著者
松下 典正 鈴木 隆文 鈴木 仁呂衣 古川 達也 重松 恭祐
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.1079-1083, 2010 (Released:2010-10-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

直腸癌に対する腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術の術中体位が原因と考えられる左腕神経叢障害を経験した.症例は46歳女性.排便時出血を主訴に来院.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より約10cmの直腸に径2cm大のI型直腸癌を認め腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した.術中体位は頭低位約20度,右低位約20度とし両側上腕は70-80度外転として両側肩支持器を肩鎖関節上に置いた.手術時間は6時間25分,術中4回ほど体動を認め麻酔深度の調節が必要であった.麻酔覚醒時より患者から左上腕の位置覚,運動覚,触覚異常の訴えあり.診察の結果術中体位異常によって惹起された腕神経叢障害と診断して運動療法,低周波刺激療法,ビタミンB12製剤投与を行った.腹腔鏡手術では開腹手術と異なった術中体位をとることがあり,近年腹腔鏡下手術術中体位が原因と考えられる神経障害の報告が散見される.それら神経障害に対し対策を講じる目的で文献的考察を加え報告する.
著者
古野 勝久 須摩 靖彦 新島 溪子
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.15-42, 2014-11-14 (Released:2017-07-20)

日本産シロトビムシ科の4亜目14属31種1亜種について,同定に必要な形質について説明するとともに,検索図と形質識別表を示し,種類別の特徴を解説した.識別のための主な形質は体色の有無,体形,跳躍器またはその痕跡の形態,触角第3節感器とPAOの形態および擬小眼の配置などである.
著者
石津 宏 下地 紀靖 與古田 孝夫 宇良 俊二 与那嶺 尚子 下地 敏洋 柳田 信彦 仲本 政雄 比嘉 盛吉 秋坂 真史 名嘉 幸一 吉田 延
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.347-355, 2000-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
25

ICUに入室した患者でも, ICU症候群を発症する者としない者である.ICUに3日以上在室し, 安静I度を強いられた患者のうち, せん妄, 不穏, 失見当, 幻覚, 独語などのICU症候群をきたした患者30名(男性22名, 女性8名)とICU症候群をきたさなかった患者30名(男性21名, 女性9名)の両群について, ICU症候群の発症に関わると思われる諸要因について比較検討した.その結果, 原疾患, 既往歴, 職業, 喫煙, 飲酒歴, 入室状況, 栄養状態などでは, 両群に有意な差はみられなかったが, ICU症候群では, 睡眠状態の不良(p<0.01), 6本以上の接続ライン(p<0.01), 家庭における同居数が多い患者(p<0.001)において有意差がみられた.これらを説明変数とし, ICU症候群発症者を目的変数として重回帰分析を行ったところ, 「同居家族数」「睡眠状態」の2項目に有意な関連がみられた.精研式INVでは, Z因子に有意な関連がみられ(p<0.05), エゴグラムでは, 有意ではないがM型にやや多い傾向がみられた(p<0.10).虚血性心疾患とタイプAとの関連は従来述べられているが, ICU症候群発症者とINVとZ因子との関連も注目すべきである.また同居家族の多い者は孤独になった時のコーピング能力になんらかの弱さがあるのではないかと推測され, 前もって家族の面会を多くするなど孤独を防ぐ対策は, 発症予防に役立つことが示唆される.
著者
清宮 理 古川 巖 村上 晋二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.837-840, 1997

兵庫県南部地震を契機に空港施設の大規模地震に対する耐震性の評価手法の開発が望まれている。地盤の振動による舗装版の有限要素法による評価手法を筆者らは提案しているが、この手法の妥当性については検証が今までなされていない。釧路空港の滑走路では釧路沖地震において滑走路に何本かのひび割れが生じた。この事例を対象に地震応答計算を実施しひび割れ発生の有無について検討した。舗装版目地のばね定数は載荷試験の結果を使用している。計算によると滑走路に生じたひび割れをよく再現できることが判明し計算法の有効性が検証できた。また兵庫県南部地震クラスに対しても滑走路にはひびが入るが破壊までには至らないことが推定された。
著者
河合 正計 吉田 政雄 古山 公英 金子 芳洋
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.101-110, 1986
被引用文献数
2

りんご園において動力噴霧機によりフェニトロチオン(MEP)水和剤1,000倍液を散布した時の散布者の被ぼく量とその影響について検討したo散布者は不織布性防除衣, スミトモ3Mマスク, ゴム手袋などを着用した。推定全身被ばく量は散布時のノズル竿の長さにより異なり, 短い方(平均217mg)が長い方(平均44mg)より多かった。散布時の推定皮膚接触量は1.2-23.9mgで, MEPのラットにおける急性経皮毒性より考えても, また,散布者の口元付近の気中MEP濃度から考えても今回の散布条件は安全であると考えられた。<BR>散布直後の血液中では全員にMEPが検出(0.0004-0.0222ppm)され, 1日後では9名中4名に0.0004-0.0009ppm検出されたが, 3目および7日後には全員検出されなかった。<BR>体内に吸収されたMEP量を知るために, 尿中MEP代謝物のすべてをNMCとして測定した結果, 散布後24時間内では全員に0.19-1.43mg排泄されたが, 3日後のスポット尿では9名中1名(0.19ppm)のみ, 7目後では全員に検出されなかった。これらのことからMEPは迅速に代謝, 排泄されるが,散布により体内にごく微量ではあるが吸収されるので, 連日散布はできるだけさけるべきである。<BR>今回の散布条件においては今回の防護装備で, 安全に散布しうると考えられるが, できるだけ吸収農薬量を少なくするため, 散布後できるだけ早く, うがいや身体の洗浄をすることが望ましい。
著者
古田 雅則 川人 祥二 宮崎 大輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映情学技報 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.13-18, 2002
参考文献数
6

パイプラインA/D変換器におけるキャパシタミスマッチのディジタル補正値推定手法について提案する.提案する方式は,A/D変換器の積分非直線性特性を用い,直接キャパシタミスマッチの補正値を推定することができるため,多くのパイプラインA/D変換器アーキテクチャに対し適用することが可能である.試作した10-bitパイプラインA/D変換器に対し,本推定手法を用いたディジタル補正を行った結果,A/D変換器の信号対ノイズ歪比を56.5dBに,積分非直線性誤差の最大値を0.3LSBに,また,微分非直線性誤差の最大値を0.3LSBにそれぞれ性能を向上させることができた.
著者
佐竹 隆顕 古谷 立美 太田 芳彦
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.173-184, 1999

共同選果包装施設や予冷・保冷施設をはじめとする農業施設の建設予定敷地内の最適配置設計問題に対して, ヒューリスティックアルゴリズムの一つであるシミュレーテッド・アニーリング (SA) を援用した合理化施工支援のための基本プログラムをC言語により新規に作成するとともに, 実用プログラム開発の知見を得るための準備的な配置設計シミュレーションを行った。<br>配置設計上の制約条件とした施設と敷地内トラックヤードないしは道路との重なり程度, 施設の出入口と同トラックヤードの距離, および各施設の図心間の積算距離などを総合的に評価するコスト関数に基づいてシミュレーションの解の評価を行った。<br>また, 同じく組合せ最適化問題の解法の一つである山登り法 (HC) による最適解と比較検討を行った結果, シミュレーテッド・アニーリングによるコスト評価値は平均で約100低減するとともに解のばらつきも抑えられており, 局所的最適解に捕らわれにくいシミュレーテッド・アニーリングの長所が認められた。

1 0 0 0 名古屋叢書

著者
名古屋市教育委員会 編
出版者
名古屋市教育委員会
巻号頁・発行日
vol.続編 第20巻 (士林泝洄 第4), 1968
著者
新庄 永治 奥脇 弘次 土居 英男 望月 祐志 古石 誉之 福澤 薫 米持 悦生
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.172-179, 2018 (Released:2018-12-26)
参考文献数
27
被引用文献数
6

ドラッグ・デリバリー・システムにおけるナノ微粒子設計の効率化のために,分子シミュレーションによる物性予測や原子分解能のメカニズム解明が望まれている.本研究では,散逸粒子動力学 (DPD) 法とX線小角散乱を用いて,脂質二重膜および混合脂質のベシクル形成の分子メカニズムを明らかにすることを目的として検討を行った.DPDシミュレーションに用いる相互作用パラメータは,フラグメント分子軌道 (FMO) 法を用いて高精度に算定した(FMO-DPD法).脂質二重膜形成の結果から,飽和結合のみをもつリン脂質 (DPPC) よりも不飽和結合をもつリン脂質 (DOPC) の方が,膜流動性が高いことが分かった.さらに,リン脂質と正電荷脂質を混合したベシクルの形成では,正電荷脂質の比率が増えるにつれて膜の流動性が高くなり,球から扁平球へと形状が変化することが明らかとなった.
著者
古森 郁尊 西口 法明 匹田 政幸 水谷 照吉
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.113, no.8, pp.586-593, 1993-08-20 (Released:2008-07-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1 5

We have constructed a prototype of partial discharge (PD) pulse measurement and degradation diagnosis expert system (PDM/ES-I) using a personal computer for insulation degradation diagnosis of materials suffering from PDs. For 0.1 mm-thick low density polyethylene (LDPE) with CIGRE Method II electrode system, temporal change of phase-angle-resolved PD pulse occurrence distribution was measured with PDM/ES- I. We applied the so-called "pattern recognition" of the PD pulse distribution to diagnosis of insulation degradation and assessment of residual life. Experimental results revealed that in spite of large scattering of time to breakdown, i. e. life, from 5 to 43 hours, all the tested samples exhibited similar evolution of the profile of PD pulse occurrence distribution with increasing aging time. The PD pattern measured at a given aging time was compared with five standard normalized PD patterns which had been registered in advance as five representative degradation stages from initial degradation category to final one. The degradation stage determined by the pattern recognition (PR) method proved to vary from the initial degradation category to final one in a correct turn. Consequently, the PR method permitted an exact determination of the degree of degradation at a given aging time. In other words, the PR method was capable of predicting the residual life of LDPE with a CM-II electrode system.
著者
古畑 徹
出版者
御茶の水書房
雑誌
東アジア共生の歴史的基礎: 日本・中国・南北コリアの対話(金沢大学重点研究)
巻号頁・発行日
no.弁納才一, 鶴園裕[編], pp.181-208, 2008-02-18

東アジア共生の歴史的基礎: 日本・中国・南北コリアの対話(金沢大学重点研究)の一部, 第II部 相互理解への道のり 第2章
著者
小佐野 仁志 野口 忠秀 大橋 一之 古藤 茂昭 赤坂 庸子 小宮山 一雄
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1083-1085, 1995-12-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
13

A case of verrucous carcinoma of the oral floor which had an excellent response to tegafur alone is reported.A 76-year-old woman complained of a swelling in the oral floor of 8 months' duration. Oral examination revealed an approximately elliptical tumor that measured 45×20×15mm and extended bilaterally from the oral floor to the alveolar mucosa. Regional lymph nodes were not clinically involved, and no distant metastasis was evident. She was orally administered 600mg per day of tegafur before operation. The tumor was reduced to about half of its primary size 10 days after the start of tegafur treatment. Two months later, no remaining verrucous carcinoma was observed on histologic examination.There were no noteworthy side effects. There is no evidence of recurrence or metastatic disease as of 28 months after treatment.