著者
長岡 信治 奥野 充 新井 房夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.432-450, 2001-07-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
74
被引用文献数
23 23

100~30 kaにおいて姶良カルデラでは, 日木山降下スコリア堆積物(103~95 ka), 金剛寺火砕サージ堆積物, 福山降下軽石堆積物(95~86 ka), 岩戸テフラ(60 ka, )大塚降下軽石堆積物(32.5 ka), 深港テフラ(31 ka), 毛梨野テフラ(26.5 ka)の7層のテフラが認められる.これらの噴火口は, カルデラの東半部に集中している.これらのテフラの噴出と並行して敷根安山岩などの溶岩も流出しており, 平均噴火間隔は7500年に1回となる.27 kaの姶良火砕噴火直前の32.5~30 kaでは噴火間隔は約1000年と短くなるが, 噴出量は逆に減少する傾向にある.姶良カルデラ火山は100 ka以降は活動期にあたる.この100~30 kaの噴火活動は, 最新の活動期の前半にあたっている.
著者
森脇 広 永迫 俊郎 奥野 充
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.31-44, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
39

The southwestern rim of Aira caldera, which is situated at the head of Kagoshima Bay, is critical for examining late Pleistocene and Holocene crustal movements of the caldera with respect to volcanic activity. A suite of Pleistocene and Holocene sea-level and eruption records occurs in combination in exposures on the rim, and so tectonic displacement of the caldera as well as volcanic activity in historical times are both obtainable. Using elevations of coastal landforms and deposits, and with a chronology determined via tephrochronology and archeological remnants, we examined vertical crustal movements of the Aira caldera in the late Pleistocene and Holocene, and compared these movements with historical movement in the light of concomitant volcanic activity. The main conclusions are as follows. Aira caldera has been subjected to distinct uplift, with an average rate of 0.5-0.8 mm per year over the past ~108,000 years. The uplift rate of 0.8-1.1 mm per year, from ~7000 cal BP to the present, appears to be higher than that, 0.4-0.7 mm per year from ~108,000 to ~7000 cal BP. Comparison of these late Quaternary uplift rates with those in historical time clearly suggests that volcanic activities of Aira caldera are responsible for the late Quaternary vertical movements in and around Aira caldera. The results help to evaluate future eruptions of Aira caldera, and to examine the relationships between the late Quaternary crustal movement and volcanic activities in other gigantic calderas without sea-level remnants.
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 = Breeding research (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
2 11

イネ (<I>Oryza sativa</I> L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F<SUB>1</SUB>種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF<SUB>2</SUB>集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, <I>wx</I>並びに<I>du</I> 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, <I>wx</I>の対立遺伝子であることが示唆された.
著者
本 秀紀 愛敬 浩二 森 英樹 小澤 隆一 植松 健一 村田 尚紀 木下 智史 中里見 博 小林 武 上脇 博之 奥野 恒久 近藤 真 植村 勝慶 倉持 孝司 小松 浩 岡田 章宏 足立 英郎 塚田 哲之 大河内 美紀 岡本 篤尚 前原 清隆 中富 公一 彼谷 環 清田 雄治 丹羽 徹 伊藤 雅康 高橋 利安 川畑 博昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

比較憲法研究・憲法理論研究を通じて、(1)先進諸国が「ポスト・デモクラシー」という問題状況の中でさまざまな問題を抱えていること、(2)各国の政治状況・憲法制度の差異等が原因となって、その問題の現れ方には多様性があること、の2点が確認された。そして、「ポスト・デモクラシー」の状況の下で国内・国際の両面で進行する「格差社会」化の問題は、今日の憲法制度・憲法理論において有力な地位を占める「法的立憲主義Liberal Democracy」の考え方では、適切・正当な対応をすることが困難であることを明らかにした。以上の検討を踏まえて、民主主義をシリアスに受け止める憲法理論の構築の必要性が確認された一方、「政治的公共圏」論を抽象論としてではなく、(日本を含めた)実証的な比較憲法研究との関連において、その意義と問題点を検討するための理論的条件を整備した。
著者
奥野 武志
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2011

制度:新 ; 報告番号:甲3266号 ; 学位の種類:博士(教育学) ; 授与年月日:2011/2/26 ; 早大学位記番号:新5570
著者
浜中 雅俊 種石 慶 岩田 浩明 奥野 恭史
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.46-49, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
13

医薬品となる候補化合物のスクリーニングのための,タンパク質と化合物の相互作用の予測について述べる.膨大な種類の化合物から医薬品になり得るリガンド化合物を見つけ出す工程は,開発にかかる時間とコストを押し上げる主要因となっており,計算により優れた性質の候補化合物を絞り込むインシリコ(in silico)スクリーニングの手法が提案されてきた.我々は,これまでサポートベクターマシン(SVM)を用いた予測手法CGBVS法を提案してきた.しかし,その手法では,学習データが増えるにつれて学習時間が長大になるなど,大規模な相互作用データを学習していく上で検討すべき課題があった.本稿では, Deep Learningの一手法である,Deep Belief Networks(DBN)を用いたCGBVS-DBN法を提案し,SVMとの性能を比較する.実験の結果,CGBVS-DBN法がCGBVS法に比べて高い性能であることを確認した.
著者
山本 雅基 小林 隆志 宮地 充子 奥野 拓 粂野 文洋 櫻井 浩子 海上 智昭 春名 修介 井上 克郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_213-1_219, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

本論文では,協働教育の教育効果を測定するための新しい手法について提案して,実証評価する.分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワークenPiTでは,全国の大学院生に対して,情報技術の実践力を高める教育を実施している.実践力の育成を目的とする教育協働における教育効果の測定には,2つの課題が挙げられる.第一に,実践力は専門知識の定着を問うテストでは測定困難である.第二に,履修カリキュラムが異なる受講生を共通の指標で評価することも困難である.本論文では,学習経験を問う質問紙と行動特性を計測するテストを併用することにより,履修カリキュラムが異なる受講生の実践力を統一の基準で評価する手法を提案し,enPiTで実証評価した.
著者
奥野 陽 萩原 将文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.36, pp.1-6, 2009-03-18
被引用文献数
9

本論文では,インターネットを用いた日本語入力システムを提案する。従来の日本語入力システムはインターネットが普及する以前の状況を前提に開発されてきた。一方で,近年の Web アプリケーションの台頭に見られるように,クライアントサイドの機能をサーバーサイドに移す動きが顕著である。提案システムはインターネットのメリットを最大限に活用するため,インターネットを通してサーバー側で変換を行う。インターネットを用いることで,次のような利点がある。(1) Web 上の文章から抽出された大規模な統計量を用いることができる。(2) サーバーサイドの豊富なハードウェアリソースを利用できる。(3) ユーザーが登録した単語を共有することで,専門用語や流行語などの単語を変換できるようになる。提案システムの評価を行うため,初心者ユーザーを想定して文章を入力する評価実験を行った。実験の結果では,提案システムは Microsoft Office IME 2007 と比べて入力時間が平均 21%,キータイプ数が平均 26% 削減された。In this paper, we propose a Japanese input system based on the Internet. The advantages of usage of the Internet are the following three merits; (1) The large-scale statistic extracted from the Web can be used; (2) the rich hardware resource of the server-side can be used; (3) the words such as a technical term or the vogue word can be converted by sharing the words that users registered. From the result of the experiments, as for the proposed system, an average of 21% in input time and 26% in the number of the key types were reduced in comparison with the Microsoft Office IME 2007,
著者
奥野 博庸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究者はこれまでにインプリンティング疾患として有名なプラダー・ウィリー症候群患者よりiPS細胞を樹立し、欠失型PWSでは健常者由来細胞に比べて、iPS細胞化にともない、インプリンティングが部分的に解除されやすいことを見出した。PWS-iPS細胞を用いた患者モデルをin vitroで作成するためにはメチル化が維持される必要がある。またPWSが視床下部に関連する症状を主に呈しており、iPS細胞由来視床下部がin vitroモデルのターゲットになると考える。MeCP2結合領域をゲノム編集技術で皮膚線維芽細胞において欠失させてiPS細胞樹立を試みたが、iPS細胞の維持培養が困難であった。本年度は、すでに作出した健常者iPS細胞においてMeCP2結合領域を欠失させた細胞株の創出を試みた。また、iPS細胞から視床下部前駆体ニューロンへの安定して分化誘導する系を検討した。
著者
倉石 精一 梅本 堯夫 安原 宏 奥野 茂夫 村川 紀子 百名 盛之 添田 信子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.23-31,67, 1969-10-15 (Released:2013-02-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

この研究の目的は, 数学学力の発達的な変化を, 知能との関係において分析することにあった。そのためまず小4, 小6, 中1, 中3, 高2の計491名の被験者に, 算数数学学力検査と京大NX知能検査を行なった。算数数学学力検査は学習指導要領に従って, 小中学校では数概念, 量概念, 図形概念, 関係概念, 実務, 問題解決の6下位検査からなり, 高校では数量概念, 図形概念, 関係概念, 問題解決の4下位検査からなるものを作成した。まずこのテストの内部関係を求めたところ, かなり高い相関係数がえられたが, 特に関係概念のテストは内部相関も総点との相関も高かった。また相関の比較的低いテストは低学年では実務, 高学年では図形概念のテストであつた。ついで知能検査の因子分析の結果に従い, 各生徒の因子点を算出し, この因子点と算数数学学力テストとの相関を発達的に検討した。その結果小4, 小6, 中1までは言語因子と数学学力テストの相関関係が密接にみられたが, 中3, 高2ではむしろ, 言語因子以外の因子と数学学力テストとの相関が高かつた。また知能偏差値と言語因子点の差によってGP分析を行なつたが, やはり小4, 小6では言語型群の方が算数学力テストの成績がよかったが, 中3, 高2ではむしろ非言語型群め方が数学学力テストの得点は高い傾向がみられた。これらの事実から知能と数学学力との関係は, 単に知能偏差値または知能指数と数学学力テストの総点との単純な相関では一見して発途的になんら変化しないように見えるが, 両者を分析して質的に考察をすれば, 小学校では知能のうちの言語因子と算数学力との相関が高く, それが中学, 高校となるにつれてしだいに言語因子以外の因子と関係が深くなると結論された。
著者
大橋 充典 野田 耕 行實 鉄平 奥野 真由 浦上 萌 Mitsunori Ohhashi Koh Noda Teppei Yukizane Mayu Okuno Moe Uragami
出版者
久留米大学人間健康学部
雑誌
久留米大学人間健康学部紀要 = Bulletin , Faculty of Human Health , Kurume University (ISSN:24350036)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.53-65, 2020-09-01

本稿の目的は,日本における高等教育の現状について,主に文部科学省の政策を中心に整理し,今後の高等教育のあり方について検討することであった。具体的には,高等教育における「マス化」および「ユニバーサル化」について,マーチン・トロウの高等教育論を参考として大学進学率の推移からこれまでの日本における高等教育がどのように変容してきたのかについて整理し,その上で,過去10年において設置が認められた新たな大学の特徴から日本における今後の高等教育政策について提言を行った。戦後の日本における高等教育の歴史は,1947年の学校教育法の成立による1949年の新制大学の発足が始まりとされる。その後,2010年代まで徐々に増加傾向をたどってきたが,2009年には進学率が50%を超えることになり,高等教育が「ユニバーサル化」する時期に差し掛かっている。2009年以降に新たに開設された大学における設置組織について概観してみると,特に看護や医療系の学部や学科,また理学療法や作業療法の専攻が半数程度を占めている。こうした状況を見ると,日本における高等教育は文部科学省主導で量的な拡大が行われてきたと言えるが,一方で,質の向上を含めた「計画的な整備」が進められてきたのかについては,今後も議論する余地が残されている。
著者
中田 正夫 奥野 淳一
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 = Transactions, Japanese Geomorphological Union (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.327-331, 2011-07-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

During the growth of an ice sheet the continental crust beneath and near the ice sheet subsides, while in the decay period of glacier ice the crust is unloaded and rebounds. The process is called glacio-isostasy. The volume of sea water decreases during ice growth, while it increases during ice decay. The changing water load causes the vertical movement of the oceanic crust. The process is referred to as hydro-isostasy. These two processes combined are involved in glacio-hydro isostasy, i.e., the Earth's response to changes in ice and water loading during glacial cycle. The outline of a model for glacio-hydro isostasy is described and an application of the model to the northwestern Kyushu area is briefly introduced.
著者
奥野 航平 松尾 亜紀子
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00369-17-00369, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
20

The numerical analysis on the flight stability of the underwater projectiles are performed using computational fluid dynamics code which consists of gas/liquid phases analysis, 2D calculation method. The nose shape effect on the underwater flight stability is conducted. The ogival nose, the flat nose and the spike nose are used for the nose shapes. The static stability is determined by the direction of pressure on the projectile. The pressure on the flat nose makes projectile stable, although pressure on the ogival nose and the horizontal area of flat nose makes projectile unstable. The spike nose is statically unstable, however it is possible to increase the flight stability by changing the spike radius and the spike length. When the part of projectile gets out of the bubble and contacts with water, the water pressure acts as restoring force, which lead to improve the flight stability. This phenomenon is called ‘Tail slapping effect’. Tail slapping effect works most effectively when only backward of the center of gravity of the projectile contacts with water. The Effects is canceled as the angle of attack increases and the front of the projectile contacts with water. As a result, the improvement of stability due to the tail slapping effect is limited.