著者
赤澤 堅造 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Abstract, pp.S240, 2018 (Released:2018-09-14)

認知症予防には,正常集団から軽度認知障害(mild cognitive impairment MCI) への移行予防, MCIから認知症への移行の予防,認知症の増悪予防,である.米国のnun研究に見られるように,認知症予防の非薬物的な効果は認められている.認知症に対する音楽療法は,3編のコクランレビューがある.「被験者数が少なく,研究の方法論的な品質が低いため,メタ解析を実施できなく,有益な結論を導出できなかった」,との結論である. しかし成果を示す研究報告は多くあり,現状を把握する必要があると考えた.まずメタ解析の研究報告を参考にし,そして最近の文献のレビューを実施した後,効果量を用いてエビデンスを比較し,音楽療法によって得られる認知症予防の効果の現状および課題をまとめた.なお, 結果は次の通りである.認知症に関しては,音楽療法は不安の改善に効果量が中程度である,という結果が得られている.MCIに関しては,楽器演奏により認知機能改善が見られ,正常集団については,楽器演奏が認知症の危険度を低下させる,ことが示されている.
著者
奥野 知里 玉置 明野 市川 一夫 田邉 詔子 内藤 尚久 深見 嘉一郎
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.16, no.12, pp.1749-1753, 1999-12-30
参考文献数
4
被引用文献数
1

3 0 0 0 OA 眼性斜頸の2例

著者
長谷川 善廣 井上 明生 奥野 徹子 村山 哲郎 楢原 知啓 大橋 輝明 宮崎 正樹
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.1397-1400, 1986-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

Two cases of ocular torticollis were reported. One case was a 3-year-old female, and another case was an 8-year-old male. These cases had been diagnosed by orthopedic surgeons as a habitual torticollis. They were introduced to our university hospital because their torticollis position had not been improved after three years old.It was revealed by examination that sterno-cleido-mastoid muscle and range of motion was normal. Their torticollis position was improved by Patch test on one eye and Bielshowsky head tilt test was positive. These findings suggested that it was due to ocular torticollis. They were treated by an ophthalmologist and improved.
著者
野副 重男 小池 隆 辻 恵美 草野 源次郎 瀬戸 治男 青柳 富貴子 松本 春樹 松本 毅 奥野 智旦
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.25, pp.282-289, 1982-09-10

In the course of our continuing investigation of the constituents of a hallucinogenic mushroom, Gymnopilus spectabilis (Japanese name, O-waraitake) collected at Oguni, Yamagata, we have isolated novel type of polyisoprenepolyols designated as gymnopilins -A, -B, and gymnoprenols -A, -B, -C, and -D etc. These substances occured as a mixture of some homologues were separated and throughly purified by means of preparative HPLC and their chemical structures were determined on the basis of the results of oxidative degradation as well as their spectroscopic properties. These polyisoprenepolyols were shown to contain same repeated unit corresponding to hydrated form of usual isoprenoid chain, two or three double bonds and a terminal vicinal diol moiety or the corresponding ester with 3-hydroxy-3-methyl-glutaric acid. The location of double bond was confirmed by the degradation studies. The structures of polyisoprenepolyols such as 1a and 2a have never been encountered in natural products obtained so far. The stereochemistry and biological activities are under investigation.
著者
奥野 克巳
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.53-53, 2010

マレーシア・サラワク州(ボルネオ島)ブラガ川沿いの、人口約500人の狩猟民プナンは、動物と人間の近接の禁止と魂の連続性をつうじて、動物に対する生殺与奪をいわば反省なしに行う西洋とも、動物を殺生する宿命を認めながらも、動物の魂に感謝する日本とも異なる動物との関わり方を発達させてきた。本発表では、プナン社会における動物と人間の関係を民族誌的に記述した上で、自然と社会の二元論について再検討する。
著者
奥野 淳一 三浦 英樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

南極周縁域の大陸棚の深度は,一般的な大陸棚の深度より著しく深いことが知られている.この原因は,南極氷床が地球表層における荷重として作用することで,その縁辺域を沈降させているという仮説がある.本研究では,地球の粘弾性的変形を考慮したグレイシャルアイソスタシーのモデルを用いて,南極氷床荷重を変動が大陸棚深度に与える影響を調査した.数値シミュレーションの結果,現在の氷床分布を表面荷重と仮定すると,南極縁辺域の大陸棚深度の異常を説明することができないことが判明した.しかし,過去に現在の氷床分布より拡大した時期があると仮定した場合,南極縁辺域の大陸棚深度異常を説明できる可能性を示した.
著者
小橋 昌司 諸岡 孝俊 奥野 真起子 森本 雅和 吉矢 晋一 相河 聡
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.54Annual, no.26PM-Abstract, pp.S123-S123, 2016 (Released:2016-11-19)

Total knee Arthroscopy (TKA) is an operation which replaces the damaged knee with an artificial knee implant. There are some kinds of TKA procedures, and various kinds of prosthesis. Thus, it becomes a tough work for surgeons to select an appropriate procedure and prosthesis for individual patients. This study proposes a prediction method of post-operative implanted knee kinematics. It predicts the post-operative kinematics from only pre-operative kinematics using a machine learning method with clinical big data. In 46 TKA subjects, the method predicts the post-operative anterior-posterior translation with a correlation coefficient of 0.77 and a root-mean-squared error of 0.7mm.
著者
赤澤堅造 真殿 隼 星野 佑一 加藤大貴 神谷善三 奥野 竜平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.50, pp.61-64, 2008-05-21

現在,中高年者で楽器の演奏を楽しみたいという希望を持つ人が増えている.本研究室では,開発コンセプトを,"難しい楽曲でも簡単に演奏できる","演奏を楽しめる","上達が出来る"の 3 つとした,バリアフリーの楽譜内蔵型電子楽器 Cymis (Cyber musical instrument with score) の基本システムを開発してきた.本発表では練習には時間を要するが,ボーイングを模擬した動作によりピチカートやアルコなどのバイオリン音による楽曲演奏が可能な弦型 Cymis について発表する.また 6 名の被験者による演奏実験と評価実験を行い,上記のコンセプトに合致した結果を得た.We have developed a barrier-free type of new musical instrument "Cyber musical instrument with score (Cymis)", that the middle and elderly people could play music easily, and joyfully. However, it was difficult for players to control volume of sound with finger pressure. The purpose of this study was to develop a string-type Cymis (Cymis窶都tring) enabling performance of arco and pizzicato with bowing-like motion. Six healthy volunteer subjects played various sorts of musical compositions for an experiment. It was showed that they could play music with Cymis窶都tring and enjoy it.
著者
中田 正夫 奥野 淳一 横山 祐典 長岡 信治 高野 晋司 前田 保夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.315-323, 1998-10-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
9 16

西九州には,縄文前期から縄文中期の水中遺跡が存在する.最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタティックな地殻傾動は,これらの遺跡の沈水を定量的に説明することができる.これらの水中遺跡の分布は,地球の約250kmまでの深さの粘性構造に敏感に対応した事実を示している.この地域の海面変化の観測値と理論値を比較検討した結果,観測値を説明しうる粘性構造は,リソスフェアの厚さが30~50km,リソスフェア下200kmのアセノスフェアの平均的な粘性率が(8~20)×1019Pa sであることが判明した.つまり,アセノスフェアとその下の上部マントルとの粘性率のコントラストは有意ではなく,日本列島のような島弧域においても,発達した低い粘性率のアセノスフェアは存在しないことが示唆される.さらに,ハイドロアイソスタティックな地殻傾動に規定された後氷期の海水準変動は,空間・時間的に変化し,先史時代の居住地や生活様式を規定した可能性がある.
著者
奥野 孝英 森 光司 堀尾 喜彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.741, pp.23-28, 2004-03-19

スイッチト・キヤパシタ(SC)カオスニューロン回路を用いた,400ニューロンカオスニューロコンピュータを構築し,400ニューロンシステムに動的連想記憶を実装する.連想記憶におけるカオス的振る舞いは,実数の複雑さによってもたらせる.カオスニューロコンピュータに実装されているSCニューロン回路は,アナログ回路で構成されている.アナログ回路は,状態変数が連続値であるため,実数値を扱うことができる.従って,カオス的振る舞いを忠実に再現することができる.一方,デジタル計算機は,実数を扱うことが原理的に不可能である.本稿では,400ニューロンシステムの動作検証結果を報告するとともに,400ニューロン動的連想記憶におけるカオスニューロコンピュータハードウェアとデジタル計算機によるコンピュータシミュレーションの結果から,ネットワークの挙動の違いについての比較・検討を試みる.また,コンピュータシミュレーションでは,ハードウェアの特性を考慮して行う.
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平 金 寛 彼末 一之
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

近年,筋萎縮性側索硬化症,運動ニューロン病など,進行性で,かつ死に至る神経・筋系疾患が多く見られ,その診断,治療のため運動ニューン個数・サイズ分布の計測手法の開発が非常に強く望まれている.本研究では,等尺性随意収縮時の筋電信号を用いて,運動ニューロンの個数およびサイズ分布を推定する新しい理論を提唱し,筋電信号発生のモデルの構築とモデル解析により,推定法の妥当性と推定誤差を明らかにし,臨床診断への適用可能性を示すことを目的とした.本研究では,運動ニューロンの個数およびサイズを推定を以下の通り遂行した.(1)筋電信号発生モデルの構築サイズの異なる多数の運動ニユーロンからなる筋電信号発生のモデルを構築する。運動ニューロンのパルス発射パタンを与えて、筋電信号(時系列信号)をモデルにより作成した。(2)運動単位発火周波数の計測独立成分分析を用いた運動単位活動波形のデコンポジションプログラムの開発を行った.等尺性収縮時の多チャンネル筋電位信号を対象とし,運動単位の同定と運動単位発火周波数を算出した.その結果,収縮レベルの増加に伴い,運動単位発火周波数が増加することを示した.
著者
濵田 麻希 瀧川 哲也 奥野 正幸
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2018年年会
巻号頁・発行日
pp.162, 2018 (Released:2020-01-16)

石川県羽咋郡志賀町の富来鉱山は能登半島のほぼ中央部にあり,鉱床タイプは金山に典型的な鉱脈鉱床である.しかし産出する金鉱物および銀鉱物に関する情報は極めて乏しく,金や銀を含む鉱物種とその産状は不明であるため,本鉱山で産出する金鉱物および銀鉱物の同定と産状の解明を目的とし研究を行った.富来鉱山東郷三番坑の坑道の母岩である輝石安山岩は熱水変質を受けており,斑晶の輝石および斜長石は緑泥石,雲母類,白チタン石に変質しているか,交代されている.母岩中全体に自形の黄鉄鉱,石英脈と母岩との境界に他形の黄銅鉱が産出している.これらの変質鉱物と硫化鉱物は鉱床形成に伴う熱水作用によって生じたと考えられる.金・銀鉱物を含む石英脈を伴う試料の主な鉱石鉱物は黄鉄鉱,黄銅鉱,ほぼ純粋なZnS組成の閃亜鉛鉱である.閃亜鉛鉱とともに産出が報告されることの多い方鉛鉱の産出は見られない.エレクトラムは赤褐色石英脈中の間隙中に他形鉱物として産し,およそ47 mol.%程度の銀を含む.アグイラ鉱,自然銀,未同定鉱物の集合体は石英脈間隙中のエレクトラム周辺に他形の鉱物として産する.
著者
森澤 紀彦 大瀧 佑平 菅野 直希 奥野 憲司 卯津羅 雅彦 三井 理華 遣田 美貴 武田 聡 横尾 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.315-320, 2017 (Released:2017-05-28)
参考文献数
22

リチウム中毒は双極性障害の治療に用いられるが, 有効血中濃度領域は比較的狭く中毒域が近いこと, 多岐にわたる中毒症状が注意点としてあげられる. 今回われわれは, 炭酸リチウム24gを内服し, 意識障害およびQT延長をきたした急性リチウム中毒を経験したので報告する. 症例は26歳女性, 希死念慮を認め, 炭酸リチウム24gを過量服薬した. 意識障害を呈したため当院救急搬送され, 過量服薬後1時間程度で胃洗浄を施行, 心電図で軽度のQT延長を認め, 急性リチウム中毒を疑い, 持続的血液透析を開始した. 開始後, 症状改善し, 血中リチウム濃度の再上昇を認めず, 経過良好にて第7病日に退院となった. リチウムは非常に透析性の高い物質であり, 循環動態が不安定な場合には持続的血液透析が望ましい. 急性中毒に対して早期の血液透析開始により, 血中リチウム濃度を低下させ, 脳内および各組織におけるリチウム濃度の上昇抑制が可能となることが示唆された.
著者
奥野 克巳
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.417-438, 2012-03-31 (Released:2017-04-17)

マレーシア・サラワク州(ボルネオ島)の狩猟民・プナン社会において、人は「身体」「魂」「名前」という三つの要素から構成されるが、他方で、それらは、人以外の諸存在を構成する要素ともなっている。人以外の諸存在は、それらの三つの要素によって、どのように構成され、人と人以外の諸存在はどのように関係づけられるのだろうか。その記述考察が、本稿の主題である。「乳児」には、身体と魂があるものの、まだ名前がない。生後しばらくしてから、個人名が授けられて「人」と成った後、人は、個人名、様々な親名(テクノニム)、様々な喪名で呼ばれるようになる。その意味において、身体、魂、名前が完備された存在が人なのである。人は死ぬと、身体と名前を失い、「死者」は魂だけの存在と成る。これに対して、身体を持たない「神霊」には魂があるが、名前があるものもいれば、ないものもいる。「動物」は、身体と魂に加えて、種の名前を持つ。「イヌ」は、イヌの固有名とともに身体と魂を持つ、人に近い存在である。本稿で取り上げた諸存在はすべて魂を持つことによって、内面的に連続する一方で、身体と名前は多様なかたちで、諸存在の組成に関わっている。諸存在とは、身体と魂と名前という要素構成の変化のなかでの存在の様態を示している。言い換えれば、諸存在は、時間や対他との関係において生成し、変化するものとして理解されなければならない。人類学は、これまで、精神と物質、人間と動物、主体と客体という区切りに基づく自然と社会の二元論を手がかりとして、研究対象の社会を理解しようとしてきた一方で、複数の存在論の可能性については認めてこなかった。そうした問題に挑戦し、研究対象の社会の存在論について論じることが、今日の人類学の新たな課題である。本稿では、身体、魂、名前という要素の内容および構成をずらしながら諸存在が生み出されるという、プナン社会における存在論のあり方が示される。
著者
石井 伸尚 末竹 真将 奥野 裕佳子 武島 玲子 冨田 和秀
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0828, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】COPD患者に対して,換気効率の良い呼吸法を提示しながら有酸素運動を行うと,運動耐容能が改善することが明らかになってきた(Collins 2008)。呼吸筋酸素消費量の少ない呼吸方法は,運動時に呼吸筋の酸素消費量を軽減し運動耐容能の増加に寄与する可能性がある。そこで,我々は呼吸筋酸素消費量の少ない呼吸法をフィードバックする機器の開発を進めている。しかし,随意呼吸における胸腹部運動比と呼吸筋酸素消費量の関係は不明な点が多い。本研究の目的は健常者を対象として,随意呼吸における胸腹部運動比の違いによる呼吸筋酸素消費量(oxygen consumption of respiratory muscles:VO2resp)を測定し,胸式呼吸と横隔膜呼吸のVO2respの差異を比較することとした。【方法】対象は健常男性9名(20.7±1.3歳)とした。測定肢位はリクライニング60度の車椅子坐位とし呼吸筋以外の筋活動が少なくなるように配慮した。VO2respの測定は,容量約12Lの死腔を用いた再呼吸負荷デバイスと呼気ガス分析器を接続し,分時換気量(VE),1回換気量(TV),酸素消費量(VO2),体重あたりの酸素消費量(VO2/W),呼吸数(RR)を測定した。測定条件は安静呼吸3分間,胸式呼吸1分,横隔膜呼吸1分とし,各測定間は十分な休息をとった。胸腹部バンドセンサーを使用し,各条件での胸腹部の動きを記録した。胸腹部運動比は1回換気量における胸部と腹部の変化量の合計を100%とし,そのうちの胸部変化量の占める割合として規定した。胸式呼吸と横隔膜呼吸におけるVO2respは,VO2resp=(随意呼吸時VO2/W-安静呼吸時VO2/W)/(随意呼吸時VE-安静呼吸時VE)と相対的な変化量として算出した。統計処理は反復測定分散分析を行いそのうちVO2/Wの安静時から随意呼吸時の変化量とVO2respは対応のあるt検定を行い,解析にはSPSS,Statistics22を使用し,有意水準を5%未満とした。【結果】胸腹部運動比(%)は安静呼吸28.4±7.5,胸式呼吸65.3±13.3,横隔膜呼吸14.0±5.2となった。RR(回/min)は安静時11.9±4.9,胸式呼吸9.6±2.7,横隔膜呼吸9.7±2.6,VE(L/min)は安静時7.9±2.1,胸式呼吸13.9±5.2,横隔膜呼吸13.2±4.0,TV(ml)は安静時735.6±228.1,胸式呼吸1481.7±289.7,横隔膜呼吸1379.3±239.8であった。VO2/W(ml/kg)の安静時との変化量は胸式呼吸0.645±0.878,横隔膜呼吸-0.213±0.954であり,横隔膜呼吸で有意に低下した(p<0.05)。VO2respは胸式呼吸0.093±0.141,横隔膜呼吸-0.057±0.201であり,横隔膜呼吸で有意に低下した(p<0.05)。【結論】横隔膜呼吸は,呼吸筋酸素消費量の少ない随意呼吸方法であることが明らかになった。今後,呼吸負荷増加時や運動時における横隔膜呼吸の効果について検証を進める必要がある。