著者
小林 大祐
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.19-38, 2015 (Released:2016-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

階層帰属意識の分布は, 自記式に比べ他記式の調査でより高くなることが報告されているが, その要因については, これまで厳密に検証されてきたわけではなかった. この理由としては, モード間の傾向差のなかに混在するさまざまな要因を弁別できるようなデータセットがなかったことが大きい. 本稿は, 個別面接法と郵送法という異なる調査モードで実施されているが, 同じ階層帰属意識項目をもち, 同一年に実施された2つの調査データを比較することで, 調査モードが階層帰属意識にどのような影響を与えているか検証するものである. 分析の結果, 回答者の属性をコントロールしても, 個別面接法において階層帰属意識を高く回答する傾向が見られ, 調査モードの違いが, 何らかの測定誤差を生み出していることが示唆された. 続いて, 確認された傾向差が, 調査員の存在に由来するものかどうか, そうであれば階層帰属意識を答える際に働くバイアスとはどのようなものなのかを検討した. その結果, 男性サンプルでは中位に, 女性サンプルではより高く偏る傾向が観察された. これらの結果は, どのような階層的位置が「社会的に望ましい」, もしくは調査員に対して抵抗なく回答できるのかという, 価値規範の側面が, 所属階層を測定する際に無視できないことを示すものである.
著者
大嶋 繁 小田 藍 根本 英一 土橋 朗 小林 大介 齋藤 侑也 白幡 晶
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.66-75, 2009

<b>Objective </b>: There are two types of studies on the relationship between adverse events and genetic background and the relationship between constitution and genetic background.  To investigate the relationship between adverse events and constitution retrospectively, we first reviewed the appearance of the constitution responsible for the adverse events in the relevant sources of information.<br><b>Methods </b>: Fifty two pharmaceutical interview sheets, 150 case reports and two manuals; "jyudaina fukusayou kaihi notameno fukuyaku sidou jyouhousyu", "jyutoku fukusayou sikanbetu manual" were selected for review.<br><b>Results </b>: Fourteen items about the constitution were found in the pharmaceutical interview sheets.  No items about the constitution were found in the case reports and manuals.<br><b>Conclusion </b>: Rules for the preparation of pharmaceutical interview sheets and case reports to use the constitution information is necessary for retrospective analysis of this issue.
著者
大科 枝里 小林 正典 金城 美幸 中川 美奈 大塚 和朗 赤星 径一 田邉 稔 松木 裕子 小林 大輔 岡本 隆一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.119, no.7, pp.683-691, 2022-07-10 (Released:2022-07-11)
参考文献数
24

52歳,女性.胆道閉鎖症にて生後120日で胆囊十二指腸吻合術が行われた.反復する胆管炎に対して内視鏡治療を行った際の胆汁細胞診でClass Vが検出された.マッピング生検で胆囊管肝管合流部に癌を確認し,肝外胆管切除術,胆管空腸吻合術を行った.胆管癌はBilIN-3までの粘膜内癌でR0切除であった.胆道閉鎖症に対する胆囊十二指腸吻合術はまれで,術後長期の胆管癌合併の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.

2 0 0 0 OA IV.AKIと薬剤

著者
小林 大介 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.922-927, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
10

薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury:DKI)とは,「薬剤の投与により,新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義される.臨床現場では,治療目的で投与した薬剤がしばしば腎障害を引き起こす.薬剤により,障害のメカニズムや発症様式にある程度のパターンがあり,そのパターンを把握することは有益である.
著者
鈴木 啓助 小林 大二
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.707-724, 1987-11
被引用文献数
13

北海道北部の森林小流域(流域面積1.28krn2)において融雪流出の観測を行ない,融雪流出水の化学的な性質の検討,および融雪流出の形成機構についての考察を行なった。その結果,次のことが明らかになった. (1) 河川水中のCl<sup>-</sup>濃度は融雪初期に高く,後期には低くなる。HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度は融雪期に融雪の前後より低くなる. (2) 河川水中の陰イオン組成は,融雪開始前はHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>が主要な成分であるが,融雪の開始とともに次第にCrの割合が大きくなり,融雪最盛期にはCrとHCO3<sup>-</sup>の当量がほぼ等しくなる.融雪完了後には融雪開始前の陰イオン組成に戻る. (3) 融雪最盛期の湧水のHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度は融雪開始前の河川水の濃度よりわずかに低く,Cl<sup>-</sup>濃度は融雪開始前の河川水の濃度よりわずかに高い.湧水を形成する「ふるい水」もその化学的性質は一定ではなく,わずかに融雪の影響を受けている. (4) 「ふるい水」のCl<sup>-</sup>濃度が徐々に変化するとして,水とCl<sup>-</sup>の質量保存則により2成分の流出成分分離を行なった結果,河川流量に占める「あたらしい水」の割合は,ピーク時でも約40%に過ぎず,日流出高については最大でも22%を占めるに過ぎない. (5) 融雪の進行に伴う積雪域の後退により,「ふるい水」の流出形態に変化がみられる.積雪域が河道近傍まで広がっているときには,「あたらしい水」の地中への浸透による「ふるい水」の押し出し流が顕著であり,積雪域の後退に従い押し出し流の効果が遅くかつ少なくなる.
著者
樗木 晶子 長弘 千恵 金 明煥 小林 大佑 小車 莉絵子 福田 直行 中田 亜希子 香川 智啓 長家 智子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器病予防学会誌 (ISSN:13466267)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.28-33, 2005-01-31 (Released:2009-10-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

38℃と41℃という湯温の違いが入浴時の高齢者の呼吸・循環動態へ及ぼす影響を以前報告した。この変化が高齢者に特有なものか否かを検討するため今回は12人の健常高齢者 (男性5人、女性7人、平均年齢 : 70±5歳) と12人の健常若年者 (男性6人、女性6人、平均年齢 : 23±3歳) を対象に、湯温41℃の入浴で、血圧、脈拍、pressure-rate product (収縮期血圧と心拍数の積、PRP) 、酸素飽和度、鼓膜温の変化を計測した。高齢者では収縮期血圧は入浴中有意な変化はなかったが、出浴後は若年者に比べ低下傾向が強かった。拡張期血圧は両群とも入浴中から低下し出浴後もそれが続いた。脈拍は両群とも入浴中上昇し、出浴後は入浴前より低下し、両群間に変動の差はなかった。PRPは高齢者は入浴直後に上昇したが、若年者は出浴直後に上昇し出浴後安静1時間の問に入浴前より低下した。酸素飽和度は高齢者のほうが出浴後長時間経過したときの低下がみられた。鼓膜温は若年者より高齢者の方が上昇傾向を示したが有意差は得られなかった。高齢者と若年者では入浴時の呼吸・循環動態の変化が異なることが明らかとなった。
著者
小林 大地
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

「良薬は口に苦し」は孔子が残した言葉であり、古くから人々は苦い薬には良い治療効果があると信じてきた。一方、医療現場において患者は薬の苦味を不快に感じ、苦味が原因で患者が服薬を中断することがあり、近年の大きな問題の一つとされている。このため、苦味成分が治療に有効であることを科学的に証明し、社会的な理解を得ることは苦味による服薬の中断を予防することにつながる。本研究では苦味物質が抗炎症作用を有することを種々の苦味物質および、苦味受容体欠損細胞を用いて解析を行い、苦味による治療効果の可能性を追求する。
著者
小林 大祐
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.287-302, 2011 (Released:2012-09-01)
参考文献数
28

フリーターと社会階層との関連を指摘する研究は数多いが,量的な研究においてはその関連性についての知見は必ずしも一致していない.この理由のひとつとして,フリーターには幾つかのタイプがあり,そのタイプごとに出身階層に幅があるという可能性を考えることができる.もしそうであれば,なんらかの基準でフリーターを分類することで,フリーターのサブ・カテゴリーと出身階層の関連がより明確になるかもしれない.そこで,フリーターをしている「理由」に着目し、3分類したフリーターに対して出身階層が効果を持っているのかを検討した。その結果,本人の教育達成をコントロールしても「やむを得ず型フリーター」へのなりやすさには「15歳時財産得点」がマイナスの効果を持っていることが示された.この結果は,意に反してフリーターをせざるを得ない層において,経済的困難が学力の低下や学校への不適応につながったり,就職先未決定のままでの大学卒業につながったりすることで,職業への移行において不利になることを示唆するものである.また,フリーターとして一括りにされてきた若年パート・アルバイト層が,階層的出自について幅を持つものであり,従来の量的研究ではそれを一括りに論じていたため,出身階層の効果が見えにくくなっていた可能性を示すものである.
著者
小林 大介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.18240, (Released:2020-01-20)
参考文献数
30

The purpose of this research was to develop a Japanese version of the Unwanted Pursuit Behavior Inventory-Revised for Victimization (UPBI-R-V-J), which is a measure of unwanted pursuit behavior, and examine the reliability and validity of the UPBI-R-V-J. Unwanted pursuit behavior is defined as unwanted actions by former relationship partners, including stalking. The questionnaire survey was given to 133 university students, junior college students, and vocational college students (24 males and 109 females). The results revealed that the UPBIR-V-J consisted of instances of mild damage and severe damage, and it had adequate reliability coefficients (α = .83 and .74, respectively). Furthermore, each subscale was positively correlated with attachment anxiety associated with the former partner and was also positively correlated with the violence from former intimate partners that occurred during the romantic relationship; thus, the criterion-related validity of the UPBI-R-V-J was confirmed. Therefore, the UPBI-R-V-J was deemed to be reliable and valid. Finally limitations of the research and future directions are discussed.
著者
堀井 徳光 井上 直子 大嶋 繁 冲田 光良 秋元 勇人 根岸 彰生 大島 新司 沼尻 幸彦 小林 大介
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.28-33, 2018-09-30 (Released:2019-10-07)
参考文献数
19

In the Integrated Community Care System, pharmacists are expected to play a central role in addressing patients’ drug problems. Therefore, it is necessary to know the patients’ drug problems as well as the occupations of professionals in solving these problems, and to clarify the problems to be preferentially resolved. Thus, we surveyed care managers working in a district near the Josai University pharmacy about their drug problem recognition and the professionals who solved these problems. Many of the care managers identified “the patient has leftover drugs” and “the patient has declining cognitive abilities” as drug problems. Many of the care managers expected pharmacists to solve the problems of “the patient has leftover drugs” and “the patient does not understand the dosage regimen.” “The patient has leftover drugs,” “the patient needs allotting of drugs to ensure adherence,” “the patient does not understand the significance of the meditation,” and “the patient does not understand the dosage regimen” are drug problems in which pharmacists should preferentially intervene and play a role in the Integrated Community Care System.
著者
進 健司 小林 大介 川尻 雄大 牛島 悠一 梅田 勇一 金澤 康範 神村 英利 島添 隆雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.2, pp.317-325, 2019-02-01 (Released:2019-02-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Psychiatric treatment is shifting from hospital to ambulatory care. It is important that pharmacists positively support outpatients. Pharmacist-led interviews with outpatients have been conducted in the psychiatric department of Iizuka Hospital before examination by the doctor since 2015. Few studies in this field have reported about the effect of the pharmacist-led interviews using subjective evaluation of outpatients prior to examination by doctors. The aim of this study was to reveal this effect by the evaluation of outpatients. We conducted a questionnaire survey. More than 80% of the patients responded that it was “Good” to have an interview with the pharmacist prior to examination by the doctor. Moreover, 71.7% of the patients were “Satisfied” with the pharmacist-led interview, while 81.7% of them responded to “Agree” about continuing the interview in the future. Patients who were satisfied and wished to continue the pharmacist-led interviews were more likely to report better rapport with the doctor as well, in comparison to the patients who answered negatively. Furthermore, the patients who answered “Satisfied” were significantly less likely to forget reporting to the doctor than those who answered negatively. The pharmacist-led interviews in the psychiatric department were appreciated by the patients. In conclusion, pharmacists can facilitate communication between patients and doctors through these interviews. These results indicate that the pharmacist-led interview before the doctor examination is a useful effort from the perspective of outpatients.
著者
岩下 明生 小林 大輔 太田 季絵 小川 博 安藤 元一
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.209-217, 2014-12-15

神奈川県内の哺乳類の生息状況が異なる2つの緑地においてスタンプ板を用いた足跡トラップの有効性を検証するために,スタンプ板と自動撮影カメラを「けもの道」に設置して両者の調査効率を比較した。両手法におけるタヌキやアライグマなどの中型食肉目の出現頻度には正の相関が得られた。しかし,その値自体はスタンプ板調査よりも自動撮影調査の方が4-5倍高かった。動物のスタンプ板に対する反応をみると,アライグマとイエネコでは他種よりもスタンプ板の上を通過する割合が1.5-1.7倍高かったのに対し,アナグマでは他種よりも板の脇をすり抜ける割合が2-3倍高く,スタンプ板への反応には種間差が存在した。すなわち,スタンプ板調査は自動撮影調査よりも動物の検出力に劣るが,主要な中型食肉目の生息確認のような定性的な調査には十分な能力を有していた。さらにスタンプ板調査では低価格で盗難の可能性も低く,取り扱いが容易であるという利点があった。スタンプ板調査における実用的な方法の長短所を議論した。
著者
小林 大祐
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.19-38, 2015

階層帰属意識の分布は, 自記式に比べ他記式の調査でより高くなることが報告されているが, その要因については, これまで厳密に検証されてきたわけではなかった. この理由としては, モード間の傾向差のなかに混在するさまざまな要因を弁別できるようなデータセットがなかったことが大きい. 本稿は, 個別面接法と郵送法という異なる調査モードで実施されているが, 同じ階層帰属意識項目をもち, 同一年に実施された2つの調査データを比較することで, 調査モードが階層帰属意識にどのような影響を与えているか検証するものである. 分析の結果, 回答者の属性をコントロールしても, 個別面接法において階層帰属意識を高く回答する傾向が見られ, 調査モードの違いが, 何らかの測定誤差を生み出していることが示唆された. 続いて, 確認された傾向差が, 調査員の存在に由来するものかどうか, そうであれば階層帰属意識を答える際に働くバイアスとはどのようなものなのかを検討した. その結果, 男性サンプルでは中位に, 女性サンプルではより高く偏る傾向が観察された. これらの結果は, どのような階層的位置が「社会的に望ましい」, もしくは調査員に対して抵抗なく回答できるのかという, 価値規範の側面が, 所属階層を測定する際に無視できないことを示すものである.
著者
小林 大祐
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.19-38, 2015

階層帰属意識の分布は, 自記式に比べ他記式の調査でより高くなることが報告されているが, その要因については, これまで厳密に検証されてきたわけではなかった. この理由としては, モード間の傾向差のなかに混在するさまざまな要因を弁別できるようなデータセットがなかったことが大きい. 本稿は, 個別面接法と郵送法という異なる調査モードで実施されているが, 同じ階層帰属意識項目をもち, 同一年に実施された2つの調査データを比較することで, 調査モードが階層帰属意識にどのような影響を与えているか検証するものである. 分析の結果, 回答者の属性をコントロールしても, 個別面接法において階層帰属意識を高く回答する傾向が見られ, 調査モードの違いが, 何らかの測定誤差を生み出していることが示唆された. 続いて, 確認された傾向差が, 調査員の存在に由来するものかどうか, そうであれば階層帰属意識を答える際に働くバイアスとはどのようなものなのかを検討した. その結果, 男性サンプルでは中位に, 女性サンプルではより高く偏る傾向が観察された. これらの結果は, どのような階層的位置が「社会的に望ましい」, もしくは調査員に対して抵抗なく回答できるのかという, 価値規範の側面が, 所属階層を測定する際に無視できないことを示すものである.
著者
挾間 章博 三宅 将生 小林 大輔 勝田 新一郎
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

セシウムの臓器蓄積モデルとしてHeLa細胞を使用した。HeLa細胞に対してCsが増殖抑制効果を示すことを明らかにし、学術論文(FEBS Lett. 2017 Mar;591(5):718-727)として発表した。本研究で細胞内へのCsの流入が実際に起きていることが示され、Csにより解糖系酵素の発現抑制や機能抑制が起きている可能性が示された。HeLa細胞と他の細胞株のCs感受性の違いからCsの透過経路となる遺伝子を調べたところ、TRPC1、TRPM7がCsの透過経路と予想できた。
著者
小林 茂 徳井 直生 小林 大祐 図師 雅人 森下 静香 岡部 太郎 藤井 克英 後安 美紀 大井 卓也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS1104, 2023 (Released:2023-07-10)

障害のある人の文化芸術活動における人工知能技術の活用から見えてきた可能性と課題に関して報告する。奈良市のコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」では、身体障害や知的障害のある人々が絵画、詩、演劇など多様な文化芸術活動を行っている。そうしたアーティストたちに共通する課題が、障害の重度化や加齢などにより心身の状態が悪化していく中における創造的な活動や新たな挑戦の継続である。例えば同施設に在籍していた武田佳子は、徐々に身体機能が失われるにつれ、画材や技法を変えながら制作を継続してきた。ここで着目したのがサポーターである。サポーターはアーティストたちの制作活動を支援する人々で、単なる支援に留まらずアーティストに一体化しているかのように見える場面も多数観察された。作品を素材とする画像生成や自助具的なツール制作などの試行を経て、本プロジェクトでは新たなサポーターとしての人工知能に着目した。DALL·E miniやStable Diffusionなどの画像生成技術を活用して取り組んだ活動から見えてきた「表現活動に寄りそう他者としての人工知能」の可能性と課題について報告する。
著者
小林 大介 宮田 裕光
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PM-022, 2021 (Released:2022-03-30)

アーユルヴェーダはインド発祥の補完代替医療であり,体質ごとに異なる心理的特徴を呈することが伝統的に示されている。体質(プラクリティ)や体調(ヴィクリティ)の判断には,ヴァータ・ピッタ・カパの3 要素が用いられ,それらはトリドーシャ理論と総称されている。本研究では,トリドーシャ理論と,性格特性(Big Five尺度),気分状態(POMS-2 成人用短縮版),およびマインドフルネス(5因子マインドフルネス質問紙)との関連を,オンライン質問調査により検討した。大学生23名が,上記の心理学上の質問紙に加え,プラクリティとヴィクリティを判定する問診票に回答した。その結果,プラクリティにおいては,ピッタのみ情緒不安定性およびネガティブな気分状態と有意な正の相関を示し,調和性と有意な負の相関を示した。ヴィクリティにおいては,ヴァータがより多くのネガティブな気分状態と有意な正の相関を示し,カパのみマインドフルネスと有意な負の相関を示した。これらの結果は,アーユルヴェーダの体質論が,現代の心理学上の質問紙とも一定程度の関連があることを示唆しており,トリドーシャ理論に関する心理学的研究の実現可能性が示唆された。