1 0 0 0 OA 隠された疑問

著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:24352918)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.11-27, 2020-03-05

いわゆる「潜伏疑問」(concealed question) と称される表現は、名詞句でありながら、その意味が埋め込み疑問文に相当するものである。これは、特定の動詞、例えば「知っている」のような語と共起したときに、疑問文補文と同様の解釈を得る。本稿の目的は、このような表現について、基本的に存在量化子を含む意味論を仮定すれば、疑問文の解釈が得られることを示し、同時に、量化詞としての性質を示すことである。郡司(2017) で論じた、疑問文埋め込み文をとる「知っている」のような動詞の意味論と埋め込み疑問文の意味論を拡張し、それと存在量化の名詞句の意味論との相互作用で、「潜伏疑問」の解釈が導かれることを明らかにする。
著者
窪薗 晴夫 田窪 行則 郡司 隆男 坂本 勉 久保 智之 馬塚 れい子 広瀬 友紀
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

主に日本語のプロソディー構造を特に統語構造・意味構造・情報構造とのインターフェースという観点から分析し、日本語諸方言におけるアクセントとイントネーションの構造、それらのプロソディー構造と統語構造、意味構造との関係を明らかにした。これらの成果は諸学会、研究会および年度末の公開ワークショップにて発表し、また研究成果報告書(冊子体およびPDF)に報告した。
著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.23-42, 2002-03-21

本稿は2001年11月11日に開かれた日本英語学会第19回大会シンポジウム (東京大学駒場キャンパス)「Constraint-Based Lexicalism」における発 表の概要である。制約に基づく語彙主義 (constraint-based lexicalism)の立場に立つ言語理論 にはいくつかの枠組があるが、本発表では主辞駆動句構造文法 (Head-Driven Phrase Structure Grammar---HPSG)をとりあげ、その特徴を概観した。特 に、最近の発展においては、相対的に平坦な音韻構造と階層的な統語意味構造と の関係を動的にとらえており、言語形式 (language form)と言語機能 (language function)の関係に新しい視点を導入していることを指摘した。
著者
田窪 行則 有田 節子 今仁 生美 郡司 隆男 松井 理直 坂原 茂 三藤 博 山 祐嗣 金水 敏 宝島 格
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

日本語共通語、韓国語、英語、琉球語宮古方言のデータにもとづいて、日常言語の推論にかかわるモデルを構築し、証拠推論の性質、アブダクションによる推論と証拠推論との関係を明らかにした。時制、空間表現、擬似用法と推論の関係を明らかにした。関連性理論を用いた推論モデルの構築に関して推論の確率的な性質について研究を行い、一般的な条件文と反事実条件文の信念強度を共通の計算によって扱える計算装置を提案した。
著者
安本 潔 神代 龍吉 麻生 重仁 石井 邦英 村岡 晴雄 古寺 重喜 赤司 隆裕 古賀 郁利子 浜田 隆臣 鈴木 宏 上野 隆登 佐田 通夫 安倍 弘彦 谷川 久一
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2590-2595, 1988
被引用文献数
4

急性肝炎および劇症肝炎例において血清亜鉛値, 尿中亜鉛排泄量を測定し, 同疾患にみられる低亜鉛血症の機序について検討した. 対照とした健常人例の血清亜鉛値は, 84.0±12.2μg/dl (M±SD) で, 劇症肝炎例では46.0±16.0μg/dlと低値を示し, 有意 (p<0.001) な差がみられた. 急性肝炎例での急性期血清亜鉛値は74.8±12.0μg/dlで, 健常人例よりも低値であつた. 1日尿中亜鉛排泄量は健常人例0.4±0.14mg/日であり, 急性肝炎例1.2±0.5mg/日, 劇症肝炎例2.4±0.6mg/日と高値を呈し, 健常人例に比べ共に有意 (p<0.001) な差がみられた. 急性肝障害での血清亜鉛の低下の原因の一つに, 同疾患にみられる低アルブミン血症および高アミノ酸血症により, 亜鉛とアミノ酸との結合が多くなり, 尿中亜鉛排泄量の増加が関わるものと推察した.
著者
庄司 隆行
出版者
東海大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

深海域に棲息する動物のうち、無顎類、板鰓類、硬骨魚類、甲殻類からそれぞれ1種ずつを選び、各嗅覚系の形態比較と行動実験を行った。試魚として、静岡市興津沖水深300-600mにおいて捕獲したヌタウナギEptatretus burgeri、ホラアナゴSynaphobranchus affinisおよび熊野灘(水深300-400m)にて捕獲したホソフジクジラEtmopterus brachyurus、オオグソクムシBathynomus doederleiniを用いた。形態観察として嗅板表面を走査型電子顕微鏡により観察し、摘出した脳、鼻腔組織の嗅神経および嗅索に脂溶性蛍光色素(DiI)を浸透させ嗅房、嗅球、終脳における嗅神経の走行を蛍光顕微鏡にて観察した。ホラアナゴ嗅神経束は他魚種よりも太く、嗅球に入力する前の段階で2本以上の分枝を形成していた。これは、嗅細胞数の多さと嗅球でのニオイ情報の処理能力の高さを示している。ホソフジクジラも同様にきわめて大きな嗅房、発達した嗅球を持っており、ニオイ情報の収集、処理能力は高いと推測された。ヌタウナギの鼻腔は7枚の大きな嗅板からなる嗅房を通り食道に連絡していた。嗅球は終脳と比較して大きく、一方延髄の味覚中枢は未発達であった。また、ヌタウナギとオオグソクムシを用いてニオイ刺激に対する行動観察を行った。特にオオグソクムシの実験では、動きのトラッキングを暗黒下において容易にしかも精密に行なうため、体の位置と向きを示す赤外線ダイオードフラッシャーおよび記録・解析用ソフトウェア(Windowsベース)を開発した。これにより、様々なニオイに対する深海生物の嗅覚行動の観察が容易にできるようになった。ヌタウナギ、オオグソクムシともにきわめて鋭敏な嗅覚感度を持つことも明らかとなった。
著者
栗原 堅三 庄司 隆行 柏柳 誠 松岡 一郎 桂木 能久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

大豆由来のホスファチジン酸と牛乳由来のβラクトグロブリンからなるリポ蛋白質は、味細胞の微絨毛膜に結合し、苦味物質が受容サイトに結合することを妨害することにより、苦味を選択的に抑制することがわっかた。この苦味抑制剤を実用化するためには、安定性やコストの面で、蛋白質を使うことに問題があった。そこで、蛋白質を含まない苦味抑制剤の開発を試みた。ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホファチジルイノシトールなどに苦味抑制作用があったが、ホセファチジン酸の作用は、他のリン脂質よりはるかに強力であった。ホォスファチジン酸を苦味抑制剤として使用する場合、これを純品にする必要があるかどうかを検討した。ホスファチジン酸に他のリン脂質が共存した場合でも、その苦味抑制作用は妨害を受けなっかた。そこで、大豆レスチンから、ホスファチジン酸を高含量含む分画を作成し、苦味抑制効果を調べた。この結果、このレシチン分画は、各種の物質の苦味を十分抑制することがわかった。このレシチン分画を各種の薬物と混合し、苦味抑制効果を調べたところ、苦味を十分抑制することがわかった。また、このレシチン分画で、錠剤や顆粒剤をコートすると、苦味が効率的に抑制された。また、食品の苦味成分に対する苦味抑制効果を調べた。蛋白質加水分解物のあるものは、機能性食品として注目されているが、一般に強い苦味がある。レスチン分画は、蛋白質加水分解物の苦味を抑制した。ポリフェノールは、活性酸素の作用を抑制する物質として注目を集めているが、非常に強い渋味と苦味を有する。レシチン分画は、ポリフェノールの渋味と苦味を抑制することがわかった。チョコレートには、ポリフェノールが多量に含まれているが、その渋味と苦味のため、従来はこの含量を減少させていた。レシチン分画をチョコレートに入れると、ポリフェノールを高含量含んでいても、良好な味になる。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 松田 謙次郎
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。具体的には,主題文,(指定的)分裂文など,様々な構文にあらわれる,いわゆるWH(疑問)要素,量化表現,否定対極表現などスコープに関連する統語・意味的要素と,イントネーションなど「焦点」に関する多様な音韻的要因の間の相互関係を分析し,統語論・意味論と音韻論との密接な関係を明らかにする。また,理論的背景の下にデザインされた音声実験を用いて,その結果を文法的分析の中に組み込んでいく。関連する言語事象の方言などによる言語変異について考察する。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 シュペルティ フィリップ 松田 謙次郎 EMONDS Joseph
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

レキシコンと文法の制約について、文法論、形態論、意味論、音声音韻の各分野で理論的研究を行い、国会議事録などの発話コーパスを用いて実証的な研究を行った。具合的には述語の語彙的特性と再帰表現の単文内での束縛関係といわゆる長距離束縛の関わり、…を示した。平成20 年度の最後にあたってレキシコン、文法の制約が同一指示の現象に関与する諸相についての国際ワークショップを行った。