著者
吉田 直子
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1-13, 2007-12-31 (Released:2017-05-22)

In this paper, I examine Kant's conceptions of civilization and culture, which beautiful arts and sciences promote. In the 18th century, Rousseau blamed arts and sciences, because they let human beings collapse morally. On the contrary, Hume appreciated them, for they promote sociability and are the beginning of civilization. In Observation and Universal History, Kant shared the view with Hume. He thought that a feeling of honor and unsociable sociability which were human nature promoted civilization. Having the feeling of honor, one can take another standpoint and be socialized. In this view, beautiful arts and sciences are of public value. In Kritik der Urteilskraft (1790), Kant argued about culture from the standpoint of teleology. There, he thought that civilization was inadequate for ultimate end of nature. Because civilization do no more than acquire skill and there is no will. In teleology, Kant interprets that culture of discipline, which arts and sciences promote is ultimate end, for the pleasure that is universally communicable in arts and sciences makes human civilized (gesittet). I point out that in concept of culture of discipline Kant attached importance to arts and sciences. By them we can make unique community.
著者
北野 信彦 佐々木 良子 山田 卓司 本多 貴之 吉田 直人
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

現在、文化財建造物の漆塗装修理は極力日本産漆を使用が求められるとともに、漆塗料以外の塗装彩色修理には合成樹脂より伝統的な膠材料の使用が求められている。ところが日本産漆や膠材料の調達や使用量の算定、伝統的な金具の漆箔施工の仕様、さらには過去多用されたことが明らかとなってきた柿渋や固化不良が生じやすい乾性油系(油彩系)塗料の伝統的な仕様には不明な点が多い。本研究では文化財建造物における伝統的な塗装彩色材料・技術の系譜の解明と再評価をまず行う。そのうえでこれらの材料・技術を修理に応用した際の施工や保守管理方法の策定、3D技術を応用した復元彩色欄間の作成を資料活用として提示することなどを目的とする。
著者
矢部 修平 吉田 直人 進藤 斉 角田 潔和 葉坂 勝 小泉 武夫
出版者
土壌微生物研究会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.109-115, 2006
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,衛生的なコンポストを生産するには発酵初期の急激な品温上昇が重要であると考え,良好に発酵が立ち上がる高温コンポスターのミクロフローラを把握することを目的とした。発酵初期の温度上昇に伴うミクロフローラの変化を経時的に解析した結果,深層から品温上昇が始まり,生菌数がほぼ一定であったにも関らず,44〜52℃(0〜4時間後)および72〜80℃(6〜20時間後)にかけてフローラが大きく変動した。この期間に原料由来の腸内細菌や大腸菌群は淘汰された。72℃から80℃(6〜20時間後)にかけての優占菌の変動を16S rDNAライブラリー法を用いて解析した結果,Bacillus属からGeobacillus属へ遷移することが明らかとなった。さらに発酵2日後には,表層から深層まで80℃以上に達し,表層と深層ではGeobacillus属,中層ではThermus属が優占した。このように,深度別に特徴的なフローラが形成された。このことから,200cmと深く堆積することにより好熱菌の多様性を高めていると推察した。
著者
孟 曉順 吉田 直人 万 キン 米澤 朋子
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.235-250, 2020-08-25 (Released:2020-08-25)
参考文献数
33

In this paper, we investigate a communication robot that can shows involuntary expressions appearing on its skin such as goose bumps and perspiration to explore the possibility of instinctive reactions of the robot. In communication with others, humans express not only feelings that can be recognized and expressed intentionally, but also instinctive emotions due to physiological reactions that appear reflective and involuntarily before intentional control. The human-robot communication based on the robot’s internal state may become realistic by the expressions of instinctive fear, tension, and relaxation. We verified the effectivenesses of the robot’s expressions of a) goose-bump-like emboss and b) perspiration-like water particles with the testbed robot.
著者
吉田 直哉 鈴木 康弘 安部 高太朗
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.81-89, 2018 (Released:2019-01-23)
参考文献数
30

本稿の目的は、保育者の専門性に関する議論の現状と、その課題を明らかにすることにある。現在の保育者の専門性論には、保育者の専門性を、具体的に保育者が向き合う複数の職務の場面ごとに専門性を当てはめていく論法、あるいは、ケアという保育者にとっての根源的・核心的な専門性を想定し、そこから保育者の具体的な職務能力が派生すると考える論法の二つの形態が見られる。前者は、複数に分化した専門性の間の関連性が見失われがちであるという欠点、後者は、ケアという心理的・倫理的概念が、保育者の専門性を、個人の人格的な特性や資質といった、訓練可能なスキル以外のものに押し込めてしまう欠点を有している。今後の保育者の専門性論は、これらの欠点の克服、つまり、保育者の専門性諸要素の構造化と、保育者の専門性を訓練可能、伝達可能なスキル・知識の体系として構築することという二つの課題に向き合わなければならない。
著者
平野 孝行 吉田 直人 土橋 聖賢 藤井 二三夫 金澤 伸一
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.135-142, 2013 (Released:2014-11-06)
参考文献数
10
被引用文献数
3

建設発生土の高度な有効利用を図る目的で開発された短繊維混合補強土工法は,土または安定処理土にポリ エステル等の短繊維を混入することで降雨・流水に対する耐侵食性や強度・靭性(ねばり強さ)の向上に期待 するものである.これまでに堤防・法面のガリ侵食等による崩壊抑制のための試験施工としての実績がある. 本報告は,堤防・道路等法面の被覆材,多自然型法面の基盤構築,土構造物補強等へのさらなる有効利用の ために,より短繊維および固化材添加率の低い混合補強土の耐侵食性能や,強度・変形特性についてとりまと めたものである.長期現場試験施工に基づく耐侵食性能の検証と,静的圧縮試験・繰り返し三軸試験により強 度増加効果と靭性・拘束効果の付与を確認した.
著者
高妻 洋成 降幡 順子 脇谷 草一郎 福永 香 佐野 千絵 吉田 直人 犬塚 将英 小川 雄一 大谷 知行 林 伸一郎 水野 麻弥
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ミリ波およびテラヘルツ(THz)波を用いた文化財の非破壊非接触診断技術の開発研究をおこなった。THz波については種々の材料のTHz分光スペクトルを取得し、材料分析のための基礎データを作成した。彩色文化財に対してTHz波イメージングおよびミリ波イメージングを応用するための基礎実験をおこなうとともに、木製彩色文化財および漆喰壁画に対してイメージングを実施した。ミリ波およびTHz波は文化財の表層にある程度侵入して、その内部構造を可視化することが可能である。さらにTHzイメージングでは、パルス波を用いることで、時間領域分光法により断面構造や任意の深さにおける平面的なイメージングも可能である。障壁画などの彩色層下にあってある程度の厚みをもつ下地漆喰などの状態や表具や額装などの絵画の構造について、従来、得ることのできなかった情報を非破壊で知ることが可能となった。
著者
吉田 直哉
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.67-75, 2019 (Released:2019-07-16)
参考文献数
13

本ノートは、保育職を目指す学生が、教職教養として身につけておくべき教育行政、教育経営に関する基礎的な概念・理論を概説するものである。その際、地方教育行政の基本原則、地域との連携、学校体系、学校組織・学級組織の特色、教員の役割とカリキュラム・マネジメントなどを中心概念として取り上げ、重点的な解説を行った。
著者
吉田 直浩 浅川 徹也 林 拓世 水野 (松本) 由子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.91-99, 2011-02-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
30
被引用文献数
4

The aim of this research was to evaluate the autonomic nervous reaction using photoploethysmography under the emotional stimuli. Twenty healthy adults (11 males and 9 females) with a mean age of 25.0±5.0 were assessed for their psychosomatic states using Cornell Medical Index (CMI) and classified into two groups: group I (healthy) and II-IV (neurotic tendency). The photoplethysmography under emotional stimuli using the audiovisual video footages for 40 seconds and during recalling the contents of the footages soon after the stimuli for 180 seconds was measured. These series were repeated three times. The emotional stimuli consisted of "positive stimuli" and "negative stimuli". The "positive stimuli" such as relaxed and pleasant stimuli could evoke a positive feeling, while the "negative stimuli" such as unpleasants #1 (human-relation problem) and #2 (fear) stimuli could evoke a negative feeling. Pulse waves from photoplethysmography were analyzed for estimating the pulse wave amplitude, reflection index (RI). and pulse wave length, and these values of two groups were compared using analysis of variance (ANOVA). The results showed that the pulse wave amplitudes of group I under and after the positive simuli were significantly larger than the amplitudes under and after the negative stimuli, respectively. On the other hand, there was no obvious difference of the pulse wave amplitudes of group II-IV between the positive and negative stimuli. RI of group I during and before the stimuli was smaller than the base line, and RI under the unpleasant #2 stimuli was smallest in all the stimuli. However, RI of group II-IV under the unpleasant #2 stimuli was largest in all the stimuli. The pulse wave length under the unpleasant #1 stimuli was significantly larger than the other stimuli, and the pulse wave length after the stimuli was significantly smaller than the base line. These results suggested that the autonomic nervous reaction under emotional stimuli would be regulated based on the psychosomatic states.
著者
三宅 芳博 大神 慶久 吉田 直樹 荒屋 真二
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.114, 2008

多くのWeb3Dコンテンツのビューアにはユーザの空間ナビゲーションを支援するために視点切り替え機能が付いている.それらの3Dビューアは,視点切り替え方式として,瞬間移動を行うテレポート方式だけでなく臨場感を与えるために視点アニメーション方式を提供している.しかし,このアニメーションの軌道や速度などは3Dビューアによって様々であり,どのようなアニメーションがユーザにとって快適であるのかという評価研究はほとんど行われてこなかった.そこで本稿では,代表的な視点アニメーションの基本的パラメータがユーザの快適性に与える影響を実験により評価検討を行った.
著者
服部 桜子 阿部 勇人 山崎 慎太郎 高根 希世子 松野 順敬 吉田 直 檜垣 時夫 高山 忠利 下田 勝巳 仲沢 弘明
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.944-948, 2015

症例は36歳女性.横隔膜に浸潤する径11cmの巨大な肝原発性卵黄囊腫に対し肝部分切除および横隔膜合併切除を施行した.術後2カ月に横隔膜下に局所再発を認めたため,広範な横隔膜合併切除を伴う再肝切除を予定した.横隔膜欠損孔の単純閉鎖が困難であったため,5cm×5cmの欠損孔に対し右大腿筋膜を用いて再建を行い良好な結果を得た.大腿筋膜は遊離移植片として短時間で簡便に採取できる生体材料であり,人工材料と比較して感染に強く,機能欠損も認めないため,有用な再建材料の一つである.広範な横隔膜合併切除が必要な際に,大腿筋膜による横隔膜再建術は一般外科医にも行える有効な手段の一つと考えられたため,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
鼻崎 将 古森 光 吉田 直人 米澤 朋子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.4, pp.1-4, 2015-01-07
被引用文献数
1

本稿では,壁面へのプロジェクションを用いて,ユーザの歩行状態を判定したうえで,その前方に提示され続ける移動広告システムを提案する.また,背景との相対速度による浮き彫り効果を考慮し,背景画像をユーザの進行方向と逆方向に進めることとした.このことで,広告をより目立たせ,さらに広告の世界観とスピード感を与えることを狙う.このシステムを用いることで,広告への注意をひきつけ,さらに,ユーザの歩行速度変化や方向転換に応じた広告提示位置の内容の変容など,広告とのインタラクションに多様性をもたらすことが期待される.
著者
高木 昭佳 吉田 直子 渡部 有貴 中川 洋子 北澤 英徳 三村 泰彦 足立 伊佐雄 川上 純一
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-22, 2007-01-10
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

To improve the drug information service and standardize pharmaceutical care for inpatients of the Department of Japanese Oriental Medicine, Toyama University Hospital, we created a Kampo (Oriental) medicine database and used it in the preparation of medication instruction sheets. The database was configured on a Power Mac G4 (Apple Computer, Inc.; Cupertino, CA, USA) personal computer operating on Mac OS 10.4 using FileMaker Pro 6 database software. The database comprised 5 interlinked files-patient registration file, constituent crude drug registration file, Kampo formula registration file, and a file for the making and storing of instruction sheets. Information on 239 crude drugs and 560 Kampo formulae obtained from our "Hospital Manual for Japanese Oriental Medicine" was recorded in the database. Further, color photographs of the plants from which the herbal medicines were derived and other natural medicines were included in the instruction sheets to give patients a better understanding of Kampo pharmacotherapy. The database has made it easy to prepare personalized instruction sheets, which can be done by only entering the patient's ID and the Kampo formulae prescribed or crude drug name. In addition, the medication instructions for each inpatient and the indication(s) of prescribed Kampo formulae have been recorded in the database for later use in the management of inpatient histories and to provide utilization statistics for Kampo medicines. When a questionnaire survey of inpatients of the Department of Japanese Oriental Medicine was carried out to evaluate the usefulness of the medication instruction sheets prepared using the database, it was found that they gave patients a better understanding of Kampo pharmacotherapy and made them more interested in it. In conclusion, our database system will help improve the drug information service and quality of pharmaceutical care for inpatients treated with Kampo formulae prepared from crude drugs.