著者
川島 秀一 隠居 良行 中村 徹 小川 卓克 池畠 良 小林 孝行 幡谷 泰史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

気体力学、弾性体力学、プラズマ物理学等に現れるいくつかの非線形偏微分方程式系に対し、その消散構造・減衰特性を解明し、様々な非線形振動・波動現象に対する漸近安定性を示した。また、緩和的双曲型保存系に対する非線形安定性解析の一般論を構築し、時間重み付きエネルギー法、半群に基づく手法、調和解析的手法等の有効性を確認した。
著者
奥田 沙織 宇田川 幸則 姜 東局 瀬戸 裕之 伊藤 浩子 傘谷 祐之 ブィティ マイラン バトボルド アマルサナ 石川 勝 小川 晶露
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

主にアジア諸国において、面接によるインタビュー調査を中心に元留学生への追跡調査を行うことにより、背景の異なる国々からの留学生への、従来の日本の法学教育の効果と限界を究明し、それを明らかにした。その結果に基づき、これまでの日本人だけを対象としてきた日本の法学教育方法に、国境・年齢を超えたグローバルな法学教育を組み込んでゆくための方法論を模索し、発信型法学教育への転換に必要な観点について論じた。
著者
小川 正二 西村 友良 杉本 光隆
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

冬期および春期に舗装道路や速攻等が被害を受ける原因は路床・路盤の凍結による凍上現象と津血有形作用を受けた土のせん断抵抗力の低下であるといえる。本研究は上記のことを考慮して、将来の凍上防止のための資料を得るために、原位置調査により被害の実態を把握し、室内試験によって凍結-融解作用を受ける土の工学特性の解明を行うことを目的としている。本研究によって得られた結果は以下のとうりである。原位置調査結果1) 1984〜1986年に東北地方に襲来した大寒波により、秋田、岩手、福島の3件だけでも山岳部において、それぞれ1648、746、1958箇所で凍害が生じている。このような凍害は冬期には雪が少ないが気温の低い長野・山梨・群馬県の山岳部では毎年発生している。2) 凍害は地下水位の高市行きでは北海道はもとより、内陸部でも多く見られるが、地下水位の低い路床部の含水比が高いと容易に発生する。また、側溝、マンホール周辺など土と異なる構造物周辺で多い。室内試験結果1) 水の供給できるオープンシステムではシルト湿度の凍上量は大きいが、砂質土では透水性が良く、凍結時に容易に排水が生じるので、ほとんど凍上現象はみられない。2) 水の供給のないオープンシステムでも、たとえ不飽和度でも土中の水分の移動のために、土の飽和度に応じて体積の膨張・収縮が生じる。3) クローズドシステムで不飽和度が凍結-融解作用を受けたときの強度低下は体積変化のみではなく、土中のサクション力の低下によって生じるといえる。
著者
小川 晴久 吾妻 重二 柳沢 南 酒井 シヅ 壺井 秀生 末木 剛博 橋尾 四郎
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

初年度にひき続き『贅語』全六帙の原文の書き下し文作りと注釈(出典,語釈,難読箇所の解釈)の作業を鋭意進めてきたと言う以外に別に述べることも少ない。それを仕上げることが研究実績であるからである。『玄語』が形式上他人の引用がないのに比し(ただし実質的な引用があることは昨年度のこの欄で指摘した),『贅語』はまさに従来の諸見解の吟味の場という意味で引用の世界であると言ってよい。その引用の形式上の特徴は前回記したので再言はしない。ただ今回は天人帙,天命第二を例にとりあげ,引用の実質的な意味について考えてみたい。そこでは「五十にして天命を知る」という論語の命題の意味を『孔子家族』の文章をもとに考察し,「為不為者、在己者也、成不成者。有天者也。天者、無意而成、命者。無致而至。」という梅園の天命理解を孔子の天命観で論証する形をとっている。また論語の「夫子の性と天道を言ふは得て聞きくべからざるのみ」という子貢の言をもとに,性と天道を「聖門の第一義」となした後儒を厳しく批判している。荀子を引用して己れに在る側のもの(すなわち自分の意志で自由になるもの)を修める君子のあり方を強調している点も注目される。総じて先秦時代の遺産(とくに孔子を核とする)を重視し,それによって自説を根拠づけている形式が天命第二から確認できる。朱子学を絶対化せず孔子自身や先秦に帰ろうとする古学の傾向を梅園においても確認することができよう。『贅語』は学説史批判の書といってもよいが,より正格に言えば従来の見解を取舍して,自説を根拠づける作品であるのがその性格である。『贅語』が『玄語』の注であるとは,まさにこの意味である。そして注とは本来このような積極的な意味をもつべきものであろう。かくして『贅語』の各帙(各巻)の章別構成をながめると,ある共通の体系(構成)が看取できそうである。贅語は贅疣ならめ梅園の学問世界の論証の場であった。
著者
野瀬 宰 三木 和典 木村 三郎 小川 實
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

昭和55年濾紙血によるクレチン症のマススクリーニングが全国的に行なわれるようになって多数の新生児クレチン症が発見されている一方今までわからなかった新生児一過性甲状腺機能低下症や、乳児一過性高TST血症、先天性高TSH血症、などの周辺疾患も多数発見されるようになった。しかしこれらの疾患の原因や病態は、一部をのぞいて、現在の所まったくわかっていない。そこで我々は、まず一過性乳児高TSHB症患者16例についての長期臨床予後を追跡すると共に、その下垂体ー甲状腺軸のネガティブフィードバック機構について調べた。その結果この病態は、この機構の、下垂体、又は甲状腺における感受性の未熟性がその本態をなしているのではないかと考え新生児期、乳児期、学童期にわたって、TRH負荷テストを行い、TSHの反応性を調べた。その結果、幼若な時期ほどTSHは過剰遅延反応を示し加齢と共に正常化していく事がわかった。一方日本人はヨード摂取が多いと云われており、これが新生児一過性甲状腺機能低下症や、乳児一過性高TSH血症の病態発生に関係があると思われ新生児の、尿中ヨード排泄を調べた。その結果人工栄養児では平均8.6μmol/lのヨード排泄がみられたが、母乳栄養児では平均16.4±11.5μmol/lと、人工栄養児より高い値をました。次いでマススクリーニングで発見された新生児クレチン症の尿中ヨード排泄は正常児と差がなかった。今後一過性高TSH血症児の尿中ヨード排泄を測定してその発症との関連を調べていく予定である。
著者
小川 寿美子 等々力 英美 有泉 誠 吉田 朝啓 糸数 公 鄭 奎城 崎原 盛造
出版者
琉球大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は過去3年間の研究成果として、論文9本、学会発表17演題、図書3冊、視聴覚教材ビデオ8本、データベース(CD)8枚が産出された。特に最終年度には以下のような具体的な研究実績の収束に努めた。(1)第2回ケース・メソッド研修の実施(平成14年6月30日) 昨年度の第1回同研修に引き続き問題解決型開発教育モデル制作の研修を実施した。受講者は本研究協力者で、この研修後、6本のケース教材が完成した。同教材は、(5)のビデオ教材のジャケットに納める小冊子に添付され、国際協力用の教材として広く活用されている。(2)保健人材班ワークショップ開催(平成14年7月6/7日) 過去3年間でまとめた沖縄の保健人材に関する量的データを用い、システムダイナミックス・シミュレーションモデル策定のワークショップを開催した。結果は(7)で発表した。(3)国際協力への実用化-途上国の保健医療人に対する研修への応用(平成14年4月15/16日,平成15年1月17.23-25日) JICA(国際協力事業団)の研修へと多岐にわたり応用された。4月は九州・久留米市の聖マリア病院での地域保健指導者研修コースで、1月には沖縄国際センターでの島嶼保健医療政策研修コースにて、本研究にて作成された視聴覚教材とケース教材を用いた授業が展開され、受講生(途上国の医師・看護師・助産師)から好評を得た。(4)論文、学会発表、図書 今年度は本研究に関する論文が8本、学会抄録は8本、図書は1冊が産出された。これらは、初年度からの業績も含め、広く世界の研究者と共有すべく、英語に翻訳して、報告書並びに本研究のwebページで情報を開示する作業を進めている。(同年5月末完成予定)(5)視聴覚教材の制作 前年度の2本のビデオ制作に引き続き、今年度は6本のビデオを制作。ビデオ検討会議(各6本分のビデオに関する内容検討会議を、年3回、各6本分のビデオ開催)を経て、平成15年1月に日本語版と英語版が完成。JICA研修((3))をはじめ、日本や諸外国の大学・研究機関にて活用されつつある。(6)データベース(CD) 米国民政府の公衆衛生関連資料をまとめたDB、沖縄県復帰前の保健医療関連新聞記事をまとめたDB、昭和35年から現在までの衛生統計データをまとめたDB、今まで制作した計8本分のビデオ教材をパワーポイント化したDB、の計4種のCDに関して本科研費を用いて作成した。(7)国際シンポジウムの開催(平成15年1月24-26日) 過去3年間の集大成として、国際シンポジウム「沖縄における保健医療人材確保の経験から〜過去50年の検証」を開催。内外からシンポジストを迎え、ビデオ会議、同時通訳付で活発なる意見交換が行われた。同シンポジウムの本番記録は、本研究Webページで公開されている。また、現在、CDにまとめる作集を行っている。(8)最終報告書(英語版)の作成 計418ページにわたる報告書を英語版で作成し、3年間の研究・実践の成果を広く世界の研究教育機関にアピールする。
著者
小川 正晴 仲嶋 一範
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

リーラーミュ-タントマウスの原因遺伝子産物Reelinを特異的に認識し、かつその機能を阻害する効果をもつ抗体CR-50を分取し、皮質ニューロンの配置がReelinによって制御されていることを明らかにしてきた。Reelinは分泌性のタンパク質で、Reelin同士がCR-50認識部位を介して会合体を作ること、この会合体形成がReelinの機能に重要であることを示した。突然変異マウスヨタリの解析からDab1遺伝子の変異によってもリーラーとほぼ同じ表現型を示し、L1レトロトランスポゾンがDab1遺伝子内に挿入された結果スプライシング異常がおこってDab1蛋白質が完全に欠損することを明らかにした。ReelinがCajal-Retzius細胞で作られ分泌されるのに対して、Dab1はこの細胞に隣接するニューロンに発現し、非受容体型のチロシンリン酸化酵素に結合してシグナル伝達に関係する蛋白質である。同じ表現型を示すことから、Dab1はReelinシグナル伝達の下流の要として細胞移動/配置に直接に関係している。細胞外分子のReelinを感知し、細胞内のDab1のリン酸化に連結するような機能をもつReelin受容体の存在が予想された。先にチロシンリン酸化酵素Fynと結合する新規カドヘリン型受容体(CNRs)が八木らによって見い出されていた。またFynの欠損マウスにおいても皮質構造に異常が認められていた。そこで、CNRsがReelinの受容体に該当する可能性が予想され、この点を検討した結果、CNRsが、Reeinの受容体であること、またその結合サイトを明らかにした。CNRsに加えて、膜蛋白質であるapoER2およびVLDLRもReelin受容体であることが明らかにされている。このような複数のReelin受容体がどのように協調して機能しているのか、またDab1の下流において、細胞の移動/配置に関わる要因について現在検討している。
著者
田中 義久 常木 暎生 藤原 功達 小川 文弥 小林 直毅 伊藤 守
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

高度情報化の進展に伴い、コミュニケーション行為およびメディア環境の変容は、対人関係、マス・コミュニケーション、メディエイティッド・コミュニケーションなどと、重層的な連関を通して進行してきている。本研究では、こうした状況を、地域社会におけるコミュニケーションとの関わりの中で捉えることを目標として研究会を開催し、10年前に実施した調査研究(文部省科学研究費・総合研究A・平成3-4年度「コミュニケーション行為と高度情報化社会」)をふまえ、埼玉県川越市で調査研究を行った。1997年度は、地域作りのリーダー層、行政関係者などを中心にヒアリングを行い、1998年度と1999年度には、川越市の旧市街地と郊外住宅地とで、情報機器利用や地域コミュニケーションなどに関する意識や行動について、質問紙による数量調査を実施した。2000年度は、当該地域の住民に対して、ヒアリング、グループ・インタビューを実施した。4年間の調査研究によって、情報化の進展する地域社会の実態を把握するとともに、高度情報化に即応した、コミュニケーションに積極的な層の存在が明らかになった。その上で、地域住民の側からのヴォランタリスティックな「地域社会」形成の行為は、いかに展開されていくのだろうか。コミュニティとコミュニケーションとの連関を、情報化と地域社会の双方に影響するグローバリゼーションの社会変動のなかで注目していくことの重要性は高い。2000年6月には日本マス・コミュニケーション学会において、「情報化の展開と地域における生活」というテーマで研究発表をおこない、11月には日本社会情報学会において「情報関連機器の利用とコミュニケーション行動に関する実証的研究」というテーマで研究発表をおこなった。また年度末には、本研究成果として、文部省科学研究費報告書(冊子)をまとめた。
著者
鈴木 喜裕 小川 伸郎 石和 直樹 伊藤 隆明
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.283-287, 2002-08-20
被引用文献数
8

背景.われわれは肺門リンパ節癌にて,リンパ節切除後に原発巣を切除した稀な症例を経験したので報告する.症例.症例は41歳男性.右肺門部リンパ節未分化癌の術後経過観察中,7年目のCTにて右S^6に小結節を認めたため右肺癌疑いにて2000年1月7日手術を施行した.結節は大きさ約10mmでS^6に存在し,迅速診断で腺癌と診断され,下葉切除とリンパ節郭清を行った.病理組織学的には中分化腺癌で一部低分化像を示し,前回のリンパ節組織像と類似していた.また免疫染色で,surfactant apoprotein(SA-P)はいずれの腫瘍も陰性,p53蛋白はいずれの腫瘍も過剰発現が認められた.また肺癌の組織診断マーカーとして有用とされているthyroid transcription factor-1(TTF-1)はいずれの腫瘍も陽性であった.組織像や免疫染色の結果から臨床所見および経過を考慮すると,今回の病変を原発巣とする肺癌のリンパ節転移と考えられ,病期はpT1N1M0 stage IIA と診断した.肺切除後2年になるが無再発生存中である.結論.原発不明肺門リンパ節癌に対しての治療としては,積極的にリンパ節切除およびリンパ節郭清を行い,長期にわたる厳重な経過観察を行い原発巣が認められたならば,原発巣の切除を行うことが良いと思われる.
著者
小林 哲則 藤江 真也 小川 哲司 高西 敦夫 松山 洋一 岩田 和彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

言語・パラ言語の生成・理解処理を高度化することで,複数の人間と自然なリズムで会話できるコミュニケーションロボットを実現した.また,このロボットを用いて,人同士の会話を活性化することを試みた.この目的のため,ロボットへの性格付与とパラ言語表現機能を考慮したロボットハードウェア,会話状況に沿うロボットの振る舞い,魅力ある会話の進行方式などを設計した.また,ロボットの聴覚機能および発話方式の高度化についても検討した.
著者
大桃 敏行 宮腰 英一 小川 佳万 藤田 晃之 柳田 雅明 背戸 博史 荒井 克弘 藤井 佐知子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、生涯学習の推進に伴っていち早く学習機会の供給主体の多様化が進んだ成人学習の領域を対象とし、国内外の調査を通じて公共管理システムの転換の動態と課題を明らかにすることであった。おもな成果は次の通りである。1.指定管理者制度の導入は、行政と地方公共団体の出資財団との関係、行政と住民やNPOとの関係、そして財団と住民やNPOとの関係に変化をもたらしていること。この変化は、行政に対して、その守備範囲の再検討とともに、供給主体間の新たな関係設定の構築を求めるものとなっていること。2.住民ボランティアの主導で行政が支援する活気ある生涯学習事業が生まれる一方で、住民主導の事業は、事業拡大に伴い、異なるセクター間のコーディネート機能をどう確保するのかが課題となっていること。3.イギリスにおいては、伝統的に私的イニシアチブを国が追認する方式がとられてきたが、サッチャー政権以降、アウトプット評価に基づく管理が進められてきていること。4.アメリカにおいては、リテラシー教育や職業技能訓練など公的機関の責務とされているが、この領域でも民間の営利・非営利組織が参入し、契約と成果の評価に基づく管理システムが組み立てられてきていること。5.一方、日本の地方公共団体の生涯学習施策においては、学習成果の評価について問題が指摘される一方で、学習者の組織化による共同性の創出が進められていること(学会誌掲載論文)。
著者
荒井 克弘 大桃 敏行 宮腰 英一 橋本 鉱市 小川 佳万
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究の平成17年度の研究実績としては、昨年度から収集してきた内外の高等教育に関する文献・論文のほか、研究体制の組織・風土・制度化に関する基本的文献、東北大学の理工系学部ならびに附置研究所における研究者らの自伝・評伝・史資料などの文献・資料を、毎月1回程度のペースで研究会を開いて読み進めていった。また昨年度に行った東北大学の工学研究科、金属材料研究所、電気通信研究所など理工系の研究科・研究所における著名な研究者に対するインタビューを、中間報告の形で公表した。こうした基礎的な作業と並行して、東北大学の理工系ならびに文科系の研究科・研究所の教授・助教授を対象とした研究室体制に関する大規模なアンケート(『東北大学の研究と教育』)の集計と分析を進めた。これらの分析結果は、本研究科の年報に、「学問風土の研究-東北大学の研究と教育-」として公表(継続中)した。また、東北大学に留学して学位を取得し、その後本国に帰国して活躍しているアジア地域の著名な研究者に対して、留学当時の研究室の文化や風土についてインタビュー調査を行い、それぞれの研究室の学統を継承する子弟関係や優秀な人材を育ててきた学問風土について知見を深めた。また彼らの何人かを招聘して国際シンポジウムを開催し、学内外の研究者・大学院生らと活発な意見交換を行った。これらのインタビュー、シンポジウムでの講演ならびに質疑応答に関しては、録音テープを起こして報告書として刊行する予定である。
著者
塩谷 雅人 西 憲敬 小川 利紘 長谷部 文雄 VOMEL Holger OLTMANS Samu
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究費にもとづき,1998,1999年度,東太平洋ガラパゴス諸島のサンクリストバルで3回,中央太平洋キリバスのクリスマス島で2回の観測キャンペーンをおこなった.さらに,1999年9月-10月には,船舶から赤道東太平洋域のオゾン観測をおこなった.これらのキャンペーンによって取得したデータは現在解析中であるが,これまでのところ以下のような知見が得られている.1.サンクリストバルと西太平洋のシンガポールにおけるゾンデデータを比較したところ,対流圏界面が北半球の冬に低圧・高高度・低温になるという特徴が両観測点で見られたが,海面水温と対応していると考えられていた圏界面高度の差は明瞭ではなかった.2.サンクリストバルにおける水蒸気観測データから,東部太平洋域でも3月の圏界面付近で水蒸気は飽和していることがわかった.また,9月の観測では水蒸気が未飽和であるプロファイルも得られたが,これは赤道ケルビン波の下方変位位相部に当たっていて乾燥したオゾンの豊富な成層圏大気が下降してきたのを観測していたことがわかった.3.サンクリストバルにおける対流圏オゾン分布は,3-4月には対流圏内でほぼ一定値(〜30ppb)をとるのに対して,9月には地表付近(20ppb)から6-7km付近まで増加(50ppb)したあと上部対流圏まではほぼ一定の値をとるという特徴が見られた.これは赤道波と関連した成層圏からのオゾンの洩れ出しが,特に9月には顕著に見られるためではないかと考えられる.4.船舶からのGPS/オゾンゾンデ観測より,地表〜高度5kmほどの領域で,しばしばオゾンの少ない湿った薄い大気層が2,3つ存在することが見出された.これはちょうど北風が卓越する高度領域とも対応しており,船の北側に位置するITCZとの関連が示唆される.また,同様の特徴は,サンクリストバルやクリスマス島でのオゾン観測データにも見ることができた.
著者
大島 康行 角皆 静男 小川 利紘 内嶋 善兵衛 樋口 敬二 吉野 正敏
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1990

国際学術連合は地球圏ー生物圏国際協同研究計画(IGBP)ー地球変化の研究ーを1990年から10年計画で実施することを決め,1990年9月パリで開かれた第二回IGBP科学諮問委員会で(1)The international Global Atomospheric Chemistry Project(IGAC),(2)Joint Global Ocean Flux Study(JGOFS),(3)Biospheric Aspects of the Hydrogical Cycle(BAHC),(4)Global Change and Terestsial Ecosystern(GCTE),(5)Past Global Change(PAGES)の5つの課題を実施することを決めた。わが国でもこれらの課題を考慮しつつ日本の研究課題を検討し,最終的に(1)大気微量成分の変動および生物圏との交換(2)海岸における物質循環と生物生産(3)陸上生物群集への気候変化の影響(4)大気圏・水圏・陸圏と生物圏の相互作用を考慮した気候解析とモデリング(5)環境変化のモニタリング(6)古環境の変遷,(7)地球環境と人間活動の相互作用の7研究領域で研究を進めることとし,研究内容とその組織について検討し,最終案を作成後,具体的に研究を進めることとなった。また,IGBPから送付された資料を印刷し,関係各方面に配布し,国際的な計画を衆知することに務めた。とくに本年度はReport9〜15までと資料が多く,そのため印刷費の支出が増大した。班員は国際的な課題ごとに積極的に交流をはかり,国際対応を今後積極的に行うための基礎づくりに努力した。また国際課題ごとに国内の対応小委員会を設ける努力も行なった。