著者
奥野 隆史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.431-451, 2001-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
52

F. K. Schaeferの例外主義論文の発表以来,今日までに半世紀を経ている.その間, 1960年代前半の既存の統計手法の利用に始まり,その後地理学固有の概念・手法の重視が叫ばれ,それに伴い立地論のモデル展開や空間行動の計量分析などが盛んとなり,そのアブ面一チが集計的なものから非集計的なものへと変化していった・1970年代後半以後・際立った変革が技術と方法の両面に現れてきた.主なものはGISの発達とロにカルモデルの構築である.GISの計量地理学分析への結合は必ずしも十分ではないが,分析法のコンピュータプログラム化の遅れとともに,それの未開発部分の多さにもその原因がある.近年における分析法の開発の主点は,前代の空間プロセスのグローバル面のモデル化から,それのローカル性に焦点を当てたモデル化に移行されっっある.この移行は,地域個性の計量的解明を目指すとともに,空間的非定常性問題の解決を意図する動きといえる.それに関して, (1) 点パターンや空間的自己相関などの伝統的問題に対するローカル分析, (2) 空間的拡張法,空間的適応フィルタ法,多水準モデル法,地理的加重回帰法など多変量的問題状況に対するローカル分析について論評する.またこれらの分析と深く関わる可修正地域単位,実験的推測,地理的加重モデルなどの新しい研究動向にっいても言及する.
著者
奥野 淳一
出版者
低温科学第76巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.205-225, 2018-03-31

気候変動が引き起こす氷床変動とそれに伴う海水量変動は,地球表層における質量分布を変化させ,固体地球を変形させる.これは粘弾性的性質をもつ地球がアイソスタシーを回復しようとする変動であり,多様な時空間スケールの観測より検知されている.海水準変動や地殻変動,および重力場変動といった測地学的,地形・地質学的な観測値は,時間・空間スケールの異なる固体地球の変形が重畳していることから,観測値より氷床変動や地球内部構造を推定するためには,アイソスタシーの原理に基づいた数値モデリングが必要不可欠である.ここでは,氷河性地殻均衡(Glacial IsostaticAdjustment)の数値モデリングに基づいて氷床変動・地球内部構造を推定した研究について紹介する.
著者
池田 紀子 奥野 茂代 岩崎 朗子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.36-43, 2004-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究は死別した高齢女性のサポートグループにおける悲哀の仕事について,参加者の語りから明らかにすることを目的とした.夫と死別した高齢者女性に対し,1回2時間,計10セッションのサポートグループにおける参加者の語りの内容を分析した.その結果,大きく6カテゴリーに分けられた.(1)夫の介護と看取り,(2)夫への思慕,罪悪感,怒り,(3)抑うつ,(4)家族や友人の中での孤独と傷つき,(5)あきらめから受け入れへ,(6)これからの人生に向けての生活の再構築,であった.またこれらのテーマは死後数か月から1年以上を経ても,その量や質を変化させながらも,つねに同じように語り続けられ,これらは重層的に関連しつつ悲哀の仕事を促進させた.サポートグループにおいて自由に自発的に自らの悲しみについて語ることやファシリテ一ターや参加者同士の相互関係により悲哀の仕事が促進することが明らかになり,また仲間との出会いや,今後の地域での交流への発展の可能性が示唆され,グループの果たす意味を明らかにすることができた.
著者
大坊 沙理菜 奥野 雅子
出版者
一般社団法人 日本家族心理学会
雑誌
家族心理学研究 (ISSN:09150625)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-121, 2022-03-31 (Released:2023-05-19)
参考文献数
26

The purpose of this study was to map the process of rebuilding family relationships through rituals after the death of a family member. Participants were ten Buddhist priests. Data were collected using semi-structured interviews and analyzed using modified grounded theory. Findings resulted in a model with five stages: “attitudes toward the ritual,” “grappling with bereavement,” “the Buddhist priest’s approach,” “rebuilding,” and “collapsing.” These stages were further subdivided into 47 concepts. The main findings were as follows. First, family members have either a positive or negative attitude toward rituals. If a family member dies, the family performs a funeral ritual. This ritual allows them to face the reality of the death and their emotions. A Buddhist priest approaches the family of the deceased at this point, and the family members rebuild their relationships through the ritual along with the Buddhist priest, other mourners, and the deceased. Thus, two conclusions can be reached. First, family members rebuild their relationships and stabilize them through communication with a Buddhist priest, other mourners, and the deceased. Whether they have a positive attitude toward the ritual does not matter. Second, rituals for the deceased are meaningful to family members because thinking of death allows them to sense the preciousness of life.
著者
宮本 将太 高谷 悠大 奥野 善教 邑田 悟 篠塚 健 下戸 学 柚木 知之 趙 晃済 大鶴 繁 小池 薫
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】三環系抗うつ薬(TCA)は過量摂取時に強い毒性を有することが知られており、死に至ることもある。主な死因に痙攣や致死性心室性不整脈が挙げられる。今回、処方にTCAが含まれていなかったにも関わらず、痙攣と致死性心室性不整脈を発症し、不整脈の加療およびTCA中毒と判断するのに苦慮した一例を経験したため報告する。【臨床経過】双極性障害を既往に持つ39歳男性、身長163cm、体重63kg。これまで6回の薬物大量内服による救急搬送歴があった。来院2時間前に、薬物大量服用の意思を友人に電話で伝えていた。友人到着時は意識清明だったが、徐々に意識レベルが低下したため救急要請し、当院搬送となった。来院時はJCS300、血圧128/77mmHg、心拍数141/分・整、呼吸数32回/分、SpO2 90%(高濃度酸素マスク10L投与下)だった。来院直後、脈あり心室頻拍が出現したが1分以内に自然頓挫した。その後けいれん発作が出現したため、ジアゼパム、レベチラセタム、ビタミンB1を投与したが発作を繰り返し、気管挿管の上でプロポフォール持続投与開始したところ鎮痙した。しかしその後、脈なし心室頻拍も持続したため蘇生を行った。ショック遷延に対して複数の昇圧剤および炭酸水素ナトリウム投与を要した。心エコーおよび全身CTでは特記すべき器質的病変を認めなかった。尿中薬物定性検査ではベンゾジアゼピン、TCAが検出されていたが、判明していた内服薬にTCAは含まれていなかった。病歴と合わせて薬物中毒による痙攣および致死性不整脈が起こっていると考えられた。集中的な全身管理が必要と判断し、ICUに入室させた。入室時APACHE2スコアは32点、SOFAスコアは17点だった。ICU入室後は昇圧剤投与下でも血圧80mmHg前後で推移していたが、第2病日に脈なし心室頻拍出現、CPR開始した。除細動2回施行し、アドレナリン投与含む蘇生を行ったが、自己心拍は再開しなかった。来院されたご家族に状況説明したところ、V-A ECMO導入は希望されず、死亡確認を行った。後日、血液検査結果では、アミトリプチリンが2034ng/mLと致死量を超える血中濃度を示していた。以上よりTCA中毒により痙攣および致死性不整脈が生じたと考えられた。【結論】TCA処方歴のないTCA中毒を経験した。急性薬物中毒が疑われる症例では、処方歴よりも顕現している症状から原因薬物を検索すべきである。
著者
赤澤 堅造 一ノ瀬 智子 前田 義信 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual60, no.Proc, pp.275-277, 2022 (Released:2023-05-12)

筆者らは認知症に対する楽器演奏,音楽療法に関心があり,エビデンスに関して文献レビューを実施して,楽器演奏が健常者の認知症リスクを減少させる効果があることを報告した.当学会大会でも報告した(第1報(2018),第2報(2019)).筆者らは,演奏初心者でも本格的な演奏が楽しめるアクセシブルな電子楽器サイミスを開発しており,短期であるが,地域の健康な高齢者を対象としたサイミス応用の準備的な研究を実施した.ここで判明したことは,認知症予防のためのプロトコルを策定する必要があることである.最近,健常者,MCI者に対する音楽介入のランダム化比較試験の報告がいくつかあるので,プロトコル策定の手がかりをえるために,「認知機能」に焦点を当て文献レビューを実施した.本発表では,その文献レビュー結果を報告する.
著者
菅沼 悠介 三浦 英樹 奥野 淳一 Yusuke Suganuma Hideki Miura Jun'ichi Okuno
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.85-90, 2012-07-31

宇宙線生成核種を用いた表面露出年代測定法は,地球表層における様々な現象を理解するために非常に重要な年代測定法である.この年代測定法には,年代決定精度が試料形状に依存するという特徴があり,試料採取の際に試料の厚さと形を高精度で測定することが必要となる.しかし,ハンマーやタガネを用いた従来の手法では,このような要求を満たす試料採取は時として困難であった.そこで本研究では,新たに携帯型電動カッターを用いた試料採取手法を提案する.この手法は,迅速かつ精密な試料採取および形状測定を可能とすることから,結果として年代測定精度の向上につながるものである.簡単な理論計算に基づき不完全な試料形状に起因する年代差を求めたところ,試料の採取深度が大きくなるにしたがって年代差が大きくなることが分かり,表面露出年代測定法における精密な試料形状測定の重要性が示された.
著者
金沢大学資料館 奥野 正幸 宮島 宏 濱田 麻希 松永 篤知
出版者
金沢大学資料館
巻号頁・発行日
pp.1-17, 2018-09-19

開催期間: 平成30年9月19日(水)~10月28日(日)
著者
高尾 敏文 斉藤 秀之 田中 直樹 飯塚 陽 奥野 純子 柳 久子
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.180-187, 2011-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
30
被引用文献数
6

【目的】本研究の目的は,慢性期脳卒中患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習(BWSTT)の即時効果について明らかにすること,さらに継続介入による効果と合わせて,BWSTTによって歩行能力がどのように変化していくのかを示すことである。【方法】対象は,慢性期脳卒中患者8名であった。内訳は,年齢(平均 ± 標準偏差)は59.0 ± 9.0歳,性別は男性6名・女性2名,片麻痺の原因疾患は脳出血5名・脳梗塞3名,麻痺側は右7名・左1名であった。週3回・4週間(計12回)のBWSTTを実施した。【結果】BWSTT実施前後では,歩行速度は実施前に比して後が有意に速く,歩幅は実施前に比して後が有意に広がった。継続介入による効果では,快適歩行速度,最大歩行速度,最大歩幅および最大歩行率で有意な改善を認めた。【結論】慢性期脳卒中片麻痺患者に対するBWSTTによる歩行速度の改善は,即時的には歩幅の改善,経時的には歩行率の改善による可能性が示唆された。
著者
山本 雅司 奥野 未佳 佐々木 崇博 藤本 雷 片岡 葉子 川島 佳代子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.979-988, 2020 (Released:2020-12-14)
参考文献数
17

【背景・目的】IL-4受容体抗体薬デュピルマブは,Th2型炎症疾患のキードライバーであるIL-4,13を介するシグナル伝達路を阻害することで,アレルギー性鼻炎に対する治療効果が期待できる.今回重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブのアレルギー性鼻炎に対する治療効果の検討を行った.【方法】デュピルマブによる治療を開始した重症アトピー性皮膚炎患者のうち,通年性アレルギー性鼻炎を合併した21症例に対して前向き観察研究を行った.アレルギー性鼻炎に関して最重症・重症群と軽症・無症状群に分けて検討を行った.【結果】最重症・重症群においては自覚的な鼻症状,アレルギー性鼻炎に関わるQOLの評価,フェイススケール,鼻内所見において,一部項目を除き有意な改善を認めた.軽症・無症状群においては全ての項目で有意な改善を認めなかった.また自覚的所見においては他覚的所見と比較すると低く評価される傾向を認めた.【結語】重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブは重症通年性アレルギー性鼻炎に対して治療効果を持つと考えられる.
著者
奥野 将成
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、ラマン顕微分光法をイメージング手法として成熟させ、ラマン・イメージの取得時間を著しく短縮することである。平成23年度における、本研究の成果としては、次のとおりである。1.CARS分光顕微鏡の生細胞への応用。動物細胞への界面活性剤の作用について、時間分解測定を行い、ラマン分光イメージとしてそれらの動的挙動の追跡を行った。それにより、界面活性剤が細胞内に数10mMの濃度で蓄積していることが示唆された。さらに、細胞内膜輸送に関係する微小管の生成を阻害する薬剤を滴下し、同様の実験を行った。薬剤を滴下しない場合と比較して、有意に界面活性剤の蓄積速度が減衰した。これにより、界面活性剤の細胞内への取り込みに、細胞内膜輸送が関係していることが示唆された。これは、従来の顕微鏡技術では観測できなかった分子のダイナミクスであり、本研究で製作した広帯域のラマンスペクトルを高速で取得できる装置によって、はじめて明らかになった。また、本研究で開発した、CARS分光顕微鏡と最大エントロピー法を組み合わせる技術によって、細胞内の分子濃度を定量的に見積もることに成功した。2.ラマン分光イメージングの絶対定量化の試み。前年度の研究をさらに発展させ、さまざまな生体分子について、それらのラマンバンドの絶対ラマン散乱断面積を求め、それを用いることで、生体分子の生体中濃度を見積もった。シトクロムbおよびc、フェニルアラニン残基、核酸(DNAおよびRNA)、脂質分子の濃度を見積もった。また、生体中の脂質分子の不飽和度をレーザー焦点中の平均値として見積もることに成功した。これは、従来の蛍光顕微鏡などの方法では得ることのできない情報である。また、2つの国際会議、及び2つの国内会議に出席、発表を行い、他の研究者との交流を深め、研究に関する示唆を得た。
著者
平島 円 奥野 美咲 髙橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.108, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】pHが13を越える強アルカリ性では,加熱せずに澱粉の糊化(アルカリ糊化)が起こる。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品のpHはアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品で扱われるアルカリ性のpHの範囲を考慮して糊化させた澱粉の老化に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sorensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(約pH 6.5)とした。糊化させた試料を5oCで0-45日間保存した後,DSC測定,透過度測定と離水測定を用いて老化過程について検討した。【結果】タピオカ澱粉は老化しにくい澱粉のため,コンロトールを含め高pHに調整した試料すべてにおいて,本研究で用いた保存期間内では老化の進行はほとんどみられなかった。一方,コーンスターチにおいては,pHが高くなるほど,保存に伴うDSC測定から求めた老化率の変化は小さかった。また,澱粉糊液の透明度と離水率もpHが高いほど変化は少なく,pHを高くすると老化の進行がゆるやかになるとわかった。特に,食品で扱われるよりも高い12.6を超えるpHでは,澱粉糊液の透明度はほとんど変わらず,離水も起こらなかった。以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の老化は進行するが,コントロールよりも老化の進行はゆるやかになるとわかった。また,非常に高いpH(pH13程度)では,老化の進行が非常にゆるやかになるとわかった。
著者
宮野 道雄 生田 英輔 長嶋 文雄 田中 裕 梶原 浩一 奥野 倫子
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.49-54, 2008-11-14 (Released:2019-04-18)
参考文献数
18

The immediate victims of the 1995 Hyogo-ken Nanbu Earthquake included 5,502 dead and 41,527 wounded. The death rate among victims in collapsed buildings was purported to be as high as 90%. However, we have no way to examine how the victim got dead or wounded, except for autopsy and interview with the bereaved. We need knowledge in detail about what part of building or furniture caused casualty and how it was occurred. Therfore, we aimed to make a dummy to measure human body damage due to collapsed buildings or toppled furniture. This dummy will be used in large-scale fracture tests of buildings to evaluate human body damage due to earthquakes.
著者
岡田 将太朗 奥野 拓
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2021-IS-158, no.5, pp.1-4, 2021-11-27

本研究の目的は,マインドフルネスを用いてスマートフォン依存症を容易に改善できる仕組みを実現することである.そのために,マインドフルネス認知療法を支援するスマートフォンアプリを構築する.本研究ではマインドフルネス認知療法の一種であるマインドを用いる.マインドは,出来事や思考に対する自身の感情を擬人化して扱う手法である.自身の感情を擬人化し客観的に観察することにより,その感情を引き起こした出来事や思考に対するストレスを軽減させるという効果がある.本研究にて構築したアプリでは事前にユーザに,依存しているアプリとそのアプリを制限したい時間帯を設定してもらう.その後,設定した時間帯に依存アプリを開いた場合にのみ,本アプリが自動的に起動する.ユーザはその際に浮かんできた思考や出来事を記入する.記入後,それらの思考や出来事に対する感情が推定されるため,その感情を観察することでマインドを行う.しかしながら,先行研究においてスマートフォン依存症者にスマートフォンを通じてマインドフルネス認知療法を行うことや,推定された感情を観察してマインドを行うことの有用性については検証されていないため,本研究では脳波や構築したアプリから取得するデータを用いて,それらの有用性についても検証を行う.