著者
斎藤 公明 栗原 治 松田 規宏 高原 省五 佐藤 哲朗
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.93-112, 2016-02-15 (Released:2016-02-15)
参考文献数
51
被引用文献数
1

福島事故に起因する被ばくにおいて重要な位置を占める外部被ばくの線量評価に関する最新の知見を紹介する。まず,外部被ばく線量評価の基本的な考え方を提示し,空間線量率に基づく線量評価ならびに個人線量計を用いた測定の長所と問題点について基礎データを示しながら議論する。また,事故後に行われてきた主要な外部被ばく線量測定・評価の試みについてまとめる。さらに,線量評価の新たな試みについても紹介する。
著者
井口 広靖 平手 博之 長沼 愛友 関谷 憲晃 小笠原 治 上村 友二 星加 麻衣子 藤掛 数馬 太田 晴子 祖父江 和哉
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】ストレス心筋症の多くは典型的なたこつぼ型の左室壁運動を呈するが、約2割は非典型的な左室壁運動を呈し、逆たこつぼ型となるのは全体の2%程度である。一方、ギラン・バレー症候群とストレス心筋症の合併はまれである。今回、逆たこつぼ型心筋症を合併したギラン・バレー症候群の症例を経験した。【臨床経過】75歳の男性。発熱、下痢を主訴に他院受診、カンピロバクター腸炎と診断された。抗菌薬治療で速やかに改善したが、発熱から1週間後に両上肢の脱力が出現、翌日には両下肢の脱力により歩行困難となった。さらに翌日には、呼吸状態が悪化、気管挿管人工呼吸器管理となったため当院に転院搬送され、ICU管理となった。前医での気管挿管後より血圧低下あり、当院搬送時には昇圧薬の持続投与が行われていた。ICU入室時の12誘導心電図でV1からV4誘導でST上昇を認め、経胸壁心臓超音波検査で左室基部の壁運動低下と心尖部の過収縮があり、逆たこつぼ型心筋症と診断した。同日施行した神経伝導検査で末梢神経伝導速度の延長があり、ギラン・バレー症候群と診断、転院1日目から二重膜濾過血漿交換を5日間施行した。左室壁運動については、駆出率(modified Simpson法)は1日目から3日目を通して55%前後で著変なかったが、左室基部の壁運動は経時的に改善し、左室流出路の速度時間積分値は1日目に12cmと低下していたものが、2日目は17cm、3日目は19cmと改善を認めた。3日目には昇圧薬の持続投与は中止した。7日目より免疫グロブリン静注療法を5日間施行したが、短期的な筋力回復は認めず、長期の人工呼吸器管理が必要と判断し、8日目に気管切開を行った。9日目よりステロイドパルス療法を3日間施行した後、12日目に人工呼吸器管理のまま一般病棟へ退室した。昇圧薬中止後の循環動態は終始安定していた。【結論】ギラン・バレー症候群患者で循環動態が悪化した場合、まれではあるがストレス心筋症の合併を疑う必要がある。
著者
谷 幸太郎 栗原 治 小佐古 敏荘
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.461-469, 2014-10-15 (Released:2014-10-29)
参考文献数
34

体内に摂取した放射性ヨウ素の甲状腺への摂取率は,安定ヨウ素剤の投与によって抑制することができる。本論文では,放射性ヨウ素摂取時及び安定ヨウ素剤投与時の体内動態モデルを使用し,日本人を対象とした131Iの急性吸入摂取に対する甲状腺残留率を解析した。安定ヨウ素剤投与時の解析にあたっては,安定ヨウ素を過剰に摂取した場合に一時的に甲状腺ホルモンの合成が阻害されるWolff-Chaikoff効果の影響を新たに考慮した。解析した安定ヨウ素剤投与の有無に対する甲状腺残留率を比較することにより,131I甲状腺摂取率抑制効果を評価した。その結果,抑制効果は2日前の投与で50%,1日前から直前までの投与で80%以上であった。一方,131Iを摂取した後に遅れて安定ヨウ素剤を投与した場合には,抑制効果は急激に減少し,12時間後で20%,1日後で7%未満であった。
著者
佐藤 善輝 藤原 治 小野 映介 海津 正倫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.258-273, 2011-05-01 (Released:2015-09-28)
参考文献数
29
被引用文献数
9 8

浜名湖沿岸の六間川低地および都田川低地で掘削調査と既存ボーリングデータの収集を行い,沖積層の層相・貝化石・珪藻化石分析・電気伝導度測定の結果や14C年代測定値に基づいて,完新世中期から後期にかけての堆積環境の変遷を明らかにした.その結果,両低地に共通した環境変化が認められた.すなわち,6,000~7,000 calBP以降は低地の発達に伴って海水の影響が減少する傾向が見られるが,3,500~3,800 calBP頃に汽水~海水環境の再形成や内湾での水位上昇が認められた.このことは,一時的に浜名湖内へ海水が流入しやすくなったことを示す.その後,3,400~3,500 calBP頃に淡水池沼へと急速に変化した.この時期には浜名湖の湖心部でも急速な淡水化が知られており,浜名湖全体で淡水化が進んだことが示唆される.この環境変化は,浜名湖の湖口部を塞ぐように砂州が形成されたために引き起こされた可能性が高い.
著者
藤原 治 町田 洋 塩地 潤一
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.23-33, 2010-12-01 (Released:2012-03-27)
参考文献数
31
被引用文献数
5 11

大分市の横尾貝塚で見られる厚い鬼界アカホヤ火山灰層(K-Ah : 層厚約65 cm)について,堆積構造の解析などに基づいて形成プロセスを復元した.この火山灰層をもたらした噴火は,横尾貝塚から約300 km南にある鬼界カルデラで約7,300 cal BPに発生した.これは完新世における地球上で最大規模の噴火イベントの一つである.横尾貝塚のK-Ahは湾奥にあった小規模な谷に堆積したもので,さまざまな堆積構造が発達するイベント堆積物(ユニットI~V : 層厚約35 cm)と,それを覆う均質なユニットVI(層厚約30 cm)からなる.イベント堆積物はK-Ahの降灰中に谷に突入した流水によって堆積し,ユニットI~Vの累積構造からは,谷を遡上する流れと下る流れが長周期で繰り返したことが読み取れる.ユニットVIは降下火山灰と考えられる.K-Ah降下との同時性や,長周期で遡上と流下を繰り返す特徴は,K-Ah下部を構成するイベント堆積物がアカホヤ噴火に伴う津波堆積物であることを強く示唆する.
著者
杉田 裕一 澤田 直司 根本 学 大河原 治平
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.500-502, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
4

【はじめに】今回, 幸帽児に対して, 現場で破膜処置を施した症例を経験したので報告する。【症例】30代の1経産婦。妊娠36週で陣痛を訴え救急要請となった。観察開始から17分後に児が娩出されたが, 破水せず羊膜に包まれた状態であったため, 救急救命士が破膜処置を実施した。【考察】本症例について産婦人科医を交えて事後検証した結果, 卵膜が被膜したままでは新生児の死亡や高次脳機能障害を招くため, 児の救命を目的として速やかに破膜処置を行った判断および処置は適切な活動であったとされた。一方, 救急救命士に許可されている産婦人科領域の救急救命処置に破膜処置はなく, 今回の活動は救急救命士法に抵触する可能性が指摘された。【結語】破膜処置が許可されていない現行の法制度では, 救急現場で娩出された幸帽児の生命が脅かされる可能性があることから, 産婦人科領域の救急救命処置に破膜処置を加える検討がなされることが必要と考える。
著者
中田 光俊 木下 雅史 中嶋 理帆 篠原 治道
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.657-667, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
61
被引用文献数
2 3

右前頭葉はヒトが社会生活を円滑に営むうえで重要な高次脳機能を有し社会脳として機能する. 右前頭葉の機能は運動機能に加え, 作業記憶, 非言語性意味記憶, 視空間認知, 社会的認知, 注意, 遂行機能を有する. 高次脳機能に関する皮質の機能局在は明確になっておらず広い局在が示されている. 白質神経線維として錐体路, 前頭斜走路, 前頭線条体路, 上縦束, 弓状束, 帯状束, 下前頭後頭束, 鉤状束が存在しそれぞれ運動, 運動開始, 運動統御, 視空間認知, メンタライジング, 注意, 非言語性意味記憶, エピソード記憶を担う. 右前頭葉病変に対して覚醒下手術を行う際には, 皮質の機能局在と白質神経線維の走行を熟知し適切なタスクを選択する必要がある.
著者
中村 淳路 Boes Evelien Brückner Helmut De Batist Marc 藤原 治 Garrett Edmund Heyvaert Vanessa Hubert-Ferrari Aurelia Lamair Laura 宮入 陽介 オブラクタ スティーブン 宍倉 正展 山本 真也 横山 祐典 The QuakeRecNankai team
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

Great earthquakes have repeatedly occurred along the Nankai Trough, the subduction zone that lies south of Japan’s heavily industrialized southern coastline. While historical records and geological evidence have revealed spatial distribution of paleo-earthquakes, the temporal variation of the rupture zone is still under debate, in part due to its segmented behavior. Here we explore the potential of the sediment records from Lake Hamana and Fuji Five Lakes as new coherent time series of great earthquakes within the framework of the QuakeRecNankai project.We obtained pilot gravity cores form Lake Hamana and the Fuji lakes Motosu, Sai, Kawaguchi, and Yamanaka in 2014. In order to image the lateral changes of the event deposits, we also conducted reflection-seismic survey. Based on these results, potential coring sites were determined and then 3–10 m long piston cores were recovered from several sites in each lake in 2015. The cores consist of 2 m long sections with 1 m overlaps between the sections allowing us to reconstruct continuous records of tsunamis and paleo-earthquakes. In this presentation we introduce the progress of QuakeRecNankai project and discuss the potential of the lakes as Late Pleistocene and Holocene archives of tsunamis and paleo-earthquakes.
著者
宍倉 正展 鎌滝 孝信 藤原 治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.357-370, 2016-07-15 (Released:2016-08-02)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

フィリピン海プレートが沈み込む相模トラフ沿いでは,過去からプレート間地震(いわゆる関東地震)がくり返し生じてきた.歴史上に記録されている1703年元禄関東地震と1923年大正関東地震では,南関東沿岸に地殻変動を伴い,大きな津波が襲ったことが知られている.地殻変動は海岸段丘などの離水海岸地形や隆起生物遺骸として,また津波は津波堆積物として,それぞれ地形や地層に記録されている.房総半島南部沿岸では,地殻変動や津波の影響を特に大きく受け,複数のレベルに海岸段丘が発達していたり,縄文海進期の内湾堆積物中に複数枚の津波堆積物が挟まれていたりする.これらの記録を解読することで,過去7000年から8000年以上に渡る地震や津波の履歴を復元することができる.
著者
柳田 誠 藤原 治 後藤 憲央 佐々木 俊法
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.835-847, 2004-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
22
被引用文献数
5 4

The authors re-examine conventionally used terms for hills on the basis of a morphometric study of landforms in Japan. Relative relief and drainage density are calculated for every 250 m grid on topographic maps.Figure 2 shows relative relief on the vertical axis and drainage density on the horizontal axis. Hills are clearly delineated from mountains by these parameters. The relative relief for hills is smaller than 110 m120 m, and the drainage density is greater than 4050 streams/km2. The Shiranuka Hills in Hokkaido should more appropriately be called the Shiranuka Mountains, because of their high mean relative relief (134.3 m) and lower drainage density.Figure 2 also indicates a possible subdivision of hills into 2 types, or 'flat topped hills' with a relative relief of less than 60 m, and 'ridge hills' with a relative relief of 60 m 120 m. The standard deviation of relief energy can also be taken as a criterion to distinguish the 2 types of hill, namely, the flat topped hills have a standard deviation of 8.120.6, in contrast to the ridge hills, which have a standard deviation of 21.029.8.The drainage density generally increases corresponding to the length of time through which terraces are transformed into hills and the amount of uplift. Therefore, hills have greater drainage density than terraces. But, it is worthy of note that the drainage density is never greater than 7080 streams/km2. The greatest density is found in the Oku-Noto Hills, one of the ridge hills 480, 000780, 000 years old. Indications are that the development of a drainage system culminates at some stage between flat-topped hills and ridge hills, and then valleys are gradually unified, resulting in a lower drainage density.Both flat-topped hills and ridge hills may be derived from various origins such as terraces, depositional surfaces of pyroclastic flows, dissected Tertiary or early Quaternary soft rocks, or degradation of mountains with medium relief. But, the formation of ridge hills requires a greater speed of uplift, and rocks that are hard enough to sustain steep slopes with a relative relief of 80 m120 m. The conditions being the same, ridge hills are older than flat-topped hills.
著者
川原 治之助
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.84-90, 1977-01-30 (Released:2009-08-11)
参考文献数
3
著者
増田 富士雄 藤原 治 酒井 哲弥 荒谷 忠
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.650-664, 2001-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
48
被引用文献数
14 17

Relative sea-level changes and variations in shoreline progradation rate over the past 6000 years are elucidated from the elevations of the beach deposits, their 14C ages, and the geographic position of each locality on the Kujukuri strand plain, Pacific coast of the Boso Peninsula, central Japan. These past sea-levels were +4 to +6 m above the modern sea-level (high-stand stage) at 6000 to 5300 calendar years B.P., +3 to + 4.5 m (stable stage) at 5000 to 3500 years B.P., declined from +1.2-+ 3.4 m to + 0.5-+ 2.1 m (falling stage) at 3300 to 2250 years B.P., and were-1.5--1 m to + 1 m (stable stage) from 1650 to 250 years B.P. ; sea level is 0 m at present. The detailed changes revealed by this new method strongly imply the existence of several rapid uplifts (0.4 to 1.2 m per event) at 5100 to 5500 years B.P., 3400 years B.P., 2400 years B.P., 1650 years B.P., and 0-250 years B.P. The uplifts were co-seismic, because the speed of occurrence seems to have been high, and the events are generally associated with so-called “tsunami deposits.” Co-seismic uplift in this region has not been reported previously from historical records or geological evidence.
著者
野尻 侑 佐橋 栞太 豊原 治彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.826-834, 2018-09-15 (Released:2018-10-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

短期間にヤマトシジミを高品質化する目的で,給餌条件を検討した。その結果,0.1 g/Lの可溶性糖源では効果がなかったのに対し,同濃度の米粉給餌によりグリコーゲン量が約2.2倍に増強されたことから,懸濁物食のヤマトシジミにとって不溶性餌料が効果的であること,塩分濃度0.5%から1%への高浸透圧処理と環境水中へのアミノ酸投与を併用することでグリシン,プロリン,アラニン及びグルタミン酸を増強できることが分かった。
著者
小野 和幸 大河原 治平 阪本 敏久
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.64-68, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
12

現場での心肺蘇生拒否(do not attempt resuscitation,以下DNARと略す)の意向をもつ家族等に対応するための「救急隊員が行う応急処置に関する要望書」(以下,要望書と略す)について,その使用状況を調査した。平成18年から24年の間に現場でDNARの要望があった対象例を検討した。調査期間中のDNAR対象は12件あり,11件で要望書が提出された。年齢は72歳から100歳まで,性別は男7名,女5名,DNAR意思確認書類を事前に提出されたのは1名,心肺蘇生実施4名,搬送実施9名であった。要望書はDNARの搬送のほか,特定行為を拒否し一次救命処置のみでの搬送や不搬送とすべき傷病者で活用されていた。傷病者の医療拒否権について合意形成がない中でも現場でDNARに遭遇することがあり,要望書は現状の解決策の1つと思われる。解決策として救急業務実施基準等の改定が望まれる。
著者
原 治
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.412-413, 1983-05-05
著者
金 ウンジュ 栗原 治 大町 康
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.249-255, 2014-05-15 (Released:2014-05-29)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

バイオアッセイ法は,被検者から採取された生体試料(主に排泄物)中に含まれる放射性核種を定量する方法であり,その結果は内部被ばく線量評価を行う上での基礎データとなる。バイオアッセイ法の利点は,体外計測法では測定が困難なα線やβ線のみを放出する核種に適用できることであり,プルトニウムを初めとしたアクチノイド核種に対しても十分な検出感度を有している。しかしながら,試料の放射線計測を行う前に必要となる前処理,化学分離等の工程に時間を要するため,緊急被ばく医療の観点からは迅速化が求められる。本稿では,アクチノイド核種を対象としたバイオアッセイ法の概要を中心に解説する。
著者
沢崎 健太 木下 藤寿 平野 修 末藤 俊寿 本田 達朗 茂原 治 向野 義人
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.492-499, 2001-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

企業内労働者における運動器症状への経絡テストを用いた鍼治療の効果と医療費との関連性があるかを鉄材の移動、組立、溶接作業などの動作を繰り返し行う肉体労働職を主体とした有痛者117名を対象として検討した。8週間の治療で痛みが半減した者は頚肩部痛で83%、腰痛で77%、膝痛で88%に達した。心理検査 (POMS) では緊張、抑鬱、怒り、疲労、情緒混乱のスコアが有意に減少した。鍼治療期には運動器疾患の受診は半減し、その健康保険医療費は約1/3となった。終了後も医療費減少は持続し、経絡テストを用いた鍼治療は健康づくりならびに医療費削減に有用と考えられた。
著者
道川 慧太 渡邉 哲弘 豊原 容子 佐藤 敦政 豊原 治彦
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.589-593, 2014 (Released:2014-09-25)

琵琶湖周辺で食用とされているイシガイ科の二枚貝であるタテボシガイの貝殻の有効利用を目的として,金属吸着凝集材の開発を試みた。貝殻粉末の鉛,六価クロム,ヒ素に対する吸着能を調べたところ,鉛に対して特に高い吸着能を示した。鉛に対する吸着能は,ホタテガイ,マガキ及びアコヤガイの貝殻粉末でも認められた。タテボシガイ貝殻を焼成することによって表面の多孔質化とカルサイト化が認められ,鉛に対する吸着能の向上が確認された。貝殻粉末に少量のポリマーを添加することで,吸着能に加え凝集能を付与することに成功した。
著者
Lindemann Erich 桑原 治雄
出版者
大阪府立大学社会福祉学部
雑誌
社会問題研究 (ISSN:09124640)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.217-234, 1999-12

Erich Lindemann "Symptomatology and Management of Acute Grie."(Americαn Journal of Psychiatry, 101, 141-148, 1944)の翻訳