著者
纐纈 一起 古村 孝志
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.97-105, 2002-10-31 (Released:2010-11-17)
参考文献数
20

The significant attenuation of seismic motion in the west of the 2001 Geiyo earthquake is inferred from strong motion distributions, observed seismograms and their spectra. Since this attenuation is identified even in the distribution of borehole motions, that is assumed to arise in a deeper part like the mantle wedge. If we assume a low-Q zone in the mantle wedge, a strong motion simulation with Qs = 20-30 can reproduce the observations. This zone may be related to dehydration of the Philippine sea plate.
著者
蜂谷 俊泰 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.689-690, 2010 (Released:2011-03-10)

本研究では多関節アームロボットの自律的な学習によるロバスト性を有した行動獲得を目的する。ロボットにあるタスクを与え、物理法則を考慮したシミュレーションによってその挙動のシミュレートを行う。ロボットは人工ニューラルネットワークによって制御し、そのパラメータを遺伝的アルゴリズムによって最適化を行うことで学習を行う。シミュレーション実験から得られたロボットの獲得した動作のロバスト性について考察する。
著者
古田 芳一
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.383-389, 2015 (Released:2015-12-03)
参考文献数
44
被引用文献数
1

ピロリ菌(Helicobacter pylori)はヒトの胃に感染し, 胃がん等の疾患の原因となる。そのゲノム配列は多様性が高く, 地域特異的に進化したことが知られている。日本人患者由来のピロリ菌のゲノムを解読し, 他地域由来のピロリ菌ゲノム配列と比較した結果, 遺伝子のレパートリーだけでなく, ゲノム構造や, エピゲノム修飾の一種であるDNAメチル化についても様々なメカニズムにより多様化していることが明らかとなった。ゲノム中の逆位は地域特異的に分布しており, ゲノム中の逆位とリンクして遺伝子重複が起きる現象を発見した。ゲノム中のDNAメチル化部位は, メチル化酵素遺伝子の有無だけでなく, メチル化認識配列を決定するドメイン配列が移動することによっても多様化することが示唆され, オーミクス解析により, 実際にドメイン配列の移動によってメチル化認識配列が多様化すること, さらにトランスクリプトームも多様化することを明らかにした。これらの多様なメカニズムにより, ピロリ菌の適応進化が起こることが示唆された。
著者
茂尾 亮太 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.7, pp.1-6, 2009-09-03

データ関係をノードとエッジで表すネットワーク構造は多くの分野で共通に利用されている.ネットワークの可視化技術は単なるノード間のつながりからは発見できないネットワークの構造や特徴を見出すのに有用な技術である.従来の研究で様々な可視化手法が提案されてきたが,本研究では力学的手法に焦点を当てる.力学的手法は実装と拡張が容易な最も一般的な可視化手法であるが,可視化のための計算量が大きく大規模なネットワークには適用することができない.しかし,比較的小規模なネットワークに対してはネットワークの特徴を捉え高速に可視化が可能である.提案手法では可視化対象のネットワークのある範囲内のノード群に対し,局所的エネルギー最小化によるノード配置をランダムに繰り返し行うことにより,ネットワーク全体の大域的なノード配置を導出する.これにより,計算量を削減し高速化に可視化を行う.また,従来手法との比較を行い提案手法の有用性を検証した.
著者
金親 あつ美 古家 夏絵 藤井 恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.61, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】大豆は古くから日本人の重要なたんぱく源として食され、近年は豆乳の機能性成分が注目されている。本研究では、豆乳の起泡性に着目し、豆乳の泡沫特性を明らかにし、米粉と複合化させスポンジケーキを調製し、その特性を検討した。【方法】10~60℃に調整した豆乳をハンドミキサーを用いて起泡させ、その泡沫の起泡力、安定性、および力学特性を調べた。併せて豆乳の表面張力を測定した。また、豆乳泡沫にショ糖を添加し米粉と混合してスポンジケーキを調製した。生地の特性としてバッターの粘度、ケーキの特性として比容積、力学特性について検討した。【結果】12~55℃に調整した豆乳を撹拌すると、均質な泡沫を形成させることができた。豆乳は、温度が高いほど表面張力が小さくなり、起泡力は増大した。しかし撹拌温度55℃を超えると一部が凝集した。また、撹拌温度が高いほど豆乳泡沫の粘度が高く、45℃で撹拌し調製した豆乳泡沫が、最も粘度が高かった。泡沫安定性は、撹拌温度が高いほど高くなり、卵白とは逆の傾向となった。豆乳泡沫を用いたスポンジケーキの調製について検討したところ、撹拌温度12~28℃で起泡させた豆乳泡沫を用いた場合ケーキは膨化した。ケーキの比容積は、糖濃度40%までは大きくなったが、50%では減少した。焼成可能であったスポンジケーキは、用いた豆乳泡沫の粘度が100~480mPa・sの範囲であった。以上の結果より、米粉スポンジケーキを調製する際は、起泡性および安定性の高い豆乳泡沫を用いるとよいというわけではなく、豆乳泡沫の粘度が100~480mPa・sの範囲内にある場合のみ、スポンジケーキが得られることが明らかとなった。
著者
古屋 恵太
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.13-25, 2013-03-31

近年、大恐慌期以前のデューイの思想に、現代における「集合的知性」論のルーツを求める動きが見られる。本稿が目的とするのは、集産主義の時代、すなわち、1930年代のデューイの政治的著作を中心的に取り上げることで、この時代にこそ明言されたデューイの「集合的知性」の特性を導出することである。本稿では、デューイが政策や制度としての集産主義を、「集合的」なものを哲学的に思考する砥石とし、科学的探求者の協働や、人間の協働の具現化たる人工物に「集合的知性」を見出したことが論じられる。
著者
古市 憲寿
出版者
新潮社
雑誌
新潮45
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.98-102, 2013-05
著者
大澤 義明 古藤 浩
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,迷惑施設配置モデルを構築し,理論的に分析を加えることである。得られた成果は少なくとも以下の3点である。第一に、迷惑施設配置を多目的計画法として定式化し,迷惑施設の配置場所候補となる,パレート最適集合やトレードオフ曲線の導出方法を示す.楕円距離マクシミニ型レクティリニアー距離ミニサム型モデル、レクティリニア距離ミニサム型マクシミニ型モデル、レクティリニア距離ミニマックス型マクシミニ型モデルなどを解く一般的解法を提示した。さらに、移転を考慮した場合、k次距離ボロノイ図を利用して有効集合やトレードオフ曲線を解析的に導けることを明らかにした。第二に、分枝限定法を利用した数値解法を用いて、より一般的な状況の下での、ミニマックス距離制約やマクシミニ距離制約での配置場所を数値的に求め、パレート最適集合を近似する方法を示した。茨城県、山形県の人口分布を事例対象とした。第三に、旧厚生省から各都道府県に対しごみ処理圏域広域化促進の指導があった。広域化はごみ焼却から発生するダイオキシン類を大幅に減少させるが、一方でごみ収集車からの排気ガスを増加させる。そこで、このトレードオフ関係に着目し、ダイオキシン類及び排気ガスをともに減少させる広域化計画を数理計画法により求め、現在の茨城県案を評価した。ダイオキシン類発生量を基準値及びごみ発生予測値から求め、排気ガス量を茨城県内のごみ収集車走行実距離と道路網距離から推定した。そして、茨城県案よりパレート最適の点で優れた多くの代替案を提示した。さらに、広域化計画にて、現存の市町村間ごみ処理協力関係への配慮がどの程度足かせになるのかをも数値的に示した。
著者
大澤 義明 古藤 浩 栗田 治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

主たる研究成果は以下の5点からなる.1)原風景の要素であるスカイライン景観と校歌との関係を考察した.平面上眺望点から,山頂仰角を算出し,最も大きな仰角となる山頂に関して領域分割を理論的に求めた.一方で,関東地方公立高校897校の歌詞を調査し,歌われている山を抽出した.そして,領域分割と校歌分布とが8割程度合致することを実証した.2)面的に広がる夜景景観の数理評価モデルを構築した.夜景規模を測る尺度として立体角を導入し函館市街拡大が函館山夜景や裏夜景にどの程度寄与しているのかを時系列(1975年から2000年まで5年間隔6時点)比較することにより定量的に明らかにした.質を求める指標として道路可視率を導入し,函館では度重なる大火の影響で道路幅員が広り防火遮断帯を配置し,結果としてメリハリのある夜景となったことを数値的に検証した.3)季節前線は日本の景観の大きな構成要素である.その一つとして桜前線を取り上げ,モデルや現実データから桜前線近接性時空表示方法を提案したり,日本の中で桜前線を早くかつ長く楽しめるパレート最適場所を求めたりした.また,これらの多項式計算アルゴリズムを提示した.4)斜線規制に換わる代替規制として2003年1月に建築基準法に導入された天空率規制の問題点を解析的に明らかにした.円環敷地や直線敷地に直方体建物建設という単純な数理モデルを通して,天空率規制導入は,高層建物の許容,共同立替を非促進,建築形態への影響から見て斜線制限の代替指標としての不自然さを数学的に証明した.このようにして,規制導入が町並み景観,都市内のスカイラインへ強く影響することを指摘した.
著者
河村 将 工藤 健 山岡 耕春 古本 宗充
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.123-137, 2011-02-25 (Released:2012-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

We developed a comprehensive statistical validation system of crustal activities with which to easily address spatially and temporally sufficient range of a database of geophysical measures. The system involves carrying out the following four processes: (1) creating the database of geophysical measures with spatially and temporally gridded and other convenient formats, (2) comparing any two geophysical measures, at least one of which is time-variable, (3) classifying the spatiotemporal relationship of these geophysical measures into some types by defining a statistical index, and (4) evaluating and validating the relationships between classification results and the occurrence of target physical events such as large inland earthquakes. With the system, we aim for making a statistical model, or an appropriate rule for monitoring of crustal activities. Formulation of the rule is, in turn, expected to lead to comprehensive understanding of crustal activities. Here, we focused on the relations of seismicity and strain rate to introduce the conception and algorithm of the system. The system requires input of the database and other parameters and leads to output of various spatiotemporal distributions, 2-by-2 contingency tables, and probability gains for prediction and alarm rates for target physical events.
著者
降旗 直子 古田 雄一
出版者
東京大学大学院教育学研究科学校開発政策コース
雑誌
東京大学大学院教育学研究科教育行政学論叢 (ISSN:13421980)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.93-112, 2012-10

The purpose of this paper is to clarify how political citizenship education was introduced in Kanagawa Prefecture, and how it was actually carried out in high schools. The findings in our research are as follows. First, political citizenship education was regarded as one of the four major components of citizenship education in Kanagawa, and it was promoted by the advancement of career education, the report published in 2006 by the Ministry of Economy, Trade and Industry, and the plan for political participation education by the former governor Shigefumi Matsuzawa. Second, there were five approaches that enabled Kanagawa to introduce political citizenship education: 1) the former governor Matsuzawa's intention, 2) outcomes from the practices in pilot schools, 3) cooperation with other organizations, 4) approach that allows each school to make decision about its practice, and 5) approach that avoids problems regarding teachers'presentation of their values. Third, as a result of the fourth approach, the practices in each school varied with the teachers'(or the school's) motivation. In addition, the fifth approach helped schools which wanted to spread the practice throughout the school while it hindered schools from stepping into "politics" including conflicts and oppositions. We finally analyzed the results and issues of the attempt in Kanagawa, and gained some hints to construct a clear philosophy and total system for political citizenship education in Japan.
著者
坂田 成輝 音山 若穂 古屋 健
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.335-345, 1999-09-30
被引用文献数
1

本研究では,教育実習期間中に実習生が経験するストレッサーを継時的に測定する尺度(教育実習ストレッサー尺度)の開発を目的とした。157名の実習生を対象に,34の刺激事態項目に対してその経験の有無と不快に感じた程度を実習期間中に計3回評定させた。同時に心理的ストレス反応尺度(PSRS-50R),高揚感尺度,身体的反応尺度に対しても継時的に評定させた。項目分析の結果,5つのストレッサー・カテゴリー(基本的作業,実習業務,対教員,対児童・生徒,対実習生)から構成される教育実習ストレッサー尺度(計33項目)が作成された。教育実習ストレッサー尺度で測定された各ストレッサー得点と心理的ストレス反応得点との継時的な関係を検討した。実習開始直後では多くの心理的ストレス反応に作用するストレッサーに共通性が認められた。しかし実習中頃になると反応毎に作用するストレッサーが異なり,実習が終了近くなると再び多くのストレス反応に作用するストレッサーが共通してくることが示された。以上の結果から,実習生に生起する心理的ストレス反応へのストレッサーの作用を捉える上で教育実習ストレッサー尺度は有効な尺度であることが示された。