著者
丹治 光浩 橋本 和明 安藤 治 東 牧子 小川 恭子 Mitsuhiro TANJI HASHIMOTO Kazuaki ANDO Osamu AZUMA Makiko OGAWA Kyoko 花園大学社会福祉学部 花園大学社会福祉学部 花園大学社会福祉学部 花園大学社会福祉学部 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
出版者
花園大学社会福祉学部
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.43-51,

心理療法における失敗を論じる意義は大きいが、それが正面から取り上げられることはそれほど多くない。そこで、本研究では心理療法における失敗要因とその防止策を探ることを目的に、臨床心理士485名を対象に失敗事例を収集し、その分析を行った。調査の回収率は、20.8%で、クライエントの平均年齢は、27.3歳±12.5歳であった。回答者の平均年齢は44.2歳±12.5歳で、臨床歴の平均は16.6年±11.2年であった。クライエントの主訴は、うつ病性障害が最も多く、続いて境界性人格障害、適応障害の順に多かった。失敗内容で最も多かったのは、セラピーの中断(ドロップアウト)で、全体の約6割を占めていた。失敗の要因は、「間違った介入」、「不適切なアセスメント」、「セラピー構造の崩れ」の順に多かった。中でも逆転移は重要な問題で、その多くはセラピストの未熟さに起因していると考えられる。失敗の防止策は、「適切な介入をする」、「関係部署との連携を図る」、「アセスメントをしっかりとする」の順に多く、いずれも基本的な事柄であった。セラピストは臨機応変に対応するために、常にスーパーヴィジョンやケースカンファレンスなどにより自らの臨床を振り返る必要があるだろう。So far, few studies have focused on the factors related to the failure of psychotherapy. We tried to collect case examples of therapeutic failures from 485 clinical psychologists to identify contributiong factors and to search for measures to prevent future failures. The collection rate was 20.8%, and the mean Ciage of clients was 27.3±12.5years. The mean age of the respondents was 44.2±12.5 years, and the mean years of professional experience of the clinical psychologiets who participated in the study was 16.6±11.2 years. The most common complaint of the clients was body symptom. Other complaints were, in order, interpersonal relationships, depressive state, and refusal to go to school. The most common diagnosis was depression, and others were, in order, borderline personality disorder and adjustment disorders. The most common therapeutic failure was dropping-out of therapy (about 60%), and the causes of the failures were, in order, "wrong intervention," "irrelevant assessment", and "unstable therapeutic structure." Counter transference is a particularly significant problem, which is thought to result from the immaturity of the therapist. The proposed measures for preventing future failures were, in order, "appropriate intervention," "cooperating with the related organization," and accurate assessment," all of which are basic principles in psychotherapy. It is recommended that a therapist should always reflect on his/her clinical style by means of supervision, case-conference and so on to take a flexible approach in each case.
著者
小川 由英 HOSSAIN Rayhan Zubair
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

現在我々は、消化管からのシュウ酸吸収に影響する各種物質に関して実験し、ビタミンB6欠乏食で飼育したラットにおいてシュウ酸前駆物質投与による内因性のシュウ酸合成について検討した。カルシウムと同様の実験系で、マグネシウムが消化管からのシュウ酸吸収へ与える影響を検討し、マグネシウム投与により消化管からのシュウ酸吸収が減少し、尿中シュウ酸排泄が減少することがわかった。また我々の動物実験系で内因性のシュウ酸合成に関連するいくつものシュウ酸前駆物質を投与し、実験した。グリコール酸、グリオキシル酸、ハイドロピルビン酸、ハイドロオキシプロリン、エチレングリコールが尿中シュウ酸を増加させる重要なシュウ酸前駆物質であり、そのシュウ酸合成がビタミンB6欠乏食群でより促進され、その原因はグリオキシル酸解毒酵素であるAGTとGRHPRの機能不全によることがわかった。さらに、ビタミンB6欠乏状態にすると尿中クエン酸排泄にも影響がでる。ビタミンB6欠乏は短期間投与でも低クエン酸尿をきたし結石形成危険因子となることがわかった。またビタミンB6欠乏による低クエン酸尿がアルカリの負荷により是正されるかも検討した。た標準食とビタミンB6欠乏食においてアルカリの急速投与が尿中クエン酸に与える影響を比較し、その両者において急速なアルカリ投与が尿中クエン酸を増加させるがその影響は標準食を与えた群がより著明であった。原因としてビタミンB6欠乏は腎のクエン酸排泄を障害する可能性があり、低クエン酸尿の原因として独立したものである可能性が示唆された。過シュウ酸尿症と尿路結石の研究において多くの動物実験系を報告してきた。我々の実験系では3%のグリコール酸食の投与で過シュウ酸尿症とシュウ酸カルシウム結石を形成させることができた。この結石形成動物モデルは再現性がよく、多くの結石形成に関与する可能性のある物質の影響を調べることができ、結石の再発予防法の研究に役立つと考える。
著者
小川 千里 高橋 潔
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,プロスポーツ選手の現役引退に伴っておこるキャリア上の諸問題を,経営学的視点から明らかにし,第二の職業人生に対する望ましい支援の方法について検討することを目的に行われた。プロスポーツ選手のキャリア・トランジションに関して,(元)Jリーガーと既存の支援システムを対象とした定性的調査を実施した。その結果,スポーツ選手の引退とその後のキャリアへの移行の実態を詳らかにした。そして「現役時代」の行動や考え方の傾向と周囲の人の属人的な要素が,引退に関する「内的キャリア」や支援に影響を与えること,選手個人が引退に伴う心理的激動を受容するために望ましい支援の特徴と組織の在り方を見出した。
著者
小川 亜弥子
出版者
福岡教育大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

研究実施計画にもとづき調査をすすめ、史料をフィルムに撮り、焼き付け(A5・CH版)を行い、整理・解読・検討を遂行した。最大の成果は、幕末期洋学の軍事科学化を飛躍的にすすめた存在として不可欠である長崎海軍伝習所について、その教育の具体的内容を明らかにできたことである。同所におけるオランダ人教師による実地教育については、主に、勝安房『海軍歴史』巻之三・四・五(海軍伝習之上・中・下)、カッテンディーケ『長崎海軍伝習所の日々』、赤松範一『赤松則良半生談』、秀島成忠編『佐賀藩海軍史』、島津家編纂所編『薩藩海軍史』上巻、藤井哲博『長崎海軍伝習所』などに収められた資史料に依拠して、教師及び直伝習生の氏名・構成、伝習期間・方法、教授科目・時間割・規則・心得などを明らにすることができよう。しかし、教育実態の究明には、根本的に史料上の制約が大きく、研究の遅滞が生じていたというのが現状である。こうしたなかで、調査実施の一環として、佐賀県立博物館において、同所での軍艦運用術の伝習内容と思われる史料「操練所伝習」を発見し収集できたは意義は大きい。本史料は、保存状態は良好で、「ブラムステング之揚方」「パルヅーン之成立」「ワント之成立」「ブレガット之ワント掛様ノ図」「セール之区別」「帆木綿之用法」などについて、それぞれ図入りの詳細な説明がみられ、軍艦運用術の直伝習の模様をつぶさに知ることができる貴重なものである。これまで、同所に関する新史料の出現は皆無に近かっただけに、幕末期洋学の軍事科学的展開を究明する上で、その基盤拡大に大きく資することができるものと考えられる。技術的な内容が高度に専門化しているため、現在、科学史家と連携した研究体制を継続中であるが、近く成果を打ち出す予定である。
著者
足立 智章 小川 剛史 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.490, pp.7-12, 2004-11-30
被引用文献数
5

本稿では,著者らがこれまでに提案したテレプレゼンスシステムを拡張し,協調作業に適した遠隔指示が可能なテレプレゼンスを実現する.従来のシステムでは,ビデオ映像と3次元実環境モデルを併用することで,実時間性と写実性,および自由な視点移動を同時に実現したが,観察者から遠隔地へのフィードバツクは不可能であった.本稿では,観察者が仮想環境の提示されたスクリーン上でマウス操作により指示を与え,遠隔の作業者がHMDを通して対応する実環境上に3次元ポインタや線画による指示を直接観察できる遠隔指示機構について述べる.また,実現したテレプレゼンスシステムを用いて,観察者のマウス操作による指示が意図どおりに作業者に伝わることを確認した動作実験について報告する.
著者
小澤 紀美子 原子 栄一郎 樋口 利彦 小川 潔 森茂 岳雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、1999年より北京師範大学と東京学芸大学の共同研究で持続可能な社会の構築をめざした環境教育の推進のための教師研修の内容、実施体制などの課題を分析し、さらに国際的な環境教育の理論的根拠などを歴史的背景も含めて分析し、教師への意識調査、具体的な授業実践の比較などから、日本及び中国における環境教育の理論、内容、方法などに関する到達点とその課題の明確化を目的に進めてきた。中国の環境教育は大きく4段階でその進展がとらえられるが、環境教育推進の原点は、1996年12月に制定された「全国環境宣伝教育行動綱要(1996年〜2010年)」にある。そのカリキュラムはイギリスの影響を受け、統一的なカリキュラム展開となっている。その原則は、啓発性の原則、参加性の原則、浸透性の原則、批判性の原則となっている。日本の環境教育は、50年代に始まるが、70年代後半から80年代前半の国際的な動向に後れをとり、90年代後半から大きな進展がみられる。日本では特に社会科、理科、家庭科等の教科と「総合的な学習の時間」での環境教育の実践が多いが、中国では浸透教育や選択教科などで展開されている。日本では、環境教育の推進の主体が多様化している。また、その内容の多様性、各種主体(教育界、行政、市民、NGOなど)の協働による新局面が期待されており、教員研修における方法、内容、評価システムを確立が望まれる。報告書は、1章:日本及び中国における環境問題と環境政策の変遷、2章:環境教育の概念の変遷、3章:教育課程の変遷とその背景、4章:教育課程における環境教育の動向、5章:環境教育にかかわる教師の意識調査、6章:環境教育の実践と分析、7章:教師研修の現状と課題、8章:日本及び中国の環境教育の方向、といら構成で各国の言語と英文で構成されている。
著者
小川 貴弘 長谷山 美紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.488, pp.67-72, 2008-02-11

本文では,画像内容に基づく類似画像検索を実現するため,カーネル主成分分析を用いた画像の意味的特徴量の推定手法を提案する.提案手法では,あらかじめキーワードが付与されているデータベース中の画像をクラスタリングし,各クラスタから得られる画像特徴量および意味的特徴量の非線形固有空間を用いて,新たな写像を導出する.このとき得られる写像は,同一のクラスタに属する画像に対して,その画像特徴量から意味的特徴量を高精度に推定する.そこで,提案手法ではキーワードが未知のクエリ画像に対して,その意味的特徴量を推定する際に画像特徴量で生じる誤差に注目することで,属するクラスタの適応的選択を行う.これにより,クエリ画像の意味的特徴量は最適なクラスタによって精度良く推定されるため,その結果から画像内容に基づいた類似画像検索を行うことが可能となる.
著者
小川 勝
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.236-257, 2006-02-01
著者
小川 寿美子
出版者
名桜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は研究の最終年度であったため集大成の結果を国際学会(21st Pacific Science Congress)にて合計四演題を口頭発表をした。第一の発表は、本研究課題のタイトルにもある「沖縄女性のエンパワメント」に関する考察結果の集大成である「Empowerment of Public Health Nurses in Post-WorldWar II Okinawa(第二次世界大戦後沖縄における公衆衛生看護婦のエンパワメントに関する研究)」という演題であった。第二の発表は、戦後沖縄の離島・僻地の地域保健・医療を支えた公衆衛生看護婦(現・保健師)や介輔(医師不足を解消するため戦時中、衛生兵の経験のある者などに離島や僻地など地域限定で一定の診療行為が認められた人)に焦点を当てた「Mid-Level Practitioners for CommunityHealth Services:Lesson-Learned from Post-War Okinawa(実践医療職による地域保健サービス-戦後沖縄の経験から学べる点)」という演題であった。第三の発表は、沖縄の僻地の中でも、特に沖縄北部地域に限定し、1960年代の母子保健事情をまとめたもので「Maternal Health Workforce in Northern Okinawa in the 1960's(1960年代の沖縄北部における母子保健従事者に関する研究:本報告者は共著者の一人)」という演題であった。第四の発表は、現代の沖縄女性でも、特に女性医師に焦点を当てた研究で、離島・僻地で働く医師が未だに不足する原因を、インタビューやアンケート票を用いてまとめた「Women Doctors and the Chronic Doctor Shortage in Remote Areas of Okinawa(沖縄離島・僻地における慢性的な医師不足と女性医師に関する研究)である。本研究を通じて明らかとなったこと、および以上の国際学会での発表の諸結論をまとめると、女性がエンパワメントを受ける強い要因として (1)男性との力関係を競わない条件(戦後沖縄の男性人口の減少)、 (2)職能集団意識(公衆衛生看護婦)、 (3)組織的な活動と後方支援との信頼関係(同上)、 (4)カリスマ的存在への憧憬と尊敬の念(米国民政府のワーターワース、公衆衛生看護の要、金城妙子女史)が条件であったという結論に達した。
著者
桑村 雅隆 小川 知之
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

散逸系のパターン形成に関する研究として、捕食者の休眠を伴う被食者-捕食者系とよばれる3変数の常微分方程式の解の性質を調べた。また、ショウジョウバエの中腸幹細胞系の増殖と分化の制御機構を数理モデルを通して考察した。これらの結果は、SIAM Journal on Applied Mathematics, vol.71, pp.169-179 (2011), Journal of Biological Dynamics, vol.6, pp.267-276 (2012) 等の論文で公表された。
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 大川 正彦 今井 昭夫 工藤 光一 金井 光太朗 小川 英文 米谷 匡史 篠原 琢 藤田 進 岩田 重則
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

国民国家内とそれを越える広域的空間として、南北アメリカ、アイルランド、ドイツ(旧東ドイツを含む)、オーストリア、フランス、イタリア、ベトナム、北朝鮮、韓国、中国、沖縄、日本を選択し、それらの「想起の文化」つまり過去の想起のあり方が、グローバル化・新自由主義の影響によって、大きく変容を遂げていることを、理論・方法論の構築ならびに事例解釈・思想史的分析を通じて明らかにした。それらの成果は世界各地の国際シンポジウム等で発表され、論文・著作として公刊された。
著者
小川 慎一
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

1980年代半ばに最盛期にあった日本の小集団活動は、長期不況や製造拠点の海外展開、新たな経営手法への転換などにより、1990年代以降に実施する企業が少なくなった。しかし現在でも根強く小集団活動を続ける企業がある。そのような企業は従業員が継続的に改善をおこなうことに意義を認めている。普及団体や実施企業も産業構造の変化を敏感に捉えて、新たなニーズを発掘しながら多様な形態での小集団活動を模索している。
著者
飯田 剛史 玄 善允 山口 健一 金 希姃 宮本 要太郎 小川 伸彦 片岡 千代子 石川 久仁子 李 定垠 北村 広美 田島 忠篤 金 賢仙 渡辺 毅 池田 宣弘 藤井 幸之助 稲津 秀樹
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究成果報告書『民族まつりの創造と展開』(上巻・論考編 287頁:14名の寄稿者による13編の論文と7本のコラム、 下巻・資料編 350頁:9編の資料)を作成した。学会報告を行った(研究連携者 田島忠篤「戦後北海道における民族マツリの展開」、韓国日本近代学会)。民族まつり実施団体および研究者のインフォーマルネットワークを形成し、今後の民族まつりの実施および研究上の連携にそなえた。
著者
小川 正廣
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、個人および共同体・社会階層・文明としての人間とその社会のあり方を、空間的・時間的にそれらの内外に存在する「他者」とのかかわりという観点からとらえ、その諸相を古代ギリシア・ローマの古典文学やその伝統を継承した西洋文学の中に探った。具体的には、主に次の点に研究成果を要約することができる。1.ギリシア・ローマ文明が他者との関係を軸として固有の人間観・社会観を発展させたプロセスを、他の古代文明の場合との比較にもとづいて概観した。2.他民族との関係を戦争と平和という両極の状況としてとらえた場合、ホメロスのギリシア叙事詩では戦争と平和の間に乗り越えがたい溝が存在し、他方ウェルギリウスのローマ叙事詩では、戦争の価値は平和の確立という明確な目的によって相対化されたことが明らかになった。3.奴隷と女性という社会の内側の他者に対する見方の変容過程を、ギリシア古典期の通念と両者の地位に顕著な変化をもたらしたヘレニズム・ローマの人間観との比較によって、および、そうした社会的・思想的変化を背景として創作されたローマの劇文学と恋愛詩の分析によって浮かびあがらせた。4.国家の君主がとるべき他者に対する寛容な態度や、人間が他者に恩恵を与えるときの精神的なあり方について、ローマのストア哲学者セネカの論説を中心に検討した。5.異教文化と古典文学の伝統を代表するローマ詩人ウェルギリウスが、キリスト教化した西洋中世を代表するダンテの叙事詩において他者としてどのように扱われ、またどのように評価されたかを検証し、西洋文化固有の他者概念にもとづくヨーロッパ文明の特質について考察した。
著者
田口 聡 細川 敬祐 小川 泰信 田口 真 塩川 和夫 青木 猛 鈴木 臣 田原 篤史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

極域電離圏のプラズマは,様々な物理過程によって水平方向に10 kmから100 km のメソスケール構造を作ることが多い.本研究では,そのような構造と,さらにその構造の生成に関わるメソスケールのオーロラ構造を高い時間分解能で捉えることのできる全天イメージャーを構築して,その装置によって得られたデータを解析した.極冠域で生じている現象については,その出現特性と構造化の特徴を見出した.また,カスプ域については,磁気圏からの粒子降下が,これまでに同定されていない時間空間特性をもつことを明らかにした.
著者
眞継 隆 ヨーゼフ ブリンク ヘルマン フランケ ジークフリート ハウザー アロイスオーバー ハウザー 吉田 猛 岸田 民樹 根本 二郎 荒山 裕行 奥村 隆平 千田 純一 HAUSER Siegfried BRINK Hans-Joseph OBERHAUSER Alois FRANCKE Hermann ジーク・フリート ハウザ ラルフ・ボード シュミッ アイロス・オーバー ハウ テオドール ダムス 小川 英次 木下 宗七 藤瀬 浩司 ハウザー ジークフリート シュミット ラルフ・ボー オーバーハウザー アイロ ダムス テオドール
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

欧州共同体(EC)は.1992年末までに市場統合を目指しており.世界経済に対するその影響はきわめて大きい。国際化を進めつつある日本にとっても.EC市場が統合後にどの程度開放されるかは重要関心事であり.本研究において.貿易.金融.農業.企業立地などを中心に.統合市場の下で展開される域内政策と対外政策の日本経済に及ぼすインパクトを多面的に分析し.日本の対外政策のあり方について総合的に考察した。また.新しい問題として東西ドイツの統一がもたらす諸問題や.しだいに広域化していく環境問題についても検討を加えた。共同研究者が執筆した論文は,まず1991年3月に開催された共同研究会で報告が行われ,その成果が研究報告書『EC市場統合とドイツ総一』しとて,名古屋大学経済学部から1992年3月に出版された。日本側からは,真継隆「1992年EC市場統合と日本の製造業」及び千田純一「EC金融統合と日本の銀行・証券会社」の2論文が収録されているが,前者は日本からECに進出している機械メーカーと自動車メーカーを取り上げ,ECにおける貿易摩擦と日本企業の対応を論じている。また後者は,ECの92年市場統合への取り組みのうち,金融システムの統合に焦点を合わせ,わが国の銀行・証券会社がそれをどのように受け止め,どのように対応しようとしているかを考察した。ドイツ側から提出された研究論文は,B.キュルプ「欧州共同体における政策協調の必要性と経済安定効果」,H-H.フランケ「ヨーロッパ中央銀行制度の成立過程-フランスとドイツの対応-」,Th,ダムス「ドイツ統一と経済システムの比較-欧州統合及び東欧諸国の問題点を背景として-」,A.オーバーハウザー「東欧諸国の財政と市場経済への転換」,H-J,ブリンク「東ドイツ新企業の経営問題と解決第一計画経済から市場経済への移行の中で-」,F.ショーバー「国際的企業戦略のための情報・計画策定システム」等であり,ECとドイツ経済の現状と課題が詳細に分析された。ついで,第2回の共同研究会が1993年3月に開催され,その後の研究成果について報告と討論が行われた。日本側の論文は,真継隆「日本の環境問題に関する最近の研究-展望論文」,岸田民樹「環境管理の組識論的研究」,奥村隆平「地球温暖化の動学的合析」,荒山裕行「炭素税と排出権の一般均衝分析」,吉田猛「環境技術の移転のあり方-日本の非営利団体を事例として」の5篇であり,日本の当面している環境問題を多面的に取り上げ,それらの経済学と経営学の視点から分析した。ドイツ側の論文は,Th.ダムス「国際環境問題における日独両国の立場」,S.ハウザー「環境経済学への一般システム論的接近」,H-H,フランケ「ECにおける環境基準の批判的検討」,G.ブリュームレ「国際競争力の視点からみた環境政策の意義」,G.ミュラー「情報技術と交通問題-新しい視点からの検討」,H-J.ブリンク「ドイツ企業における環境対策の新しいアプローチ」,F.ショーバー「廃棄物処理のための情報システム-フライブルク大学の事例」の7篇であり,ECとドイツの最新の情報が提供された。これらの論文は日独両国でそれぞれ和文,英文の研究報告書として公刊される予定であり,関心のある研究者にも広く利用可能となる。本研究は,日本側が日本についての研究を行い,ドイツ側がドイツとECについて研究を行っており,自国の情報を相互に相手国に提供している。そのために,外国へ行って情報収集,情報(文献)分析を行う場合に比して,相手国の研究をより探く行うことが可能となっており,国際共同研究として有意義な成果が挙がっており,また日独両国における研究報告書の刊行を通じて,その研究成果が十分に活用されている。