著者
山田 幹雄 松島 保志 佐野 博昭 奥村 充司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.637, pp.165-175, 1999-12-20
参考文献数
24

本研究では建設副産物の有効利用の一環として, また, 補修周期の延伸化の一策として, 再生混合所に搬入したアスファルトコンクリート発生材の一次選別時に生じるグリズリフィーダ通過材を活用した路床構築の可能性について検討した. 模擬路床の構築試験に先立ち, 室内で粒径を揃えた材料を安定材とともに試料土に加えて<i>CBR</i>や一軸圧縮強さの推移を調べたところ, 混入量を多くするほど安定処理効果は大きくなることが確かめられた. さらに, 構築試験および事後試験からは, 粒度組成にかかわらず舗装の施工基盤として具備すべき締固め度や支持力は十分に確保されること, 改良路床土の固化の進行には路床温度が関与すること, 耐水性を通常の安定処理土と比較してもとくに遜色のないことが示された.
著者
山田 昇司
出版者
朝日大学経営学会
雑誌
朝日大学経営論集 (ISSN:09133712)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.31-58, 2018-03

チャールズ・チャップリンが作成した映画『独裁者』(1940)には最後に6分ほどの長さの演説がある。そのすばらしい内容と映像が使えるという利点に惹かれて、これまで多くの英語教師がこの「結びの演説」を教材として採用してきた。ただその実践者はこの演説を音声指導においては「暗唱」用として使うことが多かった。それに対して寺島(1997a)は「リズムよみ」→「表現よみ」→「スピーチ(暗唱)」というタスク配列を提起した。というのは、学習者に最初から暗唱を要求すると、それを覚えることにエネルギーを費やすことになり、仮にそれが出来たとしても、演説の中の「反復」や「対比」が生み出す響きのよい音韻性や演説全体が作り出す「緩→急→緩」といったリズムの心地よさに気づかないからかなめだ。いやそれどころか、肝心要の、英音の基本構造「リズムの等時性」を学ぶことすらできなくなる恐れがある。寺島美(1987)や寺島(1997a)には上記配列の「表現よみ」までで止めて成功した実践が記録されているが、筆者はこれまで全体を「表現よみ」させる追試を行ったことは一度もなかった。本論はその実践をはじめて行うに先立って筆者がどのようにこの教材を準備して授業計画を組み立てていったのかをまとめたものである。まず始めに以前に用いた読解プリントを見直す中で、語義ヒントの与え方や、英文構造を視角化する記号のひとつである四角(関係詞や接続詞)のつけ方などについて考察した。次に寺島(1996)で示されている「リズム記号」を生の音声と比較して検証した際に気づいた点について私見を述べた。本論の後半では「表現よみ」を成功させるための実践的手順を先述の2つの文献やその追試を行った新見(2013)を引用しながら検討した。最後に、どうして今回、筆者がこの演説を教材として取り上げることになったのかについてその経緯を記述した。チャップリンにこの映画のつくらせる動機となったのは欧州でのアドルフ・ヒトラーの抬頭であったが、その思想的背景である「優生思想」についても若干の歴史的な考察を行なった。なお本論にはこの実践を終えてから総括した続編、山田(2018)がある。併せて読んでいただきご意見、ご批判をいただけるとありがたい。
著者
山田 雄三
出版者
日本評論新社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.397-399, 1955-10-01

論文タイプ||論説(一橋大学創立八十周年記念号 = Commemoration of the 80TH ANNIVERSARY of HITOTSUBASHI UNIVERSITY)
著者
山田 靜之 木越 英夫
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-21, 1995-01-01
参考文献数
22

Synthetic studies on the bracken ultimate carcinogen (3) and its artificial analogues (32, 33) are described. The synthesis of (-) -ptaquilosin (2) the aglycon of a potent carcinogen ptaquiloside (1) from bracken and its (+) - enantiomer (<I>ent</I>- 2) was achieved starting with (+) -dimenthyl (1<I>R</I>, 2<I>R</I>) -cyclopentane-1, 2-dicarboxylate. Dehydration of ptaquilosin (2) under weakly basic conditions led to the ultimate carcinogen (3). DNA cleaving activities of both enantiomers (3) were compared, the one (3) derived from natural (-) -ptaquilosin (2) being more efficient. Reactivities of the ultimate carcinogen (3) toward DNA are described. DNA was shown to be alkylated at the particular sites of purine bases and to undergo cleavage. The molecular mechanism of DNA cleavage with the ultimate carcinogen (3) was disclosed using deoxytetranucleotide d (GTAC) as a model DNA substrate.
著者
山田 義智
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.14-21, 2022

<p>This paper first outlines the rheological model used for flow analysis of fresh concrete that has not yet hardened. Next, the classification of the flow analysis method for fresh concrete is shown, and examples of analysis by the MPS method, which the authors have been working on in recent years, is described. Finally, I would like to describe the expectations and prospects for the rheology of fresh concrete.</p>
著者
杉山 伊吹 古島 大資 野村 優月 海野 けい子 中村 順行 山田 浩
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第42回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
巻号頁・発行日
pp.3-P-U-3, 2021 (Released:2021-12-17)

【目的】緑茶の主要な遊離アミノ酸であるL-テアニンが、抗ストレス作用を示すことが動物実験ならびに臨床試験で報告されている。また、テアニンに次いで緑茶に多く含まれるアルギニンとの併用摂取によって、テアニンの抗ストレス作用が増強する可能性が動物実験で示されている。しかし、ヒトに対するテアニン・アルギニン併用時の影響については明らかにされていない。そこで本研究では、ヒトにおけるテアニン及びアルギニン併用摂取のストレスへの影響を、単盲検ランダム化比較試験により検討した。【方法】静岡県立大学の健康成人120名(平均年齢22.4歳、女性62.5%)を対象とし、十分なインフォームドコンセントによる文書同意を得た後、テアニン・アルギニン併用群(テアニン100 mg・アルギニン50 mg摂取)、テアニン単独群(テアニン100 mg摂取)、プラセボ群の3群にランダムに割り付けた。対象者へのストレス負荷として内田クレペリン精神検査法を、ストレス指標として唾液中アミラーゼ活性(salivary amylase activity: sAA)を採用した。sAAをストレス負荷前、直後、5、15、30分後に測定し、sAAの経時変化やストレス負荷前後のsAAの変化量を3群間で比較した。なお本研究は、静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】ストレス負荷前から、負荷15分後におけるsAA変化量の平均値(標準偏差)は、テアニン・アルギニン併用群で-2.75(11.2)KIU/L、テアニン単独群で-0.40(11.5)KIU/L、プラセボ群で6.95(18.6)KIU/Lであり、テアニン・アルギニン併用群とプラセボ群間(p=0.0053)およびテアニン単独群とプラセボ群間(p=0.0413)で統計学的有意差が認められた。以上のことから、テアニンとアルギニンの併用摂取は、ヒトにおいても短時間の抗ストレス作用があることが示唆された。テアニン・アルギニン併用群とテアニン単独群間でsAA変化量の統計学的有意差は認められなかったが、テアニン・アルギニン併用摂取時にsAA減少量が大きくなる傾向がみられた。【結論】テアニン単独摂取時と比較して、テアニン・アルギニンの併用摂取により抗ストレス作用が増強する可能性が示唆された。しかし本研究の被検者は20代を中心としているため、結果の一般化には幅広い年齢層を対象とした大規模臨床試験によって検討する必要がある。
著者
山田 鉄雄
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.30, pp.35-37, 1970-12

タチウオ底曳縄漁法は,タチウオの習性を巧みに利用した積極的釣漁法で,将来性があると思われるが,漁具漁法上擬似針や潜航板の使用などなお研究すべき点が残されている。
著者
三上 泰正 高舘 正男 横山 裕正 川村 陽一 小林 渡 舘山 元春 前田 一春 工藤 龍一 中堀 登示光 小山田 善三 工藤 哲夫
出版者
青森県農林総合研究センター
雑誌
青森県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:03887650)
巻号頁・発行日
no.41, pp.45-62, 2007-03

水稲新品種'恋ほのか'は、青森県農業試験場(現青森県農林総合研究センター)において、全量炊飯型香り米の育成を目標に、'関東154号'(後の'サリークイーン')と'ハツコガネ'のF3個体を母とし、'ふ系143号'(後の'ヤマウタ')を父として人工交配を行い、その後代から育成された香り米の粳種である。2000年から'青系香144号'の系統名で「あおもり米優良品種の選定試験(水稲奨励品種決定、基本調査)」に供試され、栽培特性と利用方法の両面から検討を行った結果、従来の米と異なる新たな需要が期待されることから、2004年2月に青森県の第1種認定品種に指定された。'恋ほのか'の出穂期及び成熟期は'むつほまれ'より遅く、熟期は'つがるロマン'並の「中生の中」に属する。草型は「偏穂数型」で、稈長は「短稈」であるが、倒伏抵抗性は「中」である。障害型耐冷性及びいもち病抵抗性は「強」である。玄米の形はやや細長く、'むつほまれ'より玄米品質はまさり、玄米千粒重は軽く、収量性は低い。炊飯米はポップコーンのような香りがあり、白飯のほかに、ピラフ、パエリア、リゾット等の各種調理飯に利用できる。
著者
杉浦 利江 高橋 由佳 坂本 忍 稲森 美穂 山田 浩昭 米積 信宏 森下 博子 前田 美都里 川合 智之
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, 2018

安城更生病院(以下当院と略す)は,病院のスタッフ全員が,将来ビジョンを見据えた地域の病院となるためのプロジェクトに取り組んでいる。医事課を担当する病院職員は,「地域住民の健康と幸福」というスローガンの下,このプロジェクトに関わっている。達成に向けて3つの目標,すなわち1.未収金管理における回収の改善,2.委託金削減,3.委託取引件数の減少,を設定した。具体的な内容は,1.コンビニ決済の利用による未収金の回収,2.限度額適用認定証の周知および国民健康保険対象者の高額療養費貸付制度の推進による高額療養費の回収,3.無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援である。コンビニ決済の利用による未収金の回収額は約9万円/月であり,無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援により約8万円の回収が可能であった。さらに,限度額適用認定証利用の周知および高額療養費貸付制度の利用の推進は,年間約1,700万円の回収額を生みだした。今回の取り組みにより2016年の4月から8月の委託金の平均月額は890,188円で,委託件数は12件,2017年にはそれぞれ305,615円,10件へと削減することができた。本プロジェクトは,患者の自主的な医療費の支払いを促し,回収額の増加並びに委託金や委託取引件数の削減をもたらした。
著者
山田 浩二郎 増本 幸志 天野 尽 杉本 一郎 杉木 大輔 松島 久雄
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.738-747, 2017

<p><b>背景と目的</b>:埼玉県東部地域では2008年より救急搬送された重症・リスク受傷機転例はメディカルコントロール(以下,MC)担当医が地域で独自に作成した外傷活動記録票(以下,外傷検証票)を用い面談式および書面式事後検証を行うと計画としたが,面談式検証のみ実施されていた。そこで2014年4月より書面式該当例は消防組織内で一次検証し,医師および救急救命士により構成されるワーキンググループ(以下,WG)で二次検証する方式へと変更した。今回制度変更による書面式検証の実施率,検証結果の共有および検証の妥当性などについて検討したので報告する。<b>対象と方法</b>:調査対象;本MC 協議会管内における制度変更前2012 年1 月より1 年間(12消防組織)および変更後2014年4月より1年間(統合された8消防組織)とした。調査項目;1.外傷症例の一次検証(面談式・書面式)実施の有無。2.重症以上の外傷症例数及び一次検証数。3.事後検証結果の消防組織内における共有の有無。4.制度変更後における一次検証と二次検証の結果を比較し妥当性を評価した。<b>結果と考案</b>:1.一次検証は変更前,半分の6消防組織で実施され,その方法は面談式0,書面式6であった。変更後は全8消防組織,その方法は面談式2,書面式7(重複あり)であった。2.重症以上の外傷症例数及び一次検証数はそれぞれ変更前908件,207件(23%),変更後は945件,468件(50%)であった。3.変更前検証結果共有は6消防本部であったが,変更後全消防本部で閲覧可能としていた。4.回収した一次検証書類中約10%にWGによる検証評価の修正が必要であり,各消防組織を通じフィードバックを行った。外傷症例の書面式事後検証に外傷検証票を用いた一次検証を導入しその質を二次検証で確認するMC担当医の負担を著しく増大させない制度変更は,検証の質を維持しつつ検証実施対象事例を増加させ得る一方策である。</p>
著者
袴田 佳孝 中村 直義 小山田 公之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.41-44, 2013

ケーブルテレビでスーパーハイビジョン放送の実現を目指して,大容量MPEG-2 TSを分割して複数搬送波で伝送する方式を開発している.2013年2月,山梨県の既設のケーブルテレビ施設において,試作した伝送装置により181.2MbpsのMPEG-2TSの伝送実験を行った.実験の結果,いずれの受信点においても安定した品質でスーパーハイビジョン信号を伝送できることが確認できた.