著者
奥野 良之助
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.113-121, 1984-03-30

About 1,500 individuals of the Japanese toad, Bufo japonicus japonicus, inhabiting the campus of Kanazawa University were studied by the toe-clipping marking method from 1973 to 1981. Investigations of the six breeding ponds on the campus revealed that toads belonging to each breeding group generally went to the same pond for breeding every spring throughout their life. The largest breeding group (pond H-group) had about 200 adult males and females, and the smallest one (pond N-group) had only 20 adults. Emigrations of toads among these breeding groups sometimes occurred. Twenty-five toads changed their breeding pond during the 8 years ; twenty-three of them moved from the largest pond H-group to the neighbouring smaller Y-and M-group ponds. Therefore, it was concluded that emigrations may occur from a larger group to a smaller one.
著者
堺 竜介 甲田 亨 馬場 孝輔 奥野 龍禎 中辻 裕司 望月 秀樹
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.47-50, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
9

症例は69歳の男性である.右耳介の発赤腫脹の後,活動性の低下,パーキンソニズムを呈し,頭部MRIにて両側対称性に大脳基底核に高信号を認めた.その後,精神症状が亜急性に進行し,髄液中の細胞と蛋白の増加があり,造影効果も認め,自己免疫性脳炎と考えてステロイドパルス療法を実施した.改善を認め転院となったが,その後辺縁系を含め広範囲に病変を呈し当院へ再入院となった.ステロイドパルス療法を実施し症状,頭部MRI画像での改善が再度得られた.後に抗N–methyl–D–aspartate(NMDA)受容体抗体が陽性と判明,経過を通じて悪性腫瘍の合併も明らかではなく非典型的な経過ではあるが,抗NMDA受容体脳炎と考えられた.パーキンソニズムで発症し,病初期の画像は基底核病変のみで,緩徐に進行する脳炎でも抗NMDA受容体脳炎を考慮し,精査する必要があると考えられる.
著者
奥野峻弥 浅井洋樹 山名早人
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IFAT-115, no.12, pp.1-6, 2014-07-25

従来,著者推定研究は小説に対する著者推定を中心に研究が行われており,推定対象を限定した,少人数に対する著者候補者群が取り扱われてきた.これに対し,我々はマイクロブログを対象にした,不特定多数の候補者群に対する著者推定の提案を行った.その際,精度向上のためマイクロブログ特有の叫喚フレーズに対する正規化手法,および計算量削減のため推定に必要となるメッセージ数を削減する手法を提案してきた.本稿では,より多くのマイクロブログ利用者を対象にした著者推定を行う上での問題点,特に学習用データとテストデータの取得期間の差異が精度に与える影響について検証し,学習用データの取得期間が精度に与える影響を小さくする手法を提案する.実験では Twitter ユーザ 10,000 人に対して著者推定を行い,Precision@1 で 0.535,MRR で 0.602 を達成した.
著者
奥野 啓子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
no.42, pp.17-33, 2014-03-01

高齢社会に伴う社会問題を発端として介護の社会化が進んでいる。高齢化による福祉ニーズの多様化に伴い,「量の確保」に加え「質の確保」が新たな課題として取り上げられ,介護の専門性が新たな問題として,問われ出している。本研究の目的は,組織としてとりくんでいるグループ会議と,個人の経験をインタビュー調査をすることで,実践場面におけるケアワーカーの専門性を明らかにすることである。調査は介護老人福祉施設に勤務するケアワーカーを対象に実施した。取材し得られたデータは,KJ 法を用いて統合し,その構造を明らかにした。介護の専門性は「ケアに潜む5 つの罠」「空転する思い」といった2 つの〈不全〉に流されることなく,価値に根拠をおき,そこに知識や理論が加わり,総体としての介護過程を実践し,「経験の質」「共有の質」があがり,その結果としてよい評価ややりがいといったケアワーカーにとっての強みと独自性が発揮されることまでを含むことが,本研究によって明らかになった。ケアワーカー専門性実践場面
著者
友常 祐介 矢嶋 まゆみ 奥野 浩 山本 一也
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2021-0017-JI, (Released:2023-01-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1

2011年3月に起きた東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所における事故において,日本原子力研究開発機構では最初の1年間にのべ約45,000人の職員が本来の職場を離れて電話相談,一時帰宅支援,環境モニタ リングなどの支援業務に従事した.特に,住民と直接に接する電話相談に従事した職員には,感情労働に伴うストレスがかかった.同機構の核燃料サイクル工学研究所ではこれらの支援業務に従事した職員に対して,組織的なメンタルヘルスケアを行った.本論文では,今回の活動を支援者への支援の具体例と位置づけ, 原子力災害において住民等の支援を行う職員のメンタルヘルスについて考察した.
著者
奥野 啓子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.17-33, 2014-03-01

高齢社会に伴う社会問題を発端として介護の社会化が進んでいる。高齢化による福祉ニーズの多様化に伴い,「量の確保」に加え「質の確保」が新たな課題として取り上げられ,介護の専門性が新たな問題として,問われ出している。本研究の目的は,組織としてとりくんでいるグループ会議と,個人の経験をインタビュー調査をすることで,実践場面におけるケアワーカーの専門性を明らかにすることである。調査は介護老人福祉施設に勤務するケアワーカーを対象に実施した。取材し得られたデータは,KJ 法を用いて統合し,その構造を明らかにした。介護の専門性は「ケアに潜む5 つの罠」「空転する思い」といった2 つの〈不全〉に流されることなく,価値に根拠をおき,そこに知識や理論が加わり,総体としての介護過程を実践し,「経験の質」「共有の質」があがり,その結果としてよい評価ややりがいといったケアワーカーにとっての強みと独自性が発揮されることまでを含むことが,本研究によって明らかになった。
著者
奥野 圭子 Okuno Keiko
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
神奈川大学国際経営論集 = Kanagawa University international management review (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
no.46, pp.45-68, 2013-10

周知の通り、オーストラリアは、アメリカ、カナダと並ぶ移民国家である。移民国家の特徴として挙げられるのは、帰化しなくても自国の国籍を保持したまま永住権を取得し、安定した居住を送られることにある。同国に限っては、二重国籍も認められているため、国籍国の法が許すのであれば二つの国籍を有し、さらなる安定した居住も可能である。このため、いろいろな国の人々が集まり、多文化主義を成功させている国のイメージが保たれている。しかし、現在のオーストラリアでは、高等法院が、永住者をも「外国人」として取り扱い、相当長期にわたって同国で居住していた者まで、退去強制令の対象とするという判決を下したため、一概にそうとも言えなくなってきた。何故、そのようなことになったのか、永住者には、同国に居住する権利はないのか。移民国家へ相当長期または永続的に居住することを目的とする移民は、永住者だけではない。このような者が、居住国を本拠地として選び、安定した居住を保障されることは、基本的人権にかかわることではないのか。本稿の目的は、相当長期ないし永久に居住する者に対する「居住の権利」についての探求にある。この点を明らかにするためには、まず、同国の歴史、法の変遷、判例を分析し、当該権利の性質を明らかにすることが必要不可欠である。従来の考え方において、「居住する権利」ないし「自国に戻る権利」は、国民特有の権利として認識されてきた。しかし、現在の国際化社会に求められることは、国民以外の者に対する当該権利の探求にある。この考え方に特化しているのは、外国人を自国に有益な存在として長期ないし永続的に受け入れることに長けている移民国家であることは間違いなかろう。そこで、本稿では、移民国家のなかでも、かつて「家族再会」の理念の下に移民政策を行ってきた歴史のあるオーストラリア法を明確にし、この先、わが国が考えなければならない外国人受入れに関する法制度の再構築について検討する。研究論文
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012
被引用文献数
5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
奥野 良之助
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-34, 1988-04-30

Life histories of 16 males and 3 females and survival records of 9 injured individuals of the Japanese toad, Bufo japonicus japonicus, are described. Sixteen males which lived from 8 to 11 years participated in the breeding ritual an average of 5.1 times, mated females an average of 1.3 times, and reached 119.7mm in snout-vent length throught their lives. Three females which lived from 7 to 9 years spawned 2.7 times and reached 117.0mm. Extensive data was provided by one male without a left hind leg which was recaptred 55 times during his 8 years life. The fact that this male participated in the breeding ritual 4 times, successfully copulated once, and reached 114mm in body length illustrates that intraspecific competition in the Japanese toad is not as severe as in other species.
著者
中奥 由里子 水本 智咲 萩原 麻衣 奥野 知子 松井 大
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.361-365, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

要旨:症例は69 歳男性.胸腹水貯留,好酸球増多の原因精査中に多発性脳梗塞を発症した.基礎疾患はT 細胞性リンパ腫と診断でき,リンパ腫に付随した好酸球増多であった.頭部MRI では大脳皮質・皮質下の境界領域,小脳半球などに多発する微小梗塞を認めた.好酸球増多症候群の1 症状としての脳梗塞と考え,ステロイドパルス療法を施行し,反応性に好酸球数が低下した.T 細胞性リンパ腫に対し化学療法を施行するも奏功せず,DIC を発症し多臓器不全となり死亡に至った.剖検では脳の血管内・実質には好酸球の浸潤を認めなかった.好酸球増多による脳梗塞の病理学的症例報告は少なく,貴重な症例と考え報告する.
著者
奥野 淳也 岩井 将行 瀬崎 薫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

SNSの普及に伴い,現代では日々膨大なデータが蓄積されている.これらのデータの中には,ユーザの行動や興味に関する情報が含まれている.ユーザに関する情報は,都市計画やマーケティング等の分野から注目され,様々なデザインにおいても重要視される.一方で,現代におけるリサーチ手法はパーソントリップ調査に代表されるようなアンケートやワークショップが主流である.これらの手法では参加者の偏り,コスト面,実施期間といった点における問題が指摘されている. このような背景を受けて,SNSやブログからの情報抽出に関する研究が活発に議論されている.これらの研究の多くが,特定のキーワードや人物,地域に関する情報に注目しており,ユーザが意識的に共有する情報だけでなく,潜在的に共有あるいは保持している情報に注目しているものは多くない.本研究ではユーザ自身のSNS上の情報に対する認識範囲に注目し,SNSにおけるユーザの情報の認識範囲を視覚的に把握する手法について提案し,評価を行った.その結果,ユーザが意識していなかったSNS上の情報を把握することができた.今後は考察により明らかとなった課題の改善と,より多くのユーザが利用できるようにアプリケーションを公開することで,行動情報に関するリサーチ手法の一助となるよう研究を継続したい.<br>
著者
中田 正夫 前田 保夫 長岡 信治 横山 祐典 奥野 淳一 松本 英二 松島 義章 佐藤 裕司 松田 功 三瓶 良和
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.361-368, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
13 14

西九州には縄文早期の鷹島遺跡や数多くの縄文前期から中期の水中遺跡が存在する. これらの遺跡が水没したおもな原因は, 最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタシーに帰すことができる. 本論文では, このことを定量的に示した. この研究をさらに進めることは, 両極の氷床モデルや地殻とマントルのレオロジーを推定するのに非常に有益である.
著者
犀川 陽子 岡本 博樹 乾 泰地 橋本 貴美子 中田 雅也 真壁 みどり 奥野 智旦 須田 隆
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.443-448, 2001

A poisonous mushroom Podostoma cormu-damae caused two lethal poisoning in Japan in 1999 and 2000. Some of the following symptoms are observed in these poisonings: gastrointestinal disorder, erroneous perception, decrease in the number of leukocytes and thrombocytes, deciduous skin of face, loss of hair, and atrophy of the cerebellum which brings about a speech impediment and voluntary movement problems. We studied the toxic constituents of its culture broth and the fruit bodies using lethal effect on mice as an index. The extracts from the culture filtrate and the fruit bodies were injected into the abdominal cavity of a mouse. The lethal effect was observed in both extracts from the culture filtrate and the fruit bodies. The organic extracts of the culture filtrate were chromatographed on silica gel to give the major compounds 1, 2, and 3. The ^1H and ^<13>C NMR spectroscopic analyses revealed that these compounds 1〜3 are members of the macrocyclic trichothecene group. Comparison of the spectral data of 1〜3 with those in the literature revealed that 1 is roridin E, 2 is verrucarin J (muconomycin B), and 3 is satratoxin H. On the other hand, the fruit bodies were extracted with water and methanol. The water extracts were chromatographed on ODS to give satratoxin H (3), and the methanol extracts were chromatographed on silica gel to give 4〜6. The NMR and MS analyses showed that 4, 5, and 6 is the 12',13'-diacetate, 12'-acetate, and 13'-acetate of satratoxin H (3), respectively. The 4〜6 are new compounds that occur in nature. All these macrocyclic trichothecenes except for 2 had a lethal effect on mice by at least 0.5 mg per capita.