著者
坂本 一仁
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2021-SPT-43, no.20, pp.1-8, 2021-07-12

Apple 社は iPhone などのモバイル端末 OS である iOS14 からアプリトラッキング透明性 (App Tracking Transparency) を適用し,その一環として広告用識別子の IDFA (Identifier for Advertisers) の利用をユーザのオプトイン形式とした.アプリ事業者は IDFA を利用した複数事業者間での広告測定を行う場合,アプリユーザにトラッキングを許可してもらう必要がある.Apple 社の公式ドキュメントでは,トラッキングの許可を求める画面の前に追加の説明を表示してもよいとしているが,不要なデータアクセスに同意するようユーザを誘導したり,だましたり,強制したりするダークパターンは禁止している.本論文では,Apple のアプリ配信プラットフォームである App Store の日本の無料 Top100 アプリを調査し,IDFA 許可に関する画面においてダークパターンがどの程度存在するかを調査した.調査の結果,35 アプリで IDFA 許可に関する画面が確認され,31 アプリ(88.6%) で少なくとも 1 つのダークパターンが観測された.本論文の貢献として,これまでのダークパターン項目を横断的に整理し,IDFA のオプトイン化に伴うダークパターンの実態を早期に発見し,加えて新たな分類のダークパターンを定義した.
著者
川崎 由明 坂本 一民 Maibach Howard I.
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-61, 1996
被引用文献数
1

5種類のアミノ酸 (L-リジン塩酸塩, グリシン, L-グルタミン酸モノナトリウム, L-プロリン, L-スレオニン) をアミノ酸のモデルとして選定し, ヒト皮膚に於けるそれらのpH 7.4水溶液からの<i>in vitro</i>経皮吸収挙動をラジオアイソトープを用いて種々検討した結果, ヒト角質層はアミノ酸経皮吸収に対して大きなバリアとなっていることが明らかになった。また, 正常皮膚に於けるアミノ酸経皮吸収流束とアミノ酸のlog P (オクタノール/水) の間に負の相関関係が確認されたことから"マイクロチャンネル"の存在が示唆される。更に, グリセリンやPCAナトリウム等を共存させた場合, L-プロリンの皮膚透過量は殆ど変化せずに, 表皮への吸着量は増大したことから, ヒト表皮はアミノ酸のリザーバーとしての役割を果たしていると考えられる。
著者
坂本 一仁 室園 拓也 太田 祐一
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2020-SPT-37, no.3, pp.1-8, 2020-05-07

同意管理プラットフォーム (CMP : Consent Management Platform) とは,個人データに対する個人の同意を管理するためのソフトウェアまたはサービスである.2018 年 5 月から EU 一般データ保護規則 (GDPR) が開始され,Cookie のようなオンライン識別子およびそれらに紐づくウェブ上の行動履歴も個人データとして扱われることになり,今日では多くのウェブサイトに CMP の導入が進んでいる.しかしながら,EU や米国における CMP 導入ウェブサイトの推移は明らかになってきている一方で,日本国内における状況は不透明である.また CMP のユーザーインターフェース (UI) に着目し,サイト利用者の認知に関するユーザスタディや,UI が GDPR に準拠しているかといった研究は行われているが,利用者の UI 操作が真に CMP の内部挙動に反映されているかといった詳細な調査は行われていない.そこで本稿では以降に示す 2 つの Research Questions (RQ) に対応する調査を実施した.RQ1 : 日本向けウェブサイトにおいて,CMP 導入は増加しているか? RQ2 : CMP サービスの挙動は正確であるか?調査は日本向けウェブサイト約 18 万URLに対して実施され,調査の結果,日本においても特定の CMP サービスが増加傾向にあること,詳細設定機能が確認された CMP のうち,約 65%は利用者の UI 操作が正確に内部挙動に反映されていないことが判明した.
著者
上野 輝弥 坂本 一男
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum Ser. C Geology & Paleontology (ISSN:0385244X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.p109-117, 1994-09

A fossil slender mola from the Middle Miocene Hiranita Formation, Chi-chibumachi Group, Saitama Prefecture, Japan is described as a new species Ranzania ogaii in the family Molidae (Tetraodontiformes). This new species is characterized by having closely attached, long neural spines in the caudal vertebrae and unique scale plates that have a single prominent tubercle at the center of each regularly-shaped, polygonal scale plate in the middle of the body.
著者
高澤亮平 坂本一憲 鷲崎弘宜 深澤良彰
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.307-309, 2015-03-17

「プログラミングには性格が表れる」と言われるが、実証された例や科学的な根拠は見つかっていない。そこで我々は、競技プログラミングに興味のある人々を対象とした大規模なアンケートを行い、エゴグラム診断を用いて性格の分析を行った。この結果をもとに、プログラミングへの興味と性格の間の相関を分析した。その結果、一部の質問や性格に関して相関が現れることが明らかとなった。また、ソースコードと性格に関しても分析を行うことで、プログラミングと心理的な側面の関係についても考察した。
著者
原田 勇希 坂本 一真 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.319-330, 2018-03-19 (Released:2018-04-06)
参考文献数
28
被引用文献数
18 5

本研究は, 中学生はいつ理科を好きでなくなるのか, 理科の好嫌の性差はいつ生じるのかを検討し, さらになぜ理科を好きでなくなるのかを期待-価値理論の枠組みから分析することを目的とした。本研究では, 期待の指標として各単元に対する統制感を, 課題価値認知の指標として各単元の学習内容に対する興味価値を測定した。分析の結果, (1)男女ともに中学校1年生で理科の好嫌が減退する。その後, 男子には明確な減退傾向はないものの, 女子では2年生でも顕著に減退すること, (2)理科の好嫌における性差は2年生から出現し, 3年生ではさらに拡大すること, (3)どの学年においても統制感と興味価値の両方が理科の好嫌に影響するが, 関連の様相は学年と単元によって異なること, (4)物理分野に該当する単元は他の単元と比較して統制感が低いことの4点が明らかになった。
著者
坂本 一寛
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.174-179, 2013-12-05 (Released:2014-02-07)
参考文献数
24

脳·神経系は極めて複雑であり,取り組むべき問題は無尽蔵にある.しかしながら,それ故に,何を研究すべきか,焦点を絞りにくい面もある.本稿では,脳·神経系の本質に迫るために検討するに値すると思われる諸問題を,
著者
坂本 一憲 大橋 昭 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.412-424, 2012-03-01

近年,プロブラミングコンテスト,特にゲームソフトウェア上で自律的に動作するプレイヤーのプログラムを作成して競い合う形式のコンテストが,教育向けの枠組みとして注目を浴びている.一方,コンテストで利用されるゲームプラットホームは,一般的なゲームソフトウェアやエンタープライズシステムと異なり,開発手法や技術的な知見が体系化されていない.本論文では,過去の開発経験からゲームプラットホームの要求を分析した結果をもとに,開発における知見を設計原則としてまとめる.更に,ゲームプラットホームの品質を保証して,開発コストを低減させるため,設計原則を踏まえたアーキテクチャと汎用的な共通処理を提供するフレームワークを提案する.その上で,提案フレームワークを利用するゲームプラットホームとコンテストの事例報告をもとに,提案フレームワークを利用するゲームプラットホームが分析した要求を満たすかどうかという定性的評価と,ソフトウェアメトリックスや参加者のアンケートによる定量的評価の両方から提案フレームワークの有用性を示す.
著者
坂本 一民
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.256-265, 1995-04-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
72
被引用文献数
1

Acylamino acid is a surfactant comprised of fatty acid and amino acids. There are several natural acylamino acids present as components in living tissuue and the research of acylamino acid started from biological interest. Acylglutamate is the first surfactant utilizing natural amino acid and is being actively sold as mild cleansing product due to its extreame mildness to the skin.Mild and environmentally gentle surfactants are eagerly being sought at present and this has led to increased demand for various acylamino acids.The properties and applications of various acylamino acids are explained and breaf introduction is made for other surfactants derived from amino acids.
著者
遠藤 秀紀 日柳 章彦 九郎丸 正道 林 良博 坂本 一則 木村 順平
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.635-640, 1997-08-25
被引用文献数
1 2

シマハイエナ (Hyena hyena) の膵臓の葉区分を肉眼解剖学的に観察し, 膵管と副腎管の走行を検討した. また, 組織学的に外分泌部と膵島の配置を確認し, 免疫組織化学的手法により, 膵島におけるA, B, D, およびPP細胞の分布状態を検討した. 膵臓は胃の大弯付近から十二指腸近傍にかけての間膜に発達していた. 幽門部を境界に鋭く折れるため, 前半部を左葉, 後半部を右葉と判断することができた. 右葉よりさらに後方に, 特徴的な独立した小さな葉が確認され, これを後葉 (caudal lobe) と名付けた. 導管は合計3本確認され, 大十二指腸乳頭近傍に到達するものと, そこからさらに前方に分岐するものを膵管と推定し, 後葉から十二指腸に至る最後部の管を副膵管と定めた. 組織学的には多数の膵島が外分泌部の間に観察された. A細胞およびPP細胞は膵島の辺縁部に限局し, B細胞とD細胞は, 膵島内に偏りなく分布していた. また, 外分泌部に単独で散在するB細胞が観察された. ハイエナ類の膵臓の形態はこれまでに記載されたことがない. 肉眼的には後葉の存在と膵管の分岐が特記された. 組織学的には, B細胞の膵島での均等な分布と外分泌部での散在が, シマハイエナの特徴であるといえる. これらの結果は, 食肉類の中で独特の進化を遂げたハイエナ科における膵臓の形態学的データとして, 今後の比較検討にも用いることができよう.
著者
岡河 貢 足立 真 坂本 一成
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.564, pp.363-369, 2003
被引用文献数
3 1

The purpose of this study is to analyze the character of the architectural space as information in the 'complete works of Le Corbusier'. Extract the types on the view point of the sequential organization of the architectural photographs of the work. Show the character of the architectural space as information to analyze the relation between the types and the method of the continuation of the architectural photos and the montage theory of the films.
著者
岡河 貢 足立 真 坂本 一成
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.607, pp.225-232, 2006
被引用文献数
3

The purpose of this study is to analyze the character of the architectural space as information in the 'complete work of Le corbusier'. Extract the types of combination of architectural photograph and archtectural drawing in the spread pages of the 'complete work of Le corbusier'. Show the character of the architectural space as information to analyze the combination of the type of architectural photograph and architectural drawing on the view point of collage. And analyze the relation and combination of types of collage of architectural photograph and architectural drawing in the spread pages of the 'complete work of Le corbusier'.
著者
磯部 光平 坂本 一仁 葛野 弘樹
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1140-1147, 2019-10-14

AndroidやiOSのようなスマートデバイス向けオペレーティングシステム(OS)では,ハードウェアによる暗号鍵管理機能(鍵管理機能)が提供されている.ユーザのクレデンシャルがハードウェアによる鍵管理機能によって強固に保護されている場合,高いセキュリティが実現されていると言える.一方,スマートデバイスの製造業者が鍵管理機能を利用可能な状態でデバイスを提供し,さらにアプリケーション(アプリ)が鍵管理機能を利用しているかどうかは不透明な状況にある.本稿では,Android OSを搭載したスマートデバイスに着目し,暗号鍵管理の使用実装状況を調査した.アプリではライブラリを中心に広く鍵管理機能が利用されていることを確認した.デバイスでは調査した 71 機種のすべての機種で RSA はハードウェアによる鍵管理機能が利用可能なものの,楕円曲線暗号や HMACにおいて,利用不可な機種が一定数存在することを確認した.
著者
山下 裕司 山﨑 舞 萩原 宏美 田上 八郎 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.91-103, 2015-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、近年コーニファイドエンベロープ(CE)形成や細胞間脂質の主成分であるセラミド合成を促進する効果が見出され、皮膚への有効性が明らかにされつつある。その効能効果として、新陳代謝の促進、シミ・しわの改善、肌荒れ・ニキビの改善、湿疹・アトピー肌の改善などが期待されているが、作用機序に関しては未知の部分が多い。 本研究では、被験者20名に対し、有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経皮水分蒸散量の変化について調べた。これらの評価項目に関して、有機ゲルマニウム配合クリームと未配合クリームの間に有意な差は見られなかったが、有機ゲルマニウム配合クリームの方が高い保湿性を有する傾向があった。また、被験者の皮膚状態の観点から分類解析することで、有機ゲルマニウムが特異的な作用を示す可能性が示唆された。
著者
坂本 一憲
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.35-47, 1998-03-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
47
被引用文献数
3

畑土壌における微生物バイオマスと土壌窒素肥沃度との関連について議論することを目的とし,著者が検討を進めてきた有機物資材が微生物バイオマスと土壌窒素肥沃度に及ぼす影響,および各種土壌型における微生物バイオマスと窒素肥沃度との関係に関する研究について紹介した。土壌中のバイオマス量は有機物資材の易分解性有機画分の施用量,および土壌の粘土含量・CECと高い相関関係にあることが認められ,バイオマスにとって有機物資材は「増大因子(基質の供給)」として,また土壌の粘土含量・CECは「定着因子(住み場所の確保)」として重要であると考えられた。土壌窒素肥沃度の指標である可給態窒素量とバイオマス窒素量との関係を解析してみると,有機物資材による可給態窒素の増大や各種土壌型の可給態窒素量は共にバイオマス窒素量と高い相関関係にあることが認められた。このことからバイオマス窒素は土壌窒素肥沃度と密接な関係にあること,また有機物資材中の窒素はバイオマスを一旦経由して作物に供給されることが明確となった。今後バイオマスは土壌の肥沃度管理や土壌改良の指標として多いに活用されるべきものと考えられた。以上の研究成果をふまえ,今後進展されるべき微生物バイオマスの研究について議論した。
著者
山下 裕司 川崎 由明 坂本 一民
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.71-75, 2018-03-11 (Released:2019-12-26)

界面活性剤は、化粧品を構成する化学物質の1 つであり、化粧品において主に洗浄、乳化、可溶化を目的に用いられる。化粧品のように不特定多数の人が長期間にわたって使用する場合、その安全性は製品に訴求される最も重要な要素である。現在、既定の試験法によって化粧品原料と製剤の安全性が評価され、用途に適した界面活性剤が利用されるが、微妙な有害作用や副次的な皮膚への影響など、従来の試験法では予知できない可能性がある。本稿では、軽微な皮膚ダメージの1 つとして角層細胞間脂質(SCL)構造の乱れに焦点を当て、電子スピン共鳴(ESR)法より得られたオーダーパラメーター(S)と皮膚刺激、および皮膚バリア機能との関係を説明する。