著者
藤本 貴大 吉田 聡志 松坂 佳樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0228, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰椎を含む椎体圧迫骨折の発生率は,女性で高く加齢とともに著明な上昇を示す。一方で,Sinakiら(2002)は背筋伸展運動による背筋力維持は椎体骨折率を低下させるとしている。さらに,背筋力は円背姿勢と関係し,歩行能力さらには消化器・循環器系の機能障害にも影響する。そのため,背筋の筋力強化および腰椎安定化運動は有効である。近年,背筋のひとつに腰部多裂筋(以下;LM)の役割が疼痛や椎体分節制御・安定性に重要とされている。そして,LMの画像評価において,筋横断面積に加え実質的な筋収縮組織以外の脂肪組織増加といった質的変化も機能障害に関与するとされる。我々は第50回日本理学療法学術大会において,女性腰椎圧迫骨折患者の脊柱起立筋(以下;ES)およびLMに占める脂肪浸潤を計測し,中等度(脂肪浸潤率10%以上50%未満)生じていたと報告した。本研究の目的は,その後腰椎圧迫骨折患者の硬性コルセット(以下;コルセット)装着期間における理学療法実施が腰椎脂肪浸潤に影響するか検証することである。【方法】対象は当院を受診しMRI検査により初発単椎体の腰椎圧迫骨折と診断され入院しコルセット装着となった65歳以上女性で,受傷直後とその後1ヶ月以降にMRIを実施した8例(年齢;72.9±12.0歳,BMI;21.9±3.9,MRI検査期間;63.6±24.3日)とした。対象患者は,コルセット装着下で背筋の筋力強化および腰部安定化運動を加えて実施した。MRI撮影部位は,各腰椎上縁および椎体上下縁から中間位,仙椎上縁の横断像計11画像とした。計測する筋はLM・ES・大腰筋(以下;PS)とした。脂肪浸潤計測は,Ransonら(2006)の先行研究を参考にImage Jを使用し,筋横断面積に占める脂肪浸潤面積を脂肪浸潤率とした。統計処理は,受傷時とコルセット装着後の比較をWilcoxon signed rank testにより行った。有意水準は5%未満とした。【結果】各筋の平均脂肪浸潤率において,受傷時:LM;17.262±11.312%,ES;15.898±13.667%,PS;0.870±1.158%に対し,コルセット装着後:LM;13.927±9.249%,ES;9.209±6.371%,PS;0.466±0.593%であった。これらの期間前後に有意差は認められなかった。一方,各椎体部位別では,LM仙骨上縁部に有意な減少が認められた(27.349±7.711%から15.273±9.658% P<0.05)。【結論】先行研究において,長期のコルセット装着は筋活動低下に伴い筋力低下や筋量減少が生じることが示唆され,脂肪浸潤増加も予測される。しかし,各筋ともに増加することなく,ES脂肪浸潤率は軽度(10%未満)となった。また,LMにおいて仙骨上縁の有意な減少が認められていた。LMの選択的な運動には,腰椎の動きが生じない低い筋活動量で行なうことが望ましく,コルセット装着により腰椎運動制御が制限されているため,効率的にLMにアプローチできたと考えられた。よって,コルセット装着にも理学療法実施によりLM,ES,PSの脂肪浸潤増加を予防できると考えられた。
著者
吉田 聡宗
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.565-613, 2020-07-10

This paper reviews the history of anti-animal cruelty laws in America primarily on the basis of the contents of the first annual report of the American Society for the Prevention of Cruelty to Animals(ASPCA). In Japan, the basic guidelines for comprehensively promoting measures on the welfare and management of animals seek cooperation between the public sector with law enforcement powers and private organizations. In order to improve the system, it is helpful to examine the situation in other jurisdictions. Compared to animal welfare laws in European countries, American anti-cruelty laws have not been studied as deeply in Japan as their importance merit. As previous studies have noted, American anti-cruelty laws have their roots in the New York of the 1860s. The state legislature established the ASPCA in 1866 and delegated some law enforcement powers to it. In the ASPCA's first annual report, its list of members, related laws, some cases, and other important information are recorded. By reviewing such information, we can gain a clear understanding of how the ASPCA enforced anti cruelty laws from the outset. This paper thus analyzes the first annual report of ASPCA and other historical documents with a view to clarifying its implications for Japanese law today.
著者
井上 章 村松 康行 松崎 浩之 吉田 聡
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.136, 2011 (Released:2011-09-01)

C-14は銀河宇宙線と窒素の(n,p)反応によって大気上層で生成し、光合成によって植物中に取り込まれる。C-14生成量は銀河宇宙線の地球への入射量と相関を持ち、太陽活動の変動と関係する。よって古木などの植物試料中C-14同位体比を測定することで過去の太陽活動の変動を推定できる。一方近年は核実験や原子力発電所の事故等人為的に放出されたC-14の寄与が大きい。したがって近年の植物試料中C-14同位体比を測定することで人為的放出による大気中C-14濃度変動への影響を調べることができる。本研究ではAMS(加速器質量分析計)を用いて樹齢1139年の屋久杉年輪中C-14同位体比を測定し、オールト極小期(AD1000~1100)における太陽活動の変動を調べた。また近年に採取された日本の穀類や、原子力施設周辺で採取された植物試料中C-14同位体比を測定し、人為的に放出されたC-14の影響を調べた。
著者
川村 隆一 筆保 弘徳 山本 勝 富田 裕之 森本 昭彦 柳瀬 亘 吉田 聡 宮本 佳明
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

台風と爆弾低気圧による被害事例が日本全国広範囲で多発している。両ストームの発達・進路予測の改善、関連するストーム起源の極端現象の発生予測、そして変わりゆく気候環境下で両ストームの活動度がどのように変調するのかを解明する事は減災の観点からも喫緊の課題である。その問題解決に大きな不確実性をもたらしているのが黒潮・黒潮続流が熱・水蒸気供給を介して両ストームに与える影響である。暖水渦のような海洋中規模渦と低気圧の空間規模は1 桁程度異なっており、スケール間大気海洋相互作用の実態は依然として未解明である。そこで本課題では台風と爆弾低気圧の発達プロセスに果たす中緯度大気海洋相互作用の包括的研究を展開する。
著者
蓑内 豊 吉田 聡美 伊藤 真之助
出版者
北星学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、Lyndon(1989)が提唱するold way/new way(新旧対照法)を、スポーツ選手のスキルの修正に活用しようとするものである。まず、6段階のスポーツスキル修正プログラムを考案した。複数の種目・選手に実施し、プログラムの有効性について検証を行った。その結果、スポーツスキルの修正に新旧対照法を用いることは、スキル修正学習を促進させることが示唆された。また、スポーツスキルの分析やパフォーマンス評価を行うために、パフォーマンス・プロファイリングテストを作成した。これは、フォームや感覚、連携など評価しづらいスポーツパフォーマンスについて、数値化し評価する手法のことである。
著者
吉田 聡美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.28_2, 2016

<p> パラリンピック選手への心理サポートは、2002~2003年のニーズ調査を機に2004年からスタートした。夏期、冬季のパラリンピック大会を重ねるごとに心理サポートの重要性が高まり2012ロンドンパラリンピックでは、試合期での心理的コンディション維持と、これまでの継続的なサポートから選手村にて日本選手団255名を対象に487名に心理サポートを実施した。</p><p> 主なサポート内容は、自律神経のバランスを分析する加速度脈波測定器、パルスアナライザープラスビューTAS9VIEW(株式会社YKC社製)を用い、自律神経のバランス・肉体的疲労度を測定し、心理的コンディションを客観的・主観的に確認。その後、選手の訴えに応じて試合に向けての心の準備や振り返り、気持ちの切り替えや次の試合に向けて目標設定、リラクセーション等の心理的スキルを提供した。生理的指標や面談により、主観的な感覚と生理指標が一致し安心に繋がった、試合に伴う精神的ストレスが緩和した等の意見が選手・スタッフから得られた。他の国際試合でも同様に心理的コンディショニングの重要性が認識されている。</p>
著者
吉田 聡
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

アルゴフロートのモニタリング情報と水温塩分プロファイルから鉛直流成分を抽出するアルゴリズム開発に取り組んだ。数値シミュレーションの結果から大きな鉛直流が期待される爆弾低気圧の通過を経験したアルゴフロートの観測結果を重点的に解析した。2015年から2017年の冬季に得られた1148プロファイルのうち、爆弾低気圧の通過を経験したものは73プロファイルあった。このうち、最も急発達した2016年3月1日の事例では、水温塩分プロファイルは低気圧通過に伴って、混合層の深さが100m程度深くなっていた。この事例について鉛直流の推定を試みた。しかしながら、計測ノイズの処理と段階的なピストン変動の処理が難しく、鉛直流速の推定には至っていない。
著者
吉田 聡 村松 康行
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.63-70, 1994-01-31 (Released:2011-10-21)
参考文献数
21
被引用文献数
20

1991年に日本国内で採取(一部市場で購入)したキノコ117試料について,137Cs,134Cs及び40Kを分析した。この結果を1989年と1990年に得た結果と合わせて考察したところ,全部で124種類(284試料)のキノコ中の137Csの濃度は,<3から16300 Bq/kg-乾燥重量(<0.4から1250 Bq/kg-湿重量)まで種類によって大きく異なった。これに対して,40Kの濃度は比較的一定であった。中央値は137Cs:53,40K:1180Bq/kg-乾燥重量であった。チェルノブイリ事故に起源をもつ134Csの濃度は全体的に低く,1991年には11試料のみで検出された。134Cs/137Cs比を用いて求めたチェルノブイリ事故起源の137Csの割合は低く,日本産のキノコ中の137Csは,主として1960年代に行われた核実験からのフォールアウトに起源を持つことが示唆された。採取したキノコを菌根菌と腐生菌の2つに分類したところ,前者の方が高い137Cs濃度を示した。日本人がキノコ(主として野生キノコ)を食べることにより137Csから受ける実効線量当量を試算したところ1.3×10-6Sv以下と非常に低い値であった。これは,自然界から受ける線量の約0.05%以下であった。
著者
吉田 聡 菅原 勝寿
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.94-97, 2005-04

昨日売れた商品が、明日も売れるとは限らない。とはいえ、多くの小売店はよく売れたものをたくさん仕入れ、売れなかったものは改廃の対象にしているのが現状だろう。その結果、売れ残りが増えたり客離れを引き起こしたりしてはいないだろうか。
著者
吉田 聡
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.641-645, 2002 (Released:2005-12-08)
参考文献数
35
被引用文献数
1

Applications of inductively coupled plasma mass spectrometry (ICP-MS) to the determination of long-lived radionuclides in environmental samples were summarized. In order to predict the long-term behavior of the radionuclides, related stable elements were also determined. Compared with radioactivity measurements, the ICP-MS method has advantages in terms of its simple analytical procedures, prompt measurement time, and capability of determining the isotope ratio such as240Pu/239Pu, which can not be separated by radiation. Concentration of U and Th in Japanese surface soils were determined in order to determine the background level of the natural radionuclides. The 235U/238U ratio was successfully used to detect the release of enriched U from reconversion facilities to the environment and to understand the source term. The 240Pu/239Pu ratios in environmental samples varied widely depending on the Pu sources. Applications of ICP-MS to the measurement of I and Tc isotopes were also described. The ratio between radiocesium and stable Cs is useful for judging the equilibrium of deposited radiocesium in a forest ecosystem.
著者
立花 義裕 万田 敦昌 山本 勝 児玉 安正 茂木 耕作 吉岡 真由美 吉田 聡 坪木 和久 中村 知裕 小田巻 実
出版者
三重大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

四方を海に囲まれた日本.その鮮明な四季は極めて特徴的である.日本の気候に対しては,日本を囲む縁辺海の海洋の影響が強くあることを大気と海洋の変動を評価し明らかにした.例えば,梅雨末期に豪雨が集中する理由は東シナ海の水温の季節的上昇が,九州で梅雨期に起こる集中豪雨の発生時期の重要な決定要因であること,日本海の海面水温の高低によって,寒気の気団変質過程に影響を及ぼし,寒波を強化・緩和されることを示した.
著者
吉田 聡 泉 正夫 辻 洋
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.123-126, 2012-02-11

安価なデバイスであるKinectがどの程度の能力があるのか調査するため,歩行動作をしている人に対する人物判定を試みる.歩行動作を定義し,Kinectから得られる5人の情報を用いて歩行動作を表す特徴ベクトルを作成した.そして主成分分析を用いて特徴空間を構築した後,特徴空間での各クラスの重心からの距離と分散を用いてテストパターンの判定を行った.結果としてKinectは歩行動作をしている人物5人に対して判定した場合の適合率は約80%であることを示し,その結果と手法について考察した.