著者
中島 義和 山田 和雄 甲村 英二 藤中 俊之 吉峰 俊樹
出版者
日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.443-447, 2004-11-30

AVMに対する治療として安全に施行されれば外科的全摘出が現在最も確実なものと考えられる.AVMの全摘出の確認には脳血管造影検査がgold standardと考えられるが,術後脳血管造影検査にて全摘出を確認したにもかかわらず再発する例が存在することが報告されている.今回私どもは,開頭摘出術後の脳血管造影検査にて全摘出が確認された小児AVM例で,その後の経過中にAVMが再発した2例を経験した.このような症例への対応,問題点について文献的考察を加え報告する.<症例1> 男児.初発時年齢5歳.昭和62年3月,頭痛発作が出現.翌日も頭痛継続するため近医を受診したところ,左後頭葉に脳室内出血を伴うAVMが指摘された(Fig. 1).脳血管造影検査で左後大脳動脈分枝をmain feederとするparasplenial AVMが認められた.左内頸動脈後交通動脈分枝部に,4mm大の嚢状動脈瘤も認めた.同年4月同AVMに対し摘出術施行するも全摘には至らず,当科にて同年5月残存AVMの全摘出術を施行した.すなわち,feederである後大脳動脈分枝とchoroidal arteryを確認,凝固しAVMを周囲から剥離すると,脳室壁を走っていたdraining veinが変色したので,この時点でdraining veinを凝固切断し,AVMを全摘出した.
著者
渡辺 敦光 岡本 太郎 山田 和正 安東 保海 伊藤 明弘 星 正治 澤田 昭三
出版者
日本放射線影響学会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.235-239, 1993-09
被引用文献数
2 2

The effects of the dose rate and the energy of fission neutrons using an iron block on tumorigenesis in B6C3F1 mice were examined. Six-week-old female animas were divided into 4 groups and exposes to ^<252>Cf neutron irradiation at dose rates of 0.05 cGy/min, with (Group 1) or without (Group 2) filtering through a 10 cm thick iron block, 0.8 cGy/min (Group 3) or 0 (Group 4 controls). Total neutron exposure was 50 cGy in each of groups 1-3 and total irradiation dose was 56,75 and 75 cGy in Groups 1-3, respectively. Total tumor incidences or multiplicity were significantly higher in Group 3 than in Group 1. A similar tendency was observed as compared to Group 2, ovarian and Harderian gland tumors being mainly affected and adrenal tumors were significantly higher in Group 2 than in Group 1. The results indicated a clear increase in tumorigenesis with the higher dose rate and no filtering influence of iron was evident, despite the drop in neutron energy level.
著者
山田 和志
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究代表者は、金ナノ粒子をガラス基板上に固定化し、そこへポリマーコーティングを行いナノ加工ターゲット基板を作製した。その基板に対して波長532 nmの可視光レーザーを大気中下で照射することにより、レーザーアブレーションを誘起させ、ポリマーコーティング膜およびガラス基板上へ世界最小のナノ加工(加工サイズ10~30 nm)を行うことに成功した。また、金ナノ粒子のサイズまたはコーティング薄膜の厚みや種類等を変えることにより、ナノ加工サイズや形状を制御できることを見いだした。
著者
百瀬 今朝雄 高島 正人 小山田 和夫 北村 行遠 坂詰 秀一 中尾 尭
出版者
立正大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本年度は、研究成果の総まとめを目標に、実地調査を主体とする活動を展開した。その作業は次のとおりである。1)妙顕寺古文書の分類・整理についての基礎方針を確立すべく、京都周辺諸寺の宝物帳を検討することにより、これを定立した。2)上の基本方針に基いて、妙顕寺文書の分類・整理する作業を入念に行い、「妙顕寺文書」の体系化を仕上げた。3)文化庁の助力を得て、「妙顕寺文書」の全体を再確認するとともに、目録を作成して、国指定文化財の審議資料に提出した。4)妙顕寺文書の保存方針を立て、和紙製の封筒や包紙を用いて、これを厳重に包装することにより、古文書の保存テストを行い、好成果を得た。5)金石文の調査と研究を、本圀寺・妙顕寺・妙覚寺・頂妙寺等の墓地を対象として行い、中世の墓塔・碑などを数多く発見し、形態分類・銘文の分類・時代の変遷等の基本資料を得た。6)京都諸寺院の動向について、公家の日記等の記録における記事を集成し、これを古文書と対照しながら、京都の社会情況の中で再評価を試みた。7)典籍については、法華経典籍について検討を加え、『法華経験記』を中心として、その体系化に努め、また11世紀から13世紀における比叡山延暦寺においての僧伝編纂についても考察を加えた。以上のような作業を通して、京都におけるおおよその法華系文書・典籍等についての見通しをつけた。
著者
安田 喜憲 笠谷 和比古 平尾 良光 宇野 隆夫 竹村 恵二 福澤 仁之 林田 明 斉藤 めぐみ 山田 和芳 外山 秀一 松下 孝幸 藤木 利之 那須 浩郎 森 勇一 篠塚 良司 五反田 克也 赤山 容造 野嶋 洋子 宮塚 翔 LI Xun VOEUM Vuthy PHOEURN Chuch
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

年縞の解析による高精度の気候変動の復元によって、モンスーンアジアの稲作漁撈文明の興亡が、気候変動からいかなる影響を受けたかを解明した。とりわけメコン文明の一つであるカンボジアのクメール文明の興亡については、プンスナイ遺跡の発掘調査を実施し、水の祭壇をはじめ、数々の新事実の発見を行った。稲作漁撈文明は水の文明でありアンコールワットの文明崩壊にも、気候変動が大きな役割を果たしていたことを明らかにした。
著者
山田 和子 上野 昌江 柳川 敏彦 前馬 理恵
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

目的:4か月児健康診査(以下、「4か月」とする)、1歳6か月(以下、「18か月」とする)における母親の育児不安とその関連要因を明らかにするとともに、都市部と郡部の育児の違いを明らかにすることで、乳児からの育児支援の方法について検討する基礎資料を得ることを目的とする。調査方法:調査対象はA市(以下、「郡部」とする)の平成20年7月~12月生まれの児を持つ母親とした。調査方法は健診の問診票を送付時に本調査の調査票を同封してもらい、健診時に回収した。育児不安得点を平均点により2分して比較した。結果:調査の回収は4か月107名(回収率97.3%)、18か月103名(回収率92.8%)であった。4か月において、育児不安が強い群の方が、児への気持ち得点、母性意識得点は、有意に否定的であった。育児で心配なことも育児不安が強い群の方が有意に心配なことが多かった。郡部と都市部を比較すると、育児不安得点は、郡部の方が都市部より低かった。児への気持ち得点は、郡部の方が都市部より子どもへの否定的感情が弱かった。4か月と18か月の育児不安得点との相関をみたところ、4か月時に育児不安がある母親は18か月時点でも有意に育児不安があった。18か月において、育児不安が強い群の方が夫の育児参加や話しすることが有意に少なかった。まとめ:4か月で育児不安がある母親は18か月でも育児不安があることが多いことより、乳児期早期からの育児支援の必要性が示唆された。さらに、育児不安の状況は地域により異なることより、各地域の状況に応じた育児支援対策を行うことが必要である。
著者
山田 和弘 星野 貴彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.478, pp.81-86, 2007-01-17
参考文献数
7
被引用文献数
1

東海道新幹線においては,2009年よりお客様に対して,地上〜車上間の通信路に漏洩同軸ケーブル(LCX)を利用し,最大で約2Mbps/例車の通信速度で,新幹線車内でインターネット接続サービスを提供する予定である.また,将来的には通信速度を向上させる要求が高まると考えられるため,数十Mbpsのダウンリンク回線が構築可能な衛星通信方式や,100Mbps以上で双方向通信が可能なミリ波通信方式などの検討を進めている.しかしながら,衛星通信ではトンネル内に不感知帯が生じる,ミリ波通信では1アンテナのカバーエリアが高々100m程度であるなど,新幹線のような高速移動体通信においては,数十Mbps程度以上の広帯域通信を,ある1つの無線通信方式を利用して構築することは技術的にもコストの面からも容易ではない.このため,将来的にはLCX通信,衛星通信,ミリ波通信など複数の通信方式を利用して地上〜車上間の通信を行うことが考えられるが,それぞれを別システムとして扱うと,お客様が利用する通信方式を選定する必要が発生し,また選定された通信方式が切断された場合などにはシームレスに他の通信方式に切り替えることができないなど,複数の通信方式を構築するメリットが非常に小さくなってしまう.そこでこの問題を解決するため,本論文では,モバイルIP技術を活用した複数通信経路上での動的ルーティング,各方式間での不等価負荷分散を実現するシステムの構築,および東海道新幹線を利用した検証試験について報告する.
著者
山田 和幸 柴山 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.501, pp.21-26, 2003-12-11
被引用文献数
1

音響処理が施されていない部屋に存在している多くの物から反射した音波によって生成される音場は複雑になる.反射や吸音は材料表面で起きているが,反射係数は主に物体の大きさや形状に依存している.音響特性の多くは音響インテンシティ法や音響ホログラフィ法を用いることにより視覚的に実証できる.音響インテンシティ法は遮音壁の音響特性を効果的に測定できるので,アルミニューム,合板や金属製の吸音材で製作したパネル遮音壁について音響インテンシティを測定した.測定は無響室の中で行い,遮音壁の有無による場の音響インテンシティ結果から,目的物体からの反射成分を検出した.
著者
相馬 幸作 増子 孝義 清水 千尋 山田 和典 蔡 義民
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.495-500, 2006-11-25
被引用文献数
4 3

北海道の基幹草種であるチモシーを対象に,地域,生育ステージ,刈取り時刻および品種などの要因を設定し,可溶性炭水化物(WSC)含量および糖組成に及ぼす影響を調べた.地域において,1番草のWSC含量は最大2.67%(乾物中),2番草では2.37%の差があった.生育ステージでは,6月30日(出穂期)にWSC含量がピークに達した.しかし,グルコース,フルクトースおよびスクロース含量は増加しなかった.刈取り時刻では,7時からWSC含量が増加し始め,17時に最大値に達し,その差は3.00%(乾物中)になった.グルコースおよびフルクトース含量は13時に最大値に達した.品種では,1番草はクンプウ(極早生)とノサップ(早生),2番草はノサップがそれぞれWSC,グルコースおよびフルクトース含量が高かった.ただし,グルコースおよびフルクトース含量の増加はわずかであった.以上の結果から,チモシーのWSC含量と糖組成は,地域,生育ステージ,刈取り時刻および品種などの要因により著しく変動することが明らかになった.
著者
白井 良成 中小路 久美代 山田 和明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.14, pp.17-24, 2004-02-06

本研究は,空間的,時間的なユビキタスコンピューティング社会において,多種多様,大量のオブジェクトが個々のインタラクションヒストリを累積した際に,それをどのようにユーザが利用すべきか,それに適した表現系と操作系とはどうあるべきかを考察し,そのためのインタラクションデザインの枠組みを構築しようとするものである.本論では,インタラクションヒストリの要約と閲覧というユーザの行為に着目し,インタラクションヒストリ閲覧目的のtaxonomyの構築をおこなう.そして,それぞれの側面に適した時間軸を利用する要約手法とそのための表現手法について考察する.最後に,インタラクションヒストリの可視化手法の一例として,我々が構築してきているOptical Stainシステムについて論じる.Optical Stainの利用経験の分析と発展させるべきシステムの側面を省察することにより,本研究の今後の課題と方向性について論じる.The goal of our research is to develop an interaction design framework for the use of interaction histories of objects. Ubiquitous computing enables each of a variety of objects (including humans) to keep track of its/his/her interactions with other objects over a very long period of time. Little research has been done in support of how to design representations and operations to use such interaction histories of a large number of heterogeneous objects. This paper focuses on summarization and browsing techniques for interaction histories. We present a taxonomy for interaction history browsing purposes, and discuss what temporal representations would be appropriate for different types of such browsing purposes. We introduce Optical Stain, a system that keeps track of posters on a physical bulletin board and gives visual feedback on the board as trajectories of past posters, to illustrate our point of view.