著者
古山 周太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.913-918, 2004-10-25
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本研究は、ハンセン病療養所が、都市や社会から、空間的に隔離された施設と位置づけられた側面を、療養所の立地論と実際の立地状況から明らかにするものである。結論として、前期の療養所論では、ハンセン病療養所は浮浪患者の救護収容のため、隔離性の低い場所への立地が想定されており、後期の療養所論では、逃走患者防止のため、絶海孤島への立地も提案されたが、主に患者への配慮から、その立地は、温暖な島嶼が想定された。ハンセン病療養所の立地空間の特徴をみると、1909年設置の療養所は、森林等の隔離性の低い場所へ立地する傾向が強く、1930年代以降に設置された療養所は山林や島嶼などへの隔離性の高い場所への立地がみられた。
著者
三木 恒治 黒田 昌男 清原 久和 宇佐美 道之 中村 隆幸 古武 敏彦
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.264-272, 1980

61歳男子の前立腺原発カルチノイドの1例を報告した. 主訴は排尿困難と肛門部疼痛であつた. またカルチノイド症候群は示さなかつた. 膀胱尿道造影, 直腸指診より前立腺癌と診断したが, 経直腸的前立腺生検による診断はカルチノイドであつた. しかし, 胸部ならびに胃腸レントゲン検査, 直腸鏡にて異常は認めなかつた. その他血清セロトニン値が345μg/lとやや高値を示した他血液学的検査で異常を認めなかつた. 患者は1976年11月11日直腸膀胱前立腺全摘, 回腸導管造設人工肛門造設術を施行した. また右腸骨リンパ腺に転移を認めた. 摘除標本は肉眼的には充実性腫瘍で前立腺部に相当する位置に存在し, 正常前立腺組織は殆んど認めなかつた.<br>組織学的には, 腫瘍は, 胞巣形成, ロゼット形成を示し, 組織化学的にはグリメリウス染色陽性で, マッソニフォンタナ染色陰性であり, 電子顕微鏡的には特徴的な分泌顆粒を認めた. 以上の所見より前立腺原発カルチノイドと診断した.<br>患者は術後1カ月5-FUの静注を行なつたが, 徐々に全身衰弱, 腰痛を来し, 術後4カ月後に死亡した. 剖検は施行されなかつた.
著者
古暮 和歌子 吉田 紗栄子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.639, pp.98-104, 1999-05-03

s両者ともバリアフリー住宅は特殊な建物ではないが,施主から希望を引き出すのが普通より難しいと語る。sどのような家でも身体が不自由になった場合に増改築しやすい形に設計しておくべきと吉田さんが言う一方,設計者は条件次第と考えている。 古暮 それまで元気だった人がある日突然病気になった場合,その状況をどう自分の中で消化していくかというのは大きな問題です。
著者
岡 徹 奥平 修三 中川 拓也 古川 泰三 柿木 良介
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.29, 2011

【はじめに】キーンベック病は比較的珍しく、特に若年者スポーツ選手では稀である。今回、我々は硬式高校男子テニス選手に生じたキーンベック病に対し、血管柄骨移植を施行した1例を経験したので報告する。【説明と同意】本研究の目的、結果の取り扱いなど十分な説明を行い、データの使用および発表の同意を確認後に署名を得た。【症例紹介】16歳男性、高校硬式テニス部所属(県内ベスト4レベル)。試合中に片手フォアハンドでボールを強打したところ急に痛みが出現する。その後、腫脹と疼痛のためにテニス困難となり、Lichtman分類Stage_III_b(X線像で月状骨に圧潰像、舟状骨が掌側に回旋)のキーンベック病と診断される。発症から2ヵ月後に手術となる。【理学・画像所見】手背側に腫脹、リスター結節部周囲の圧痛と運動時痛を認めた。X線上では月状骨の硬化像と圧潰を認め、MRI(T1)上では月状骨の低信号を確認した。【手術所見】橈骨遠位背面から血管柄付きの骨を骨膜、軟骨組織とともに採取した。次に、病巣部位である月状骨の壊死部を背側よりドリリングと掻爬を加え、その間隙に移植骨を挿入した。移植後は有頭骨と舟状骨を鋼線で固定した。【評価項目】疼痛(NRS)、握力、手関節可動域および手関節機能評価表(Mayo Modified Wrist Score以下:MMWS)の各評価を術前、術後4ヵ月、5、6および8ヵ月で評価した。【理学療法】術後4ヵ月間の手関節ギプス固定後に抜釘した。その直後より、手関節ROM練習、筋力強化練習を開始した。筋力強化練習(股・体幹・肩甲帯強化)、ストレッチ指導、およびスポーツ動作指導を実施した。【結果】疼痛は、術前NRSが7/10で術後4ヵ月より軽減し術後6ヵ月で0/10と消失した。握力は術前18_kg_が術後5ヵ月で30_kg_(健側比75%)まで改善した。手関節ROMは術前で掌屈10°、背屈30°、橈屈15°、尺屈40°が、術後8ヵ月では掌屈35°、背屈70°、橈屈20°、尺屈45°と拡大した。MMWSは術前10点が、術後6ヵ月で90点まで回復した。術後5ヵ月からテニス競技復帰をした。掌屈のROM制限は残存するが、右手関節の不安定感、疼痛なくスポーツ活動(テニス)を行っている。【考察】。本疾患の発生要因については、いまだ解明されていない。しかし、テニス競技による手関節への外力で月状骨に局所的な応力が集中していることは推察できる。術後は長期間の固定による手機能(特にROM低下、筋力低下)の回復を積極的に行った。その後は、手関節の局所機能の回復とともに、上肢に限局したストレスがかからないような身体機能の再構築(肩甲骨や体幹・股関節の機能向上)やフォーム指導およびラケットの再検討などをおこなった。本症例は、術後6ヵ月から公式試合に復帰をした。掌屈のROM制限は残存するがテニス動作では橈尺屈が特に重要で現在のROMでテニスが可能であった。右手関節の不安定感、疼痛なくスポーツ活動(テニス)を行っており、今後も再発しないよう身体面のチェックや現場のコーチと密な連絡をとっていくことが重要である。【理学療法の意義】キーンベック病に対する理学療法の報告はほとんどないため、症例報告として症例の治療経過や理学療法プログラムおよび評価項目など検討していく必要があると考える。
著者
古原 洋 内野 彰 渡邊 寛明
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-184, 2001-09-28
参考文献数
13
被引用文献数
7

要約:北海道および東北で採取されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイ(Scirpus jun-coides Roxb.var.ohwianus T.Koyama)8集団および感受性6集団の1998年産種子を供試し,15℃および30℃の温度条件,湛水土壌および密栓水中条件下での発芽について検討した。その結果,15℃湛水土壌の低温条件下で,抵抗性イヌホタルイの多くは感受性イヌホタルイよりも発芽率が高く,発芽速度も速やかであった。上記供試イヌホタルイのうち,抵抗性3集団および感受性1集団について,1999年産種子を用いて再試験を実施したところ,1998年産種子と同様の結果が得られたことから,種子の発芽にみられる集団間差異は遺伝的な差異と考えられた。抵抗性および感受性イヌホタルイが混生する現地水田において,発生時期毎にイヌホタルイ実生の抵抗性検定を行った結果,抵抗性個体の発生が感受性個体よりも速やかであり,移植後10日までに大部分の個体が発生を終えていることが明らかとなった。代かき後の雑草発生時期が低温で推移する北海道においては,低温発芽性に優れる抵抗性イヌホタルイの発生は,感受性イヌホタルイよりも速やかである場合が多いと予想される。したがって,抵抗性イヌホタルイ発生水田では,除草剤の処理時期を逸しないように,水稲移植直後より注意深くその発生を観察することが重要であると示唆された。
著者
古川 浩
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.68-77, 2003

<p><tt><b>[本件は「都市型の競合脱線」である.脱線は日比谷線が中目黒直前の地下鉄抗口を出てすぐの緩和曲線に入った直後の地点で発生した.下り列車最後尾8号車の1位車輪が外軌から浮き上り,内軌側に離脱した事が発端である。この時1位は落輪せず,そのまま前進して踏面がレールと再接触後フランジがレールの上面に飛び移るようにしてのり上り,斜め右に走って外軌の外側に落輪した.原因は乗客の座席位置が対角でこれに輪重比が重畳して大きくなった事と,多様な軌道狂いがたくさんあってこれらが</b></tt><tt><b>競合した事によるものであるが,ガードレールも欠落していた. </b></tt></p>
著者
古賀 徹
出版者
日本比較教育学会
雑誌
比較教育学研究 (ISSN:09166785)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.17, pp.43-56, 1991
被引用文献数
1
著者
古藤田 喜久雄 若松 加寿江
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.p19-24,図巻頭2p, 1988-12
被引用文献数
3
著者
柳本 ひとみ 櫻井 秀彦 古田 精一 黒澤 菜穂子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-101, 2018-12-10 (Released:2019-01-19)
参考文献数
29

Objective: We search valuable information in home medical care settings that impede smooth collaboration among pharmacists, home care physicians, and home care nurses. Methods: We conducted an online survey on 120 physicians and 118 nurses on “areas perceived as overloaded with tasks,” “quality of life (QOL) evaluation of patients,” and “expectations to pharmacists.” We analyzed data using the Mann-Whitney U test and conducted the customer satisfaction (CS) analysis on “stress.” Results: Physicians answered that they had a significantly higher stress on “at night-time/holidays and weekends works” than nurses (p < 0.05). Nurses experienced significantly more stress during “inter-professional collaboration” than physicians (p < 0.01). CS analysis revealed that nurses experienced more stress for items such as “having patients with dementia self-inject correctly,” etc. Both physicians and nurses evaluated QOL items at a high frequency. Majority of physicians and nurses held high “expectations to pharmacists,” particularly for the eight items related to providing information, managing drugs, and making pharmacological judgments. Nurses had significantly high expectations to pharmacists for “management of supplements taken by the patient” (p < 0.01), “explaining drug effects” (p < 0.001), and “explaining the necessity of prescription revision” (p < 0.01). Discussion: Pharmacists should utilize information on physicians and nurses’ stress as well as understand their expectations to pharmacists to facilitate stronger coordination between both professions and contribute to patient care. In particular, many items were found to cause stress, indicating that support for nurses, who have many expectations to pharmacists, needs to be enhanced.
著者
山崎 貴子 伊藤 直子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.105, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 硬さのために食用としての利用度が低い牛肉の部位について低温スチーミング調理により軟らかく食べやすくなることを報告した。一方、食肉の軟化としてキウイ、パパイヤやショウガなどのプロテアーゼの利用による報告もある。低温スチーミング調理は任意の温度管理が容易のため、種々の内在性および外から添加した酵素を最大限利用することができることが特徴である。そこで、低温スチーミング調理とキノコのプロテアーゼを併用した食肉軟化について検討した。 【方法】 キノコにはカゼイン分解活性の高かったマイタケを用いた。マイタケに2倍量の水を加えてろ過したものを抽出液として牛肉とともに加熱した。比較として、マイタケ抽出液のかわりに水、ショウガ抽出液を用いたものについても同様に行い、加熱後溶出したペプチド・アミノ酸量、遊離グルタミン酸量、肉の物性測定および官能検査により評価した。さらに低温スチーミング調理による効果をみるため、70℃2hスチーミングしたものと茹で10分加熱したものを比較した。 【結果】 肉をマイタケ抽出液とともに加熱すると、水やショウガ抽出液とともに加熱した場合より、溶出したペプチド・アミノ酸量、グルタミン酸量が多かった。また物性測定、官能評価の結果でも肉が軟らかくなっていた。スチーミングしたものと茹でたものではスチーミングしたものの方が全体的に評価が高く、特にマイタケ抽出液とともに低温スチーミングをした肉について高い評価が得られた。