著者
山田 和彦 田中 弘之 石見 佳子 梅垣 敬三 井出 留美
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.91-99, 2017
被引用文献数
2

<p>食品の機能性に関する表示は, 消費者が食品を選択する際の一つの有効な手段となる。保健機能食品は, 食品表示法に基づく食品表示基準に規定されており, 特定保健用食品, 機能性表示食品および栄養機能食品からなる。特定保健用食品は, 健康増進法においても規定されており, 特定の保健の用途に適する旨を表示するもので, 販売に当たり国の許可が必要である。機能性表示食品は, 2015年に新しく創設された制度であり, 事業者の責任において体の構造と機能に関する機能性表示をすることができる。販売前に機能性と安全性に関する科学的根拠資料を国に届出る。栄養機能食品は, 規格基準型の食品で, 国の許可を受けることなく栄養素の機能表示をすることができる。2015年の特定保健用食品の市場規模は約6,400億円, 栄養機能食品といわゆる健康食品を合わせて1兆5千億円と試算されている。これらの食品の機能性に関する表示は消費者に正しく理解される必要があり, 普及・啓発が重要である。これにより, 人びとの健康の維持・増進が期待される。</p>
著者
長谷川 大祐 坂口 顕 山田 哲 日高 正巳 川口 浩太郎
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Fb0796, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 理学療法士が、整形外科疾患やその他外科手術後の症例を担当することは非常に多い。術後に生じる術創部周辺の「硬い浮腫」は、疼痛の遷延や関節可動域制限の原因となることが多い。一方、微弱電流刺激(MCR)は、生体に1mA以下の微弱な電流を流す電気刺激療法である。近年、急性外傷後の疼痛軽減効果、腫脹軽減効果や組織修復促進を目的に、主にスポーツ現場などで使用されている。同様に外科的処置によって生ずる術創も、その部位に組織の損傷が起きており、MCRが効果を発揮できる病態であると考える。MCRがこのような術創部周囲の腫脹を軽減できれば、その後の修復過程を促進することができるのではないかと考える。そこで本実験では、創部硬度の観点から検証するとともに、MCRによって、創部がどのように変化するかを検証することを目的とした。【方法】 Wistar系雌性ラット(8匹、6週齢)を無作為にControl群、Sham群、MCR群に分けた。Sham群、MCR群は背側を剃毛し、背側皮膚をメスにて2cmの長さに縦切開し、6針縫合した。翌日より、Control群、Sham群は、1日1回の麻酔のみを行った。MCR群は麻酔下にて、1日20分のMCRを行った。刺激は、交流電流を、刺激強度を500μA、周波数0.3Hzに設定し、電極配置は、創傷中央から左右に配置した。実験期間は10日間とし、毎日行った。創部の硬度は介入5日目より10日目まで測定した。創部硬度の測定方法は、歪みゲージ(協和電業社製、LTS-1KA)と、デジタルノギスを用いて、創部に対する圧迫力と創部の厚さを測定することで算出した。算出方法は、創部圧迫力と創部の厚さから回帰直線y=‐ax+bの関数式を導き出し、その傾き(回帰係数a)をもって創部硬度とした。創部硬度の群間比較は統計解析ソフト(PASW Ver.18.0)を用い、Kruskal-Wallis検定にての一元配置分散分析(ANOVA)を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 兵庫医療大学動物実験委員会の承認(承認番号2010-18-1)を得て行った。【結果】 創部硬度では,Control群は5日目から10日目まで変化がなかった。一方、Sham群とMCR群は5日目の硬度ならびに厚さが増加していた。これら2群については、それぞれの日数では統計学的な有意差は認められなかったものの、日数によって硬度が変化する様式が異なる傾向を示した。Sham群は5日目に一度硬度が上昇した後、10日目には硬度が低下する傾向を示した。一方MCR群では、5日目よりも10日目の方が、硬度が上昇する傾向を示した。【考察】 術後創部周囲の「硬い浮腫」は、炎症反応後の組織修復期に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が増加することに由来するといわれている。これらのムコ多糖類は、保水性に優れることから、水分を吸収し、そのため術創部の周囲に「硬い浮腫」が生じる。本研究においても、創を作成したSham群、MCR群の組織修復期にあたる5日目以降において、Control群に比べて硬度が上昇し、「硬い浮腫」が存在していた。介入5日目の回帰係数はMCR群よりもSham群が高値を示していることから創部硬度はSham群が高い傾向にあると考えられる。介入10日目の回帰係数はMCR群が高値を示す傾向となり、創部硬度がMCR群とSham群で逆転した。結果からMCR群は他群と比較して創部硬度増加率が高い。この理由として、組織修復には多くの過程がオーバーラップしていることを考慮しなければならない。ムコ多糖類の合成が落ち着いた後には、線維芽細胞分泌が上昇する。これによりMCR群では、5日目のムコ多糖類や水分の蓄積が抑えられ、10日目ではコラーゲン線維が増加したことで、Sham群とは異なる組織硬度の変化を呈したのではないかと考える。坂口らは、足関節周囲の術後早期からMCRを使用することで、足部周囲の腫脹軽減や足関節関節可動域制限の進行抑制に対して、効果があると報告している。本実験結果から得られる仮説として、MCRの早期からの使用は炎症反応と修復過程が早められ「硬い浮腫」を軽減するとともに、線維芽細胞の増殖過程が早期に起こす可能性を示唆するものである。今後、それぞれの組織回復期に準じた検証と、組織学的あるいは生化学的な検証が必要であるとともに、長期的な検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、例数も少ないため、この結果を持って、MCRの効果を絶対的に論じることはできない。しかしながら、MCRを術後早期から使用することにより、「硬い浮腫」軽減に対して何らかの影響を及ぼすことが考えられる。これは組織修復の進行速度に対して影響を及ぼしている可能性が示唆され、術後早期の理学療法を行う時の、創部そのものへのアプローチを考えるきっかけとして意義あるものである。
著者
米田 涼 沖 将吾 山田 真司
出版者
日本音楽知覚認知学会
雑誌
音楽知覚認知研究 (ISSN:1342856X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.5-16, 2015

音楽の経時的な印象に関する研究は数多く行われているが,それらは主にクラシック音楽を対象としていた。本研究ではゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽を用い,音楽ジャンルの違いによる経時的な印象変化の違いを調査した。また,楽曲の経時的な印象変化と,音響特徴量および楽曲全体の印象との関係についても調べた。その結果,音楽ジャンルに関わらず「快さ」の変化は小さく,「覚醒度」の変化は大きいことが分かった。そして,覚醒度の変化はゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽の順で大きくなる傾向が見られた。また,楽曲全体の覚醒度は,楽曲中の覚醒度変化の絶対値の大きい部分の平均と対応が良いことが明らかとなった。
著者
安田 結美 村川 真紀 山田 あすか
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.27, no.66, pp.887-892, 2021-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2

Because of COVID-19, people are required to refrain from leaving their homes unnecessarily. In this study, the relationship between the stress levels of Japanese university students and their home-based learning environment was investigated through a questionnaire survey. The results show that stress levels decreased as the number of days passed for those who lived with their families. Moreover, days with lower stress levels were those when the students had opportunities to meet others in an online setup, suggesting that having opportunities to communicate with others and making plans to do so may contribute to stress reduction.
著者
山田 崇恭
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2021

本研究では、数学的・力学的根拠に立脚して、可展面構造を創成計する方法論を、トポロジー最適化の考え方の拡張により構築します。可展面とは,伸縮することなしに平面に展開できる曲面であり、折り紙がその代表例です。さらには、提案する方法論の応用研究として、状況に応じて最適な形状へと自動的に変形する潜在的機能を持ったスマート展開機械デバイスの創成設計法を構築します。
著者
山田 達男 大石 昌稔
出版者
静岡県農業試験場
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-9, 1985 (Released:2011-03-05)
著者
中原 和洋 内田 咲 小林 実央 山田 茂雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.2I5OS08b4, 2014

<p>知識ベースのConceptNetや推論手法のAnalogySpaceが開発され、コモンセンスAIの研究基盤が整いつつある。著者らは日本におけるコモンセンス知識収集と知識ベース構築を行ってきた。本論では、上述の知識ベースと推論を用いて市販幼児教材の仲間外れ概念探し問題に取り組んだ結果を報告する。Wikipediaを利用したLSA手法、WordNetの概念間類似度計算手法と比較し良好な結果が得られた。</p>

1 0 0 0 OA 平家物語

著者
山田孝雄 校訂
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1932
著者
松倉 大樹 奥山 みなみ 内倉 健造 山田 未知 片桐 成二 森好 政晴
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-9, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】豚の精漿には,子宮や精子の機能調節作用を持つ様々な蛋白質が含まれている。その機能を解析するためには蛋白質組成を知る必要があるが,品種や個体間でその蛋白質組成を比較した報告はほとんどない。そこで本研究では,異なる品種および個体から複数日に渡り精液を採取し,その蛋白質組成を調べた。【方法】精漿は大ヨークシャー種(以下W: n=2), ランドレース種(以下L: n=2)およびデュロック種(以下D: n=4)の3品種と交雑種(以下WLDD: n=1)の計9頭から用手法により採取した精液から分離した。9頭中4頭(W: n=1,D: n=2,WLDD: n=1)からは日をおき複数回(W: 4回,D: 3回, 4回,WLDD: 5回)にわたり精液を採取し精漿蛋白質組成を比較した。精漿蛋白質はSDS-PAGEにて分離し,各蛋白質の分子量および全精漿蛋白質に対する百分比を算出した。【結果】5-180kDaの範囲内では最大19本の分子量の異なるバンドが検出され,組成の約20%を180kDa以上の高分子量蛋白質が占め,約60%を19kDa以下の低分子量蛋白質群が占めていた。19本のうち全個体に共通して見られたバンドは6本であった。その推定される分子量,組成比および組成比のCV値は119.2–122.9kDa,2.3±1.0%, 43%; 96.8–101.4kDa,1.3±0.56%, 43%; 73.3–77.3kDa, 5.8±1.6%, 27%; 61.6–65.3kDa, 7.8±2.3%, 30%; 10.4–11.8kDa,34.7±4.0%, 11.6%; 8.2–9.7kDa, 18.9±3.3%, 17.3%であり(平均±SD),その組成比は個体間でばらつきがあることがわかった。残りの13バンドはその有無が品種で共通のものではなく個体による差が認められた(1–3個体に共通:5本,4–6個体に共通:4本,7–8個体に共通:4本)。採精日間においては,CV値が50%以上のバンドが,Dの1個体で1本(34.0–37.0kDa),Wで1本(61.6–65.3kDa),WLDDで1本(34.0–37.0kDa)あり,CV値はそれぞれ,53%,51%, 56%となった。以上より,個体および採精日によって精漿蛋白質組成比に違いが認められたため,今後はさらに個体数および採精回数を増やして検討する予定である。
著者
山田 明夫 佐藤 基佳 宮原 和郎 広瀬 恒夫
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.783-787, 1984
被引用文献数
1

1981年1月から1982年11月までに, 北海道北部および東部で実施した大動物用X線診療車によって臨床的に一見健康な乳牛2,037頭の集団検診を行いその所見のうち, 第四胃が明視できた1,976頭における第四胃内異物の存在率とその性状について検索した.<BR>1) 第四胃内に全属異物が1,976頭中697頭 (35.3%), 砂粒状物が1,907頭 (96.5%), 磁石が9頭 (0.5%), 塊状陰影物が4頭 (0.2%) に認められた. この成績は, 一般酪農家に飼養されている乳牛の多くが, 金属異物や砂粒状物にもとつく胃粘膜への損傷ないし刺激が原因の一つと考えられている第四胃炎や第四胃潰瘍の危険に曝されていることが示唆された. また, 第四胃に金属異物が到達することはあっても, その可能性はきわめてまれであるという従来の見解を否定する成績であった.<BR>2) 第四胃内金属異物の存在率は, 第二胃内磁石存在群で25.7%, 第二胃内磁石非存在群で42.2%であり, そのうち5cm以上の金属異物は, 前者で2頭, 後者で43頭に認められた. したがって, 第二胃内の磁石は金属異物, とくに5cm以上の長い金属異物の前胃から第四胃への移動を阻止するのに効果のあることが示唆された.
著者
近松 壮登 山本 秀彦 山田 貴孝
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.675-676, 2015

本研究は,自律分散型FMSにおいて,Automated Guided Vehicle (AGV)同士の経路干渉を回避するため,AGVに心のモデルを導入し,行動を制御する.心のモデルは,傲慢な心と謙虚な心の2種類の心変わりを繰り返しながら経路干渉を回避するというものである.そしてこの心を,複数のFMSに応用し,生産シミュレーションを行った.その結果,生産フロアの形状が変わってもAGV同士が柔軟に経路干渉を回避しており,心の導入により行動を制御できたといえる.
著者
山田 敏彦
出版者
日本草地学会
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.263-269, 2009 (Released:2011-07-26)