著者
川村 晃右 山田 和子 森岡 郁晴
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.379-387, 2018 (Released:2018-09-29)
参考文献数
45
被引用文献数
2 5

Objectives: The purposes of this research were to investigate the hazardous effects of heat-not-burn tobacco and to clarify the health effects accompanying the transition from cigarettes to heat-not-burn tobacco.Methods: The concentrations of carbon monoxide, ammonia, formaldehyde, acetaldehyde, and dust (hazardous substances) were measured in the smoke of heat-not-burn tobacco. Twenty-nine smokers were used as the subjects. The concentrations of hazardous substances were measured in exhalation of heat-not-burn tobacco. The concentration of cotinine in saliva was also measured after the transition. A questionnaire survey was performed before and after the transition to evaluate nicotine dependence, nicotine withdrawal symptoms, and smoking behaviors.Results: In the mainstream smoke, all hazardous substances investigated were detected. Carbon monoxide and dust were detected in the exhalation of heat-not-burn tobacco. The concentration of cotinine in the saliva of heat-not-burn tobacco users corresponded to that of cigarette smokers. Cigarette smoking was significantly positively related to the score of Fagerström Test for Nicotine Dependence (FTND). Heat-not-burn tobacco was significantly positively related to FTND and Minnesota Nicotine Withdrawal Scale (MNWS) scores. The group in which the number of heat-not-burn tobacco sticks consumed increased after transition showed a smaller number of cigarettes consumed and a higher MNWS score before transition than the group in which it decreased after transition. These two factors were significantly related to the difference between the numbers of cigarettes and heat-not-burn tobacco sticks in multiple linear regression analysis.Conclusions: The mainstream smoke of heat-not-burn tobacco contains harmful substances. There were the possibilities that nicotine dependence and nicotine withdrawal symptoms appear after transition and that the number of heat-not-burn tobacco sticks consumed increases.
著者
山田 大介 村岸 裕治 久代 育生 中澤 正和 小泉 瑠理子 冨田 健仁 澤村 浩志
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.437-442, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

運転者が舵を入れ,切り込んでいく際の操舵反力の知覚量は,操舵トルク,操舵トルクの操舵角に対する勾配の,2つの物理量の組み合わせにより表現できることを明らかにした.さらに,その2つの物理量を用い,操舵反力から知覚量変化を推定する手法を導出した.これにより,運転者の感覚に近い定量的評価が可能となった.
著者
山田 富明
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1098-1107, 1983-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

Technology for a continuous ethanol fermentation process was developed by means of immobilized living cells using yeast cells and specially designed artificial resins.Yeast which has the ability to produce ethanol was screened from Saccharomyces genus and mixed with prepolymers of photocrosslinkable resin, then illuminated with an active ray (for example, chemical lamp) to change the prepolymers into three dimensional cross-linked polymers in which yeast was entrapped. Immobilized yeast processed into appropriate thinner sheet was packed in a fermentor and a diluted molasses solution fed to the fermentor. The fermentation temperature was kept at about 30-32°C and the pH at 4-5.As a result of a bench scale test (10 litres of ethanol a day) and pilot plant test (250 litres of ethanol a day), the constant activity of the yeast and high ethanol yield on sugar during long-term operation was confirmed and it was also established that the ethanol productivity was several times that of conventional suspended state batch system fermentation.
著者
岩本 テルヨ 山田 美幸 加瀬田暢子
出版者
山口県立大学学術情報編集委員会
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.2, pp.8-14, 2009-03

特別養護老人ホーム在所者の最期の場に関する意思決定とターミナルケアの現状を明らかにすることを目的として、2002,2003年に特別養護老人ホームの看護職を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。 2002年は433施設(回収率43.3%)、2003年は233施設(回収率29.1%)から回答を得た。特別養護老人ホームにおける年間死亡者数(2001年)は10.3±5.9(うち特養内死亡4.3±5.2)人であった。ターミナルケアへの対応は約7割が「希望があれば最期まで看取る」と回答した。最期の場の決定(複数回答)については、「家族・後見人」(38.3%)、「医師」(16.8%)、「状態が悪化した時の本人の希望」(14.9%)、「入所時の本人の希望」(13.3%)、「ホームの方針」(8.3%)、「看護職」(5.0%)、「介護職員、生活相談員」(2.7%)、[その他](0.9%)の順で行われていた。在所者の希望が優先されない理由に、「認知症があり本人の希望がよくわからない」(27.2%)、「本人からの意思表示が特にない」(20.8%)、「家族・後見人が本人は高齢でもありこの事態に対処することは難しいと考えている」(13.8%)、「家族・後見人が本人の希望というより自分たちの希望を優先することを求める」(12.1%)などがあった。 特別養護老人ホーム在所者の最期の場への意思尊重に向けて、認知症問題への方策とともに、特別養護老人ホームのターミナルケアへの体制整備が示唆された。
著者
竹村 泰司 山田 努
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

外径11 mmのカプセル内視鏡にはボタン電池が装着されており、それにより体内を照らすLEDやCCDカメラ、集積回路などを駆動している。血管内で駆動させることが可能な1 mm径サイズのマイクロ・ロボットが実用化すれば、診断や治療に有用であるが、電池を入れることが困難である。この課題をワイヤレス給電で解決することを目指す。具体的には電磁誘導方式を採用し、体内には電圧を誘導する1 mm径の受電コイルを用いる。そのコイルのコア(鉄心)にパルス電圧を誘起する特殊な磁性線を使用することが本研究の特徴である。
著者
藤田 直也 山田 拓司 野村 孝泰 牧野 泰子 村田 水紀 竹中 学 村田 浩章 竹内 幸 長崎 理香 金子 幸栄 伊藤 剛 柴田 麻千子 小山 典久 鈴木 賀巳
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.27-31, 2004 (Released:2006-12-15)
参考文献数
12

新生児の急性腎不全に対する腹膜透析 (PD) ではしばしば除水が困難である。我々は過去に, 腹腔内に少量の腹膜灌流液を貯留した状態を維持しつつ持続的に注排液を行う手法で, 新生児の急性腎不全例を良好に管理できる可能性があることを報告してきた。しかし注液側も排液側も流量を機械的に調節する手法では, 腹腔内に常時適当な量の腹膜灌流液を貯留しておくことが困難であった。今回は新たな試みとして, 排液側の回路をやや挙上することによって腹腔内に常時一定量の腹膜灌流液を貯留した状態を維持しつつ, 持続的に灌流する方法でPDを施行した。すべて既存の物品を用いて実施が可能であり, より簡便に一定の貯留液量を保ちながら持続灌流が可能で, しかも大量の透析液を灌流しても, 全く問題なく治療が可能であった。新生児のPDは, その手法にまだ改善の余地があり, 改良することで, より良好な治療ができる可能性があるものと考えられた。
著者
南部 久男 関 東雄 田島 木綿子 山田 格
出版者
富山市科学博物館
雑誌
富山市科学博物館研究報告 = Bulletin of the Toyama Science Museum (ISSN:1882384X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.99-101, 2016-06-20

2015年の富山湾(富山県側)で鯨類の漂着,目撃情報を収集した.2015年はマイルカ科のカマイルカLagenorhynchus obliquidens の漂着6例6個体,目撃3例と,ネズミイルカ科のイシイルカ(イシイルカ型)Phocoenoides dalliの漂着が1例1個体確認された.両種とも富山湾では既知種である.カマイルカの12月の目撃情報は,北上初期に富山湾へ来遊した個体と考えられ,富山湾では最も早い時期のカマイルカの目撃情報であった.イシイルカは富山湾での記録は少なく,今回が3例目であった.
著者
丸山 敬 竹見 哲也 山田 広幸 山口 弘誠
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.131-136, 2021-12

Field observation of wind fields has been carried out by using a doppler lidar and meteorological radars. Characteristics of fluctuational wind under cumulus convection and the growth of boundary layer including not only the effect of ground friction caused by surface roughness but also the effect of gust caused by up/down draft was examined and clarified. Some observed cases with the down flow under cumulus during passages of cold front were examined. The wind fields were simulated by large eddy simulation with canopy model, cloud physics model and boundary condition from simulated wind field by meteorological model WRF. The simulated wind fields consist with the observation. The wind speed near the ground increases with the down flow under the cumulus convection.
著者
小澤 純一 中村 友美 塚谷 桐子 山田 汐里 堀 裕一 小林 義文 高島 浩昭 竹内 ゆかり 宮崎 昌代 田中 和徳 三村 夏代 恩田 めぐみ 杉下 泰明
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.159, 2011

【目的】<BR> 脳血管障害,腫瘍,変性疾患などによる小脳障害患者は,その病巣部位により上下肢運動の協調性の欠如,立位・座位・起立歩行障害,姿勢調整障害,眼球運動障害,構音障害などがみられる.近年,新しい小脳性運動失調の評価スケールとしてSchmitz-Hubschらにより,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(以下,SARA)が提唱された.その信頼性について,International Cooperative Ataxia Rating Scale(以下,ICARS)やBarthel index(以下,BI)等との有意な相関が報告されている.<BR> 日本においても,厚生労働省難治性疾患克服研究事業「運動失調に関する調査研究班」において日本語版SARAが作成された.SARAは全8項目(歩行,立位,坐位,言語障害,指追い試験,鼻指試験,手の回内回外運動,踵すね試験)から構成された簡便な評価スケールであり,評価者内,評価者間共に高い信頼性や内的整合性が報告されている.<BR> 今回,SARAと歩行に関連した機能的バランスとの関連性について検証し,理学療法評価法としての信頼性・妥当性について検討した.<BR>【方法】<BR> 対象は,平成21年4月から平成22年3月の間に当院に入院し,理学療法を実施した小脳性運動失調の患者である.認知症および高次機能障害などにより,検査実施に支障のある患者は除外した.また,対象者に対しては,事前に目的や方法等の研究内容について説明し,同意を得た上で行った.<BR> カルテより基本情報(年齢,性別,疾患名等),小脳性運動失調の重症度評価スケールとしてSARAを使用して評価を行った.あわせて,ADL評価としてBI,歩行関連の機能的バランステストとして10m最大歩行速度(以下,10m歩行),Timed up and go test(以下TUGT)と重心動揺解析システムG‐6100(アニマ社製)を使用してつま先接地足踏みテスト(Toe-touch gait test,以下足踏みテスト)を実施した.<BR> 統計処理は,SPSSVer.15.0を使用し,SARAと各評価項目との相関についてはスピアマン順位相関係数により検討した.統計学的有意水準は5%とした.<BR>【結果】<BR> 対象者数は,30名(平均年齢62.7±12.5歳,男性26名,女性4名)であり,小脳梗塞28名,小脳出血2名であった.発症より検査日までの経過期間は28.77 ±27.10日であった.SARAスコアは6.53±2.43点 ,BIは86.83±10.95点,TUGT15.41±4.36sec,10m歩行8.58±2.06secであった.足踏みテストは,総軌跡長:276.43±78.23cm,単位時間軌跡長:27.66±7.84cm/sec,単位面積軌跡長:4.66±1.37cm,外周面積:66.47±31.13cm)cm<SUP>2</SUP>であった.<BR> SARAスコアと各変数間の相関はBIでは弱い相関(r=-0.42)であったが,TUGT(r=0.53)と10m歩行(r=0.57)では比較的強い相関であった.また,足踏みテストの各指標(総軌跡長:r=‐0.26,単位時間軌跡長:r=‐0.25,単位面積軌跡長:r=‐0.1,外周面積:r=‐0.1)との間では,有意な相関は認められなかった.<BR>【考察】<BR> 小脳性運動失調の総合的な評価法として,SARAは半定量的な評価が可能であり,重症度や治療効果の判定に有用なツールである.評価手法も,一般的な神経学的評価手技を用いているため,同一評価者内および評価者間での評価のばらつきが少ないことが報告されている.また,ICARSの評価項目が19項目であるのと比較するとSARAは8項目と少なく,臨床的にも簡便に使用可能な評価尺度といえる.今回,SARAと歩行に関連した機能的バランスとの間で比較的強い相関が認められた事から,基準関連妥当性の一部が確認され,理学療法評価尺度として有用であると考えられた.しかし,BIや足踏みテストについては低い相関しか確認できなかった.BIに関しては,今回の対照群がある程度の立位・歩行が可能な比較的重症度の軽い対象者を多く含んでいたためとも考えられる.足踏みテストについては,各対象者の歩行の際の姿勢調整機構の特徴を足底圧中心のみの評価ではとらえきれないためと考えられた.<BR>【まとめ】<BR> 本研究において,歩行に関連した機能的バランスとSARAとの間で,比較的強い相関が一部確認されたことから,小脳性運動失調患者の重症度把握や理学療法の治療効果の判定等の評価手法として有用であることが示唆された.
著者
七戸 翔吾 山田 律子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.76-86, 2020 (Released:2021-03-03)
参考文献数
32

研究目的は,通所サービスを利用する高齢者のサルコペニアの実態とその要因を認知機能障害(以下,認知障害)の有無で比較し,明らかにすることである. 対象者は,認知障害群57人と年齢・性をマッチングした非認知障害群57人の計114人であり,サルコペニアの有無,認知機能,栄養状態,活動状況を調査した. サルコペニアの発生率は認知障害群50.8%,非認知障害群47.4%と有意差はなかった.しかし,通所サービスの利用頻度は,非認知障害群よりも認知障害群が有意に多く(p<.001),また認知障害群にのみサルコペニアを有する者は日常生活能力(p<.001)やサービス以外の複数の活動状況(p<.05)が低かった.ロジスティック回帰分析の結果,サルコペニアの影響要因として「女性」「低い栄養状態」「通所サービス以外の少ない外出頻度」が挙げられた.通所サービスを利用する高齢者のサルコペニアの予防には,女性の低栄養の予防や活動範囲の拡大に向けた支援の必要性が示唆された.