著者
高橋 伸彰 山本 紳朗
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告
巻号頁・発行日
vol.28, pp.13-22, 2007-10

土壌pH と有機物施用が土壌有効態ミネラル濃度,トマトの生育,ミネラル濃度,食味に及ぼす影響について調べた。硫酸および水酸化カルシウムにより土壌pH を4~10 に調整し,化成肥料によりトマトを栽培した。また,これらのpH の土壌に堆肥とボカシ肥を合わせて施用し,トマトを栽培した。土壌の有効態ミネラル濃度は,酸性土壌においてはカリウム,カルシウム,マグネシウムは低下し,鉄,マンガンは高まった。また,アルカリ性土壌においてはマグネシウム,鉄,亜鉛,マンガンは低下した。トマトの地上部および地下部乾物重は,酸性およびアルカリ性土壌において大きく低下した。トマト体内のミネラル濃度は,酸性土壌ではカリウム,カルシウム,マグネシウムは低下し,マンガンは高まった。アルカリ性土壌では亜鉛,マンガンは低下した。トマトのミネラル吸収量は,酸性およびアルカリ性土壌においてこれら全てのミネラルが大きく低下した。果実の酸度および食味は酸性土壌では低く,pH の増加にともない高まった。有機物施用は,アルカリ性土壌において,トマトの乾物重とカリウム,カルシウム,マグネシウム,亜鉛吸収を改善した。しかし,土壌においてこれらのミネラルの有効態化は認められなかった。これより,有機物施用によるアルカリ性土壌でのトマトの生育改善は,土壌化学性への直接的な作用によるものではないと考えられる。
著者
山本 隆司 飯島 淳子 北島 周作 交告 尚史 大江 裕幸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

行政法の法典化は、行政活動の透明化に資する。本研究は、これまで精査されてこなかった日本における1962年の行政不服審査法の制定過程を、議事録を通じて調査し分析した。また、近時公表されたEU模範行政手続法草案、2015年に制定されたフランスにおける行政法典、そして日本でこれまでほとんど紹介されてこなかった南アフリカの行政法典を調査し、日本で行政法の法典化を進める際の示唆を得ることができた。
著者
宮井 將宏 山本 泰司 内部 拓 矢田 伸広 原元 益夫 勝部 敬 北垣 一
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.1209-1214, 2015 (Released:2015-12-20)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

In the dopamine transporter scintigraphy there are two quantitative analysis softwares, DaTView and DaTQUANT. The quantitative value of both software has to be treated independently because there is a difference between them in the point of how to set the region of interest on the striatum and the background, calculation formula of quantitation. And also DaTQUANT has a capability of performing anatomical standardization which DaTView does not have. The aim of this study was to evaluate the accuracy of registration on DaTQUANT using a phantom, and to evaluate the correlation between the quantitative values between DaTView and DaTQUANT using clinical data. As a result, the accuracy of registration was acceptable. Regardless of the degree of accumulation in the striatum, there was a high correlation to each analysis software (r>0.85).
著者
花里 孝幸 柳町 晴美 平林 公男 宮原 裕一 朴 虎東 豊田 政史 山本 雅道 武居 薫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

水質汚濁問題を抱えていた諏訪湖の水質が近年になって改善されはじめ、それに伴って生態系が大きく変化し始めた。本研究では、その生態系変化の様子とメカニズムの解明を試みた。諏訪湖では、アオコ減少、不快昆虫ユスリカの減少、水草の増加、大型ミジンコの増加がほぼ同時期に起きた。生態系のレジームシフトが起きたといえる。植物プランクトンの生産力低下が生物間相互作用を介して生態系全体に波及したと考えられた。
著者
山本 佳代子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.53-63, 2007-03-20

The purpose of this study is to clarify the status of learning support for children in residential care, using the interview for workers. It is found that they have a lot of difficulties such as a shortage of workers, lack of supporting time and poor study circumstances. There findings suggest that it necessity for protection of learning rights of the children and skill for living, which is based on relationship between children and workers.
著者
水嶋 章郎 山本 泰久
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.278-282, 1987-05-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
11

Wilson 病は, 肝硬変, 錐体外路症状, Kayser-Fleischer 角膜輪を主徴とする先天性銅代謝異常で, その麻酔管理には問題が多い.症例は11歳時に本症と診断され, D-ペニシラミンの長期投与を受けている26歳の女性, ドロペリドール, フェンタニール, 笑気-酸素を用いたNLA原法とパンクロニウムの筋弛緩下に, 脊椎管狭窄症に対する椎弓切除術 (C3-7) を行い, 良好な結果をえた. 本例では, 術中に軽度の体温上昇を認めたほかには, 麻酔によると思われる呼吸•循環系, 肝•腎機能への影響を認めず, 術後, 錐体外路症状も増悪することはなかった.本症に病態生理に基づき, 麻酔薬の選択および術中•術後管理について, 文献的考察を加えた.

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著者
山本千吉 編
出版者
山本千吉
巻号頁・発行日
vol.桃太郎一代記, 1886
著者
梅本 和俊 中村 聡史 山本 岳洋 田中 克己
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.132-147, 2013-06-28

旅行に関する情報をWeb検索エンジンを通じて収集する場合,観光地や宿泊先などさまざまな観点から検索を行う必要がある.このように,いくつかのサブタスクから構成される検索タスクでは,1つの検索クエリのみですべての情報を得ることは難しく,クエリの修正をともなう検索が反復的に行われることによって,タスクが実行されることが多い.本稿では,こうした検索クエリの修正を,事前に予測する手法を提案する.提案手法は,現在の検索行動を特徴量とする分類器を構成することで,次の検索におけるクエリ修正タイプの予測を行う.実際の検索行動のログデータを用いた評価実験の結果,提案手法は5種類の検索クエリ修正タイプを約41%の精度で分類可能なことが明らかになった.また,分類器構成に用いる特徴量を変化させることで,修正タイプの予想に有用な特徴量の検証も行った.さらに今後の展望として,次の検索において実際に入力されるクエリの予想可能性についても考察する.
著者
遠矢 福子 山本 明弘 橋本 明
出版者
広島文化学園大学
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.11-23, 1999-09-25

わが国の地域精神医療・保健を巡る状況は、この10年間で著しく変貌している。欧米諸国の実状を見据え、今、地域社会をケアの場とする生活モデルづくりが始まろうとしている。その一つの示唆として、ベルギー・ゲールのファミリーケアは、長い伝統を引き継ぎながらも時代の流れに対応し、現代においても、世界的に高い評価を受けている。一方、京都・岩倉村コロニーは、終戦と共にその幕を降ろし、今では、営利目的の集団的私宅監置、差別的隔離収容といった評価さえ受けている。けれども、保養所における入所者の動向や処遇状況を丹念に見ると、そこもまた、今日的な意味での「中間施設的要素」をもって運営されていたことが見えてくる。ファミリーケアが地域精神医療に果たすべき役割の重要性は、今や世界中で確認されており、今後、わが国においても、これを如何に地域支援システムに取り込むかが、必須の課題となろう。他の障害者と違い、家族の支援さえ得にくい精神障害者にとって、医療と福祉(生活)が有効に連動する公的支援システムは不可欠であり、「岩倉村保養所」再考の意味はそこにある。
著者
山本 大吾 栁谷 拓也 井尾 祐斗 塩井 章久
出版者
一般社団法人 粉体工学会
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.770-775, 2017-12-10 (Released:2018-01-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Several research groups including us had reported that catalytic particles with asymmetric composition or morphology exhibit autonomous motions in a homogeneous solution containing reactant. In this study, we provide asymmetric environment where unsteady or quasi-steady gradient of a reactant (ethanol) is formed, although we use spherical catalytic particles made of single metal (Pt). As a result, we found that even spherical particles exhibit specific motility, chemotaxis that objects move along concentration gradient of specific chemical species. In our system, Pt catalytic particles show translation toward the area with higher concentrated reactant (ethanol). Such a new phenomenon is expected to apply to chemical systems such as power source of micromotors and catalytic reaction systems with high reaction efficiency, due to particles’ motility.
著者
星原 徳子 岡 真由美 山本 真代 金永 圭祐 森 壽子 長島 瞳 河原 正明 藤本 政明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.59-65, 2013 (Released:2014-03-13)
参考文献数
29

【目的】発達障害の早期発見は、社会生活での自立の促進において重要である。視能訓練士(以下CO)は小児の視覚だけでなく他機能との関わりにも注目し、成長発達の支援に関わる必要がある。今回、COと他院耳鼻科言語聴覚士(以下ST)が連携し、発達障害の評価と支援が可能であった症例を報告する。【対象・方法】2004年6月~2012年6月にK眼科で弱視または斜視と診断された18歳未満の症例412例中、発達障害を疑いSTが所属する専門医療機関への受診を促した12例であった。症例は未就学児8例(2歳5か月~5歳8か月)、就学児4例(6歳6か月~14歳3か月)であった。発達評価には遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表、同旧版(以下遠城寺式発達検査表)を使用した。【結果】生活年齢に相応した視機能検査ができなかったのは5例であった。発達障害を疑った視機能検査時の特徴は、発音不明瞭6例、多動4例、クレーン現象1例、コミュニケーション不良2例であった。12例全例の親が現状を否定する言動をし、ペアレントトレーニングを要した。STによる積極的訓練を開始できたのは7例、STによる6か月毎の経過観察を要しているものが2例だった。ST受診を拒否または一度受診したが訓練拒否したものが3例であった。【結論】遠城寺式発達検査表の項目を考慮して視機能検査を施行することは、小児の発達状態の評価に有用であった。COがSTと連携することで発達障害児の早期発見と就学前後での支援につながった。
著者
山本 直紀
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.279-288, 1997-08-30 (Released:2010-09-30)

This article gives fundamentals of analyzing electron diffraction patterns for persons who start to use an transmission electron microscope.
著者
山本 貞明 田中 賢 角南 寛 新井 景子 高山 あい子 山下 慈京子 森田 有香 下村 政嗣
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.502-510, 2006-09-10 (Released:2007-06-15)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

Patterned surface topographies play vital roles in cellular response such as adhesion, proliferation, and differentiation. Here, we characterized adsorption of fibronectin (Fn) as a typical cell adhesion protein onto honeycomb-patterned porous films (“honeycomb film”) of poly (ε-caprolactone) (PCL) incubated in a Fn phosphate-buffered saline (PBS) solution by using atomic force microscopy (AFM) and confocal laser scanning microscopy (CLSM). In order to determine how cells respond to a honeycomb film, focal adhesion of porcine aortic endothelial cells (PAECs) cultured on the Fn coated honeycomb films in a serum free medium were characterized by using immunofluorescencet labeling of vinculin and focal adhesion kinase autophosphorylated at the tyrosine residue 397 (pY 397 FAK). Fn adsorbed around the pore periphery of a honeycomb film to form fibriller aggregates in a ring-shape structure. The sites of pY 397 FAK and vinculin were overlapped and agreed well with the adsorption site of Fn fibrils. This demonstrated that PAECs adhered onto the honeycomb films at focal contact points localized around pore periphery. The expression of pY397FAK determined by an immunoprecipitation method was 3 times higher than that on a PCL flat film as a reference. These results imply that the signaling mediated by a integrin receptor-Fn binding were activated on honeycomb films and this type of signaling was activated effectively on a honeycomb film compared with on a flat film. The cell response to honeycomb films (adhesion pattern and phosphorilation of FAK) was supposed to originate from the regularly arraigned adsorption pattern of Fn determined by the pore structure of the film.
著者
遠藤 優 涌波 光喜 下馬場 朋禄 角江 崇 市橋 保之 山本 健詞 伊藤 智義
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 39.10 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.33-36, 2015-03-02 (Released:2017-09-22)

本研究では,自然光下の実シーンを計算機合成ホログラム(CGH)として記録するための手法として,市販のライトフィールドカメラであるLytroを用いる手法を提案する.本手法では,Lytroによって取得されたライトフィールドを波面に変換してCGHを計算する.また計算したCGHの光学再生実験を行い,本手法の有効性の検証を行った.
著者
野村 大成 山本 修
出版者
大阪大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1987

トリチウムの遺伝的影響の個体レベルの研究, 特に, 哺乳動物を用いた突然変異の定量的研究は, 従来の方法では不可能に近い. しかし, in vivo体細胞突然変異検出法PTーHTF_1法を用いることにより, 少数のマウスで突然変異の検出が可能であることがわかった. 本研究では, トリチウム水によるマウス個体での遺伝子突然変異誘発の量効果を求め, ヒトへの遺伝リスクの推定を試みた.1.突然変異の検出: 大阪大学医学部無菌動物室にてPTマウスとHTマウスを交配し, 新幹線にて広島大学原医研へ移送し, トリチウム水処置(妊娠10.5日目)とF1マウスの飼育を行った. 生後4週齢で屠殺し,F1マウス(a/a,b/+,c^<ch>/+,p/+,d/+,ln/+,pa/+,pe/+)で毛色変異を指標にし, 体細胞突然変異を検出した.2.トリチウム水による遺伝子突然変異の量効果: トリチウム水4.4MBq/g2.2MBq/g,0,7MBq/gを腹腟内注射した場合の毛色変異頻度は, 22/85(0.26), 12/92(0.13), 7/90(0.08)であり, トリチウム水の投与量に比例し, その頻度は直線的に上昇していることがわかった.3.トリチウム水投与によるマウス胎児のトリチウム吸収量の時間的変化:トリチウム水2.2MBq/gを同一マウスの腹腟内に妊娠10.5日目に注射し, 経時的に胎児臓器中のトリチウム比活性を測定した. 胎児臓器内トリチウム比活性は, 時間とともに指数亟数的に減少し, 突然変異を検出可能な4日間(10.5ー14.5日)の吸収線量は約30radであることがわかった.4.RBE値の推定: 現在までに得られている成果よりRBE値を求めた. 対照放射線として, X線110rad緩照射(0.5rad/min)での結果を用いた. あくまでも30radまで直線関係が成立すると仮定した場合の値であるが,RBE値は, 2.5となった.