with this disease may therefore initially consult a dentist or an oral surgeon. We should consider the possibility of tetanus when examining patients with trismus and observe them carefully.
著者
豊原 治郎
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.1-21,a1, 1975-10-10 (Released:2009-11-06)

This article is in a series of my projected researches regarding the American-Canadian commercial-business history from the latter half of the 18th century to the first half of the 19th century.This paper consists of three facets: a general description of the socio-economic development of Baltimore during the latter half of the 18th century; a brief analysis of some commercial-business-historical characteristics of Baltimore's maritime industry and her foreign-coastwise trades; and lastly some considerations of the entrepreneurial activities of Robert Oliver, “the commission merchant-importer-exporter, typically a stay-at-home-merchant” in Baltimore during the eighties. In onther words, this article becomes one of my works based upon economic-business-historical approaches.In making this paper, I had a lot of valuable opportunities to read through some original data in Washington National Archives.
著者
豊原 治郎
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.62-77, 1972-03-30 (Released:2009-10-14)
著者
金子 晃 巽 智秀 藥師神 崇行 平松 直樹 三田 英治 中西 文彦 尾下 正秀 吉原 治正 今井 康陽 福井 弘幸 小林 一三 土井 喜宣 林 英二朗 筒井 秀作 澁川 成弘 巽 信之 堀 由美子 森井 英一 竹原 徹郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.507-517, 2015-10-20 (Released:2015-11-02)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

自己免疫性肝炎200例を対象としてステロイド治療の現状と再燃に関連する因子について検討を行った.ステロイドは162例,81%の症例で投与されたが,そのうち149例92%で著効が得られた.一方,著効した症例のうち約半数で再燃を認めたが,そのうちの約半数はプレドニゾロン5 mg/日未満の時点で再燃していた.再燃群と非再燃群の2群間では有意差のある因子は認めなかったが,プレドニゾロン5 mg/日以上で再燃した32例をステロイド依存群,5 mg/日以下の維持量で再燃を認めなかった62例をステロイド非依存群として解析したところ,有意差のある因子を複数認めた.さらに,多変量解析にて年齢とγ-GTPが再燃に関連する因子であるという結果が得られた.このことより,再燃に関連する因子の検討においては,再燃時のステロイド用量も考慮して解析することが重要であると考えられた.