著者
堀田 明裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.57-66, 1997-07-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

本論は大学におけるデザイン教育の問題の分析と、今後の方向に関する提案を目的としている。戦後我が国に導入されたデザインの考え方は、経済や技術、あるいは生活スタイルなどの影響を受けて大きく変化してきた。この変化に対するデザイン教育の問題として、デザイン教育の検討体制、技術と技能、美的評価、教育におけるコンピュータ使用の位置づけ、教育と研究の関係、大学の基本的役割について分析した。これらに基づいて、今後のデザイン教育の目標を構想能力と造形能力の獲得とし、その方法として実技教育と知識教育の融合とした。また、教員の役割として、各自の教育上の特色を持つこと、教育技術の向上、教員間のデザイン評価に関する討論と学生への公開、研究作業への学生の参加を提案した。更に、今後のデザイン教育の共通基盤構築の視点から、デザインにおける美的評価の論理や教科書作成の必要性を提案した。
著者
堀越 壮一 飯島 明宏 冨岡 淳 関 順司 加藤 政彦 小澤 邦壽
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.283-286, 2007 (Released:2010-01-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

Recently, nitrate-nitrogen (NO3-N) pollution in groundwater was identified as a serious problem in Gunma prefecture. The rate of satisfying the environmental quality standard(EQS) for NO3-N concentration in Gunma prefecture was lowest in Japan from 2000 to 2004. However, a significant decrease in NO3-N concentration was observed in 2005. Therefore, the factors contributing to the decrease were statistically examined. The results suggest that the area of dry field, livestock head count, and agricultural population significantly contributed to the decrease in NO3-N concentration. The enforcement of the Law on Promoting Proper Management and Use of Livestock Excreta might reduce NO3-N discharge into groundwater.
著者
堀 正樹
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

2007年度は、欧州合同原子核研究機構CERNの反陽子減速器施設を用いて、反陽子ヘリウム原子の二光子吸収分光実験を行った。そして、反陽子ヘリウム原子の二光子遷移エネルギーを、3ppbという世界最高精度で計測することに成功した。これによって、素粒子物理の基本的な定理と考えられているCPT対称性を、従来よりも高い精密で検証した。この実験では、まず反陽子ヘリウム原子を5ケルビンという低温標的中で100万個合成した。次に、出力波長を10桁の精度で安定化させたcwチタンサファイアレーザーをパルス増幅して、この光線を原子に照射した。この際に、特別な波長の組み合わせを利用することによって、原子内で非線形な二光子遷移をひきおこすことに成功した。次に、超伝導ポールトラップを開発して、振幅4キロボルト、周波数35メガメルツ、Q=100万の特性をもった空洞を実現した。このトラップは、高純度ニオブ製で、電子ビーム溶接を用いて建設したものである。超流動ヘリウムで常時、1.8度ケルビンに保たれる。ニオブ電極の表面では、数メガボルト毎メートルという非常に強い電場が発生するが、これによって電子が発生し、放電を誘発するという問題が発生した。現在、表面の洗浄方法や、電極の形状を工夫することによって、この問題を解決しようとしている。また、反陽子ビームを測定する新型の検出器を開発した。これは、厚さ数百ナノメートルのカーボンフォイルに反陽子が衝突した際、発生する二次電子をとらえて、高感度カメラで撮影する仕組みになっている。特殊な加速電極を用いることによって、数ナノ秒という超高速シャッターを切ることができる。
著者
市川 武 柿崎 暁 堀口 昇男
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

横紋筋肉腫の発癌機序を調べるために、肝細胞増殖因子トランスジェニクマウス(HGF/SFtgマウス)と癌抑制遺伝子であるp53、Arf、Ink4aそれぞれのノックアウトマウス(p53-/-マウス、Arf-/-マウス、Ink4a-/-マウス、)を交配して作成されたHGF/SFtg+p53+/-マウス、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫を解析した。HGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫のウエスタンブロッティングによる解析では、Ink4a、Cdk4、Cdk6の発現は維持されていたものの、Rb発現の消失を認めた。またHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋に比較してc-myc発現の増強を示した。同様にリアルタイムPCRでもHGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてc-myc DNAコピー数の増加(extracopyあるいはhalf copy)を確認した。筋原性分化に関与するMyogeninはHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋には発現を認めなかったのに対して、横紋筋肉腫では発現が確認された。一方、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫の同様の解析ではRb、p53の発現は維持されていることを確認した。c-mycはHGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてはHGF/SFtg+p53-/-マウスと同様に骨格筋に比較して発現の増強を示したが、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスではc-myc発現の増強は明らかでなかった。これらの結果より(1)横紋筋肉腫発癌にp53/Arf径路の不活性化が重要であるが、p53とArfは必ずしも同様の機序で横紋筋肉腫発癌抑制に関与しているわけではなく、Rb不活性化が関与する可能性が認められた。(2)横紋筋肉腫発癌にはp53/Arf径路の不活性化に加え、c-mycの関与が示唆された。
著者
大山 修一 小崎 隆 堀 信行
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

西アフリカ・サハラ砂漠の南縁に位置するサヘル地域では毎年、雨季になると、農耕民と牧畜民(フラニ、トゥアレグ)が放牧地をめぐって各地で衝突を繰り返している。ときに武力衝突によって、双方に死傷者が出ることもある。本研究計画は、農耕民と牧畜民のあいだで武力衝突が起きる要因を明らかにし、武力衝突を避けるための方策を提案することを目的としている。本年度に実施した現地調査の成果は、以下の通りである。牧畜民は雨季のあいだ、トウジンビエ畑の作物に対して食害を与えないよう、トウジンビエ畑を避けて、台地上の放牧キャンプに住み込んでいる。耕作地の拡大と荒廃地の発生にともなって、牧畜民が利用しうる放牧地が不足しており、牧畜民が放牧できる草地が新たに必要であること、そして牧畜民の管理する家畜が夜間に動き出し、畑のトウジンビエを採食することによって、農耕民と牧畜民が賠償金をめぐって口論した末、武力をともなう争いに発展するプロセスが浮かび上がってきた。フラニに聞き取りをしたところ、台地上やその周辺部に鉄製フェンスで囲いを作り、夜間の家畜囲いをつくることによって、夜間の家畜管理が容易になること、そして、その家畜囲いにおいて家畜が休息できるよう、生ゴミをまくことによって、砂を捕捉し、草地を再生させることが衝突予防のひとつの手がかりになるという知見を得た。生ゴミ施用にともなう緑化の有効性については圃場実験によって検証している。家畜囲いの面積は40m四方で十分であり、囲いを利用するのは、草本の生育する雨季の終盤が適していること、その草本は家畜の飼料となる一方で、夜間の野営によって家畜の糞が供給され、その糞が次年度に草本が生育する肥料となることが示唆された。ハウサの農村にも家畜囲いをつくることにも同意が得られ、この提案は、フラニ牧夫に高い評価を得た。周辺のフラニから鉄製フェンスとゴミ施用の要望が多く寄せられ、農耕民と牧畜民の衝突を回避する一つの有効な手段となる可能性が示唆された。
著者
大堀 淳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

直観主義的論理学の自然演繹証明システムとラムダ計算との同型関係を拡張・一般化し, 機械語コードの証明論を完成し, コードの最適化やコードの検証をより体系的に行う基礎を構築した。この証明論では, 機械語コードは, 左規則のみからなるある種のシーケント計算として表現され, その操作的意味, すなわち, コードを実行する機械の状態遷移規則は, シーケント計算のカット除去定理の証明から系統的に抽出することができる。さらに, この証明システムは, 低レベルコードのアクセス権限の検証や制御フロー遷移の最適化などの基礎となることが示された。
著者
長弘 千恵 樗木 晶子 馬場園 明 堀田 昇 高杉 紳一郎
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

【経過】本年度は高齢者に対する事前調査の結果について検討した。【目的】看護職による転倒予防のための個別訪問指導行い、転倒予防のための個別訪問指導運動プログラムの評価を明らかにする。また高齢者の転倒体験と身体的精神的状況、居住環境、福祉制度および社会資源の活用状況との関連を明らかにすることを目的とした。【対象・方法】農村地域に住む75歳以上の在宅女性高齢者136名を対象に、看護師による家庭訪問調査を行った。調査内容は最近5年間の転倒状況、身体的状況、居住環境、福祉制度および社会資源の活用状況等であった。分析には転倒歴に欠損値のない131名を使用し、転倒要因では該当するものに1、該当なしを0として加算した。解析には対応のないt-検定、x^2検定、ピアソンの相関係数を使用した。【結果】(1)転倒体験者と非転倒体験者では年齢、介護度、寝たきり度、身体的状況、住居環境において差はなく、家族数では転倒体験者より非転倒体験者の方が多かった(2)転倒回数と自覚症状数には相関がみられ、転倒回数と排尿回数では負の相関がみられた(3)寝室の障害物で転倒体験者は非転倒体験者より多く、転倒回数との間に相関がみられた(5)社会資源の利用では差はないが、訪問介護の利用では転倒体験者が非転倒体験者より多かった(6)介入郡コントロール郡共に監察期間中に転倒が少なく、比較することはできなかった【考察】在宅の後期女性高齢者においては転倒体験者では転倒に関する自覚症状数が多いことから、介護者による転倒予測の可能性考えられた。また、寝室に障害物が多いことから住居環境の改善指導の必要が示唆された。
著者
堀江 祐介 山崎 和彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2011 (Released:2011-06-15)

現在、電子書籍を使う人が増えてきている。電子書籍は機器ごとに使い方が違っている。そこで今回は電子書籍端末として様々なアプリが出されているiPadの電子書籍を対象にユーザビリティテストを行った。3つのアプリを対象に4人の被験者で実験を行った。もっともタスク実行時間が短かったのはiBooksである。次にi文庫HDで、最もタスク実行時間が長かったのはstanzaである。ユーザビリティ評価から以下の6つのことがわかった。1.ツールバーは常に表示する 2.メニューにはアイコンと文字の両方を使うことでわかりやすくなる 3.本のメタファーは適切に使用する 4.ユーザに適切なフィードバックを与える 5.視線の移動を少なくするUIにする 6.使用頻度に応じた情報構造にする
著者
矢田 順三 堀 正倫
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

国内外の実地調査および文献調査に基づいた考察により、持続可能な循環型社会において、パッシブな自然エネルギー利用伝統的技術が主要な役割を果たすと論じた。今日の科学技術は華々しい成果をもたらしている反面、環境破壊というマイナスの部分があるのに対して、伝統的技術は環境調和型である。科学技術の進歩した現在でも、エネルギーの効率については厳然とした限界がある。現代社会は、経済に支配されており、経済的に成立たないために、樹木を育てるべき森林や食料を生産すべき田園が放置される場合がある。持続可能な地球、循環型社会を目標とするときには、自然エネルギーの内容を、いわゆる自然エネルギーに限定せず、これらに森林や食料を含む植物(場合によっては動物)を加えたものを、広義の自然エネルギーとし、これらすべてを一体として取扱うことの妥当性を論じた。歴史的または伝統的家屋における自然エネルギー利用状況を再現するために、本研究で開発したシミュレーション用プログラムを、一部屋だけの最も単純な構造の家屋モデル(立方体型、三角屋根型、竪穴式型)に適用し、標準的な年間外気条件のもとで、1時間毎の室内温度および湿度の計算を冬季及び夏季について行い、屋根および壁の材質(萱、木材、土、岩石)が、これらに及ぼす影響を調べた。その結果、萱を用いた場合が、最も室内温度変動は小さく且つ保温性が良いこと、木材および土壁(漆喰)を用いた場合、室内湿度を外気湿度より低く保つことができること、縦穴式住居の場合、湿度が高いという問題はあるものの、冬は暖かく、夏は涼しいという室内環境が実現されることが示された。循環型社会に使用される作動流体として、自然作動流体(自然冷媒)の熱物性をまとめた。