著者
豊原 治彦 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、ディスカスの親魚の粘液に含まれる仔魚期の生残を優位にする哺育因子を探索する目的で、RNA-seqによるディスカス粘液中遺伝子の網羅的発現解析を行った。また、哺育因子と思われる物質についてディスカス粘液中のウエスタンブロット解析及び仔魚の消化管の免疫染色を行った。その結果、哺育期のディスカス粘液中で免疫系の遺伝子群、特に免疫グロブリンを構成する遺伝子が誘導されていることが分かった。また、仔魚が親魚の粘液由来の免疫グロブリンを摂餌していることが示唆された。RNA-seqにより哺育期と非哺育期のそれぞれの粘液で発現している遺伝子を比較した結果、非哺育期に比べ哺育期に発現が抑制される遺伝子数は12であるのに対し、誘導される遺伝子数は160と多く、ディスカスの親魚は仔魚の育成のため複数のタンパク質の合成を促進していることが示唆された。また各遺伝子の発現パターンをもとに行ったクラスター解析では、Breed 4個体、Non-Breed2個体がそれぞれ同グループになることを期待したが、結果としてNon-Breed1とNon-Breed2及びBreed3とBreed4が同グループに、Breed1とBreed2が他4個体の外縁のグループに分類された。Breed1,2とBreed3,4が異なるグループに分類された原因として、粘液採取時の仔魚の孵化後日数の違いが考えられる。Breed3,4がともに仔魚の孵化後5日目の時期に採取しているのに対し、Breed1,2はそれぞれ仔魚の孵化後8,13日目の時期に採取したものである。哺育期のディスカスは仔魚の孵化後の経過日数にあわせ粘液中のイオン含量等を変化させるという報告があり、Rディスカスは仔魚の成長段階にあわせ異なる遺伝子の発現を誘導させることで粘液中のタンパク質組成等を変化させていると考えられる。
著者
藤原 治 小松原 純子 高田 圭太 宍倉 正展 鎌滝 孝信
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.115, no.5, pp.569-581, 2006-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
36
被引用文献数
9 9

The temporal development of a late Holocene strand plain system along the western Shizuoka Prefecture was reconstructed based on facies analyses and 14C dating for core samples excavated in a back marsh using a geo-slicer, 6.0-m-long, 0.35-m-wide, and 0.05- to 0.1-m-deep wedge-shaped stainless steel case. The strand plain system consists of beach, sand dune, and back marsh. Stratigraphic succession of the strand plain system, up to 4.4 m thick, is composed of upper shoreface sand, foreshore sand, backshore sand, and back marsh mud, in ascending order. The succession shows three development stages of the strand plain system.Stage 1 (before the 13th century) : The study area was under a wave-dominated beach environment. The beach system was developed by progradation of shoreface, foreshore, and backshore deposits in the later period of this stage.Stage 2 (from the 13th century to the 16th century) : Sand dune and back marsh developed, covering the beach deposit. Humic mud was thickly deposited in the back marsh with low sand supply from seaward across the dune.Stage 3 (after the 17th century) : The back marsh has been infilled mainly by washover sand and debris from the hinterland. The AD 1707 Hoei Earthquake Tsunami, which destroyed villages on the dune, possibly promoted reactivation of sand movement from ruined dune to the back marsh.
著者
平木 大地 植原 治 原田 文也 髙井 理衣 高橋 周平 虎谷 斉子 森川 哲郎 安彦 善裕
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.271-278, 2019 (Released:2020-01-07)
参考文献数
24

目的 : ホップには抗菌効果のあることから, 口腔細菌に対する抗菌作用も期待できるが, 歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisに対しての抗菌効果およびそのメカニズムについては明らかにされていない. 本研究では, ホップの成分であるキサントフモール (XN) のP. gingivalisへの作用についてRNA-Seqによる網羅的解析を行った. 材料および方法 : 歯周病原細菌P. gingivalisへのXNの影響について, 次世代シーケンサーを用いたRNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を行った. P. gingivalis W83株をXNと嫌気培養し, 最小発育阻止濃度 (MIC) の測定, 抽出したRNAを用いRNA-SeqおよびReal time PCRによる再現性の確認を行った. 結果 : トランスクリプトーム解析で発現が増加していたものにmolecular chaperone GroES, nucleotide exchange factor GrpEおよびmolecular chaperone HtpGなどのHeat Shock Proteinにかかわる遺伝子が認められた. 低下していたものにFe-S cluster assembly protein SufB, Fe-S cluster assembly protein SufDおよびFe-S cluster assembly ATPase SufCが認められた. SufB, SufDおよびSufC遺伝子は, 鉄の取り込みや鉄-硫黄クラスターの形成において重要な役割を果たしていると考えられることから, XNはP. gingivalisの発育に必要な鉄の取り込みを阻害する可能性がある. 結論 : ホップ成分XNがin vitroで歯周病原細菌P. gingivalisの発育抑制効果を有することが示唆された.
著者
中田 光俊 木下 雅史 中嶋 理帆 篠原 治道
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.657-667, 2017
被引用文献数
3

<p> 右前頭葉はヒトが社会生活を円滑に営むうえで重要な高次脳機能を有し社会脳として機能する. 右前頭葉の機能は運動機能に加え, 作業記憶, 非言語性意味記憶, 視空間認知, 社会的認知, 注意, 遂行機能を有する. 高次脳機能に関する皮質の機能局在は明確になっておらず広い局在が示されている. 白質神経線維として錐体路, 前頭斜走路, 前頭線条体路, 上縦束, 弓状束, 帯状束, 下前頭後頭束, 鉤状束が存在しそれぞれ運動, 運動開始, 運動統御, 視空間認知, メンタライジング, 注意, 非言語性意味記憶, エピソード記憶を担う. 右前頭葉病変に対して覚醒下手術を行う際には, 皮質の機能局在と白質神経線維の走行を熟知し適切なタスクを選択する必要がある.</p>
著者
栗原 治
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.11-20, 2018

<p>2011年 3 月11日に発生した東京電力福島第一発電所事故(福島原発事故)から既に 7 年間が経過し,これまでの間,主として福島県住民を対象とした個人線量測定及び評価が数多く行われてきた.言うまでもなく,住民に対する個人線量評価は,今後の放射線被ばくに起因する健康影響の評価を行う上で重要である.本稿では,これまでに報告された関連する日本人研究者による主要論文の概観を行うともに,福島原発事故に係る個人線量測定及び評価に係る経験や課題について記述した.福島県住民が同事故によって受けた全身の被ばく線量の推計値は総じて低く,自然放射線から受ける年間の被ばく線量と同等またはそれ以下とする論文が大半であった.現存被ばく状況下にある近年のきめ細かい個人線量測定は,追加被ばく線量を低減するための方策を検討する上で有用であり,また,放射線リテラシーの醸成に貢献している.個人線量評価における残された大きな課題としては,特に事故初期の被ばく線量の不確かさの評価であり,さらなる研究が望まれる.</p>
著者
眞鍋 欣良 猿渡 和彥 重信 文男 添原 治夫 今井 維準
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.471-474, 1956-07-20

緒言 原爆被爆者の皮膚毛細血管に"荒癈失調状態"が観られることは既に数次に亘り発表して来たが今回は広島に於ける原爆被爆者の10年後の皮膚毛細血管像について調査した成績を大略記載し皆様の御参考に供し度いと思う. 扨て原爆被爆者の皮膚毛細血管像について観察した成績は今迄に幾つか報告がある.即ち被爆後早期の検索では東大坂口内科,粥川,熊取,椿,尾山,京大真下,舟岡及び富田,横田の記載があり所謂後遺症期に於ける観察では吾々の成績のほか東大中泉津屋の報告がある,粥川等は原爆後81日目の被爆者について皮膚毛細管抵抗を検査しその中異状のある者13名に皮膚毛細管像の顕微鏡観察をなして6例に出血を認めたと云つており,真下,富田等は被爆1ヵ月後の15例について火傷部の皮膚毛細管像を観察し中央部では毛細血管の荒癈,周辺部では乳頭毛細血管の延長,その中間移行部では乳頭毛細血管の増加,口径拡大,延長異常屈曲,充盈度増強並に血流遅延を観たと云い火傷中央部及び周辺部は治癒過程を示し移行部は炎症が存在すると述べている.此の両者はいずれも特殊例についての早期の観察であるがその後の後遺症期に於てはどうであろうか.此れについては吾々の今迄の発表や津屋の報告でも明らかなように被爆後数年を経た者にも猶皮膚毛細管像の変化が多数に観られており,津屋は形態上からその変化を数型に分類して考察している.
著者
西垣内 祐太 佐橋 栞太 豊原 治彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00021, (Released:2018-03-09)
参考文献数
20

酵素吸着能に優れた濾過材の作製を目的として,各種金属酸化物のアミラーゼ吸着能について調べた結果,酸化鉄,酸化アルミニウム及び酸化マンガンの吸着能が高いことが判明した。これらの金属酸化物及びこれら固化物に吸着したアミラーゼは,アルカリ性域の反応性が向上し,pH安定性や熱安定性も向上した。以上のことから,酸化鉄,酸化アルミニウム及び酸化マンガンは,優れた酵素吸着能力を有し,これらを用いることで微生物の増殖による溶存酸素濃度の低下を伴わない高機能な濾過材を作製できる可能性が示唆された。
著者
福沢 仁之 FUKUSAWA Hitoshi 加藤 めぐみ KATO Megumi 山田 和芳 YAMADA Kazuyoshi 藤原 治 FUJIWARA Osamu 安田 喜憲 YASUDA Yoshinori
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター 天然放射性元素測定小委員会
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.9, pp.5-17, 1998-03 (Released:2010-05-18)

第10回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成9 (1997)年度)報告 「最新型タンデトロン加速器質量分析計(加速器年代測定システム)による高精度・高分解能14C年代測定の利用分野・方法の開拓(II)」
著者
鳴橋 龍太郎 須貝 俊彦 藤原 治 粟田 泰夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.317-330, 2004-10-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
27
被引用文献数
7 9

プレート内部の活断層における活動間隔の規則性を検討する目的で,桑名断層の完新世活動史を群列ボーリングコアの層相解析およびコア中の82個の14C年代測定結果を基に復元した.断層を挾んだコア間において,対比線(等時間線)を多数認定し,対比線に挾まれた同時代地層の層厚を比較することによって,約7千年前以降に少なくとも6回の断層変位イベントが解読された.さらに,高精度でイベントの回数と時期を検出するため,沈降(下盤)側と隆起(上盤)側それぞれの堆積速度の時間変化を詳しく比較・検討した.その結果,下盤側の堆積速度が上盤側のそれとほぼ等しい時期(A)と,前者が後者より有意に大きい時期(B)とが交互に現れることが判明した.(A)から(B)への変化は断層変位の発生時期を,(B)は断層崖が埋積されていく期間を示すと判断される.この解釈に基づくと,桑名断層には過去約7千年間に,有史以降の2回を含めて6ないし7回の活動を認定しうる.そして,桑名断層の活動間隔は平均約1,000年,平均変位速度は約1mm/yであるといえる.
著者
森脇 広 松島 義章 町田 洋 岩井 雅夫 新井 房夫 藤原 治
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.253-268, 2002-08-01
被引用文献数
2 7

姶良カルデラ北西縁の平野を対象に,完新世の地形発達および相対的海水準変動,地殻変動を,地形と堆積物の観察,<sup>14</sup>C年代測定,テフラ分析,考古遺跡,貝化石と珪藻化石の分析結果にもとづいて検討した.3面に区分される完新世海成段丘は,それぞれ7,300cal BP(6,500yrs BP)~3,500yrs BP,3,000~2,000BP,古墳時代(1,500cal BP)以降に形成された.姶良カルデラ周縁では,カルデラ中心部へ向かって傾き上がる傾動隆起が生じ,その隆起量は7,300cal BP(6,500yrs BP)以降,最大10m以上に達する.この地域の海面高度は8,700cal BP(8,000yrs BP)頃には現海面高度にあり,現海面上4~5m(8,500~8,400cal BP:7,700yrs BP頃),現海面上6m(8,100cal BP:7,300yrs BP頃)を経て,7,300cal BP(6,500yrs BP)頃に現在の海抜12mの高さに達した.その後,海面は次第に低下し,現海面上5~7m(3,000~2,000yrs BP),現海面上2~3m(1,500cal BP)を経て現在に至った.この特異な相対的海水準変動は,姶良カルデラの火山活動に伴う地殻変動が影響しているとみられる.8,100~8,000cal BP(7,200~7,300yrs BP)には,海進は内陸深く及び,溺れ谷が形成された.この時期,米丸マールを形成したベースサージは,別府川流域の内湾を大きく埋積した.その後,汀線は段階的に前進し,縄文時代後期(3,500yrs BP頃)には現在の海岸に近い位置にまで達した.約8,000~7,000cal BP(約7,300~6,000yrs BP)の時期に,池田カルデラ,桜島,鬼界カルデラでも大規模な噴火が起こり,縄文海進最盛期に形成された南九州のリアス式海岸は急激に変化した.
著者
高橋 静昭 安原 治機 長嶋 祐二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.1080-1086, 1987-10-15
被引用文献数
1

模擬試験の得点や共通一次の自己採点などから 入試における合格最低点を推定する場合 合格者の学力の水準と入学の難しさの2つは 合格最低点とは微妙に異なる.それは 模擬試験の得点等と大学入試得点の相関係数の値が1より小さいことに起因する.もし相関係数が1ならば 合格最低点の入試得点者のみが 最低点に対応する模試の境界得点者となる.しかし 相関係数が1より小さくなるに伴って 合格最低点よりやや高い入試得点者と低い得点者の双方が模擬試験の対応する境界得点となることが多くなる.合格率が1/2以下のときには 高得点者の方が少ないので前者の人数が後者を上まわる.したがって模擬試験の対応境界得点近傍の受験者の合格率は 1/2より小さくなる.さらに同様の関係で 合格最低点近傍の受験者の模試の平均点は模試の境界得点より低くなる.逆に 合格率が1/2を超えているときは 模試の境界得点の受験者の合格率は1/2より大きくなる.これらの関係は 従来公表されている難易度では十分に説明されていない.本論文では 模試得点や自己採点等の変数Xとそれによって評価される大学入試得点Yが 2次元のガウス分布に従うものとしてモデル化し 合格最低点 最低合格者の水準および合格難易度の3つを定量的に定義し検討する.さらにこの統計モデルを用いて 合格者の中の入学手続者の入試得点上の分布を表現し 入学手続の予測に応用することを提案する.
著者
鈴木 毅彦 藤原 治 檀原 徹
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.1, pp.38-61, 2004
被引用文献数
4 15

This study shows the revised stratigraphy and correlations of the middle Pleistocene tephras in and around the Aizu area, Northeast Japan. Significant marker tephras in this area are as follows, in descending order of stratigraphy : Nm-SB, TG, Hu-TK, and Kn-KD from volcanoes adjacent to Oze, So-OT, and APm. Stratigraphic positions of Sn-MT and Sn-SK are not clear, but they seem to be positioned near Kn-KD.<BR>Nm-SB (110 ka) from Numazawa caldera is mainly a plinian pumice fall deposit distributed in the central to western part of Fukushima Prefecture and northern part of Tochigi Prefecture. Eruption producing Nm-SB associated with ash fall, plinian eruption, and pyroclastic flow or pyroclastic surge. TG (125-135 ka), which is characterized by volcanic glass shards with a low index, was probably derived from the Sunagohara caldera. The distribution of fall-out tephra of TG is similar to that of Nm-SB, and pyroclastic flow deposit of TG is recognized southwest to west of the Numazawa caldera and along the western margin of the Aizu basin. The eruption process of TG comprises plinian eruption, pyroclastic flow, and plinian eruption.<BR>So-OT (300-330 ka) is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra derived from the Shiobara caldera. This ignimbrite is known as Otahara pyroclastic flow deposit. On the other hand, fall-out tephra of So-OT has been newly identified. APm tephra beds are significant widespread tephras derived from volcano in the Hida mountains at 330-400 ka. This study corrects a correlation of APm in this area, which was shown by Suzuki (1993). Tephras identified as APm in this study are Nm-13, -14, -16 tephras below So-OT.<BR>Sn-MT (180-260 ka : FT ages) is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra derived from the Sunagohara caldera. The former is part of the Sunagohara-Kubota tephra reported by Yamamoto and Sudo (1996) and the Pyroclastic Flow Deposit I reported by Mizugaki (1993). The latter is the Sunagohara-Kachikata tephra along the western margin of Aizu basin reported by Yamamoto and Sudo (1996), and the Okayaji Volcanic Ash Layer at the eastern foot of Adatara volcano reported by Soda and Saijo (1987). Sn-SK (220 ± 50 ka : FT age), originating from the Sunagohara caldera, was defined by Yamamoto and Sudo (1996). Sn-SK is composed of an ignimbrite and a fall-out tephra characterized by abundant accretionary lapilli. The latter is correlative to the Minowa Volcanic Ash Layer (Soda and Saijo, 1987) distributed at the eastern foot of Adatara volcano.<BR>All pyroclastic deposits derived from the Numazawa caldera are Nm-NM (5 ka), Nm-KN (50-55 ka), and Nm-SB (110 ka), and those from the Sunagohara caldera are TG (125-135 ka), Sn-MT (180-260 ka), and Sn-SK (220 ka). This means that, at both caldera, explosive eruptions occurred three times over 260, 000 years, and it appears that the active period of explosive eruptions moved from the Sunagohara caldera to the Numazawa caldera. This resulted in the preservation of volcanic landforms with more dissected caldera landforms at the Sunagohara caldera. Intervals between eruptions at the Numazawa caldera range from 50, 000 to 60, 000 years, and the volumes of the three products are similar, indicating periodic and regular activities with a discharge rate of 0.02-0.06 DRE km<SUP>3</SUP>/1, 000 years. On the other hand, the mean interval of eruptions at the Sunagohara caldera is 70, 000 to 40, 000 years, and the discharge rate is estimated to be 0.05-0.08 DRE km<SUP>3</SUP>/1, 000 years : the latter is equivalent to or a little larger than that of the Numazawa caldera.
著者
木下 政人 豊原 治彦 志水 寛
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1485-1492, 1990
被引用文献数
14 63

<i>Modori</i>-inducing proteinase (MIP) could be classified into four types as follows on the basis of the extractability from muscle, the optimum temperature for the activity of myosin heavy chain degradation, and the sensitivity to n-butanol. (1) Sarcoplasmic-50°C-MIP (Sp-50-MIP) which is easily extractable, acts optimally at 50°C, and is not sensitive to n-butanol, (2) sarcoplasmic-60°C-MIP (Sp-60-MIP) which is also easily extractable, acts optimally at 60°C, and is sensitive to n-butanol, (3) myofibrillar-50°C-MIP (Mf-50-MIP) which is tightly associated with myofibrils, acts optimally at 50°C, and is not sensitive to n-butanol, and (4) myofibrillar-60°C-MIP (Mf-60-MIP) which is also tightly associated with myofibrils, acts optimally at 60°C, and is sensitive to n-butanol.<br> Twelve fish species examined were classified into the following five groups according to the dis-tribution pattern of the above 4 types of MIP. (1) The species having only Sp-60-MIP, such as walleye pollack, mud dab, rainbow trout, brown croaker and red sea bream, (2) the species having both Sp-50-MIP and Sp-60-MIP, such as threadfin bream, (3) the species having both Mf-50-MIP and Mf-60-MIP, such as crucian carp, Pacific mackerel and file fish, (4) the species having both Sp-60-MIP and Mf-60-MIP, such as nibe croaker and tilpia, and (5) the species having Sp-60-MIP, Mf-50-MIP, and Mf-60-MIP, such as shortfin lizard fish.
著者
森脇 広 松島 義章 町田 洋 岩井 雅夫 新井 房夫 藤原 治
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.253-268, 2002-08-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
39
被引用文献数
3 7

姶良カルデラ北西縁の平野を対象に,完新世の地形発達および相対的海水準変動,地殻変動を,地形と堆積物の観察,14C年代測定,テフラ分析,考古遺跡,貝化石と珪藻化石の分析結果にもとづいて検討した.3面に区分される完新世海成段丘は,それぞれ7,300cal BP(6,500yrs BP)~3,500yrs BP,3,000~2,000BP,古墳時代(1,500cal BP)以降に形成された.姶良カルデラ周縁では,カルデラ中心部へ向かって傾き上がる傾動隆起が生じ,その隆起量は7,300cal BP(6,500yrs BP)以降,最大10m以上に達する.この地域の海面高度は8,700cal BP(8,000yrs BP)頃には現海面高度にあり,現海面上4~5m(8,500~8,400cal BP:7,700yrs BP頃),現海面上6m(8,100cal BP:7,300yrs BP頃)を経て,7,300cal BP(6,500yrs BP)頃に現在の海抜12mの高さに達した.その後,海面は次第に低下し,現海面上5~7m(3,000~2,000yrs BP),現海面上2~3m(1,500cal BP)を経て現在に至った.この特異な相対的海水準変動は,姶良カルデラの火山活動に伴う地殻変動が影響しているとみられる.8,100~8,000cal BP(7,200~7,300yrs BP)には,海進は内陸深く及び,溺れ谷が形成された.この時期,米丸マールを形成したベースサージは,別府川流域の内湾を大きく埋積した.その後,汀線は段階的に前進し,縄文時代後期(3,500yrs BP頃)には現在の海岸に近い位置にまで達した.約8,000~7,000cal BP(約7,300~6,000yrs BP)の時期に,池田カルデラ,桜島,鬼界カルデラでも大規模な噴火が起こり,縄文海進最盛期に形成された南九州のリアス式海岸は急激に変化した.
著者
櫻井 賢 小野 徹 天内 孝昌 篠原 治征 戸谷 収二 田中 彰 又賀 泉
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.7-12, 2005-04-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Pseudomonas aeruginosa has been frequently detected from sputa around tracheostomy stuma with a high frequency of nosocomial infection among patients with an opportunistic infection. It is also reported to be difficult to treat lower respiratory infections when resistance to antibiotics for Pseudomonas aeyuginosa has developed. We discuss 15 patients, (8 males and 7 females) who underwent tracheostomy and in whom Pseudomonas aeyuginosa was isolated for 10 years from April 1993 to March 2003. Average age was 62.0 years old. All subjects were oral cancer patients. Pseudomonas aeyuginosa was detected from cultures in 15 of 19 patients (78.9%) . It was isolated from and had colonized the lower respiratory tract by 34.6 days on average after tracheostomy. Gradual change of sensitivity to antiobiotics and increase of drug tolerance were recognized. As drug tolerance may be affected by long-term administration of antibiotics, selection of antibiotics and period should be carefully considered to avoid the development of tolerance.
著者
松隈 浩之 東 浩子 梶原 治朗 服部 文忠
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.520-526, 2012-12-01

九州大学では現在,ゲーム産業の拡大および人材育成を目的とし,シリアスゲームプロジェクトを推進している2010年から2年間にわたり,厳しいリハビリ訓練をゲームの力で楽しくしようというコンセプトで,長尾病院との共同研究にて,起立-着席訓練を支援するゲーム『樹立の森リハビリウム』の開発を行った。制作後,病院および介護老人保健施設にて,利用者を対象にゲームの有用性および安全性についての検証をおこない,それぞれで高い評価を得ている。超高齢化社会の到来を目前に控え,社会において高齢者に対するケア,および関連産業のニーズが高まる中で,現場へ導入する際の具体的な留意点やリハビリ用ゲームの意義について述べる。