著者
豊川(任) 貴弘 小川 正文 高島 勉 山崎 政直 田中 浩明 坂崎 庄平
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.266-271, 2003-04-01
被引用文献数
2

症例は50歳の女性.心窩部痛を主訴に来院し,腹部単純X線写真上,仰臥位では右上腹部に胆嚢およびその左側で総胆管の走行に一致した淡い石灰化様陰影を認め,立位ではこの胆嚢様の石灰化様陰影は下に凸の半月様に変形を示した.CT,DICなどにより総胆管結石,胆嚢結石,石灰乳胆汁と診断し手術を施行した.胆嚢の病理所見は慢性胆嚢炎で,総胆管結石はコレステロール79%,炭酸カルシウム21%で胆嚢内の石灰乳胆汁は98%以上が炭酸カルシウムであった.石灰乳胆汁は炭酸カルシウムを主成分とし,腹部単純X線写真上,特徴的な石灰化像を示すことで知られる.その生成には胆嚢管または頸部の閉塞が必要で,通常は胆嚢内にしかみられないが,ごくまれに総胆管内にもみられる.自験例は嵌頓結石とともに総胆管へ石灰乳胆汁が流出したと思われる症例で,本邦報告21例を検討し報告する.
著者
坂井 堅太郎 小川 路恵 高嶋 治子 水沼 俊美 真鍋 祐之
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.147-152, 1997-04-10
被引用文献数
1 1

加熱殺菌方法の異なる3種類の市販牛乳 (低温殺菌, 高温短時間殺菌および超高温殺菌牛乳) に含まれるタンパク質成分のペプシンに対する消化性を, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法と, 牛カゼイン, 牛α-ラクトアルブミンおよび牛β-ラクトグロブリンに対する特異抗体を用いたウエスタンブロット法により検討した。カゼインは牛乳の加熱殺菌方法の違いに拘らず, ペプシンにより速やかに分解された。低温殺菌および高温短時間殺菌牛乳中のα-ラクトアルブミンはペプシン消化に対して抵抗性が認められた。超高温殺菌牛乳では, α-ラクトアルブミンのペプシン消化に対する抵抗性はやや減少したものの, 十分に維持されていた。低温殺菌と高温短時間殺菌牛乳中のβ-ラクトグロブリンは, α-ラクトアルブミンと同様に, ペプシン消化に対して抵抗性を示したが, 超高温殺菌牛乳では, ペプシン消化に対する抵抗性はほとんど消失し, カゼインでみられるペプシン消化のパターンに類似していた。ラットに低温殺菌または超高温殺菌牛乳を強制的に経口投与し, 胃内容物中のβ-ラクトグロブリンの消化を調べたところ, 超高温殺菌牛乳投与ラットの消化度は低温殺菌牛乳投与ラットに比べて明らかに高かった。これらの結果から, 市販牛乳中の各タンパク質成分のペプシンに対する消化パターンは異なることが示された。また, 超高温殺菌処理によって, β-ラクトグロブリンのペプシン消化に対する抵抗性が著しく消失することから, 超高温殺菌牛乳はβ-ラクトグロブリンのアレルゲン性が緩和された牛乳としての有用性が示唆された。
著者
柳田 宏一 小山田 巽 中西 喜彦 東條 英昭 小川 清彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.19-24, 1978-03-19

野草地周年放牧牛における乳量, 乳成分および乳質の分娩季節の違いによる変動について調べた.また, 哺乳牛における体重の増減量の変化を乳量の変化と関連させ検討した.供試牛は, 鹿大農学部入来牧場で昭和43年から昭和52年の間に繁殖に供した母牛実頭数35頭を用いた.すなわち, 泌乳量と乳質については延べ70頭を, 1日当たりの体重変化については延べ169頭(哺乳牛126頭, 非哺乳牛43頭)をそれぞれ対象に測定した.なお泌乳量については, 泌乳前期(0〜3カ月)と後期(4〜6カ月)に分け分析した.1.野草地周年放牧牛の泌乳量は舎飼牛の泌乳量に比較して, 前後期ともに各季節を通して少なかった.分娩季節による泌乳量の違いは, 哺乳前期は季節間で差がなく, 冬季でもかなりの量が維持されていた.しかし, 後期の泌乳量は秋季と冬季の間で有意な差が認められ(P<0.05), 冬季は他の季節に比較して低下していた.これらのことは, 前回で得られた生後3カ月(哺乳前期)の子牛の発育に季節差がなく, その後(哺乳後期)の発育は冬季で著しく低下する事実とよく一致している.2.乳成分についてみると, 比重は冬季に低下し(P<0.05), 脂肪率や無脂乳固形分も秋季から冬季に低下する傾向にあったが, その差は有意でなかった.アルコール陽性乳の出現率は夏季に高くなり季節間で有意な差を示した(P<0.01).3.哺乳牛における1日当たりの体重増減量をみると, 哺乳牛は冬季に同時期の非哺乳牛に比べ著しい体重減少を示し, その程度は, 哺乳後期に比べ前期で顕著であった.
著者
小川 博久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.4, pp.49-54, 2004-01-20

電子権利の安全な流通において,回数制限の実装は,重要な問題である.現在利用されている電子チケットでは,まとめ買いに対する利便性と安全性の問題が指摘されており,双方の要求を満たす技術が求められている.本稿では,(k n)しきい値分散法及び,(k L n)しきい値分散法を用いた権利回数制限の構成例を示し,実装及び評価について報告する.For a secure circulation of digital rights, it is an important issue to limit the number of use. It is often pointed out that digital tickets used nowadays have issues in convenience in regards to bulk buying and security. This article makes an illustration of limited rights of use applying (k, n) threshold scheme and (k, L, n) threshold scheme, reports implementation and evaluation.
著者
稲場 典康 榎本 雅幸 小川原光一 出口 光一郎 富田 文明 角 保志 加藤晃市
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.102, pp.45-46, 2002-11-07

オーガナイズドセッション「新しいロボットビジョンの動向(1) ─ 作業のための視覚」では、ハンドアイロボットに代表される作業のための画像計測、認識に関する研究に焦点を絞り、ビジョンへの期待、批判、提案等を討論していただく場をご用意いたしました。パネラーとして、産学に関わらず広い分野から一線で活躍されている研究者の方々をお招きし「CVはロボットのセンサとして成果をあげているのか」、「作業のためのセンシングとはどうあるべきか」「CVの研究はどのような方向性を目指せばよいか」等々、活発に議論して頂き「作業のためのロボットビジョン」の今後について展望致します。We have organized a panel session titled "Can "Computer Vision" become a faculty of sight for a robot". In this special session, we focus on the vision research for task implementation and we will discuss about a variety of topics, e.g., "Does the CV research show landmark achievement in the robotics field? ", "What is the role of CV for task execution?", or "What will the aim of the CV in the future?" Through these discussions, we seek the future prospects of the computer vision research field.
著者
鈴木 雅雄 綿引 元 河合 隆 百々 修司 山本 英明 竹内 鉄郎 樋口 哲也 白石 勉 日置 弥之 近藤 真弘 都宮 伸 木村 恵理子 神谷 明江 小川 博 家本 陽一 下川 邦泰
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.2191-2192, 1999-08-01

従来より食道表在癌のX線学的深達度指標として, 病変正面像での陰影斑の濃度, 病巣内隆起の大きさ, 辺縁隆起の程度の3因子と各々の組み合わせ, 病変側面像で壁不整像, 陰影欠損像, 伸展障害の程度の3因子と組み合わせにより深達度推定を行い, 高い精度を得ている。表在癌m_1 35, m_2 20, m_3 22, sm_1 6で再検討を行った。陥凹型では陰影斑の濃度と顆粒像の組み合わせが最も有用であり, m_3の顆粒像は5mm以下であった。不整な顆粒像では4mmでもsm_1があった。隆起はm2bから欠損像を呈し, 腫瘍量を表している。伸展障害はsm以深の線維化の程度を反映した。
著者
小川 太一郎
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.21, no.289, pp.71-146, 1944-04

本論文の第I編では,先づ横滑りを伴はない水平旋回飛行に對する運動方程式をたて,與へられた飛行機のバンク角の時間變化を基礎とし,旋回中の速度の時間變化を求め,次で旋回半徑,旋回角,旋回徑路,各舵角等を順次に算出し得る解析法を述べた.この解析法の計算例として,N. A. C. A.に於けるボート"O3U-1"偵察機の水平旋回飛行の實測結果を解析したが,速度變化が小さ過ぎて出た以外は實測結果と可成り良く一致した.この不一致の原因は上げ舵に伴ふ無意識的な上昇にあると考へられる.次に上記ボート"O3U-1"偵察機に對する計算の數値を參考とし,省略可能の項を出來るだけ省略し,計算を簡易化して實用的な解析法を作つた.この解析法を用ひて,再びボート"O3U-1"偵察機の實測結果を解析して見た.この結果も亦實測結果と可成り良く一致したので,之を實用解析法とした.第II編に於ては,第I編で得た實用解析法を基として,失速角を迎角變化の頂點とする-以下第1種と稱する-180°水平旋回飛行の計算法を2通り案出した.計算方法其の一は豫め初速度と初めの補助翼の操舵量と旋回中の最大バンク角とを與へ,更に補助翼の當て舵の量,或は最大バンク角の繼續時間,或は旋回中に許すべき最大揚力係數の何れか一つを指定して,旋回中の諸數値を算出する方法である.計算方法其の二は,初速度と初めの補助翼の操舵量とを與へ,最大バンク角の繼續時間と旋回中に許すべき最大揚力係數とを指定して,旋回中の諸數値を算出する方法である.前者は,旋回條件を種々變へて,その影響を調べようと云ふ場合,或は與へられた飛行機の或る速度での最良の旋回性能を算出しようと云ふ場合等に用ひられる方法であつて,後者より幾分計算が簡單である.後者は,實際の補助翼操舵状況の分つてゐる飛行機に於て,その操舵状況に似た操舵角變化を與へ,それによつて,180°水平旋回飛行を計算し,實測結果と比較してみようと云ふやうな場合,或は操舵形式を一定として置いて,旋回條件を種々變へ,それによつて,最大加速度やその他の旋回状況が如何に變化してくるかを調べようと云ふ場合等に用ひられる方法である.計算方法其の二によつてボート"O3U-1"偵察機の180°水平旋回飛行を計算してみた.その結果,速度,旋回角以外の諸數値の時間變化曲線に滑かでない部分が出るが,大體に於て實測結果と良く一致することが明らかとなつた.之等の計算方法を用ひ,旋回條件を種々變へて,ボート"O3U-1"偵察機(全備重量1.84瓲),A双發陸上機(全備重量9.0瓲),B陸上機(全備重量9.0瓲),及びC陸上機(全備重量1.44瓲)の大小4機種について180°水平旋回を精しく調査して,旋回性能向上の指針とした.更に180°水平旋回に入る時の限界初速度の求め方,及びこの限界初速度より旋回に入る急速180°水平旋回飛行の極く簡單な略算法を與へ連續旋回について考察した.又旋回角と旋回中の最大加速度とを與へて,旋回に入るときの限界初速度,平均旋回半徑,旋回時間等を簡単に讀取り得る圖表の作り方を述べ,C陸上機についての一例を示した.この結果最小旋回半徑を基準とする翼荷重の決定法を與へて初期設計の参考とした.第III編では失速角保持の一以下第2種と稱する一旋回飛行の計算法を述べ,この第2種の方が旋回性能向上の見地から第1種よりも有利であることを結論した.終りに,從來より設計に際して廣く用ひられてゐる定常圓運動としての旋回運動の計算結果と本計算方法による計算結果とを比較してみた.その給果,從來の定常圓運動としての計算方法は,一般に180°水平旋回性能の計算には適用出來ないことを明らかにした.第IV編では斜平面旋回といふ新しい考へ方を導入した.先づこの旋回の計算法について述べ,次に水平面内の旋回のみを考へれば,バンク角90°といふ垂直旋回は理論上實在し得ないものであるが,斜平面旋回の頂點では,バンク角は90°以上にもなり得ることを示した.旋回性能向上の見地からも,この斜平面旋回は極めて重要な意義をもつ.第V編では下げ翼による旋回性能の向上について論じた.
著者
萩原 正人 小川 泰弘 外山 勝彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.22, pp.71-78, 2005-03-11
参考文献数
16
被引用文献数
2

大規模コーパスから語の類似関係を得るためには,語の共起関係や文脈などの特徴を利用する方法が一般的である.しかし,語に関する表層的な特徴をそのまま用いる手法には,ノイズの混入やスパースネスなどの問題がある.本稿では,確率論・情報理論に基づく潜在意味モデルであるPLSIを用い,語の潜在意味を推定することによって名詞間の類似関係を求める.評価実験の結果,tf・idfやLSIなどの従来手法と比較してPLSIの性能が最も高く,シソーラス自動構築におけるPLSIの有用性を明らかにした.また,PLSIを類義語の自動獲得へ適用する際の様々な基礎的利用技術についても報告する.A common way to obtain synonym relationships from large corpora is to utilize the features such as cooccurrence and words' context. However, methods based on direct use of surface information concerning to words suffer from noises and sparseness. This paper describes how to utilize PLSI, which is a latent semantic model based on probability theory and information theory, to infer the meaning of words and obtain synonym relationships between nouns. An experiment has shown that PLSI achieves the best performance compared to conventional methods such as tf・idf and LSI, which shows the effectiveness of PLSI for automated construction of thesauri. Various useful techniques when applying PLSI to automatic acquisition of synonyms are also discussed.
著者
小川 圭治
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大學論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-26, 1960-10-30

In this essay I have tried to explain the of the so-called "Kierkegaard Renaissance" in the couse of modern, European history of thought as an introduction to the study of S. A. Kierkegaard. The modern European civilization was made by the Renaissance and Reformation. But the thinkers of Enlightenment did not recognize the importance of the role of the Reformation, but attributed the initiative of modernization to the Renaissance. E. Troeltsch criti cized this one-sidednessi of thought in Enlightenment. Therefore the typical modern western spirit cae be found in the German Idealism which accomplished a consequent synthesis of two opposite elements. I. Kant made this synthesis through the moralistic immanentization of God, and G.W.F. Hegel through the dialectical absolutization of Man. Both are homocentric and depend on autonomous reason. This haughtiness of human reason resulted the abstractness of thought in German Idealism. In the nineteenth century a great deep change occurred in the spiritual climate of Europe. O.Spenglar characterized it as a decline and fall of western, autonomous culture (der Untergang des Abendlandes). In this new historical situation German Idealism could no longer play a leading role as the philosophy of western Europe. Then a new leading philosophy for the present age was required. The thought of S. A. Kierkegaard had not been recognized by his contemporaries who were under the overwhelming influence of German Idealism. But in this new difficult situation after the First World War the new meaning of his thought on human existence was found, and under the influence the Thelogy of Crisis and Existentialist Philosophy was born. This is the so-called Kierkegaard Renaissance.
著者
小川 絢子
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.61-73, 2009-03-31

The purpose of the present study was to consider children's ability to explain causal relations between others' false actions and misleading informational conditions and epistemic states by using narrative makers for temporality when he or she sees other's false action. Many previous researches about standard false-belief tasks had focused on children's abilities to predict false actions by others when the children are presented misleading informational conditions. In explanation questions, children were required to understand the causal links between misleading informational conditions, epistemic states, and resulting action. Seventy-nine children, aged 3 to 5, were given the false-belief prediction and explanation task. The results showed that 4- and 5-year-old children referred more temporal narrative makers than 3- and 4-year-old children. The participant who answered the explanation question correctly referred more temporal narrative makers than children who answered the explanation Question incorrectly. This finding indicated that 4- and 5-year-olds began to use the temporal narrative makers when they explain a causal relation between others' false actions and misleading informational conditions.
著者
繁富 利恵 大塚 玲 小川 貴英 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.212, pp.9-16, 2002-07-12

現在、情報の電子化が進んでいることは周知の事実である。こういった電子情報は、非電子情報に比べ、情報の収集、検索や統合などが容易となるため、蓄積情報に対する配慮がより重要となっている。こういった中、貸し出しサービス(図書館、レンタルビデオ、借金など)は情報の電子化が非常に進んでいるサービスの一つである。また、貸し出しサービスにおける情報は、個人の趣味指向だけではなく、生活レベルさえも推測できるような情報を含んでいる。つまり、貸し出しサービスの情報の管理者は貸し出し情報を手にいれることができるだけでなく、各個人の個人的な情報を手にいれることもできる。また、情報が全て電子化されているため一度上記の情報がユーザの意図に反して貸出機関から流出してしまうと、電子情報の持つ特徴により、サービス利用者に関連する他の情報との統合が進む可能性が高く、このような電子化された情報が持つプライバシ問題は大きい。こういった問題を解決するため、"匿名貸し出し"を提案する。この"匿名貸し出し"は、貸し出しの際には匿名で貸し出し、返却期限を過ぎても未返却だった場合にはその匿名性を破るようなシステムである。この論文では、貸し出し機関が匿名で貸していた場合でもユーザ一人当たりの権利の数を制限することができ、(つまり図書館であれば何冊貸しているかを制限できること)しかも、ユーザのプライバシは保たれるような新しいシステムを提案し、耐タンパーデバイスおよびオフライン電子マネー方式を利用してこれを実現した。
著者
渡辺 麻衣子 加藤 裕子 戸上 敬子 山中 実喜子 若林 佳子 小川 裕由 稙田 裕子 後藤 慶一 工藤 由起子 天野 典英 横田 明
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.82-87, 2008-04-30 (Released:2008-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 3

Byssochlamys spp. について,簡便,迅速かつ正確に種を同定するために有効な遺伝子指標を評価する目的で,26株のByssochlamys spp. および関連菌種の18S rDNA, 26/28S rRNA遺伝子D2領域およびlys2 の塩基配列を決定し,分子系統解析および相同性解析を行った.その結果,いずれの遺伝子を用いても,その塩基配列の相同性を指標として,それぞれの菌種あるいはグループを識別することができた.3種類の遺伝子のうち,最も優れた解像度を有するのはlys2 であったが,最も簡便に結果を得ることができたのは26/28S rDNA D2領域であった.また,分子系統解析の結果,Byssochlamys spp. とその関連菌種は再分類の必要性があることが示唆された.
著者
小川 久恵 宮本 千佳子 松本 仲子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.229-235, 1987-11-20
被引用文献数
1

家庭において白ソースをより手軽に調製できるよう、従来のルーをかく方法、粉とバターを練り合わせて加える方法に加えて、全材料を混合して加熱するミックスの方法および電子レンジを利用する方法の4手法について、煮込み時間を5、10、20、30、60分間としたものを試料として、各面から比較し、合理的な調製方法について検討した。また煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響についても検討した。1. 官能検査の結果を分散分析した結果は、4手法間には有意差が認められず、煮込み時間間に1%危険率で有意な差が認められた。2. 煮込み時間は、各手法ともに20〜30分間がよく、煮込み時間がそれ以下あるいはそれ以上のものでは評価が低かった。3. 煮込み時間30分間位までは、各手法間に有意差はないが、あらかじめ炒め操作を行うルーをかく方法が他の手法に比べて高い評価を得たが、煮込みに先だち、加熱しない他の手法では、30分間位煮込むことで粉っぽさが消失し、炒め操作をしない欠点を補うことが出来るものと考えられた。4. 煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響については、濃縮により味が向上する反面、着色、粘性の増加により、長時間に煮込みは望ましくないことがわかった。5. 煮こみ時間を5分位にとどめた時、ソースをそのまま味わう料理に用いた場合はルーの手法によるものが高い評価を得たが、グラタンのように他の味が加味されるような場合には、手法による差はみられなかった。6. 調理時間および手間の面から検討した結果はミックスの手法が手間を要せず時間も最も短時間であった。7. 風味・調理時間・手間等の各面から総合的に検討した結果、ミックスによる手法が合理的な方法と考えられた。
著者
荘司 洋三 小原 慶 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.460, pp.65-70, 2003-11-21
参考文献数
5

60GHz帯などのミリ波帯は、マイクロ波帯と比較して遠方まで到達しない反面極めて広帯域な周波数幅を利用できるため、比較的近距離での高速データを実現する周波数帯として有望である。しかしながら、ミリ波帯では高安定な発振器の実現が技術的に困難なことから、高安定な信号伝送やシステムの低コスト化を実現することが難しかった。これらの問題を解決するため筆者らはミリ波自己ヘテロダイン伝送方式を提案してその有効性を実証してきたが、従来の伝送方式と比較すると受信感度が劣化するという問題があった。本報告では、受信回路をアレー化することで、ミリ波自己ヘテロダイン伝送方式の利点を損なうことなく、また受信可能な信号到来方向の指向性についても殆ど影響を与えることなく受信感度のみを改善可能であることを示す。またミリ波帯通信特有の伝搬特性に起因したフェージング対策としても有効であることを示す。