著者
山口 明彦 藤本 徳毅 寺村 和也 加藤 威 古田 未征 田中 俊宏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.57-62, 2016 (Released:2016-06-02)
参考文献数
15

30歳代,男性。2009年3月上旬より特に誘因なく両下腿に紅斑が出現し,徐々に上肢にも拡大し発熱を伴うようになったため前医を受診した。セファゾリンの投与を受けたが軽快せず,D-dimmer 上昇,血小板低下を認め,原因不明の播種性血管内凝固と診断された。メシル酸ナファモスタットを投与され凝固異常は改善したが,発熱が持続しイミペネムの投与を開始されたが無効であった。このためステロイド内服やステロイドパルス療法も行われたが,発熱が持続するため当院転院となった。受診時,患者は Yamaguchi らの基準のリンパ節腫大以外のすべての項目を満たし,検査結果と合わせて感染症,悪性腫瘍,膠原病を除外し,成人発症 Still 病と診断した。ステロイドの単独治療,ステロイドパルス療法,メトトレキサート,シクロスポリンの併用,二重濾過血漿交換,コルヒチン内服のいずれにも著明な反応を示さず,軽快と増悪を繰り返した。治療抵抗性の成人発症 Still 病であり,IL-6 の高値を認めたため Tocilizumab の適応と判断し,Tocilizumab とステロイド内服の併用療法を開始したが病勢は完全には治まらず,最終的に Tocilizumab とメトトレキサート,ステロイド内服の併用により長期の寛解を得ることができた。Tocilizumab の難治性成人発症 Still 病に対する有効性については,今後も本例のような症例の積み重ねが必要と思われる。(皮膚の科学,15: 57-62, 2016)
著者
山口 明美
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-26, 2008

第一報において,火山灰と皮脂汚れとの混合汚れの洗浄において,硬度の影響が大きいことが認められたことを報告した。ここでは,硬度成分と考えられる火山灰中の各元素を含む鉱物が洗浄に及ぼす影響と鉱物の変化と洗浄の関係,さらに商業洗濯における再汚染の有無を明らかにすることを目的とした。原子吸光法による火山灰の分析の結果,ケイ素,アルミニウム,鉄,マンガンの順に鉱物は多く含有されていることがわかった。この鉱物の中で,アルミニウムが最も繊維に付着しやすく,洗浄効率が低いことがわかった。マンガンの含有量は少ないが,付着すると非常に落ちにくい物質であることもわかった。白布添付による方法で再汚染試験を試みた結果,ドライクリーニングにおける再汚染はほとんどないことが明らかになった。
著者
冨永 伸明 山口 明美
出版者
有明工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,内分泌かく乱物質であるBisA曝露を多世代にわたって行った線虫受精卵のヒストンH3のメチル化およびアセチル化修飾状況を定量的に解析することに成功した.線虫は,BisA曝露で経世代的に産卵数が減少することを報告しているが,本研究の結果から,その際に受精卵中の細胞において特異的なヒストンH3Lys4のジメチル化修飾体,Lys9のアセチル化修飾体が減少していることが分かった.このことは,内分泌かく乱物質の経世代的な影響はエピジェネティックな修飾として次世代の受精卵に受け継がれる可能性が高いことを示すものである.
著者
佐藤 志保理 山口 明彦 竹村 憲太郎 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp."1A1-O11(1)"-"1A1-O11(4)", 2011-05-26

In this paper, we study a method to translate the style of an input motion which is obtained by a motion capture system. For this aim, we model the difference of motions coming from the actor's attribute, such as gender and age. Especially, we focus on the difference coming from the gender, and model the difference of poses (joint angles) between males and females by using a Gaussian process regression. In training the model, we utilize Multifactor Gaussian Process Model to align the training set of motions in cyclic phase. In the experiments, we train the filter with walking motions of males and females, then we apply the filter to walking, running, and jumping motions of males. The results demonstrate that the filter successfully translates the motion into a womanish one.
著者
森川 大補 本庄 勝 山口 明 大橋 正良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.115, pp.219-224, 2003-11-18
参考文献数
6
被引用文献数
1

本稿では,ユーザ自身に関わる情報,ユーザ周辺の環境に関する情報などをユーザ状況に応じて集約し,体系化するサービスプラットフォームについて検討した結果を報告する.まず,本稿で取り扱う情報を,ユーザ自身にかかわるプロファイル情報(ユーザプロファイル情報)と,ユーザ周辺環境を表す情報(ユーザ環境プロファイル情報)に分類する.なお,本研究では,センサ装置から得られる情報に加え,サービス加入情報,電子決済・ブラウジング・メールの履歴等,ユーザの日頃の情報活動に関わるプロファイル情報を取り扱う.続いて,集約したこれらのプロファイル情報を個人環境プロファイルとして体系化するとともに,個人環境プロファイルを活用するためのプラットフォームの要求と基本設計について述べる.具体的には,プロファイルアグリゲータ,プロファイルコレクタおよびコレクタリゾルバを定義し,その構成と機能を示す.最後に,本プラットフォームを活用したサービスシナリオを示す.This paper presents a framework of a service platform, in which various kinds of profiles related to a user are aggregated and integrated according to the user's situation. Profiles dealt in this study are classified into two categories, "Personal Profiles" and "Environmental Profiles". In particular, "Environmental Profiles" have various information sources including not only sensor-based context information but also profiles acquired from user's activities such as shopping, browsing and e-mailing. In order to integrate these aggregated profiles as a "Personal Integrated Profile", functions in this proposed platform, "Profile Aggregator", "Profile Collector" and "Collector Resolver" are described. And service scenarios activated on the proposed platform are also represented.
著者
西浦 升人 長谷川 晃朗 金 鍾玉 山口 明 小花 貞夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.498, pp.1-5, 2007-01-18
被引用文献数
4

現在,有限な周波数資源の有効利用の実現に向けて,コグニティブ無線技術の研究開発が盛んに行われている.コグニティブ無線技術とは,周囲の電波環境を認識し,その状況に応じて無線リソースや通信方式を適応的に使い分け,周波数の有効利用をはかりつつユーザの所望する通信容量・通信品質を満足する技術である.また昨今,ストリーミング配信や音声・ビデオ通話といったリアルタイム性を必要とする通信の需要がますます高まっていることから,例えばビデオ会議中に巨大なファイルダウンロードの必要が生じるといったような,要求品質特性の異なる通信が一端末上で同時に発生する状況が今後ますます増えてくると予想できる.筆者らは,そのような状況においても各端末ユーザが各通信において所望する通信容量・通信品質を満足できるようにするために,複数の無線システムの適応的同時利用を前提としたコグニティブ無線アクセスネットワークの実現に向けた研究開発を行っている.本稿では,コグニティブ無線アクセスネットワークの概要について説明し,その後,コグニティブ無線アクセスネットワークにおいて,上述のようなユーザ所望の通信容量・通信品質を満足するために必要となるQoSルーティングのフレームワークについて述べる.
著者
泉 俊昌 藤岡 雅子 佐藤 嘉紀 恩地 英年 長谷川 保弘 岩佐 和典 北村 秀夫 山口 明夫
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.1225-1229, 2002-05-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
8

症例は1999年6月に左卵巣嚢腫に対し自動縫合器を用いた腹腔鏡下左付属器切除術の既往のある41歳の女性. 2000年9月28日,突然の下腹部痛・嘔吐にて入院となった.絶食・輸液にて経過観察するも腹膜刺激症状が出現したため, 9月30日緊急手術を施行した.開腹すると血性腹水を認め,腸間膜同士の癒着により形成された間隙に回腸が迷入・嵌頓し,絞扼性イレウスとなっていた.癒着を剥離するとイレウスは解除され,剥離部より自動縫合器の落下ステイプルが1個発見された.腹腔内にはこの部位以外に癒着を認めなかった.絞扼腸管は可逆的であり腸切除は行わず閉腹した.術後12病日に退院し,以後イレウスの再発は認めていない. 自動縫合器のステイプルが目的部位以外に落下・残存した場合は癒着が生じイレウスの原因となる可能性があり,余分なステイプルを落下させない工夫と落下ステイプルの丹念な回収の必要性が示唆された.
著者
五井 孝憲 山口 明夫
出版者
福井医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

TGF-βスーパーファミリーは細胞増殖、分化、細胞内輸送に関わる重要な細胞内シグナル伝達分子群と考えられている。そのなかの1つ、Smad分子はTGFレセプターからシグナルを受け、活性化された後、核内に移行して直接転写調節を司っている。近年この制御機構の破綻が様々な組織における腫瘍発生に関与することが注目されている。本研究ではTGF-βスーパーファミリー因子群の細胞伝達分子であるDPC4とMADR2遺伝子について、遺伝子異常および蛋白量の変化を大腸癌において検索し、発癌、浸潤および転移との関係を検討した。遺伝子異常についてRT-PCR,SSCPおよびDNA sequencingにて検討したところ、大腸癌29例中6例(20.7%)にDPC4遺伝子変異(5例point mutation,1例frame shift)が認められ、MADR2遺伝子では3例(10.3%)に遺伝子変異(point mutation)が確認された。さらに両遺伝子が位置する染色体18q21のLOH検索をMicrosatellite法にておこなったところDPC4遺伝子異常の認められた症例はすべてLOHが確認された。(informative症例)つぎにDPC4蛋白質に対するモノクローナル抗体を作成し、切除手術を施行した大腸癌64症例から原発巣および正常組織の蛋白を抽出し、Western blot法にてDPC4蛋白質の発現量を検討したところ、大腸癌組織におけるDPC4蛋白の発現量は、大腸正常粘膜と比較して有意に減少していることが認められた。DPC4蛋白量比(癌組織DPC4蛋白量/正常粘膜DPC4蛋白量)と臨床病理学的所見との検討では、肝転移陽性症例のDPC4蛋白量比は肝転移陰性症例の蛋白量比と比較して有意に減少していることが認められた。またDPC4遺伝子変異/欠損とDPC4蛋白発現量比の検討では遺伝子異常の認められた症例においてDPC4蛋白発現量比の減少は高度であった。以上よりTGF-β-DPC4シグナル経路は大腸癌の発生、転移などをはじめ、シグナル伝達解明に重要なpathwayであることが認められた。
著者
武若 耕司 上田 多門 丸屋 剛 山口 明伸
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、海洋コンクリート構造物の完全非破壊型塩害予知システムの構築を目的とし、ハードおよびソフトの両面から実験的ならびに解析的検討を実施した。主な研究成果は以下の通り。(1)構造物の劣化進行を予測する塩害劣化シミュレーションモデルを構築した。(2)供用構造物中の塩害劣化進行をモニタリングし,構造物の劣化予知が出来るシステムを確立した。(3)劣化予知にあたって既定値とすべきパラメータ(腐食発生限界塩化物イオン濃度やひび割れ発生限界鉄筋腐食量)を定量化した。
著者
入路 光雄 白石 哲朗 入江 奨 新居 早也佳 北野 戴 山口 明彦 松山 倫也
出版者
九州大学大学院農学研究院
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:13470159)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.115-123, 2008-10
被引用文献数
1

The aim of this study was to establish a suitable experimental system for inducing maturation and spawning of captive reared jack mackerel, Trachurus japonicus. Specifically, we examined annual changes in the gonadal histology of captive jack mackerel. A total of 285 adult fish (147 females and 138 males) were sampled regularly from rearing tanks (3 ton) in the months of May through July (2006). We found that the gonadosomatic index (GSI) values in both sexes increased during May and June. Spermiation was observed in 60 to 80% of males; however, the GSI values were lower for captive males than for wild males of the same stage. In females, vitellogenic ovaries were recorded in only four fish in the annual sampling period. All of the fish sampled were 2 to 4 years old, with fork lengths of at least 200mm. Condition factors (CF) were between 13 and 17. From the above results, we can conclude that in the present experimental set up female jack mackerel fail to proceed into vitellogenesis, even though they are of reproductive age and their size and body condition have developed to mature values. Further studies on the development of reliable techniques for inducing vitellogenesis based on endocrinological dysfunction mechanisms in the gonadal development of captive jack mackerel are necessary.マアジの繁殖情報の精度を向上させるための飼育実験系の確立を目的として,本研究では,飼育下におけるマアジの生殖年周期を調査した.2005年5月~2006年7月の1年3ヶ月にわたり,陸上屋外円形3トン水槽でマアジ親魚を飼育し,定期採集により285尾(雌147尾,雄138尾)を得た.雌雄のGSIは5-6月に上昇した.雄では60-80%の個体で排精が認められたが,GSIは天然魚と比較して著しく低かった.一方,雌では卵黄形成が認められた個体は,4尾のみであった.採取時のマアジ雌雄の年齢は2-4歳で,尾叉長も全て200mm以上あり,CFも13-17であった.以上の結果より,水槽内で周年にわたり飼育したマアジでは,年齢,体サイズ,栄養状態ともに成熟するための条件は整っていたにもかかわらず,卵黄形成は進行しなかった.今後,養成マアジの成熟・産卵誘導実験系を確立するためには,生殖腺の発育不順の内分泌的要因の解明も含め,飼育下で卵黄形成を確実に促進させる技術を開発することが必要となる.
著者
本庄 勝 森川 大補 小塚 宣秀 山口 明 大橋 正良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.444, pp.55-60, 2004-11-12

ユビキタス社会の一つのシナリオとして,ユーザは実世界環境から個人に関わる情報を生活の中で収集することが可能になり,携帯端末はひとつのゲートウェイになって稼動するものと考えられている.これまでに我々は,そうした個人や周りの環境の情報に関する情報を個人環境プロファイルと定義し,統合的に収集管理活用するための個人環境プロファイル活用ブラットフォームを構築してきた.個人環境プロファイル情報はユーザの備忘録としてみることができ,近年注目されているweblogユーザの生活のログを残す性質とも似ている.そこで本論文では, weblogをベースとした可視化ツール(Profile Blog)の実装について検討報告を行う.
著者
森川 大補 本庄 勝 小塚 宣秀 山口 明 大橋 正良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.692, pp.143-148, 2004-02-27
被引用文献数
2

我々は,ユーザ自身に関わるプロファイル情報,ユーザ周辺の環境に関するプロファイル情報などをユーザ状況に応じて集約し,個人環境プロファイルとして体系化するユーザプロファイル管理基盤を検討している.本橋では,まず,我々が想定する個人環境プロファイル構築モデルを述べる.次に,個人環境プロファイルのデータモデルとその更新手法について,我々が設計した個人環境プロファイルの実例を交えて述べる.さらに,個人環境プロファイルを活用したサービスのために必要となるイベント検出機能とクエリ処理機能を説明する.