著者
小川 耕司 中川 健治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.64-73, 1997-02-25
被引用文献数
11

ATM網では10^<-12>オーダのセル廃棄率の特性を知る必要がある. この特性を一般的なモンテカルロ(MC: Monte Carlo)シミュレーションで得るには膨大な時間を必要とする. インポータンスサンプリング(IS: Importance Sampling)法はMC法の高速化に有効である. ISでは真の分布を変化させたシミュレーション分布でシミュレーションを行う. ISで高速化を図るためにIS推定値の分散が最小となる最適シミュレーション分布を決定することが重要である. ATM網のキューイングにおいて, 定常状態のキュー長Qがある値qを超える確率をP[Q>q]とする. 本論文では, ISの最適シミュレーション分布を用いて高速に10^<-12>オーダのP[Q>q]の推定値を得ることを目的とする. 最適シミュレーション分布を決定する従来の方法では決定に相当の時間を必要とする, 等の問題がある. 本論文では, これらの問題を克服して, マルコフ連鎖の性質とLarge Deviation Theoryを利用して理論的に最適なシミュレーション分布を導出した. そして実際に導出した最適シミュレーション分布でISシミュレーションを行った. その結果, M/D/1, 2状態MMPP/D/1モデルにおいて10^<-12>オーダのP[Q>q]の推定値を高速に得ることを可能にした.
著者
芝山 秀次郎 小川 明子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.207-213, 2000-10-30

佐賀県北部の台地畑作で不斉一発生するナズナの種子の形態や土壌からの発生と環境要因について調査した。結実個体から採取したナズナの1果実内の種子粒数は, 種子の成熟あるいは採取時期により異なったが, 果実の着生位置間で差異は見られなかった。また1果実の左右の莢間についても, 種子粒数の差異は見られなかった。種子の大きさは, 異なる採取時期の種子ともに花茎の下部に形成された果実のものほど大であった。室内におけるナズナの発芽実験では, 採取直後の休眠状態の種子を戸外畑土中に1〜3ヵ月間貯蔵することで休眠が覚醒され, 低温湿潤土中に貯蔵した種子よりも高い発芽率が見られた。しかし種子の採取時期によって, 休眠覚醒の時期が異なった。温度条件については25℃(昼温)-10℃(夜温)が最も高い発芽率となった。屋外におけるナズナの発生実験では, 低温貯蔵した種子は種子採取時期間で出芽様相に差異は見られなかった。採取直後の種子は採取時期間で出芽様相が異なり, それらは降水量の多い時期に出芽率は高くなる傾向が見られたが, 気温の暑い時期あるいは寒い時期の発生は見られなかった。さらにナズナを播種後に人為的な土壌攪乱処理をすると, その後の出芽率はやや高くなった。
著者
小川 心一 清水 正司 蔭山 昌成 富澤 岳人 瀬戸 光
雑誌
核医学画像診断 (ISSN:09124195)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-27, 2002-11

症例1は76歳男.前立腺癌の骨転移精査目的にて骨シンチグラフィを施行したところ,左側上肢前腕部の骨全体に限局した高度な集積増加を認めた.症例2は72歳女.腎機能検査目的にて腎シンチグラフィを施行したところ,両側の腎臓に集積には明らかな異常所見は認められず,左上肢の前腕部全体に集積増加が認められた.これらの2例は共に左上肢前腕部に限局した原疾患を認めていない.原因は不明であるが,核種を動注した可能性があり,核種が前腕の動脈の毛細血管に閉塞したために前腕部に集積像が認められたものと考えられた
著者
小川 晃一 松吉 俊満 門間 健志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.98, no.356, pp.89-96, 1998-10-23
被引用文献数
7

ホイップアンテナと板状逆Fアンテナによって構成された携帯電話用ダイバーシチアンテナに関し、携帯電話を所持する人体による電磁的影響を考慮して900MHz帯における特性を解析した。ダイバーシチアンテナおよび人体をワイヤーグリッド法によってモデル化し、陸上移動無線伝搬環境において、ホイップ長、頭と携帯端末の間隔、鉛直方向からの傾き角と放射効率、平均実効利得(Mean Effective Gain:MEG)、相関係数の関係を定量的に解明した。その結果、頭と端末の間隔が2cmのとき1/4波長ホイップアンテナは-8.5dBd、板状逆Fアンテナは-11dBdの低いMEGを示すこと、そして1/2波長ホイップアンテナの場合、それぞれのMEGは-7dBdおよび-8.5dBdに増加することがわかった。さらに、筐体の傾き角が60°付近の実使用状態では0.3以下の小さな相関係数が得られることがわかった。さらに、人体の各部位(頭、手、肩)に吸収される電力、インピーダンスの不整合による反射電力および非励振素子における消費電力の定量的関係について調べた。
著者
小川 安紀子 藤原 章雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.360-364, 2007 (Released:2008-08-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

アメリカ合衆国のLTERネットワーク(USLTER)では,設立以来,データ共有を基本方針の一つとして,情報マネジメントに力を入れてきた。近年では,これまで蓄積されてきたデータを統合・比較研究などに二次利用するため,メタデータを中心とするエコロジカル・インフォマティクスの最新技術の開発と情報インフラの整備に積極的に取り組んでいる。これらの技術の最近の動向を紹介する。
著者
佐藤 和夫 西川 訓利 鈴木 徳祥 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.892-900, 1996-11-25
被引用文献数
75

人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性をFDTD法を適用して解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは人体頭部と携帯無線機を握る手からなる人体モデル,および金属きょう体に取り付けられたアンテナから構成される.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とよく一致し,人体モデルの影響を含めて携帯無線機用アンテナの特性を精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,携帯電話,およびPHSの周波数帯において,携帯無線機に取り付けられたλ/4モノポールアンテナおよび平板逆Fアンテナの特性を計算した.その結果,放射効率は人体モデルの影響を大きく受け,45%以下にまで劣化することがわかった.更に,人体モデル頭部の形状や携帯無線機を握る手の位置が放射効率に与える影響を明らかにし,アンテナの種類によって人体から受ける影響が大きく異なることを示した.
著者
辰巳 浩隆 黒田 洋生 竹本 靖子 小川 歓 福島 久典 佐川 寛典 植野 茂 白数 力也 神原 正樹 大東 道治 毛利 学
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-407, 1994
被引用文献数
14

臨床の場から分離した methicillin-resistant staphylococci (MRS) 8株と標準株4株に対するアクア酸化水の殺菌効果を検索するために, アクア酸化水と対照の消毒剤 (グルタルアルデヒド, 次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム) の最小殺菌濃度を測定し, 比較検討した.<br> その結果, 4倍希釈したアクア酸化水では, 標準株の <i>Staphylococcus aureus</i> Oxford 209P と <i>Candida albicans</i> ATCC 10259 の発育が, また2倍希釈液では <i>Staphlococcus aureus</i> Oxford 209P の発育が認められた. しかし, 原液のアクア酸化水では, すべての供試菌株に対して全接触時間とも菌の発育が抑制された. 一方, 対照の消毒剤では, MRS 1株に対する 0.01% 次亜塩素酸ナトリウムの場合を除いて, すべて有効であった.<br> このことから, 原液のアクア酸化水は, 対照の消毒剤と同等あるいはそれ以上の優れた殺菌力を有すると考えられる.
著者
小川 周吾 長谷部 賀洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.180, pp.49-54, 2008-07-29

近年ディスクへのアクセス時間が,計算機システム全体の処理時間に占める割合が増加している.またストレージ統合の増加に伴いディスクアレイに対して複数のアクセスが同時に行われる機会が増加し,高いI/O性能が求められる.この問題に対して複数ディスクをRAID構成にすることで,ディスクの耐故障性確保と同時にアクセスを高速化する手法が用いられている.しかしRAIDは,ランダムアクセスに伴うシーク時間の抑制を考慮していない.本稿ではRAID構成のディスクアレイにおいて,ディスク間の冗長性を利用したシーク時間の削減方式を提案する.RAID1構成のストレージ装置のシミュレーションによる評価の結果,提案方式の適用により連続したランダムReadアクセス列による高負荷環境下で,アクセス処理の平均TAT (Turn Around Time)の削減を確認した.
著者
湯浅 美千代 小川 妙子 石塚 敦子 内村 順子 本田 淳子 武井 テル
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.50-57, 2007-03

本研究は,入院期間の短縮化が図られている高齢者専門病院の認知症専門病棟での入院長期化の要因と退院支援の内容を看護師の視点から明らかにすることである。老人性認知症疾患治療病棟2病棟及び身体合併症対応精神科病棟1病棟の師長,主任,リーダー業務を行うスタッフ計9名を3名3グループとしたグループインタビューを実施し,質的に分析した。インタビュー対象者が認識していた入院長期化の要因は,【治療に伴う退院目標の遷延】【退院先探索・決定,待機のための時間消費】【家族の退院受容困難】【入院を長期化させないアプローチの未整備】という4つのカテゴリーにまとめられた。また,インタビュー対象者からあげられた退院支援の内容は,【退院できる状態にむけての患者のケアと治療の調整】【退院を促進するための他職種との連携】【チームでのアプローチ】【家族との連携を通した退院準備】【看護職間の連携と教育】【退院を念頭にした調整】【家族のパワーを保つ支援】という7つのカテゴリーにまとめられた。今後の退院支援の課題として,患者自身へのアブローチの充実,家族に生じうる心情を予測した入院・治療計画,退院後の治療継続のシステム,認知症高齢者への治療選択を検討するシステムがあげられた。
著者
小川 賢治
出版者
滋賀文化短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

この研究において以下の点が明らかにされた。1.叙勲授与は天皇の神聖な意思によるものであり、その証明書である勲記は天皇の権威と切り離せない。それは、勲記における天皇自身の署名、「天祐ヲ保有シ万世一系ノ帝祚ヲ践タル」という修飾語の使用などに現れている。しかし他面、国家そのものが勲章の権威の源泉でもあり、こう解釈する場合には天皇の存在は不要となる。2.勲章制度の本質とも言える差別性は、勲記の様式にも現れている。上位の勲章の勲記には天皇の署名と璽があるのに対し、下位の勲記からはそれは省略されている。また、勲章授与の方式も、天皇親授・太政大臣伝達・賞勲事務局長官伝達、に区別され、参列者・式次第などに明確な格差が設けられている。3.明治時代を例に取れば、叙勲の一般的傾向としては、ア.多くが軍人に与えられている。イ.残りもほとんど官吏であり、民間人の叙勲者は極めて少ない。ウ.金鵄勲章受章の条件とされる「武功抜群」とは、現実には「戦死」を意味する場合が多い。4.軍人の叙勲を見れば、勲等は、爵位の有無・種類、階級の高低、軍における地位の上下、また、金鵄勲章の等級、などに、対応している。5.勲章の授与権者である天皇は、自らに仕える皇室関係者に手厚く勲章を与える。その対象は、皇太子等の教育掛に始まり、侍医、侍従、女官、天皇紀編纂者、宮殿設計者などに亙る。
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.460, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.
著者
間宮 良美 平田 亨 栃木 真人 成田 佳乃 秋谷 司 古堅 進亮 石橋 啓一郎 小川 正至 三木 誠
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1969-1974, 1993-11-20
被引用文献数
7

上部尿路結石に対するESWLは徐々に外来施行での治療が中心となり,我々の施設では78.6%,最近2年間に限れば90%近くと大半を占めるようになった.そこで,その有用性・安全性・問題点などを見極めるために,外来ESWLを行った最初の500腎について検討した.対象は1989年3月から1992年1月までに,LithostarでESWLを行った600例636腎のうち,外来のみで治療を行った481例500腎(両側19例)で,性別は男367・女114例,年齢は16〜77歳であった.結石の部位は腎結石227・尿管結石273腎で,結石の大きさは90%以上が長径20mm以下の結石であった1腎あたりの平均治療回数及び衝撃波数は1.4回・6,988発で,全体の74%が1回の治療のみで,3回以上を要したものは9%であった.また,補助的処置を要したのは23腎(D-Jステント留置が5腎,尿管カテーテル挿入が18腎)のみで,474腎(94.8%)は補助的処置なく実施可能であった. 3ヵ月後の治療成績を評価可能であった470腎についてみると,完全排石率は腎結石70.3%・尿管結石84.5%,全体では78.1%と満足すべき結果であった.合併症として,実施帰宅後に疼痛のため当院または近医にて鎮痛処置を受けたものが4.6%,38℃以上の発熱が2.5%などが認められたが重篤なものはなかった.しかし,その実施にあたっては特に術後合併症の可能性についての十分な説明と,慎重な症例の選択が必要と考えられた.
著者
村松 喬 斎藤 政樹 高崎 誠一 平林 義雄 堀田 恭子 山科 郁男 成松 久 鈴木 明身 永井 克孝 牧田 章 遠藤 正彦 長谷 純宏 鈴木 旺 川嵜 敏祐 松本 勲武 山下 克子 小川 智也 稲垣 冬彦 入村 達郎
巻号頁・発行日
1994-03 (Released:2010-03-26)

科学研究費補助金 研究種目:総合研究(A) 課題番号:03304050 研究代表者:村松 喬 研究期間:1991-1993年度