著者
縄田 健悟 山口 裕幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.167-177, 2011-03-25 (Released:2017-02-21)
被引用文献数
1

When an outgroup member's behavior proves harmful for an ingroup member, a member of the victim's group sometimes retaliates against a member of the perpetrator's group. This phenomenon is called intergroup vicarious retribution. The purpose of this study is to examine the effect on intergroup vicarious retribution of being observed by ingroup members (ingroup audience effect). In this study, we allowed the winner of a one-on-one match to impose a fine on the loser in order to manipulate and measure aggression. It was found that participants imposed a bigger fine on an outgroup member when observed by ingroup members than when they were not. Path analysis revealed that being observed by ingroup members has an effect on the fine imposed on the outgroup member through expected admiration from ingroup members and the motivation of retaliation only in the condition of being informed about harm. Being observed by ingroup members enhances the expectations of gaining admiration from ingroup members and intergroup vicarious retribution occurs to a higher degree. The findings of this study suggest that intra-group processes, such as being observed by ingroup members, escalate intergroup conflict.
著者
山口 裕司
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.199-211, 2002-03-20

日本の政治の問題点は様々である。そのひとつは女性議員の少なさではないか。全世界の国会(下院ないし衆議院)における女性議員の比率を比較すると,1位はスウェーデンの42.7%,日本は7.3%で87位である。このデータは何を意味しているだろうか。男女共同参画社会を標榜する日本において,政治の舞台でこれほど女性の参加率が低いのは問題ではなかろうか。国民の半分以上が女性であるので,衆議院における女性議員の割合は低すぎる。こうした低さの原因は様々であろう。この論考では日本における女性政治家の現状を国と地方の二つのレベルで紹介する。次にこれほど日本で女性政治家が少ないのは何に原因があるのかを分析する。そして,日本に女性政治家を増やすにはどのような課題があるのかを検討する。その場合クオータ(割り当て)制の導入が不可欠であることが述べられる。最後に女性政治家が増えることのメリットを考察する。
著者
阿部 智和 山口 裕之 大原 亨
出版者
北海道大学大学院経済学研究院
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.170, pp.1-37, 2019-03

セコマのビジネスモデルは、2000年代後半以降、高い差別性を有するものへと変化を遂げていく。コンビニエンス・ストアを運営するリテール事業だけでなく、物流・サービス、および原料・製造事業から構成される3事業体制が確立されていく。本稿の目的は、この動向を追跡することにある。具体的には、この期間のセコマの概要とおよび当時の競争状況について確認したうえで、物流・サービス事業、生産・調達事業、販売事業のそれぞれの動向を整理していく。
著者
津曲 陽子 山口 裕幸 Tsumagari Yoko Yamaguchi Hiroyuki
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院
雑誌
九州大学心理学研究 : 九州大学大学院人間環境学研究院紀要 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 2013

This article proposed a psychological mechanism for improving future work motivation by reflecting on past experiences. Previous studies have claimed that future motivation is maintained by present self-affirmation and a future ideal, and have overlooked the effect of reflecting on past experiences. Rather, it has been claimed that reflecting on past experiences leads to overconfidence or anxiety, and impairs future motivation. In contrast, this article points out that people can maintain motivation through (1) imagining clearly their future ideal selves (setting goals), (2) reflecting on past experiences related to the ideal, and (3) acquiring lessons from the past. In a review of previous studies, we examined the process of reflecting on past experiences to improve future motivation. We showed that people with a clear ideal (goal) reflected on past experiences related to that ideal, and acquired lessons and mental rewards from the past, thus improving their motivation. A new mechanism for maintaining work motivation by reflecting on past experiences was presented, taking into consideration acquired lessons and mental rewards.
著者
山口 裕之 阿部 智和
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
pp.20220801-2, (Released:2022-08-01)
参考文献数
58

ビジネスモデルの逸脱的変化を巡る先行研究では,ビジネスモデルの慣性が前提に置かれることで,一時的な変化プロセスが注目され,継続的な変化プロセスは看過されてきた.この間隙を埋めるべく,支配的なビジネスモデルからの逸脱を継続的に果たした事例を対象とした経時的事例分析を行う.この分析からは,慣性をもたらすと考えられてきた要因によって逸脱的な局所変化が誘発・波及・増幅されていくダイナミクスが明らかとなる.
著者
縄田 健悟 山口 裕幸 波多野 徹 青島 未佳
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.29-43, 2015 (Released:2019-08-05)
被引用文献数
1

This study investigated the relationship between team composition based on work orientation and team performance. By examining the correlation between team performance and the maximum and minimum scores for work orientation, we determined whether the score of member with the highest work orientation correlated with team performance and whether the score of those with the lowest correlated with team performance. A survey of 161 teams comprising 1400 members from five different companies was conducted. The survey results show that the minimum score significantly correlated with team performance and team processes; however, the maximum score did not. This result suggests that a team member with negative work orientation worsens the overall team performance.
著者
道下 雄大 梅本 信也 山口 裕文
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科学術報告 (ISSN:13461575)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.33-55, 2005-03-31
被引用文献数
1

外周型の構造をとる日本の民家庭園では,さまざまな有用植物や野生植物が利用保存されて来た。このような庭園での植物と人との関わりを明瞭にする一例として,2004年の春と秋の2回,伊豆半島北部の2集落と東南部の2集落で,計80軒の民家庭園に生育する維管束植物を調査し,現地の住民より利用法と導入由来を聞き取った。145科781種の植物の生育が確認された。確認されたすべての種は,確認された軒数,常在度,鉢植えにされているかどうか(鉢比率),利用法とともに表1に示した。常在度は,雑草ではカタバミ,イヌワラビ,オニタビラコ,メヒシバ,コモチマンネングサ,ツメクサの順に高く,雑草を除く有用植物では,ドクダミ,ナンテン,ヒラドツツジ,キリシマツツジ,ウメ,イワヒバの順で高かった。有用植物には,631種あり,観賞,垣根,食用,薬用,儀礼,工芸用として利用されていた。有用植物の約8割は観賞用であり,花,葉,果実が観賞されたり,盆栽や忍玉として利用されたりしていた。鉢比率は,ナツメグゼラニウム,ウキツリボク,ハナスベリヒユ,外国産多肉植物など商店で購入された観賞植物や盆栽の植物などで高い傾向にあった。聞き取り調査で明らかとなった植物の導入先や由来は,自然実生の侵入,山野からの採集,店からの購入,贈答の4つに大別でき,その違いによって管理の様子に違いがあった。多様な由来をもつ植物が確認されたが,特に至近の野山から導入されたエビネ類,クマガイソウなどの日本原産林床性種に貴重種が多く,民家庭園は遺伝資源の現地保全(in site conservation)の機能を果たしているとも考えられた。
著者
紙谷 年昭 中山 祐一郎 山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.112-113, 2003-04-19

希少種を多く含む水生雑草であるミクリ属(Sparganium L.)植物は水辺の植物群落の復元などにおいて自然修復措置の素材として注目されている。しかし,ミクリ属では種の同定の難しさもあって研究が進んでおらず,環境修復を効率よく進めるために必要な生活史や生育環境についての基礎的な情報が不足している。ミクリ属は根茎断片による分布拡大や根茎によるクローン成長によって群落を形成する。この性質は修復地における移植初期の群落形成に重要な役割を果すと考えられる。そこで本研究では,ミクリ属のミクリとオオミクリ,ヒメミクリを環境修復素材として用いる際の基礎的な知見を得るため,3種を同一環境下で栽培し,根茎の伸長様式をはじめとするクローン成長に関する形質を調査した。
著者
山口 裕司 Yuji YAMAGUCHI
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.199-211, 2002-03-20

日本の政治の問題点は様々である。そのひとつは女性議員の少なさではないか。全世界の国会(下院ないし衆議院)における女性議員の比率を比較すると,1位はスウェーデンの42.7%,日本は7.3%で87位である。このデータは何を意味しているだろうか。男女共同参画社会を標榜する日本において,政治の舞台でこれほど女性の参加率が低いのは問題ではなかろうか。国民の半分以上が女性であるので,衆議院における女性議員の割合は低すぎる。こうした低さの原因は様々であろう。この論考では日本における女性政治家の現状を国と地方の二つのレベルで紹介する。次にこれほど日本で女性政治家が少ないのは何に原因があるのかを分析する。そして,日本に女性政治家を増やすにはどのような課題があるのかを検討する。その場合クオータ(割り当て)制の導入が不可欠であることが述べられる。最後に女性政治家が増えることのメリットを考察する。
著者
山口 裕文 久保 輝幸 池内 早紀子 魯 元学
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.127-139, 2019 (Released:2020-01-28)
参考文献数
117

シロザとアカザを含む“あかざ”Chenopodium albumに関する中国における文化認識の変遷を把握する目的で清代以前の64の漢籍にみられる“あかざ”の漢名と生態的・形態的特徴および利用の記述を調査した。“あかざ”は,雑草(非有害)や食用(蔬または羮,穀物),杖,灰の素材として認識され,三国時代までに萊,藜,藋,釐,拝,蔏および茟などの文字で表され,唐宋代には灰條,灰藋,白藋,青藜,金鎖夭,紅灰藋,鶴頂草など2,3文字でも表記されるようになり,明代には紅心の藜(および丹藜,藜菜,臙脂菜,舜芒穀,観音粟など)と葉に白粉をつける灰藋(および灰條,灰条,灰菜,灰條莧など)との2群で認識され,清代には地膚や絡帚,薇,苜蓿などとの混同が修正され,藜または灰藋に集約されていた。調査した漢籍のうち80%の文献に用途が示され,用途の記された文献のうち蔬(菜または羮)に関する文献は71%あり,杖(藜杖)に関する文献は59%あった。
著者
山口 裕文 平井 佐津紀
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.38-45, 1987-05-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
18

雑草には種群の分類が難しいものが多い。自然雑種や変異の解析は種群の認識の手助けになる。ニワゼキショウ (Sisyrinchium rosulatum BICKN.) にはオオニワゼキショウ (本文では L-race と示す) と呼ばれる類似品があり, 分類学的な検討が望まれている。この二群が混生する大阪府立大学構内に自然雑種と思われる中間型が見られ, 花色の変異が大きい (Fig. 1)。中間型が自然雑種であることを証明する目的で人為交配を行ない, 両親と人為雑種および中間型の形態と花粉稔性および染色体を観察した。また, ニワゼキショウの花色の変異の遺伝を調べた。ニワゼキショウ, オオニワゼキショウおよび中間型の差は多くの形質で量的であったが, 中間型は花色と果実が実らない点で区別された (Table 1)。交配は比較的容易で (Table 2), ニワゼキショウの赤紫花, 白花およびオオニワゼキショウの間で健全な人為雑種が得られた。人為雑種の植物体の特徴はニワゼキショウとオオニワゼキショウの中間的であった (Figs. 2, 3)。また, 人為雑種は体細胞で両親と同じ32本の染色体を持つが (Plate 1), その花粉稔性は3~30% (Table 3)で, 花粉母細胞では多極分裂が見られた。中間型は3~28A%の花粉稔性を示し, 花粉母細胞では人為雑種と同様の多極分裂が見られた。ニワゼキショウの花色変異体間の交配のF1は総て白花となり, F2や戻し交配の分離の結果から (Table 4), 白花は赤紫花に対して一遺伝子優性と推定された。形態の類似性と同じ染色体数を持つことおよび雑種が低い稔性を示す事から, オオニワゼキショウはニワゼキショウに近縁の別の分類群に所属すると考えられた。また, 中間型はニワゼキショウとオオニワゼキショウ間の自然雑種と推定された。原産地の合衆国南部のニワゼキショウは花色の変異が大きく近縁種との自然交雑も見られている。この大きい花色の変異は花色の多型現象と自然交雑によって引き起こされているらしい。
著者
山口 裕之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.76-86, 2007-06-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
23

既存の技術革新研究では,技術転換期に既存企業が競争地位を落とす理由として,新規技術への移行に遅れることが指摘されており,新規技術への迅速な移行をいかに果たすかという問題が重要視されてきた.これに対し,本稿では,新規技術への迅速な移行は既存企業に必ずしも望ましい結果をもたらすわけではなく,むしろ競争地位の低下・喪失につながる場合があることを指摘する.
著者
山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.73-78, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
41
被引用文献数
1